ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

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何気ないよくある日常の一幕、だったある日のお話


本編
よく或る日常の一頁


▼ホシノ視点

 

カイザーとのドンパチから、早いもので1か月がたった。

その日は自由登校日で、少し・・・いや、かなり遅めの登校の最中だった。

町は、歩いているのに、眠ってしまいそうな程暖かい陽気に包まれていて・・・

だから、初めは白昼夢か、見間違いかなって思ったんだけど。

 

角を曲がる、水色の髪に。

何となく懐かしさを、覚えて・・・誰かの面影を思い出して。

気づいたら足はそちらの方に向かってた。

 

その時の選択が、こんな結末を生むことになるなんて・・・あの時は想像してなかったなぁ。

 

 

 

「セリカちゃ~ん?おじさん、ちょっとだけ遅くなるから・・・皆にはよろしく言っておいて~」

 

「何言ってるのよホシノ先輩!もう充分遅いわよ!ていうか一体何を・・・」

 

会話も程々に、電話を切る。

愛しい後輩と話していたい気持ちはあるが、追跡すると決めた以上は・・・

あまり長い時間立ち止まっている訳にもいかないのも事実である。

 

我ながら愚かな事をしている自覚は・・・ある。

十中八九、人違いだろう。

ただ、先輩の妹さんだったら、ご家族の方だったら・・・

そう思うと万に一つでも、その可能性に縋りたくなってしまったんだ。

 

道を4つほど、曲がった。

全て左だったので、おそらく相手方も尾行には気づいているのだろう。

現に袋小路になっている路地裏に進んでいったのだから。

 

誘われている、がここまで来たのだから顔くらいは確認していこう。

そう思って、路地の角を抜けた。

その先にいたのは天狗の仮面をつけたピンク髪の女と水色の髪の・・・

 

「ユメ・・・先輩?」

そこにいたのは記憶にある彼女と全く同じで・・・

 

「なんで」

なんで?

「いや」

違う、今言うべきなのはそんなことじゃないだろう。

 

「どこに行ってたんですか。」

「心配、したんですよ」

 

 

 

違う。

「いや、違う。先輩は…っ」

死んだ。私のせいで。

「何者なんだ、どうして先輩の顔を・・・」

 

思考がまとまらない。

硬直しかけた場を動かしたのは水色の髪の彼女だった。

 

 

 

「ホシノちゃんだぁ!ねぇねぇ、ホシノちゃん!あっち、あっちにもホシノちゃんがいるよ!」

声も、あの時の、ままで―――

 

一体どういう事なんだ、そんな疑問を解決するかのように。

ピンク色の髪の彼女が仮面を外す。

 

『こんにちは、こっちの世界の私、いや「小鳥遊ホシノ」』

 

そこにいたのは・・・

 

『困惑するのは理解しているが・・・立ち話もなんだ。そちらの喫茶で少し「お話」をしないか?』

 

昔の私と瓜二つの・・・

 

『私は、私の事は・・・』

『高那 シノ。シノと呼んでくれればいい』

 

桃色の髪をした、短髪の少女だった。

 

 

 

場所を移して、お洒落な雰囲気の喫茶店に入る。

高那シノと名乗った少女は、いつの間にか仮面を深く被りなおしている。

 

「それじゃあ、このゆるふわパンケーキセットを3つと、ドリンクは~紅茶とコーヒーと・・・トロピカルジュースを1つずつで!」

 

ユメ先輩が注文を頼み終わると、それから数分してドリンクが届いた。

あまりこういう場所には来ないが、そもそも動揺と緊張のせいで・・・

頼んだお茶の味もよくわからなかったけど。

 

「う、えっと・・・2人は・・・つ、つまり「並行世界」から来たってこと?」

「うへ~話が難しくておじさんにはよくわからないな~」

 

『その認識で間違いないですよ。』

 

「こっちのホシノちゃんって自分の事おじさんっていうんだねぇ~なんでなの?」

 

「あ、うぐっ・・・え、えへへ~、なんでだろうね~」

 

「とっても可愛いから良いと思うよ!」

 

「あっ、ありがと~」

 

嬉しさと恥ずかしさと色々なものが混ざって泣きそうだし、吐きそうだ。

私はどうすればいいんだろう・・・

パンケーキしか食べてないのに、鉛を入れたかのように胃が重たい。

 

「ねえねえ、此処のパンケーキ美味しいね~でもちょっと物足りないなぁ。」

 

『私のをどうぞ。その、あまり食欲が沸かないので・・・食べていただけるとありがたいです。』

 

「あらま・・・ご飯はちゃんと食べなきゃだめだよ?夜はちゃんと食べるんだよ?」

 

『そうですね、夜はしっかり食べることにします。』

 

「おじさんには甘いパンケーキはちょ~っと重すぎたかな~い、いります?」

 

