ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

38 / 87
き・・・聞きましたか・・・
ヘイローって先生にしか見えないって判明したらしくて・・・
内容の祖語を見つけたりしたら修正するかもしれません


アリウス編
誰が為のキリエ~序幕~


▼???

 

 

今回の一件で、自分の力不足を痛感した

私がついていながら、先生には治らない傷を負わせてしまった

アズサちゃんが救われたのも奇跡と言っていい

 

 

 

だから、これは”戒め”であり。”進展”であり、そして・・・

 

 

 

 

「貴方から来てくださるとは思っていませんでしたよ、高那シノ。」

 

 

月明かりだけが部屋の中を照らすこのオフィスで、黒い異形がクツクツと笑っている

上機嫌そうに、期待を込めるように・・・そして値踏みするように

 

 

 

『あの頃とは、事情が変わった。』

『それに、何時かは来るつもりだったよ。それが・・・』

 

あいつ(黒服)の残した、”最後のお願い”だから。』

 

 

 

「提案を考えてくれるという事で、よろしいのでしょうか。」

 

『そう言ったつもりだったけど。』

 

「そうですか、そうですか・・・クックック。」

「理論の実証に、参考実験と・・・忙しくなります、ですが。その様な事は些事でしかない。」

「我々、ゲマトリアが一度はあきらめた”それ”に、今手がかかりかけている。そう考えるだけで・・・」

「素晴らしいとは、思いませんか?高那シノ。」

 

 

『この研究において、過程や理論にあまり価値はないんですよ、黒服。』

『重要なのは・・・結果。』

『あくまで私の役割は』

 

 

「”観測者(オブザーバー)である”そう言いたいのでしょう?ええ、分かっていますとも。」

 

「実験体としてではなく、そして傭兵としてでもない。」

「ですが、それだけで十分ですとも。これより、我々は・・・」

 

 

 

 

「”神秘”というキヴォトスの黒い箱に手を伸ばす。」

 

「・・・こんなに愉快な事があるでしょうか。」

 

 

 

・・・”契約”である。

 

 

 

 

 

▼シャーレの執務室

 

 

エデン条約の調印式から、暫くした後

私はこうして、秘書としてシャーレの執務室を訪れていた

 

今日来たのは、他に本題があるからなのだが

 

 

”来てくれてありがとう、シノ。飲み物は何がいい?”

 

『コーヒー・・・私が淹れますよ。ポットはこれを使っても大丈夫ですか?』

 

”う、うん。お願い。あまり飲まないから淹れ方とか分からなくて。”

 

『私もあまり詳しくはないですけど、砂糖はいくついります?』

 

”それじゃ一つだけ入れてくれる?”

 

『えぇ、少しお待ちください、先生。』

 

 

 

コーヒーの香りが、鼻腔をくすぐる

一口、口をつけて

何処となく落ち着かない様子の先生の為にも話を始めようか

 

 

『早速ですが、気になっていると思うので・・・本題に入りましょうか。』

 

”「まだ、終わりじゃない」ってどういう事か・・・教えてくれる?”

 

 

『その為には、私についてお話ししなければいけないですね。』

 

 

ゆっくりと天狗のお面を外す

トリニティにいないときは、こちらをつけているときが多いが

結局の所、その日の気分による

 

先生がハッと息を呑むのがわかる

困惑するのも無理はないだろう、髪の長さこそ違うものの

その顔は小鳥遊ホシノ・・・そのものなのだから

 

 

『私は・・・。いえ、私達はこことは違う世界から来た、言わば不純物。』

『滅んだ惑星の小鳥遊ホシノ、と言えば伝わりやすいでしょうか。』

 

 

 

 

 

”うん、続けて・・・もらえる?”

