ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ 作:天野ミラ
▼路地裏
雨が降り続けている、暗い路地裏。
場が膠着している
おそらくは・・・お互いの手の内を、ある程度知っているから
”白鷹・・・お前の目的は一体・・・!”
『カタコンベの先に用があるだけだよ、それ以上でも以下でもない。』
「合流するつもりか・・・っ。だが姫の下に辿り着く前に、此処で倒す!」
姫の下、合流・・・さては、離反か
姫は・・・人質か?少し違う気もするけど
まあ些細な事か
それにしても・・・
『ふぅん・・・?そいつの肩を持つんだセンセイ。』
何で自分の腹をぶち抜いた相手の味方をするのか、少し、いや・・・かなりムッとする
もし、ここにいたのがアビドスの高那シノなら、先生は私の味方でいてくれたのだろうか
帰りなさいって優しく諭されるだろうから、こうして白鷹としてサオリ達を追ってたんだけど
『その傷で、本当に私に勝つつもり?4人がかりでも倒せなかったのに?』
「例え虚しくても・・・私も、最後まで足掻いてみようと思った。」
「それだけの話だっ!」
”行くよ、サオリ!”
的確に弾丸が飛んでくる、まるで回避先を潰すかのように
何発か足に被弾する・・・が
アサルトライフルとその神秘では、私の
反撃・・・してもいいが、見るからに満身創痍の彼女に攻撃が当たると
最悪、死にかねない
落とすなら・・・先生の方か
だが、”保険”とやらがあるのも知っている
”決めるなら、
「分かった、先生。」
走り出す、先生の方へ・・・射線を気に掛けながら
「vanitas vanitatum・・・」
”狙いは・・・7時の方向っ!決めてっ!”
「・・・っ!?」
丁度、先生と重なるような形、さて・・本当に撃てるだろうか
一度は撃った、お前に
”私を信じて、撃って!”
「くっ・・・!eto omnia・・・」
動揺から、反応がワンテンポ遅れる
『その一瞬が命取り。』
”きゃっ!?”
上手く足をかけて、逃げようとしたところを転ばせる
銃弾の類や爆発物の類は逸らせる?みたいだが
先生から障害物に当たる分には守ってくれないらしい
うつ伏せに転んだ先生に、銃口を突き付ける
『確認のために聞いておくけどさ、この距離じゃバリアは貼れないだろ?』
「先生ッ!白鷹、貴様・・・!」
『さて、これで話を聞いてくれるつもりになったかな。センセ?』
”何が、目的なの・・・!”
『さっきから言ってるだろう?カタコンベの先に用があるんだって。』
沈黙が流れる、降り注ぐ雨が冷たい
誤射を恐れてサオリの方も銃を打てないらしい
暫くして、先生が口を開く
”あれ・・・もしかして、本当に戦う気はないの?”
『さっきから、そう言ってるじゃないか。信じてなかったのかい?』
”いくらか払えば・・・味方にもなってくれるの?”
『私の目的もあるけど・・・それも吝かじゃないよ。』
「な、危険だ先生!?こいつは・・・!」
”一応、あの日も生徒たちを助けてくれたから・・・そこまでゲマトリアの中でも悪い奴じゃない・・・と思う。信用は出来ないけど。”
『私は正確にはゲマトリアではないのだけどね。』
”でも、黒服の私兵でしょ・・・?ゲマトリアみたいなものだよ。”
『それは、些か否定しづらい。まあ、好きに決めてくれたまえ。』
5分ほど考えた後に、先生がゆっくりと口を開く
眉間に皺が寄っているので、大分嫌そうではあるけど
”私達を、手伝ってほしい。白鷹。”
『うん。そこの君もそれで問題ないかな?』
「私にはもう、他に頼れる人はいない・・・どんな判断でも、それに従う。」
”ありがとう、サオリ。じゃあ改めて聞かせてくれる?”
