ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ 作:天野ミラ
一部総力戦と、その前口上のネタバレを含みます
▼古聖堂地下
「先生。そなたの信念、そして経験と確かな知性から繰り広げられてた戦略、この問題を解決に至った知恵・・・その全てに敬意を払っている。」
「だからこそ・・・私は確信したのだ。」
「そなたなら、私の”崇高”を理解してくれるに違いないと・・・!」
「”崇高”が何なのか・・・と言う顔だな、先生。そうか・・・作品を鑑賞する上で最低限の知識が必要となる事を失念していた。」
「「崇高」とは二つの面を持ち合わせている。到底辿り着くことの叶わない・・・「神秘」そして不可逆の「恐怖」。それらの本質はコインの表裏のように切り離せない物・・・」
「と言っても、私達ゲマトリアは残念ながらその内の、”1つの面”の観測にしか成功しえなかった・・・お恥ずかしい話ではあるが・・・」
「私達が近づくことができたのは「恐怖」・・・その上それは所詮
”マエストロ、結局お前は何をしに・・・!”
「すまないな、先生。話が少し長くなってしまった。」
「数多のインスパイアを受けて、私の作品はついに・・・小さな”成功”を迎えた。」
「最早、アンブロジウスやマダムの持つ”
揺れている、世界が悲鳴を上げるかのように
何かが来る
途轍もなく恐ろしい「何か」が
「最初の問いに、答えようか・・・先生。つまるところ私は紹介したかったのだ。」
「この”小さな成功”を・・・受肉した太古の教義を!」
”真っ白”な祭服を着た、光輪の付いた怪物
左右2対の腕を持った20mを越える化け物
手を胸の前で祈るように組んだ、異形の聖職者
「人工の天使にして、神性の怪物・・・名を・・・”ヒエロニムス”」
「さあ、見せてくれ先生!そなたの払った代価を!そして私の作品に全力で答えてくれたまえ!」
一目見て、分かる・・・分かってしまう
”あれ”は、レベルが違う
これに比べたら、先ほどのアンブロジウスが児戯にも思えてしまう
「先・・・生。私が時間を作るから・・・逃げてっ・・・!」
”その必要は無いよ、出さないで終わらせたかったけど・・・”
そう言って先生が懐から取り出した、黒色のカード
そのカードが光を放って
『それを使うのは、少なくとも今じゃないと思いますよ。』
「先生~大丈夫?」
”ユメ、シノ・・・!”
『私達だけじゃなくて補習授業部の皆もいますよ。』
「皆・・・!」
「おお!限りなく”崇高”に近い、「神秘」よ。お目に書かれて光栄だ。その手法、手腕・・・非常に気になる・・・が、他者の模倣など練習としてはまだしも、作品とするのは芸術家としては唾棄すべき邪法・・・さあ、その神秘の輝きを私に見せてくれたまえ!」
『全く、忌々しいですね。』
『先生、指揮のキャパシティは・・・』
”6人・・・無理して8人かな。。生徒の潜在能力を引き出しきるならそこが限度・・・!”
『了解です・・・編成は先生の判断に従いますが。回復役は多めにお願いします。』
”う、うん。シノ、君は・・・いや、それは後。”
”前衛はユメとミカ、後衛はコハルとヒフミ、サポートはハナコ・・・行ける?”
「「「「「はい!」」」」」
『私はフロントに・・・』
”シノはせめてサポートにして?無理してるでしょ?”
『・・・危なそうなら私も前に出ますから。』
彼の者が右手の指揮棒のようなそれで、床を叩く度に光輪が降り注ぐ
彼の者が左手の指揮棒のようなそれで、床を叩く度に黒い炎が降り注ぐ
「ひぃん・・・流石に痛いよ・・・」
『頑張ってください、ユメ先輩!かっこいいですよ!』
「う、うん!もうちょっとだけ頑張るね!」
”あの、シノ・・・”
『言わないでください、仕方ないじゃないですか。』
『ショットガンでこの距離からどうやってサポートすればいいんですか。』
「それで、えっと・・・なんであの緑色の石を回復すると装甲が無くなるの?」
『なんででしょうね・・・コハルちゃん・・・』
”とは言えこのままじゃジリ貧だ・・・”
アズサちゃんが立ち上がる、満身創痍だろうに
それでも彼女の眼は死んではいなかった
むしろ燃えているようにすら見える
「私が決める。」
”アズサ。危ないから・・・”
「私も一緒に戦いたいんだ、先生。見ているだけじゃなくて、一緒に足掻きたい。」
『私もフロントに出ます、このままじゃ置物なので・・・!』
”・・・分かったけど、無理だけはしないでね2人とも!”