 

『すんなり信じてくれるんですね、疑われると思っていたんですけど。』

 

”生徒の事を・・・シノの事を信じてるから。”

”ちょっと事態が事態だから飲み込めてはないんだけど・・・”

”それでも、今まで一緒に歩いてきた時間は変わらない、私にとってシノは、シノだよ。”

 

 

『”信じる”・・・そうですね。』

『私も先の一件を通じて、そう思ったからこそ此処にいるんだと思います。』

 

トリニティでは、いろいろな事があった

それでも皆、誰かを”信じて”今を生きている

 

 

『その上で、これから話すのは・・・悲惨で憂鬱で、残酷で・・・』

『とても、荒唐無稽な・・・ある戦争のお話です。』

 

『あまり面白い話じゃないのと、私自身の推測、憶測も混じるのですが。』

『どうか、最後までお聞きいただけると嬉しいです。』

 

 

 

 

『私達が二年の時、ちょうど去年のこの頃・・・あちらの世界でもエデン条約、その調印式が行われた・・・えぇ、行われました。』

 

『こちらよりも、時期が早いのは・・・おそらくですが、焦燥していたのでしょう。アビドス連合が規格外の速度で成長を続けていた事、ミレニアムが原因不明の災害にあった事・・・それにより、ミレニアムの生徒がアビドスに大量に編入した事で4校のパワーバランスが一気に崩れた事。』

 

『半ば、アビドス1強。そんな現状に不満を持った両校は、エデン条約を強引に推し進めようとした・・・のかは分かりかねますが。』

 

『結果的に、調印式は・・・血みどろの戦場へと姿を変えました。』

『トリニティとゲヘナの生徒が生徒を傷つけ呪いあう。』

 

今も、あの場所の怒号と悲鳴を思い出す

私が付いたときにはもう、その炎は手遅れなほどに大きくなっていて

誰を助ければいいのかもわからないまま、立ち尽くしてしまったことを

 

『そんな地獄がそこにはありました。』

 

 

『原因は不明です、がその戦争は・・・白い花の咲いた、赤い木のような異形。』

『私達が呼んでいた通称は・・・”徒花”。』

『その出現により、痛み分けの形での終わりとなりました。』

 

『討伐には・・・数多の犠牲を伴いましたから。』

”・・・っ、うん。”

 

 

『話を、こちらの世界に戻しますが。今回の事件のアリウス、そしてスクワッド。その裏にゲマトリアがかかわっているらしい事は、とある筋から聞いた話です。』

 

”ゲマトリアが・・・”

 

 

まあ、とある筋とは言うが・・・

 

「黒服の私兵の・・・白鷹と言ったか。ゲマトリア同志の敵対行為は「契約違反」の筈だ。」

 

(白鷹)がサオリと相対したときに聞いた話だが

 

 

 

『徒花が、彼女の言うゲマトリアの策である確証はありませんが・・・この物語の裏には、大きな、大きな悪意が巣食っていたのは事実でしょう。』

 

『だから、まだ”終わりじゃない”んですよ。』

『アリウスを、強いてはその裏で手を引く存在を倒さなければ・・・この物語は解決しない。』

 

 

『話はこれで終わりです。』

 

 

語り終えて、飲み物を口に含む

いつの間にか、熱かったコーヒーは冷めきっていた

 

『ですから、今度はこちらからアリウスに・・・』

 

”駄目だ、シノ。”

 

『どうしてですか、先生。』

 

 

相手の手を待つより、先に私達が仕掛けるべきだろう

 

 

あいつら(ゲマトリア)が関わるなら、生徒には関わってほしくない。”

”シノは知らないかもしれないけど、危険・・・なんだよ。後の事は私・・・大人に任せて?”

