ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

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楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか


それぞれの思惑

▼???

 

この世のものとは言えない程、おぞましい雰囲気の室内

そこに鎮座する二体の異形の間には、険悪な雰囲気が流れていた

 

 

「どういう事か、説明してもらいましょうか・・・黒服。」

 

「おや、どうされましたか?マダム。」

 

 

「あくまでシラを切ると・・・!ゲマトリア内での争いは・・・」

 

「ゲマトリアとは・・・ゴルゴンダ・マエストロ・ベアトリーチェ・・・そして私、黒服を加えた4人で構成された組織です。」

「あわよくばここに”シャーレの先生”も加えたいところですが・・・」

 

「残念ながら私に彼女・・・”白鷹”を行動を制限する権利はないのですよ。」

「とは言え、心中お察しします。ですがこれは・・・好機とも言える。」

 

 

「一体何の好機だと・・・」

 

 

「この一件から・・・早急に手を引く好機ですよ、マダム。」

「やはり我々は”シャーレの先生”と敵対するべきではない。」

 

 

「この期に及んで、呆れた思想ですね。愚かで怠惰とも言えます。」

「”シャーレの先生”は必ず排除しなければなりません。」

 

「聖園ミカ・・・私にとってのミューズが。”あれら”をトリニティに招待した事で・・・確信を得ました。」

「あれは、危険です。理外の存在・・・と言うだけならまだしも・・・私の持つ”計画”の意味を変えかねない。」

 

 

 

「そうですか。それは残念ですが・・・健闘を祈りますよ、マダム。」

 

「言われなくても、準備は完璧です。」

「あの忌々しいイレギュラーに対しても、既に手は打ってあります。」

 

 

「後は、ロイヤルブラッドを”儀式”の”生贄”に捧げるだけ。」

「そうすれば、私は・・・”崇高”に至る・・・!」

 

 

「クックック、貴方の実験の成果を・・・楽しみに待っています。」

 

 

 

▼訓練場跡地

 

荒廃した遺跡で、サオリが目を覚ます

飛び起きるかのように辺りを見回して

3人の顔を確認して、落ち着いたのかこちらに問いかけてくる

 

 

「今は・・・私はどれくらい眠っていたんだ。」

 

「大体4時間くらい、熱は下がったみたいだね・・・リーダー」

 

「ああ、そうだな・・・助かった。」

 

 

「これから・・・アリウスのバシリカに向かう。」

「ルートは・・・バシリカと分校をつなぐ・・・地下回廊。」

「古い通路だ、マダムも見落としている可能性が高い・・・はずだ。」

 

”それじゃあ行こうか、皆。”

 

 

 

 

それから暫く、分校の方に歩いているが・・・

妙に人気が少ない、それに町のいたるところにミサイルや爆発物などか見受けられる

そして・・・

 

「聖徒会の・・・複製(ミメシス)だと?」

 

そこにはユスティナ聖徒会が徘徊していた

エデン条約の調印式の一件で、終わったのではなかったのだろうか

 

「マダムは、もうユスティナの複製能力を獲得している・・・?」

 

 

 

「その通りです、逃げ出した猟犬にしては頭が回るようですね。」

 

突如何もないはずの目の前に、ホログラムが現れる

ホログラム上に映った白いドレスの赤い女

彼女が映ると同時に、ぞろぞろとユスティナの複製達が現れる

 

 

「・・・罠か。」

 

「それじゃあ・・・私達の任務は・・・」

 

「何の意味もありませんよ。悪意も憎悪も、このアリウス自治区を手中に収める・・・方便のようなものです。私にとってそれは・・・些末な事にすぎません。」

 

 

”ベアトリーチェっ・・・!”

