ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

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―――えぇ、私も好きですよ。
お互いが幸せな・・・そんなハッピーエンドが・・・ね。


私達の物語

▼古聖堂

 

銃弾が飛び交う古聖堂には・・・雨が、降り続けている

濡れた身体と、流れ続ける血液が体力を奪う

 

マガジンが空になり、お互いにリロードを挟む

 

「「はぁはぁ・・・っ」」

 

限界なのだろう、私もサオリも

 

 

「威勢は良かったが、そんなものかぁ!白洲アズサぁ!」

 

「サオリこそ、随分と動きが鈍い・・・っ。」

 

 

 

「何故だ。アズサ・・・っ。その傷では立っているのもやっとだろう。」

「何故、そこまでして足掻く?お前は、もう戻れない。」

「お前は決して、陽だまり(補習授業部)には戻れない。」

 

「思い出せ、全ては・・・」

 

 

 

「虚しいことだ・・・と知っていても。それでも足掻くと・・・っ、決めたんだ!!!」

「それに一体何の意味があるっ!!!」

 

 

銃弾が胸に、腹に、足に・・・直撃する

 

互いに、ノーカウンターでの撃ちあい

傷ばかりが・・・増えていく

先に気力がなくなった方が負け(倒れる)

そういう戦いになりつつ・・・ある

 

「「・・・ぐっ。」」

 

倒れかける身体を支えてくれたのは

 

「大丈夫?リーダー。」

「大丈夫ですか!?アズサちゃん!」

 

「ありがとう、ミサキ。」

「なんでここに来たんだ・・・ヒフミ。」

 

 

「増員ですね・・・人数は・・・4。いえ、後ろにまだいます・・・」

 

 

 

「ここは、ヒフミみたいな。普通の人が来るところじゃない。」

「だから、帰るんだ。ここから先は・・・皆には見せたく・・・」

 

 

「アズサちゃん!!!確かに私は普通で平凡・・・そう見えているかもしれません!」

 

「ひ、ヒフミ?」

 

 

「でも、それは!世を忍ぶ仮の姿っ!本当の私は・・・!」

「覆面水着団のリーダー・・・ファウストです!」

 

そう言って歪な紙袋を被る彼女

”5”と書かれているだけの何の変哲もない紙袋だが、聞いた話と一致する

 

「私は!ブラックマーケットで銀行を襲い、現金一億円余りを強奪したことが・・・あります!」

「泣く子も黙る、覆面水着団の頭領とは・・・私の事です!」

 

「アズサちゃんが・・・世界が違うっていうなら・・・私だって同じです。」

「アズサちゃんを・・・一人にはさせません!どんな時だって、私が隣にいます!」

 

 

 

「・・・だから、一緒にいられないなんて・・・言わないでください。」

「私達・・・”友達”じゃないですかっ。」

 

「ヒフミ・・・私は・・・」

 

 

 

「馬鹿馬鹿しいっ・・・!そんな都合のいい話がある訳がないだろうが・・・!」

 

「ところがどっこい・・・本当なんだよねぇ・・・」

 

 

「やぁ、ファウストちゃん。助けに来たよ。」

「私達、覆面水着団。ファウスト様のご命令で集合しました!」

 

 

「アビドスの皆さんっ・・・!?」

「ん、私達はアビドス廃校対策委員会とは全くの無関係。」

「あ、えっと・・・そうですよね!」

 

 

「えっ、覆面水着団ってアビドスの人たちだったの?ハナコ。」

「コハルちゃん・・・聞かなかったことにしてあげてくださいね・・・」

 

 

「サオリちゃん・・・だっけ?随分とうちの後輩をお世話してくれたみたいだけど。」

「後ろにはトリニティの正義実現委員会も、ゲヘナの風紀委員会もいるからさ。」

「風紀委員長ちゃんも、そして・・・」

 

”お待たせ、皆!”