「わ、ありがと~ホシノちゃん~!でも、一杯食べないと大きくなれないぞ~?」

 

自分でもビックリするくらい上ずった敬語が出た。

彼女との、ユメ先輩との距離感を掴みかねている。

 

それから暫くアビドスやキヴォトスについての他愛ない話が続いた後の事。

 

 

「二人はこの後、どうするつもりなの?」

 

打算交じりに、今後の予定を聞いてみる。

別の世界の、だとしてもユメ先輩ともう少しだけでも話していたかった。

 

『一度自宅の方へ向かってみるつもりだけど・・・今後はどうするかは未定だね。』

 

「それなら・・・」

 

突拍子もない事を言おうとしているのは理解している。

でもここで引き止めないと・・・後悔する気がして。

 

 

「アビドスに、アビドス高校に来てみない?」

 

 

 

 

 

 

 

▼シノ視点

本当に来てしまった。

こうなるとは全く想像もついていなかったが・・・

どうやら現在アビドスは生徒数わずか5名。

しかも、のっぴきならない理由によって廃校の危機だったという。

そんなわけで猫の手も借りたい、ならぬ猫でも生徒にいてほしいくらいだとか。

 

 

それにしても、「先生」か。

私たちの世界にはいなかった「大人の指導者」「教え導くもの」

その存在が、この世界にどういった影響をもたらしているのか。

全くもって想像もつかないが、後で調べてみる必要があるだろう。

 

「ここがアビドスの校舎、って言ってもわかってるかぁ~分校の校舎を使ってるんだ。」

「本校の方は砂に埋もれちゃってねぇ・・・」

 

「そいじゃ、皆に声をかけてくるから部屋の前で待っててね~」

そう言って彼女は「対策委員会」という看板の掲げられた教室の中に入っていく。

 

「どんな子がいるのか、楽しみだねぇ。」

 

『そうですね、ユメ先輩。』

 

りょーちゃんは、いるだろうか。

5人・・・小鳥遊ホシノを除いて、4人。

誰がいるのだろうか。

 

中は随分と大揉めのようだ。

当然だろう、いきなり部外者が二人も押しかけようとしてい・・・

 

 

「ちょっと!?ホシノ先輩!ちょっと遅くなるっていうか・・・もうとっくにお昼過ぎちゃってるじゃない!」

 

「うへ~ごめんよぉ~ちょっとうちに興味があるっていう学生さんがいたから案内ついでにね~」

 

「ほ・・・本当ですか、ホシノ先輩?」

 

「ん。ホシノ先輩がまた人を拾ってきた。」

 

「言い方に語弊があるんじゃないかなぁ?今回は違うよ~お昼もごちそうになっちゃったし。」

 

「私からの着信も無視して、呑気にお昼ご飯を食べてたの・・・・・・・・?」

 

「ご、ごめんよぉ~セリカちゃん~おじさんも気が動転しててさぁ~」

 

「セリカちゃん、とっても心配してたんですから~ちゃんと連絡はしてあげないとメッですよ。」

 

「い、言わないでよノノミ先輩!」

 

「うへへ~本当にごめんよぉ~」

 

「それで、おふた方はどちらに?」

 

「わ、忘れてた・・・部屋の前で待ってもらってたんだった。ちょっと呼んでくるね~」

 

随分と賑やかなようだ、ただし・・・どれも聞き覚えのない声だった。

りょーちゃんらしき声がしなかった事に、落胆を覚えた自分に嫌気がさした。

私の知る皆はもういないというのに。

 

ガラリと扉が開く。

ホシノが、こちらに手招きをしている。

 

「というわけだから・・・皆に挨拶してもらっても大丈夫?」

 

コクリと頷き、彼女の後に続く。

 

部屋に入る、全員が知らない顔つきだが・・・

金髪の少女が驚きの表情を浮かべている。

参ったな、ユメ先輩の知り合いだろうか。

何処かで見覚えがあるような気もするが・・・

 

知り合いがいなければホシノの妹と転入してきただけの新入生で私たちの事を押し通そうと思ったがそうもいかなさそうだ、仕方ないか・・・

 

「はい!アビドス連合高校3年生!梔子ユメです!ユメって呼んでね!よろしく~」

 

『同じく2年12組、あー・・・高那 シノ。シノって呼んでほしい。』

 

 

部屋にいる全員が、困惑しているのが見て取れる。

さて、どこからどこまで話したものか。

 




ユメ「どうしよ、結局パンケーキ四枚も食べちゃったよ・・・太らないかなぁ」
シノ「どうせお腹にはいかないし、いいんじゃないですか(キレ気味)」

↓正直この小説に求めてるものって↓

  • ストーリー(シリアス)
  • 日常
  • バランス
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