ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

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人生は、選択の連続である


それが、私の選択

▼シノ視点

 

「・・・て、・・・きて」

 

心地よい微睡の中

何処かで鳴るアラームの音、アラームの音・・・?

 

「起きてホシノちゃ~ん!シノちゃ~ん!」

 

『ん・・・おはようございます・・・。』

 

「もう10時だよ?何時まで寝てるつもりだったのかな~寝坊助さんめ~、うりうり」

 

『ん・・・うぁ・・・』

 

寝坊なんて、何年ぶりだろうか

まあ、別に私は生徒ではないし・・・今日は自由登校日らしいから

問題はないのだろうけど

 

 

「ま・・・不味い、二日連続は流石にセリカちゃんが許してくれないよぉ・・・!」

「さ、先行ってるから!で、出かけるなら、鍵閉めといてね~!」

 

問題があったらしい

そういって嵐のように着替えて、学校に向かっていくホシノ

ちょっと不用心過ぎないか、と思うものの

 

それよりも、頬を膨らませて

腕を組んでいるユメ先輩の機嫌を取る方が先決だろう

 

「私、待ってたんだけどな~」

 

『すいません、ユメ先輩、寝過ごしました・・・』

 

 

 

「も~、しょうがないなぁ。」

「その様子だと、昨日はよく眠れたの?」

 

『そうですね、ちょっと寝過ぎましたけど・・・』

 

「なら、よし!それじゃあ私たちもアビドスに向かおうかぁ」

 

 

『その前に、二人で話したいことがあるんです。』

『ここじゃ話辛いので、場所を変えませんか?』

 

「うん。いいけど・・・」

 

 

 

家を出て暫く歩いた先に、目的の屋台を見つける

ホシノのおすすめの店で、今日の夕方以降に行くと面白いものが見れる・・・らしい

 

「わぁ!ラーメンだぁ~!」

 

昨日食べたいと言っていたので、おすすめのお店を聞いておいてよかった。

 

おすすめらしい、580円の紫関ラーメンを二つ頼んで、カウンターに座る

柴犬の大将が手際よく麵を茹で始める

しょうゆラーメンなんだ・・・

 

 

「それで、話したいことって?」

 

『私たちのこれからについて、です。』

 

 

「・・・プロポーズ?」

 

『そういう流れじゃないですよね?』

 

 

 

「ごめんごめん、つまりアビドスに転校するか、別の道を探すか・・・って話だよね」

 

『そういうことです。ユメ先輩は・・・どう考えてます?』

 

 

「私?ん~」

「アビドスの子達、きっと良い子達だから、楽しいだろうな~って思うよ?」

「シノちゃんはどう思ってるの?」

 

『私は・・・』

 

選択することが怖い

何かを失うことが怖い

私が選んだことで、私が選ばなかったものが掌から零れ落ちていくのが

ユメ先輩を守れない事が・・・怖い

 

本当にアビドスに所属することが最善なのか

 

 

でも、このまま何もしなければ

空が赤く染まらない・・・保証もない

 

それなら、後悔のない選択をしたい、から

 

 

『私も、信じてみたいと・・・そう思います』

 

 

 

 

お昼を食べ終わって、少し眠くなりそうなくらいの陽気の中

私たち二人は、アビドスに向かっていた

 

 

「いやぁ、満腹、満腹・・・美味しかったねぇ」

 

『そうですね、大将も気前のいいひとでしたし。また来たいですね。』

 

「うんうん、アビドスにこんなおいしいラーメンがあったなんてねぇ・・・」

 

 

アビドスの前に辿り着いたのは、ちょうどお昼休憩が終わる頃だった

ユメ先輩・・・勝手に入っていこうとしないでください、インターホン鳴らさないと

 

 

私たちを出迎えてくれたのは、その・・・いつも通りの・・・ホシノだった

 

首にかけられたプレートに「私は二日連続で遅刻しました、反省しています」

と書かれている事を、除けば

 