 

『だから・・・信じろと。』

『そう言って、腹に穴をあけて帰ってきたのはどこの誰だと・・・!』

 

 

”それに、今のシノは・・・なんと言うか。すごく不安定に見える。”

”何をそんなに・・・まるで何かに怯えているような・・・”

 

”大丈夫だよ、私は生徒(シノ)の味方だから。”

 

 

そう言って私を撫でようとする先生の・・・

その手が、”全てが終わったあの日”の景色に重なって

血みどろの私の手に・・・重なって

 

 

『触れないでくださいっ!』

 

思わず払い除けてしまった

息が苦しい

それでも、貴方に見せたくない私まで、見られてしまう気がして

先生の目を見る事ができなかった

 

”っ、ごめん。嫌だったよね。”

 

『ち、違うんです。そういう訳じゃないんですけど。』

 

 

先ほどとは違って、少し気不味くなった空気が流れる

その関係はまるで・・・この、冷めてしまったコーヒーのようで

 

”じゃ、じゃあ・・・今日は聞かせてくれてありがとうね。”

 

 

このまま別れたら駄目だと思って、撫でようとしていた手を掴む

信じることに、決めたんでしょうが・・・私。

 

驚いているようだが、その手を頭に乗せて・・・話を続ける

 

 

『この辺りで、アリウスのスクワッドの・・・目撃情報があったらしいです。』

 

”あの、シノ・・・シノさん?”

 

『撫でたかったのなら、早く手を動かしてください。』

 

”あ、うん。そうするね。”

 

 

『出歩く際は、十分に気を付けてくださいね。それと・・・』

 

”それと?”

 

『・・・今日は雨の予報ですから、出歩く際は傘を持って行ってくださいね。』

 

”うん、ありがとね。シノ。”

 

 

夜も遅くなってきたので、今日はここまでにして帰る事にする

送っていこうかと聞かれたが、断った

この後の予定に、差し障るから

 

 

 

 

 

▼路地裏

 

 

 

「はっ、はっ・・・はぁっ!」

 

季節外れの冷たい雨に、降られながら走っている

白いドレスが、雨で濡れる

足音は二つ、どちらも急いではいるのだろうが・・・

 

追う、私の方が早い

 

 

あちらは体力の限界なのだろう、もしくは私と相対する事を決めたのか

こちらを振り返ると、彼女は何処か諦めるような、それでいて仇を見るような目で私を見て

 

「はぁっ・・・お前も、”彼女”の命令で私を追うとはな・・・”白鷹”っ・・・!」

 

『酷い勘違いだ。私は貴方から話を聞きたかっただけなんだけどね。』

 

「信じられるか、あの時ヒヨリを狙っておいて・・・」

 

 

 

『なら、どうするつもりだい?別にお仲間に聞いても良いんだけど。』

『探すのも面倒だからさ、聞きたいことを教えてくれたら・・・悪いようにはしないよ?』

 

「・・・っ、ここまでか。」

 

 

冷たい路地裏に、足音が響く

銃撃の音で駆け付けたのだろうか

怒った顔の、彼女。

 

 

”私の生徒に何をしてるの、白鷹。”

 

「先生!?何でここに・・・いや、ここでは巻き込まれ・・・!」

 

『まだ何も・・・と言ったら信じてくれるかな?』

 

 

 

”・・・サオリ、立てる?私が指揮を執るよ。”

「・・・何故、いや・・・すまない。この恩は命に代えても必ず・・・!」

 

 

 

・・・本当に何もしてないんだけどな




シノ『撫でたいなら撫でてもいいですよ。子供じゃないんですけどね。』
先生(なでなで)

シノ『それでですね・・・』
先生(よしよし)

シノ『あの、先生?聞いてます?』
先生(スゥースゥー)

シノ『あ、え?は・・・?せ・・・先生っ!?何で吸って・・・!?』
先生 ”おひさまの 香る山巓(さんてん) 蝉時雨(せみしぐれ)・・・”

シノ『何か・・・言いたいことはありますか?』

先生 ”悔いはないよ。これが私の「選択」。”
シノ『それが遺言ですか、確かに聞き届けました・・・っ!』

どんな端末から小説みてますか?

  • PC
  • 携帯端末
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。