 

「先生も、ね。」

「そろそろ降参した方が身の為だと思うなぁ。」

 

 

「ふん、知ったことか。無限に増え続ける”ユスティナ聖徒会”の前では全てが無意味。」

「むしろ好都合だ、全員に思い知らせてやる。」

「どれだけ足掻いても、何の意味もない・・・全ては虚しいものだという事を!」

 

 

 

「知ったこっちゃありません!!!」

 

「ヒフミ・・・!?」

「貴様が・・・」

 

 

 

「私”が”好きなのは・・・ハッピーエンドなんです!」

「選択しなきゃいけないとか・・・そんなのっ・・・知りません!」

「アズサちゃんを、人殺しになんかさせません!」

「そして、皆だって救ってみせます!」

 

 

「誰かが、不幸になって終わるなんて暗くて憂鬱なお話・・・私は嫌です!」

 

「友達と苦難を乗り越えて!」

「努力がきちんと報われてっ!」

「辛い時は仲間と慰めあって、誰もが最後に笑顔になれるような!」

 

「そんな、ハッピーエンドが好きなんです!」

 

「誰が何と言おうと・・・私達の道は、私達が決めるんですっ!」

 

「だからここで終わりになんてさせません・・・ここからも続けていくんです!」

「私達の・・・青春の物語(ブルーアーカイブ)を!」

 

 

 

「雨雲が・・・晴れて・・・」

「戒律を・・・?だが無意味だ・・・!私達(ETO)がいる限り・・・!」

 

 

 

”連邦生徒会長代理として、ここに「超法規的機関シャーレ」の私が宣言する。”

”私達が、新たなエデン条約機構(ETO)だ。”

 

 

「そんな巫山戯たことが・・・!」

 

”君達、アリウスがやったように・・・可能なんだよ。”

”ここにはゲヘナもトリニティも・・・そして私達がいる。”

 

 

「リーダー・・・虚言の類じゃない。ユスティナの統制がおかしくなってる。」

「ETOが二つありますからね・・・戒律に沿って、どちらを助けるのか・・・混乱してますね。」

 

 

 

 

「・・・っ!昏睡状態のお仲間はどうした!?どうせそいつも目を覚まさない!」

「この世界は・・・全てが、」

 

 

『勝手に殺さないでくれますか。私は頑丈さが取柄なので。』

 

「お待たせ~!皆、シノちゃんをおんぶしてきたら、遅れちゃった・・・!」

『遅くなりました、見ての通り無事です。』

 

「シノ・・・!」

「シノちゃん!」

 

”信じてたよ、シノ。さっきぶりかな?”

 

 

「そんな都合の良い事がある訳が・・・!」

「認められるか!!!何がハッピーエンドだ!それだけでこの憎しみが・・・!」

「この不変の世界が変わる訳がないだろうが!夢のようなことを宣うなぁ!!!」

 

 

”生徒の夢を、見守り・・・手伝うのが。私の、私達(大人)の役目だから。”

 

 

「黙れぇぇぇぇっ!来い、アンブロジウスッ!」

 

 

電柱程もある体躯を誇る、鋭い爪と星空のような身体の怪物

それに付随するように現れた3桁にも登ろうという数のユスティナ聖徒会

ETOが設立直後だからこそ、今こうして操作ができるのだろうが

復活した後(更新後)は、そうもいかないだろう

 

その巨大な体躯から放たれる蒼い炎が、私達を焼き尽くさんと迫って来る

私もあまり余力がない、というよりユメ先輩に止められているので

戦闘は出来るだけ避けたい

まあ、その必要は無いだろう

 

 

目の前のコンクリートが、何かに押し出されたように隆起して遮蔽物になる

 

「あはっ、久しぶりだね先生☆あのデカブツは私に任せてよ。」

 

”ミカ・・・!”

 

 

「貴様までもが・・・裏切者の貴様までもが、そちら側に立つというのか・・・聖園ミカァ!」

 

「ごめんね、サオリちゃん。今は忙しいから、貴方と問答する暇はないんだ。」

 

「ん、先生、雑魚は任せて。先生達は頭を。」

 

 

 

”任せた、皆・・・行こう、補習授業部!”