「か、可愛い~!あっはっはっは」

 

「み、見ないで~というか写真も撮らないでよぉ・・・うへぇ・・・」

 

『ユメ先輩、笑っちゃ・・・ふふっ、悪いですよ』

 

「元はといえばシノちゃんも悪いんだからね!?」

 

失礼だったな、でもちょっとこれは・・・

 

 

 

一悶着あったが、無事に部室前につくことができた

 

若干名、無事じゃなさそうな気もするが

 

『お邪魔します』

 

「皆、おはよ~・・・ってあれ?」

 

部屋には今はアヤネさんしかいないようだ

出払っているのだろうか

 

 

「ユメさんとシノさん、お待ちしてました。」

「今日は確か校内を見て回りたい・・・というお話でしたよね?」

 

『うん、よければ案内してもらっても大丈夫かな。』

 

「任せてください!ただ、旧校舎の方に行くときは足元に気を付けてくださいね。」

 

 

 

「それで、ここが最後ですね。プールは普段使わないので・・・砂が積もっちゃってますが」

 

「案内してくれてありがと!アヤネちゃん!」

 

「いえいえ、それで・・・その・・・」

 

「ん、どうしたの?」

 

「アビドスに来てくれることを検討してもらっているのはありがたいんですが・・・」

「いえ、検討してもらっているからこそ、お伝えしておかなければいけない情報がありまして・・・」

 

「そろそろみんな帰ってくると思うので、部室に戻ってからお話ししますね」

 

 

 

随分と暗い顔付きだったが、何かあったのだろうか

 

「それで、その・・・お話ししなきゃいけない事、っていうのは・・・」

「現在、このアビドス高等学校は・・・いくつかの問題を抱えていまして・・・」

「全校生徒が少ないのも、砂漠化が進んでいるのも問題ではあるんですが・・・」

 

「借金が、あるんだよねぇ。それも9億円。」

「度重なる砂漠化に対策するために、膨らみに膨らんじゃってさぁ・・・」

 

9億円の借金か・・・部室の名前が「廃校対策委員会」なのは何でなのかと思っていたが

そういう側面もあったわけだ、まあ

 

「それで、アヤネちゃん転入届の書類って今もってたりする?」

 

「え、それで・・・って」

 

「とっても困ってるんだよね?なら、放っておけないよ!」

 

 

お人好しの彼女ならそうするだろうな、とは話を聞いたあたりから思っていたけど

 

「でも、シノちゃんとも相談してからでもいい?」

 

『私は構いませんよ。元より貴方が道を決めたら、それを補佐するのが私の仕事ですから。』

 

「ん。書類は持ち歩いてる。備えあれば憂いなし。」

 

「なら決まり!善は急げだよ。」

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと9億円よ!?その重みがわかってるわけ!?」

「今だって、利子に追われて・・・返済まで何年かかることか・・・!」

 

「セリカちゃん・・・」

 

9億円は、大金だ

元手も無いとなると、更に

 

『問題ない、とは口が裂けても言えませんけど。』

 

それでも

 

『でも、皆諦めて・・・ないんですよね?なら、きっと。夢物語かもしれませんが・・・』

 

「無理じゃ・・・ない!だよね?シノちゃん。」

 

 

 

『まあ、ユメ先輩は少し楽観的過ぎだとは思いますが、概ね同意です。』

 

「ひぃん・・・酷いよぉシノちゃん・・・」

 

 

 

「その、悪かったわ。借金がこんなにあることを・・・軽く考えてるんじゃないかって、それで」

 

「セリカちゃんなりの優しさなんだよねぇ、うんうん。」

 

「ホシノ先輩は黙ってて、ていうか外していいなんて言ってないんだけど」

 

「う、うへぇ・・・」

 

「皆、無理だって去っていっちゃいましたからね・・・」

 

「皆無理だって言ったり、諭してきたり・・・」

 

「正面から肯定して手伝ってくれるなんて・・・他には先生くらい・・・でしたからね。」

 

先生・・・先生か

 

 

「にしても、宛はあるわけ?言っとくけど・・・」

 

「銀行は襲っちゃダメ」

 

「うんうん、違法な手段で手に入れるのはダメだからね。」

 

「なんで銀行・・・?」

 

どうして、一言目に銀行が出てくるのか

もしかして・・・前科がある・・・?

