ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ 作:天野ミラ
▼シノ視点
とはいえ、相手がアリウススクワッドなら・・・
今見えているサオリと、
ポジションは狙撃手と爆撃兵。どちらも高火力かつ長射程で無視できない
今も狙撃のタイミングを狙っているのだろう、バランスと連携の取れた部隊だ
『これでもっ・・・!?』
サオリに向けて散弾銃を向けた、瞬間に側頭部に飛来する20㎜口径弾・・・
人に向けるような口径の弾じゃない・・・っ!
紙一重で避けるが、体制を崩したところにアサルトライフルの射撃が飛んでくる
後衛を狙えば前衛が、前衛を狙えば後衛が攻撃を加えてくる
時間を稼げば先生は逃げきれるが私の体力は失われる一方・・・
どうしても1手、足りない
とりあえず開けた場所での戦闘は圧倒的に不利である
スタングレネードを放る、と共に後ろのビルに向かって走り出す
「あれだけの啖呵を切っておいて、尻尾を巻いて逃げるとはな。」
「ミサキ、炙り出してやれ。」
「了解、リーダー。」
『はぁっ、はぁ・・・』
息を整える
白かった服も背中側は大分真っ赤に染まってしまった
後、どれくらい持つだろうか
逃げ続けていれば、意識を失った先生の方を追うだろう
それは・・・駄目だ。だから、あの子達は私がここで止めなきゃいけない
手段は選べない
息をついたのもつかの間、ビルに打ち込まれるミサイル
よりにもよって多弾頭ミサイルのようで、子弾の内の一つが私のいる方向に飛来する
避けられ・・・ない、ダメージを最小限に抑える為に防御に神秘を回す
爆風で3階の窓からビルの外へ吹き飛ばされる
それと同時にビルが大きな音を立てて崩れていく
着地したのは、路地
運悪く人がいたようで直撃は避けたものの
その人の前に転がり込む形になる
『・・・ふぅ。この辺りは、危険だから離れた方がいいよっ・・・て?』
「危険は・・・承知だ。私は目的があってここに来た。」
なんで、こんなところにいるんだ・・・アズサちゃん
いや、止めにきたのだろう・・・
「・・・っ酷い怪我じゃないか、治療は・・・」
『初めからこういうデザインのドレスなのでね、気遣いは結構。』
巻き込みたくなかったが、現状打てる手が少ないのも事実
どうする、私はどっちを選べばいい?
「そうか、私は・・・行く。行かなきゃいけないんだ。」
『あれは私の獲物です、手を出さないで頂きたい。』
「アリウススクワッド・・・か?」
『・・・』
「やはり、いるんだな・・・サオリ。」
察してしまったらしい、ならばこのままだと彼女一人でアリウスを相手取る事になるだろう
それよりはマシ・・・だと思う事にする
『仕方がないですね、手伝ってもらう事にしましょう。』
『出来れば視界を制限したいのですが、何か良い案はありますか?』
「それなら、こういうのはどうだろう?」
一手は、埋まった。
後は覚悟を決めるだけだ
「・・・反応がないな、潰れたか?」
「燃えたビルの中で生き埋め・・・辛いですよね・・・苦しいですよね・・・」
「・・・ヘイローのある人間と言えど、酸欠には耐えられないだろう。」
「シュー、シュー」
「そうだな、先生の方を追うとするか。では各自・・・ッ!?」
手持ちの投擲物をありったけ投げ込む
と同時に爆発を隠れ蓑に、姫と呼ばれる生徒に接近する
散弾銃を叩きこむ・・・が
「・・・っ!」
倒しきれない、前衛を張るだけあってタフなのと
装備の質がいいのだろう、何発かは着けているガスマスク等に弾かれた
「させるかっ!」
誤射を嫌ってか回し蹴りを選択した、サオリに対して腕をガードする事で防御する
が、距離がまた開いてしまった
「大丈夫か、姫!?」
「コクコク」
「貴様、よくも姫を・・・!」
命の取り合いをしているのに、仲間が狙われて激昂するとは
全ては虚しい・・・と本人は思っていない?
だとしたら、だとしたら・・・
だとしたら?