 

 

「許さないっ・・・アズサ・・・!お前だけが、この青い空の下に残るなんて・・・!」

「この虚しい世界で、お前だけが意味を持つなんてっ!」

 

「私が、否定してやる・・・!トリニティで得た・・・全てを!」

「教えてやる!全てが無意味で無駄だという事を!すべては虚しいのだから!」

 

 

「ヒフミ」

「はいっ!やってやりましょう、アズサちゃん!」

 

「コハル」

「うん!回復なら任せなさいよね!」

 

「ハナコ」

「はいはい、私も久しぶりに一肌脱いじゃいますよ♡」

 

「ユメ」

「うんっ!皆は私が守るよっ!」

 

「シノ」

『見届けますよ、アズサちゃん。』

 

「先生」

”うん、指揮は任せて!”

 

 

「皆がいるから、私はもう・・・負けない。」

「黙れ、白洲アズサっ!意気込みだけで勝てる程、甘くはないっ!!!」

 

 

 

 

 

何故だ

 

”ユメ、射撃来るよ!3時の方向構えて!”

「任せて!」

銃弾は的確に防がれる

 

何故だ・・・

 

”ヒフミ、そこでデコイ!”

「はいっ!さ・・・作動させちゃいます!」

デコイは的確にこちらの思惑をずらしてくる

 

何故だっ・・・!

 

”アズサッ!狙いは標準より3cm右っ!決めて!”

「これで大丈夫っ・・・!」

先ほどと比べ物にならない程に、一撃が重く正確だ

 

 

「・・・リーダー。これ以上はもう持たない・・・!」

「サオリさん・・・もう弾が・・・!うぐっ・・・!」

 

 

「何故だ・・・!何故お前だけがっ・・・!」

 

「リーダー・・・」

 

 

「まだだ、まだっ・・・古聖堂の地下にあれがある・・・」

 

 

「何かまだ手段があるようですね・・・止めなくては。」

 

「悪いけど、リーダーの元には行かせないよ・・・」

 

 

 

 

『先生とアズサちゃんだけでも行ってください。ここは私達が受け持ちます。』

 

”うん、頼んだよ皆。行こうか、アズサ。”

「うん、行こう先生。」

 

 

 

 

▼アズサ視点

 

 

まるで洞窟のような、古聖堂の地下

そこにサオリはいた、まるで私が来ることが分かっていたかのように

 

 

「サオリ、もう終わりにしよう。」

 

「まさか・・・一人で来るとはな。お前が私に1対1で勝てると、本当に思っているのか?」

 

 

 

「いや、私は一人じゃない。」

「先生が・・・そして皆がついてる。」

 

「くだらないっ・・・私が全て否定してやる、貴様も・・・その大人も!」

 

 

 

私もサオリも・・・限界だ

勝負はおそらく、一瞬で終わる

 

”アズサ、視界サポートを入れるよ。”

 

視界がクリアになる、いつも以上に多い情報に少し戸惑うが・・・

もう、慣れた

 

 

互いの獲物(アサルトライフル)を、構えなおす

 

 

「「vanitas vanitatum(全ては虚しい)・・・」」

 

同じ場所で学んだから、奇しくも同じ詠唱

 

「「|et omnia Vanitas.《どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ。》」」

 

放つは、必殺の一撃

何度も、何度も一緒に訓練した”それ(EX)

だからこそ、お互いの手の内は分かりきっている

きっとまともに食らえば、命を落とすことになるだろう。それでも

 

 

”私を、信じて。私もアズサを信じてるから。”

 

こんな緊迫した場面でも、心は凪いでいる

 

 

 

「その事を思い知れっ!!」

 

先に動いたのは、サオリの方

アサルトライフルの単射に、逃げ道を塞ぐように撃たれたハンドガンの3連射

一発でも掠れば、確かに私は耐えられないかもしれない・・・だけど

 

 

「全てを無に帰すっ・・・!」

 

逃げ場がないなら、正面から食い破るのみ・・・!