”アリウスの事・・・それに他のスクワッドの皆の事。”
「私達、アリウススクワッドは・・・壊滅した。」
「今、皆が生きているかもわからない。姫も連れていかれた・・・」
”・・・うん。”
「虫の良い話だというのは分かっている・・・私をどうしてもらっても構わない、だから・・・」
「姫を、皆を助けはくれないか・・・」
「このままでは姫は・・・殺されてしまう。彼女に・・・」
”それは・・・”
「頼む、先生。私に出来る事ならなんだってする!」
「
「だから、私はどうなってもいいから・・・アツコを・・・姫を・・・頼むっ・・・!」
そう言って地に頭をつけるサオリ、傷だらけで雨だって滲みるだろうに
”頭を上げて、サオリ。急ぐんでしょ?話は車の中で聞くから。”
「・・・なぜだ。先生には私に協力する理由も、信用する理由もないのに・・・」
「先生、私はお前の命を奪おうとしたんだぞ。その事をよく考えてからの方が・・・」
”
”困った子供を助ける為に、私達、大人がいる、いや・・・いるべきなんだ。”
「そんな・・・夢物語みたいな・・・話が・・・ぐっ。」
緊張の糸が切れたのか、痛みからか・・・その場に座り込むサオリ
倒れないように、抱きかかえて車まで運ぶ
少し熱があるようだ、傷の処置もできていないし
このままだと化膿する可能性もあるので、まずは車内で傷の手当てをするべきだろう
先生の白いヴェゼルに乗って、とりあえず傷の様子を見る
傷自体は深くはないけど、体力の消耗が激しそうだ
『応急キットは持ってる?センセ。』
”これ、使って。”
『滲みるかもしれないけど、話の続きはできそうかい?』
「・・・させてくれ。それが私ができる唯一の誠意だ。」
「明日の朝、アツコは彼女に生贄として捧げられる。」
”彼女って言うのは・・・?”
「私も数回しか姿は見てないが・・・赤い肌を持った白い頭部とドレスの・・・大人。」
「姫は・・・ゲマトリアの”ベアトリーチェ”。そう呼んでいた。」
赤い肌、白い頭・・・正解を引いたらしい
ベアトリーチェ・・・か
彼女はアリウスで、そして調印式で何がしたかったのだろうか
分からないが、そいつを倒すだけでいいなら話は酷くシンプルで良い
”ゲマトリア・・・白鷹は・・・”
『今の雇い主はセンセイだろう?今回の一件に限れば、私はゲマトリアとは無関係だよ。』
”そう。鵜呑みにはしないけど、頭の隅にはおいておくね。”
『それで、まずはお仲間の回収?』
”ああ、動かせる動員が多い方が姫の救出の可能性も高いはずだ。”
”いる場所に心当たりは・・・”
「居そうな場所なら・・・幾つか心当たりはある。」
「あっ、ああ・・・!白い悪魔っ・・・!どうしてここに・・・!」
「リーダーもシャーレの先生もいますっ!?もしかして・・・」
「ついに天罰が下るんですね・・・あの、レーザーみたいなのに焼き払われて終わりなんだ・・・熱いですよね・・・痛いですよね・・・出来れば一思いに・・・!」
”・・・えっと。”
「もしかしてシャーレの先生自らが意匠返しに私達のお腹に穴を・・・!」
”しないよ?ヒヨリを助けに来たんだけど・・・”
「え、なんでですか・・・?殺そうと思った相手をどうして・・・」
「だ、騙し討ちですか・・・!でも私そんなに強くないですよ?」
”アツコを、助けに行きたいんだ。”
「ああ、姫を助けに行きたい。力を貸してくれるか・・・ヒヨリ。」
「勿論、無理にとは言わない。ここまでヒヨリはよくついてきてくれた。」
「例え私が敗れたとしても、お前の情報は吐かない。約束する。」
「な、なんで行かないだろうみたいな・・・流れになるんですか!?」
「そんなに裏切りそうに見えますかね?私・・・」
「私も、姫ちゃんを助けられるなら助けたいです。」
「私達、一緒の船に乗った仲間みたいなものじゃないですか・・・泥船かもしれないですけど・・・みんな一緒の方がいい、だからリーダーも私の所に来たんですよね?」
「そうか・・・そうだな。ヒヨリ、詳しい話は後で話す。」
「わかりました、後はミサキさん・・・。」
「ああ、迎えに行こう。道中の敵はいるかもしれないが・・・」