『先生は、もっと痛かったと思いますよ。所詮は推測でしかありませんが。』
「・・・何か策があるらしいが、関係ない。策もろとも叩き潰す・・・!」
『やってみると良い、無駄だと思うけどね。』
遠方から、大口径弾の狙撃が飛んでくる
と同時にアサルトライフルでの掃射
そうだ、少しでも私に意識を向けろ
それでいい
そろそろ、頃合いか
持っていた最後の閃光弾を投擲する
有効打にはならないだろうが、それでもいい
「・・・また逃げる気かッ!」
「ねえ、リーダー、この辺り一帯・・・異常に霧が濃くなってきてる。」
「風上にある大規模農園の方・・・?人工的な物か?」
「とは言え霧に姿を隠せるのは私も姫も同じ・・・っ。まさか・・・!」
「ヒヨリッ!ミサキッ!その場から離れろっ!!!」
『ご名答。でも一手遅かったね。』
先ほどからの狙撃で、大体の位置は把握した
位置は狙撃の度に変えているようだが、装備重量の観点からも
私の方が早い
霧に包まれつつある町
そう長くは持たないだろうけど
この一瞬が作れればそれでいい
「ど、どうしましょう!?リーダー!?どこに逃げれば・・・!」
「ヒヨリ、声を・・・!!」
『みーつけた。』
この辺りでも高いビルの屋上から、降りてきていた狙撃手を見つける
「あっ、痛いですよね、苦しいですよね・・・それも仕方ないですかね・・・」
両手に持った散弾銃を至近距離でたたきこむ
バタリと倒れる狙撃手
どうやら気絶したようだが
「ヒヨリッ!返事をしろ・・・!クソッ!ミサキは私達と合流だ!」
「・・・了解、リーダー。」
町の霧が少しずつ晴れていく、地の利が失われていくが
三人固まって動いているらしいから、無いようなものだっただろう
随分と仲間を大切にしているらしい
身体の感覚が少しずつなくなってきたが・・・
先生の事を思えば、全員は無理でもあと一人か二人削っておきたい
特にリーダーのサオリを落とせれば追撃の判断はなくなるだろう
どうやら狙撃手のいたビルの方向まで捜索に来たようで
外から三人分の足音がする
「奴は何処に・・・」
ゆっくりと、目立つ広場の真ん中に歩を進める
『逃げも隠れもしていませんよ。』
覚悟を決めろ、戦いを決めるにはこれしかない
「白鷹・・・っ!ヒヨリは何処に・・・!」
『さて、どのあたりでしょうか。忘れてしまいましたが・・・』
特注のスラグ弾に神秘を込める、凡そ人に向けるべきではない威力のそれ
膨大な神秘に耐えられず、
星すら貫く”それ”は・・・人体など容易く貫くだろう
避けられたら、終わり
だからこそ避けられない「選択」をする
『このあたり、だったような?』
「ヒヨリ・・・っ!」
勢いよく走り出すサオリ
方向は銃身の向く方
『・・・我が眼光と化して、焼き尽くせ』
放たれた赤色の閃光は直撃を避けたものの
膨大な熱量と化してサオリを襲う
あの傷なら戦闘の続行は不可能だろう
想定していた、動けない味方を庇う選択を取るだろうと
だから・・・なんて言い訳をするつもりもない
私は今、”人を殺すかもしれない”選択をした
「リーダーっ!」
「・・・撤退だ。一旦仕切りなおす。」
撤退していくアリウススクワッドを追おうとして、やめる
先生が無事かどうか確認しないと・・・生きてるかな
ユメ先輩はナギサさんを守れただろうか・・・?
ここから最寄りの救護施設は・・・トリニティか
いつの間にか服も元に戻っている、おそらく顔も見えているだろうな
これからトリニティに向かうにはちょうど良かった
先生は、ゲヘナの車両でトリニティに向かっただろうけど大丈夫だろうか
ポタポタと血の落ちる音と足音だけが、誰もいない路地に響く
寒い・・・な。
背中は燃えるように熱いけど、頭と手足は酷く冷たい。
今日のお昼の気温はそんなに寒くなるなんて聞いていなかったけど
今頃補習授業部の皆はどうしているだろうか
巻き込まれてないといいな、なんて
あの子達の事だから、自分から首を突っ込むんだろうなぁ・・・
ユメ先輩は無事かなぁ・・・
無茶をしすぎたかな、口ではああ言っていたけど心配してるだろうな
向日葵のような笑顔が、少し懐かしい
最近は彼女を傷つけるような出来事が、多すぎた
こんなに長かったっけな、トリニティまでの道って
ああ、違う。動いてなかったんだ、足が。
まだ、やらなきゃいけないことが、沢山あるのに
『動け・・・動けッ・・・!動けよ・・・!』
立ってもいられなくなって、その場に倒れこむ
こんな所で寝たら、風邪をひいちゃうな
皆も心配してるだろう。だから・・・行かないと
先生にアビドスや補習授業部の皆に・・・ユメ先輩に・・・
『会いたい、なぁ・・・』
いつの間にか、指先すら動かない
目の前が、黒い幕が下りるかのように見えなくなっていく
世界から色がなくなっていく
そうして私は、意識を手放した
明日も更新予定です
この小説で増やしてほしい描写
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会話文
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地の分(場面描写)
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地の文(心情描写)
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今のままがいい