▼シノ視点
やっとフロントに立てた
先生もこの数の指揮は限界そうだ、早めに決めないと
「まさか貴方と、肩を並べて戦う事になるとは思わなかったよ、シノちゃん。」
『無駄に頑丈だから、盾にでもしてほしいってセイアさんに言われてます。』
「あはは、セイアちゃんとはよく話し合わなきゃいけないね?」
『それはともかく、頼りにしてますよっ!』
”ヒフミとユメで隙を作って、一気に火力を叩きこもう・・・!”
「回復は任せてください♡」
攻撃が苛烈だ、被弾を抑えられているのは一重に先生の指揮によるものだろう
先ほどまで、点滴が刺さっていただけあって
被弾の度に頭がくらくらする
光の輪が私を覆うように出現する
少し熱いが、奴の通常攻撃は全然耐えきれる
問題は・・・
「な・・・何ですかこの数字!?減っていくんですけど・・・!」
ヒフミの上に出てきた10カウント
あれが爆発すると、結構拙い
”コハル、ヒフミを回復して!”
「わ、分かった・・・!」
一際大きな黒い炎が、アズサちゃん目掛けて飛んでいく
それに対して、炎より大きな星が空から降り注ぐ
「その攻撃は・・・通さないよ。」
”決めて!アズサ!シノ!”
「vanitas vanitatum・・・!」
『我が眼光と化して、焼き尽くせッ!』
放たれた二発の弾丸が奴の胸を穿つ
ヒエロニムスは膝を折り曲げ・・・まるで祈るような体勢になった後
霧のようにその姿を消した
「はぁ、はぁ・・・勝った、勝ったんだ・・・!」
「やりましたねアズサちゃん!」
『ちょ、ちょっと疲れました。ユメ先輩・・・』
「はいはい、よいしょっと。よく頑張ったね。」
「とは言え、これで一件落着ですね♡」
「つ、疲れた・・・早く帰ろう・・・?」
”本当にお疲れ様、皆!”
これでトリニティとゲヘナの戦争は回避できた・・・はずだろう
でも、まだ一つだけ謎が残っている
あの赤と白の花は一体何だったのだろうか
空が赤くなった原因も結局は分からずじまいだった
「帰ろ、シノちゃん!」
『そうですね、ユメ先輩。帰りましょう!』
それでも、今は皆で帰れることを喜ぼう
トリニティに帰った後、私と先生は死ぬほど怒られた
まあ、そりゃそうだよなぁ・・・
病院抜け出してきてるわけだし・・・
セリナちゃん辺りには本当に申し訳ない事をしたと思う
その後の顛末としては、ユスティナ聖徒会の脅威こそなくなったものの
エデン条約は無期限の延期
聖園ミカについては傍聴会が開かれるらしい
逃げたアリウススクワッドの所在は・・・不明
この条約を通して、上手くいったことの方が少ないかもしれない
これだけの事があって、私達は誰かを信じて前に進んでいけるのだろうか?
結局の所、どんなに親しくても・・・所詮は他人だ
他人の心を完全に理解することは、誰にも出来ない
それでも・・・
「それでも、私達は進まなければならない。」
「いろんな問題を背負いながらでも・・・」
「何せ、私達の
「セイアちゃん?どこに向けて話してるの?」
「ついに友達がいなくて壁と話したくでもなった?」
「ふふっ、ただの独り言さ。誰に聞かせるでもない・・・ね。」
「なにそれ~?意味わかんない」
「そんな事より早く行こ?ナギちゃんが首を長くして待ってるよ?」
「ああ、行こうか・・・ミカ。私も話したいことがたくさんあるんだ。」
『先生、ちょっとお時間良いですか?』
『これは推測にはなりますが・・・ええ、簡潔にお話しすると。』
『まだ、終わりじゃない、そう言う事です。』
この後はIFや幕間を挟んでから、忘れられた神々のためのキリエの内容に入っていく予定です
30000UA突破しました、ありがとうございます!
今後もよろしくお願いいたします。
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