ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

34 / 87
影響を与えるのは。何も味方に限った話ではない


一部総力戦と、その前口上のネタバレを含みます


受肉した教義

▼古聖堂地下

 

 

 

 

「先生。そなたの信念、そして経験と確かな知性から繰り広げられてた戦略、この問題を解決に至った知恵・・・その全てに敬意を払っている。」

「だからこそ・・・私は確信したのだ。」

 

「そなたなら、私の”崇高”を理解してくれるに違いないと・・・!」

 

 

「”崇高”が何なのか・・・と言う顔だな、先生。そうか・・・作品を鑑賞する上で最低限の知識が必要となる事を失念していた。」

 

「「崇高」とは二つの面を持ち合わせている。到底辿り着くことの叶わない・・・「神秘」そして不可逆の「恐怖」。それらの本質はコインの表裏のように切り離せない物・・・」

 

 

「と言っても、私達ゲマトリアは残念ながらその内の、”1つの面”の観測にしか成功しえなかった・・・お恥ずかしい話ではあるが・・・」

「私達が近づくことができたのは「恐怖」・・・その上それは所詮複製(ミメシス)に過ぎなかった。」

 

 

”マエストロ、結局お前は何をしに・・・!”

 

 

「すまないな、先生。話が少し長くなってしまった。」

 

 

「数多のインスパイアを受けて、私の作品はついに・・・小さな”成功”を迎えた。」

「最早、アンブロジウスやマダムの持つ”複製(ミメシス)”とは一線を画した、それ。」

 

揺れている、世界が悲鳴を上げるかのように

何かが来る

途轍もなく恐ろしい「何か」が

 

「最初の問いに、答えようか・・・先生。つまるところ私は紹介したかったのだ。」

「この”小さな成功”を・・・受肉した太古の教義を!」

 

”真っ白”な祭服を着た、光輪の付いた怪物

左右2対の腕を持った20mを越える化け物

手を胸の前で祈るように組んだ、異形の聖職者

 

「人工の天使にして、神性の怪物・・・名を・・・”ヒエロニムス”」

「さあ、見せてくれ先生!そなたの払った代価を!そして私の作品に全力で答えてくれたまえ!」

 

 

一目見て、分かる・・・分かってしまう

”あれ”は、レベルが違う

これに比べたら、先ほどのアンブロジウスが児戯にも思えてしまう

 

 

 

 

「先・・・生。私が時間を作るから・・・逃げてっ・・・!」

 

”その必要は無いよ、出さないで終わらせたかったけど・・・”

 

そう言って先生が懐から取り出した、黒色のカード

そのカードが光を放って

 

 

 

 

『それを使うのは、少なくとも今じゃないと思いますよ。』

「先生~大丈夫?」

 

”ユメ、シノ・・・!”

 

『私達だけじゃなくて補習授業部の皆もいますよ。』

「皆・・・!」

 

 

「おお!限りなく”崇高”に近い、「神秘」よ。お目に書かれて光栄だ。その手法、手腕・・・非常に気になる・・・が、他者の模倣など練習としてはまだしも、作品とするのは芸術家としては唾棄すべき邪法・・・さあ、その神秘の輝きを私に見せてくれたまえ!」

 

 

 

 

『全く、忌々しいですね。』

『先生、指揮のキャパシティは・・・』

 

”6人・・・無理して8人かな。。生徒の潜在能力を引き出しきるならそこが限度・・・!”

 

『了解です・・・編成は先生の判断に従いますが。回復役は多めにお願いします。』

 

”う、うん。シノ、君は・・・いや、それは後。”

 

”前衛はユメとミカ、後衛はコハルとヒフミ、サポートはハナコ・・・行ける?”

 

「「「「「はい!」」」」」

 

 

『私はフロントに・・・』

 

”シノはせめてサポートにして?無理してるでしょ?”

 

『・・・危なそうなら私も前に出ますから。』

 

 

 

 

彼の者が右手の指揮棒のようなそれで、床を叩く度に光輪が降り注ぐ

 

彼の者が左手の指揮棒のようなそれで、床を叩く度に黒い炎が降り注ぐ

 

 

「ひぃん・・・流石に痛いよ・・・」

 

『頑張ってください、ユメ先輩!かっこいいですよ!』

「う、うん!もうちょっとだけ頑張るね!」

 

”あの、シノ・・・”

『言わないでください、仕方ないじゃないですか。』

『ショットガンでこの距離からどうやってサポートすればいいんですか。』

 

 

「それで、えっと・・・なんであの緑色の石を回復すると装甲が無くなるの?」

『なんででしょうね・・・コハルちゃん・・・』

 

”とは言えこのままじゃジリ貧だ・・・”

 

 

アズサちゃんが立ち上がる、満身創痍だろうに

それでも彼女の眼は死んではいなかった

むしろ燃えているようにすら見える

 

「私が決める。」

 

”アズサ。危ないから・・・”

 

「私も一緒に戦いたいんだ、先生。見ているだけじゃなくて、一緒に足掻きたい。」

 

『私もフロントに出ます、このままじゃ置物なので・・・!』

 

”・・・分かったけど、無理だけはしないでね2人とも!”