 

「はじめまして”シャーレの先生”ゲマトリアのベアトリーチェと申します。こんな形でのあいさつになる事をどうかお許しください。」

 

”お前がアリウスの生徒たちを・・・”

 

 

「おや、勘違いされているようですが・・・私は黒服の「契約」も、マエストロの「複製」のような特殊な能力は用いていませんよ。私は、そう。迷える子羊たちを少しばかり導いてあげただけ。」

 

「下地は既にありました、憎悪、怒り、軽蔑、嫌悪・・・そう言った感情を利用しただけ。」

「どれだけ賢いと言っても、所詮は子供。その域は賢い(クレバー)の範疇を抜けないものです。」

 

「こんなことは、このキヴォトスに限らず普遍的に在り得る物です。その事は良くわかっているでしょう?先生。愚かなものは真に賢き者に搾取され続ける・・・」

 

”それは、そうかもしれないけど・・・”

 

「だから、ええ・・・これは私にとっての・・・ある種の”楽園”。」

「ロイヤルブラッドさえ見逃していただければ、貴方達スクワッドにも先生にも不自由のない生活を保障いたしましょう。どうでしょうか?もしどうしてもと望むなら、この楽園の技術を提供しても・・・」

 

 

”誰かの犠牲の元に成り立つ楽園なんて・・・私は認めたくない。”

 

 

「・・・そうですか。まあ予想通りではあります。」

 

「残念・・・だとも思えませんね。ハッピーエンドで終わる楽園なんて存在しえない。本当の楽園にこそ汚いものに満ちているというのに・・・それを覆い隠す。”生徒たちを想って”と馬鹿の一つ覚えみたいに・・・最も生徒を欺瞞で覆っているのは・・・貴方ではないですか?」

 

 

”私は・・・私はそれでも楽園を信じ続けるよ。”

 

「そうですか、それはご苦労な事です・・・」

 

「黒服は、貴方を「仲間」と定義し・・・」

「マエストロは貴方を「理解者」として定義しました。」

「ゴルゴンダは「メタファー」として定義しましたが・・・」

 

 

「私、ベアトリーチェはあなたを・・・「敵対者」として定義しましょう。」

「精々、良い反発が見れる事を・・・信じていますよ、先生。」

 

 

”私は、大人として、先生として・・・お前を・・・許すわけにはいかない。”

 

 

「こんな状況で宣戦布告ですか?いいでしょう・・・バシリカでお待ちしていますよ。・・・辿り着ければ・・・ですが。」

 

「古聖堂には、私の最高傑作の兵器が待ち構えています。・・・あの異分子もきっと処理してくれるでしょう・・・?」

 

 

 

 

「・・・異分子は・・・白鷹はどこです?」

 

「ほ、報告です!マダム・・・!バシリカに・・・市内から進行する敵対者が・・・!」

 

 

『通信機越しに、挨拶するのを許してくれよ。マダム?』

 

ホログラムが、シッテムの箱から投影される

この場にいなかった真っ白なドレスの彼女の

 

『あるかもわからない、通路を探すのは効率的じゃないからなぁ・・・直接向かわせてもらうよ。ところで、兵器の配置は”そこ”で本当に大丈夫なのかい?』

 

 

「なっ・・・!」

「・・・バルバラを向かわせます・・・!貴方たちは援護をしなさい。」

 

『お膳立ては任せたまえよ、センセイ。君は君の、為すべきことをするといい。』

 

 

「は、はい・・・!」

 

 

「・・・計画はずれましたが、まだ修正可能な範疇です。そいつらを始末しなさい複製(ミメシス)。」

 

 

”行こう、スクワッド!”

「ああ、マダム。・・・待っていろ。」

 

「・・・犬の躾を間違えました。せめてあなたの”大切なもの”が失われていくのを。特等席で見せてあげましょう。」

 

 

 

▼アリウス自治区

 

荒れ果てた、アリウスの市内

アリウス生徒や複製(ミメシス)が蛆のように沸いてくる

ミメシスはともかく、生徒には手加減をしないといけないのが非常に面倒くさい

 

『・・・ああは言ったものの。流石に数は多いですし。とんだ貧乏くじを引きました。』

 

もう何体の複製を倒しただろうか、100を越えてから馬鹿らしくなって数えてない

誰もいないから、あの芝居がかった言動も維持しなくていいのは楽でいいが・・・

 

そこにやってくる、一際大きな巨体。こいつが・・・

『バルバラ、ですか。』

 

拘束具のようなシスター服と、両手に持った二対の重火器

3mを越える巨体、込められた神秘・・・

早く先生に合流しなきゃいけないのに・・・!?