 

 

 

外が綺麗な夕焼けに染まっている

必要な書類を書き終えて、教材等の申請書等は

もう遅いので明日に回すことになった

 

「それではこれで・・・手続きは終わりです。改めてになりますが・・・」

「こ、これからよろしくお願いします!」

 

「よろしく~!」

『うん、よろしく』

 

「ん。よろしく」

「よろしくお願いします~☆」

「よろしくねぇ~」

「よ、よろしく!」

 

「にしてもお腹減ってきちゃったね~」

 

「それなら、今日は紫関ラーメンでお二人の歓迎会にしちゃいましょう☆」

「セリカちゃんは今日はちょうどバイト・・・入れてましたよね?」

 

「え”っ、い・・・入れてるけど・・・」

 

「なら、決まりですね~!」

 

「も・・・もう好きにしたら!?私は先着替えてるから!」

 

ユメ先輩は顔を見合わせた後、「しーっ」と人差し指を口に添える

お昼はちょうど紫関で食べたことは、二人だけの内緒にした

 

 

 

 

 

「ねえ、ところで。そろそろ・・・これ・・外していいかな・・・聞こえてる・・・?」

 

 

昼に見た屋台を出る

良いモノが見れるって・・・こういうことか・・・

良い雰囲気のお店だった、店は持たないのだろうか

 

 

「いやあ、お腹一杯だよ~おじさんはちょおっと散歩したいから、また明日ねぇ~」

 

「ごちそうさまでした~☆ホシノ先輩、明日は遅れないでくださいね?」

 

「わ、わかってるよぉ・・・」

 

「次は私がバイトじゃないときに来なさいよね!?」

 

「私も少し走りこみたい。また明日。」

 

「うんうん、シノちゃんはどうする?」

 

『私は買い物してから帰るので、気をつけて帰ってくださいね。』

『帰ったらモモトークで連絡してください。』

 

「も~過保護だなぁ~私の方が先輩なんだよ?」

 

「そいじゃ解散か、皆~!また明日!」

 

歩きながら手を振っているユメ先輩を見届けてから歩き出す

前見ないと危ない・・・言わんこっちゃない・・・

 

 

「少し、走りすぎたかな。ん、あれは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

▼???

 

コンコンとドアを叩く音が暗い室内に響き渡る

 

少ししてやや無遠慮にガチャリとドアを開く音が反響する

 

満月の、月明かりが部屋の中をゆらゆらと照らしている

 

窓から射す月明かりだけが光源のこの部屋の椅子に

 

手を組んで「それ」は座っていた

 

 

 

 

 

「おやおやおや、来客を招いた覚えはなかったのですが」

 

良く手に馴染んだ散弾銃達を、存在を確かめるかのように握りなおす

 

 

 

『来たのが来客なのかどうかは、ここからの対応次第かな』

 

 

「これはこれは・・・迷い込んだわけでなく、どうやら私に用事がおありの御様子」

 

 

 

 

「ああ、申し遅れました。私の事は」

「―――黒服、そうお呼びいただければ。」




ユメ「シノちゃん~今日は何処に泊まる予定なの?」
シノ「あっ、その・・・ホテルとか泊まります」
ユメ「お金・・・節約した方がいいんじゃない?」
シノ「・・・家に、お邪魔させていただいても?」

↓正直この小説に求めてるものって↓

  • ストーリー(シリアス)
  • 日常
  • バランス
  • その他(コメントまでどうぞ)
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