 

私の銃(Et Omnia Vanitas)から放たれた弾丸は、空中で一際大きな火花をあげながら衝突する

そして、そして・・・

 

 

「う、くっ・・・アズ・・・サっ・・・!」

「サオリ・・・何で。」

 

バタリと力なく倒れる、サオリ

立っていたのは、私の方だった

 

 

 

”お疲れさま、アズサ。よく頑張ったね。”

 

「はぁ、はぁ・・・先生。実は立っているのも限界、なんだ。肩を借りてもいい?」

 

”勿論。ほら、つかまって。”

 

先生の肩を借りる、そこには確かに人の温もりが・・・あって

 

 

「先生は・・・暖かいな。」

 

 

 

戦いが終わるのを待っていたかのようなタイミングで現れた、壊れたマスクをつけた彼女

 

「私達の負けだよ・・・アズサ。」

 

「アツコ・・・。」

 

「姫・・・喋ると・・・っ!」

 

 

「サオリ、私達が負けた以上・・・彼女は私を生かしておくつもりはない・・・」

「だから、もういいんだよ・・・サオリ。その事はサオリが一番よくわかってたでしょ?」

 

 

「・・・私は。」

 

 

「トリニティとゲヘナが憎い理由は、何?全ては虚しいって・・・どうしてそう思ったのか。」

「結局の所、教えてもらっただけ・・・でしょ?それは私達の想いじゃない。」

 

 

「アズサは・・・気づいたみたいだけどね。良い人に出会えたんだね。」

「・・・うん。」

 

「それにしても、本当に追う気がないんだね、先生。いつでも狙えたはずなのに。」

 

”その必要は無いと、思ったからね。”

 

 

 

「それじゃ、さよならアズサ。」

 

そう言って肩を借りて何処かへ向かうサオリとアツコ

その前に、聞いておきたいことがあった

 

 

「サオリ、どうして最後に・・・」

 

 

確かに、最後の彼女の一撃には殺意が・・・感じられなかったのだ

 

「昔いた・・・馬鹿な同胞の顔が頭を過ぎっただけだ・・・忌々しい事にな。」

「さらばだ・・・”トリニティ”の白洲アズサ。もう会うことは無いだろう。」

 

 

「・・・サオリ、また会おう。」

 

 

本当に見逃して良いのだろうか

分からない・・・分からないけど

正直な話、私一人で彼女達二人を相手取るのは厳しかったかもしれない

先生もそのあたりを考慮して・・・はいないのだろうな

 

「ともかく、これで・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「素晴らしい・・・素晴らしい・・・!」

 

 

パチパチパチとその場に不釣り合いな拍手のような音が響く

やけに硬質な物体を叩き合わせたような、そんな音・・・

まるで劇を見終わった後にするような、そんな拍手が

 

 

「素晴らしいものを見せてもらった。」

「お初にお目にかかる、”先生”。そなたに合える時を心待ちにしていた・・・!」

 

 

現れたのは、タキシードを身に纏った双頭のマネキン人形

その、外見から相まってどことなく恐怖を感じさせる

 

 

”お前は・・・っ。”

 

「おっと、私としたことが、自己紹介を忘れていた。」

「こんな初歩的なミスをするとは、正に忸怩たる思いだ。」

「そうだな、先生・・・私の事は。」

 

 

 

 

「ゲマトリアの・・・”芸術家(マエストロ)”と。そうお呼びいただきたい。」




ミカ「折るね☆」
ユメ「電柱って・・・折って武器に出来るんだね・・・」
シノ『アンブロジウスが飛んでいきますね・・・まさかあのアンブロジウスがナレ死とは・・・』

ヒヨリ「・・・皆さん。私はここまでかもしれません・・・でも仕方ないですかね・・・」
ミサキ「とりあえずリーダーと合流しよう、もう手に負えない。」

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