「白い悪魔が味方なら百人力ですね!この際ですから、気に食わない人もまとめて・・・!」
『黙って聞いてれば・・・人を暴力装置みたいに扱うのはやめてくれない?』
「は、はいぃ・・・ごめんなさいぃ・・・」
トリニティの橋の上、そこで遠くを見つめるように・・・
彼女は橋の欄干に寄り掛かるように立っていた
「状況が流石に読めない。何で・・・」
『私が何処にいようと自由だろう?』
「・・・はぁ。まあいい、それで何しに来たの。あの時のお礼参り?」
『ビル毎飛ばされたときはヒヤッと来たけど、そういうわけじゃない。今日は付き添いなんだ。』
「ミサキ・・・私は。」
「・・・姫を助けに行く。そういう選択を取るんだねリーダー。」
「でもさ、知ってる?先生。私達は・・・」
「貴方を始末すれば、アリウスの自治区に戻れるんだよ。」
”それは・・・”
「それに、一度撃った私達を・・・どうやって信頼するつもり?」
”いつだってそのタイミングはあったはず、それでも私がここに立っているのは・・・その証拠にならないかな。”
「そう、随分お人好しなんだね。先生って。」
そう言って、欄干の縁に腰を掛ける彼女
強風に揺られて髪がたなびいている
”あ、危ないよミサキ・・・落ちたら・・・”
「うん、そんな事は分かってるよ。子供じゃないんだから。」
「ねえ、リーダー。アリウスに戻って、姫を助けるなんて本当にできると思ってる?」
「もし仮に出来たとして・・・そこに何の価値があるの?」
「トリニティからも、ゲヘナからも逃げ続けて・・・帰る場所のない底なし沼みたいな毎日。」
「無意味で無価値で、苦しいだけの毎日。
「それなら、今終わらせたって同じじゃない?リーダー。」
「なら飛んでみるといい、ミサキ。」
”さ、サオリ!?”
「私もすぐに追いかけて、飛び込む。」
「例え逃げても同じだ、私は必ずお前に追いついて止める。」
「今までも、そうだったように。どんな手段を取ってでもお前を阻む。」
「それは、アリウススクワッドのリーダーとしての判断?それとも・・・」
「・・・分からない。」
「・・・そう。」
「行こうか、先生。それと白鷹・・・だっけ。」
「あまり時間がないから、行くなら急いだほうがいい。」
”ミサキ・・・私は。”
「そういうの、私には必要ないから。」
「リーダーの命令だから従うだけ・・・最後までお供するよ。」
▼カタコンベ前
ようやくアリウスのスクワッドメンバーが揃った・・・が
どうやらカタコンベ前の入り口はアリウスによって厳重に警備されている
数は・・・30名程度
まあ、当然だ。我々はここを通らざるを得ないのだから・・・
”凄い警備だね・・・”
この後のマダム・・・ベアトリーチェとの戦闘があると想定すると
消耗しきっているアリウスのメンバーの体力は少しでも温存しておきたい
『私がフロントを張ろう。指揮はよろしく頼むよ、センセイ?』
「まさか、お前と共闘することになるとはな・・・」
『あの一件は、私もやりすぎたとは自覚しているよ。』
『まあ、我々も手酷い打撃を受けたからね。』
『水に流せとは言わないけど、今は我慢して飲み込んでくれると助かるかな。』
「分かった・・・後れを取るなよ?白鷹。」
『誰にモノを言ってるんだい?あの程度の数は造作もない。』
”行こうか!作戦は・・・正面突破!”
それを作戦と言っていいものなのだろうか
ミカ「くしゅん!なんか私行かなきゃいけない気がしたんだけど・・・」
セイア「・・・おや。馬鹿は風邪をひかないとは聞いたことがあったが・・・そうでもないらしい。今、温かい紅茶を用意しよう。ブランケットはこれを使うといい。」
ミカ「ん?何か言ったかな??紅茶とブランケットは貰うけどさぁ・・・」
ナギサ「セイアさんは寝なくてよろしいのですか?」
セイア「実は先日、凄く変な夢を見てだな・・・こう、表現するのも難しいんだが・・・まあ語る程の事でもない。ただ、そのせいで中々寝付けなくてだな・・・」
ナギサ「そうですか。ああ、モモトークが来ていました。これは・・・えっと?」
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