 

 

『・・・っ。』

 

 

 

遠方に見える、二体目のバルバラ

 

『量産が・・・効くなんて・・・聞いてない・・・っ。』

 

勝てるだろうか、勝たなきゃ。いや、勝つ。

 

そんな間にも、複製(ミメシス)は絶え間なく沸き続ける

逃げたら、先生の方に合流される

・・・今までの苦労が水の泡になる

 

気合を入れろ私、あの時程・・・絶望的じゃない

手も足も動くのに諦める理由がない

 

 

 

 

▼旧校舎

 

いつ使われていたのかもわからない程、ボロボロの校舎

廃墟、と言うより最早遺跡に近いだろう

 

 

「・・・不自然な程に兵がいない・・・あちらに回しているのか。」

「陽動としては、大成功だね。・・・死んでないといいけど。」

 

「ほう?ミサキがあれに興味を示すとはな。」

「・・・別にそう言うのじゃないよ、リーダー。」

 

「あれは殺しても死なないような怪物だろう。まずは姫を助けて・・・これは。」

 

 

埃と瓦礫を被った床には、確かに通路らしき階段がある

中は暗いが・・・明かりがあれば進めそうだ

 

 

「わぁ・・・すっごい古いですけど、通路ですね・・・ということは。」

 

「この先に・・・マダムが。アツコがいる。用意は良いか?」

「ここまで来て帰る訳にも行かないでしょ。」

 

”勿論、いつでもいいよ。”

「姫ちゃんを助けに行きましょう・・・!」

 

 

緊張からか、恐怖からか、怒りからか・・・疲れからか

動機が激しい、何か嫌な予感がする

 

地下にある長い、長い通路を抜けた先。

月の光が、ステンドグラスを照らす室内と十字架に磔にされたアツコ

その前に赤い肌を持つ彼女はいた。

 

「ここが・・・バシリカの至聖所・・・」

 

「姫ッ・・・!」

 

 

「ようこそ、先生。そして逃げ出した猟犬共。任務に失敗したばかりか、飼い主の手を噛むとは・・・賢い(クレバー)と評しましたが、とんだ駄犬だったようですね。」

 

 

”アツコを、返してもらうよ。”

「ふふっ、あははは。私の元に辿り着いて・・・それで終わりだと?」

 

 

 

 

3mを越える巨体が、物陰から姿を現す

両手に持った、重機関銃・・・

今までの複製(ミメシス)とは、格が違う

まるで立ちふさがるように、こちらに立っている

 

 

 

「何故だ・・・白鷹の元にバルバラを向かわせると・・・!」

 

 

「誰が、バルバラは1体だけと言ったのでしょうか・・・?」

複製(ミメシス)に成功した、バルバラは”3体”いるのですから。」

 

 

 

「それに、サオリ。言いませんでしたか?」

「あなたの”大切なもの”が失われていくのを。特等席で見せてあげましょうと。」

 

 

「ベアトリーチェっ!貴様ァァァ!!」

 

苦しそうに、アツコが呻く

バルバラは私達を通さないように、こちらにその武装を向ける

状況は依然として、絶望的で

時間は私達の・・・敵だ。

 

 

「さあ、儀式を続けましょう。」

 

「私がロイヤルブラッドの”神秘”を”搾取”し、キヴォトスの外のモノの力を借りて・・・」

高位のモノへと至る。世界の救世の為に、小さく哀れな子羊を火にくべるとしましょう。」




ユメ「私の出番が・・・ない。これは由々しき事態だよ!ホシノちゃん!」
ホシノ「うへ~暫くしたら沢山働くことになる気がするなぁ・・・」

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