 

 

 

 

▼シノ視点

 

 

 

やっとフロントに立てた

先生もこの数の指揮は限界そうだ、早めに決めないと

 

 

 

「まさか貴方と、肩を並べて戦う事になるとは思わなかったよ、シノちゃん。」

 

『無駄に頑丈だから、盾にでもしてほしいってセイアさんに言われてます。』

 

「あはは、セイアちゃんとはよく話し合わなきゃいけないね?」

 

 

 

『それはともかく、頼りにしてますよっ!』

 

”ヒフミとユメで隙を作って、一気に火力を叩きこもう・・・!”

 

「回復は任せてください♡」

 

 

 

攻撃が苛烈だ、被弾を抑えられているのは一重に先生の指揮によるものだろう

先ほどまで、点滴が刺さっていただけあって

被弾の度に頭がくらくらする

 

 

光の輪が私を覆うように出現する

少し熱いが、奴の通常攻撃は全然耐えきれる

 

 

問題は・・・

「な・・・何ですかこの数字!?減っていくんですけど・・・!」

 

ヒフミの上に出てきた10カウント

あれが爆発すると、結構拙い

 

 

”コハル、ヒフミを回復して!”

 

「わ、分かった・・・!」

 

一際大きな黒い炎が、アズサちゃん目掛けて飛んでいく

それに対して、炎より大きな星が空から降り注ぐ

 

「その攻撃は・・・通さないよ。」

 

 

”決めて!アズサ!シノ!”

 

 

「vanitas vanitatum・・・!」

『我が眼光と化して、焼き尽くせッ!』

 

放たれた二発の弾丸が奴の胸を穿つ

ヒエロニムスは膝を折り曲げ・・・まるで祈るような体勢になった後

霧のようにその姿を消した

 

 

 

「はぁ、はぁ・・・勝った、勝ったんだ・・・!」

「やりましたねアズサちゃん!」

 

 

『ちょ、ちょっと疲れました。ユメ先輩・・・』

「はいはい、よいしょっと。よく頑張ったね。」

 

「とは言え、これで一件落着ですね♡」

「つ、疲れた・・・早く帰ろう・・・?」

 

”本当にお疲れ様、皆!”

 

これでトリニティとゲヘナの戦争は回避できた・・・はずだろう

でも、まだ一つだけ謎が残っている

あの赤と白の花は一体何だったのだろうか

 

空が赤くなった原因も結局は分からずじまいだった

 

「帰ろ、シノちゃん!」

『そうですね、ユメ先輩。帰りましょう!』

 

 

それでも、今は皆で帰れることを喜ぼう

 

 

 

 

トリニティに帰った後、私と先生は死ぬほど怒られた

まあ、そりゃそうだよなぁ・・・

病院抜け出してきてるわけだし・・・

 

セリナちゃん辺りには本当に申し訳ない事をしたと思う

 

 

 

 

その後の顛末としては、ユスティナ聖徒会の脅威こそなくなったものの

エデン条約は無期限の延期

聖園ミカについては傍聴会が開かれるらしい

 

逃げたアリウススクワッドの所在は・・・不明

 

 

この条約を通して、上手くいったことの方が少ないかもしれない

これだけの事があって、私達は誰かを信じて前に進んでいけるのだろうか?

結局の所、どんなに親しくても・・・所詮は他人だ

他人の心を完全に理解することは、誰にも出来ない

それでも・・・

 

「それでも、私達は進まなければならない。」

「いろんな問題を背負いながらでも・・・」

 

「何せ、私達の物語(青春)はまだ・・・続いていくのだから。」

 

 

「セイアちゃん?どこに向けて話してるの?」

「ついに友達がいなくて壁と話したくでもなった?」

 

「ふふっ、ただの独り言さ。誰に聞かせるでもない・・・ね。」

 

「なにそれ~?意味わかんない」

「そんな事より早く行こ?ナギちゃんが首を長くして待ってるよ?」

 

「ああ、行こうか・・・ミカ。私も話したいことがたくさんあるんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『先生、ちょっとお時間良いですか?』

『これは推測にはなりますが・・・ええ、簡潔にお話しすると。』

『まだ、終わりじゃない、そう言う事です。』




この後はIFや幕間を挟んでから、忘れられた神々のためのキリエの内容に入っていく予定です
30000UA突破しました、ありがとうございます!
今後もよろしくお願いいたします。

どんな端末から小説みてますか?

  • PC
  • 携帯端末
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。