ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

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お待たせしました。
忙しくて更新が遅れました。



幕開けの朝

▼子ウサギ公園

 

カイザーPMCの基地と化したヴァルキューレ第3分校を抜け出して、SRT特殊学園の住む子ウサギ公園に身を隠した私達。

明け方に近い、この子ウサギ公園で・・・事情をSRTの皆に話し終える。

 

ミヤコに暖かいコーヒーを淹れてもらって・・・何とか一息つく。

カイザー理事は無事だろうか?

今から戻る事も出来ない以上、私達は進み続けるしかないんだけど・・・

 

 

「・・・あの狂犬が今の情勢を無視して先生を助けるなんてな。いや、リードを無視するなんて狂犬だからこそなのか・・・?」

 

「その・・・サキと言ったか。狂犬、狂犬と言われるとこちらも少しだな・・・」

 

”・・・?カッコいいと思うけどな・・・私もそう言うの欲しい。”

 

「先生・・・そういう問題ではないのです。」

 

 

「・・・にしても、酷いクマですね・・・ちゃんと・・・寝てます・・・か?」

 

「っ!?きゅ・・・急に後ろに立たないでくれるか・・・!それと私はこれくらいの現場は慣れているから問題ない。」

 

「それにしても、少しくらいテントで仮眠でもとったら?この後の戦闘で寝不足で力が出せないなんて事があっても知らないよ?」

 

「・・・お言葉に甘えるとしよう。先生、何かあったら直ぐに起こしてください。」

 

”うん、おやすみカンナ。”

 

 

 

 

「は・・・初めから居ました・・・」

 

”私は気づいてたから・・・落ち込まないでミユ。”

 

 

 

頃合いを見計らってSRTの特殊部隊・・・RABBIT小隊のリーダーでもあるミヤコが声をかけてくる。

 

 

「一先ず・・・落ち着きましたか?先生。」

 

”うん、ありがとうミヤコ。”

 

「現状を整理すると、サンクトゥムタワ―を襲撃、そして掌握に成功したカイザーグループが・・・戒厳令を敷いている状態と。」

 

”うん。”

 

「戒厳令により、すべての通信が・物流・移動が禁じられていて・・・行政関連もシャットダウンしているという事ですね。」

「各学園を歩き回り助けを求めるのも手ではありますが・・・相手方の目的がサンクトゥムタワ―の掌握以外に不明瞭な為、あまり時間をかけるのは得策とは言えませんね・・・」

「とは言え、優先確保目標すら分からないのであれば・・・何処を確保するべきなのかもわかりません。」

 

 

それに関しては確認が取れましたよ、先生!

 

 

 

突如として、私の持つタブレット型デバイスから声が聞こえる。

と言っても、私以外には聞こえてはいないのだろうけど。

 

「カイザーグループは現在、シャーレ地下にあるクラフトチャンバーを用いてサンクトゥムタワ―の掌握に成功しています。つまり、クラフトチャンバーへのアクセスを物理的に阻止すれば彼らも塔の制御を失うはずです!」

 

「それと関係があるかはわかりませんが・・・リン行政官も現在シャーレに幽閉されているようです。幸い怪我はないようですが・・・」

 

 

 

”うん、ありがとうアロナ。”

”シャーレを奪還すれば、相手の目的は止められそうだよ。”

 

「・・・成程。先生がどうやって情報を得ているのかはわかりませんが・・・シャーレ―を奪還目標に設定して作戦を立案しましょうか。」

 

 

 

「こちらの兵力は我々SRTのRABBIT小隊所属の4人と、公安局のカンナ局長。」

「そして・・・先生。キヴォトス屈指の大企業であるカイザーコーポレーションが守るシャーレを制圧するという厳しいミッションではありますが・・・」

 

 

「・・・先生と一緒なら、きっと何とかなると思います。」

「始めましょう、シャーレ奪還作戦を!」

 

”行こうか、これ以上汚い大人の好き勝手にはさせないよ。”

 

 

 

▼シャーレ

 

薄暗い、今は使われていない宿舎のような場所。

そこで私は、外部との連絡の手段を取り上げられて監禁されていた。

今生きているのは単純に、元連邦生徒会長代理という立場に価値があるからに他ならないだろう。

 

 

「残念だが、”元”行政官殿にはここで大人しくしていてもらおう。」

 

 

「カイザーPMCのジェネラル、こんな事が許されるとでも・・・!」

 

 

「許す?許されない事だとしても・・・誰が私たちを裁くと言うのだ?」

「今や、サンクトゥムタワ―は・・・この都市の決定権は我々の手に落ちた。」

「これからは私達、企業による統治が始まる。学生如きが我々の決定に口を挟む事は不可能だろうよ。」

 

「・・・それは。」

 

「ただ・・・そうだな。先生ならば、あるいは。あの者ならどこを攻撃するべきか誰よりも熟知しているだろう。」

「だから、備える必要がある。ここでカイザーPMCの決戦部隊を動かす。」

 

カイザーPMCの決戦部隊。名前は聞いたことがある。

PMCの中の上澄み、噂では学園最強格ですら相手取れるとされている・・・中規模の決戦部隊。

 

 

「ジェネラル・・・お言葉ですが、あれは「7災」の鎮圧用の部隊では・・・」

 

「手札を温存して負けるのは3流のやる事だよ、私は慢心も油断もしない・・・」

「愚かな前理事とは違って、な。」

 

 

 

 

 

▼シャーレ前のビル

 

偵察をするために、シャーレから少し離れた位置の建物を登った私達。

少し遠くに見えるシャーレの前は、厳戒態勢と言った様子でPMCの兵がパトロールを行っている。

 

 

「巡航戦車に攻撃用ヘリ・・・後手稲にバリケードまで設置してるなんて、よっぽど警戒されてるね。」

 

「正面突破は些か厳しいでしょうか、とは言え裏口も警備の兵が多いですし・・・」

 

 

 

 

「・・・私が陽動を引き受けよう。」

 

”・・・カンナ?”

 

「先生。本官は上部組織である連邦生徒会からの待機命令に背いて、独断でカイザーPMCへの攻撃を行いました。この件が終われば、その行動の対価を払う事になるでしょう。」

「おそらくは・・・ヴァルキューレ公安局の局長、いえ・・・ヴァルキューレの生徒としての籍を剥奪されることとなります。」

 

”・・・そんな事はさせないよ。”

 

「いえ、それが・・・それこそが私のとるべき責任であるはずなのです。誰もが自らの思う正義を貫きたい中・・・必死に我慢しているのです。私だけが特別扱いされるべきではない。」

「とは言え先生。私も・・・カイザーに、そして上の方々に思う所がないわけではありません。つまるところ・・・」

 

「本官の警官としての最後の「正義」を貫く場を”譲って”いただきたいのです。」

 

 

囮になる、そう言っているカンナ。

生徒の自主性を重んじたいとは言え・・・無茶はさせたくない。

 

 

「敵は、数も多いし精鋭ぞろいだよ?いくら公安局長と言えど・・・」

 

「舐めてくれるな、これでも公安を任されてきたエリートだ。PMCの1分隊なんて物の数には入らん。」

 

 

彼女の意思は強いようだった。確かにカンナならあの数を相手にして時間稼ぎを出来るのだろう。

頭の中では、理解していても・・・生徒を危険な目には合わせたくない。

とは言え、このままではリンちゃんや

 

 

”私が、どんな手を使ってでもカンナから警官である事を奪わせたりしないから・・・だから、無事に戻ってきてくれるって約束してくれる?”

 

「・・・えぇ、約束です。」

 

”・・・分かった。また後で会おうね、カンナ。”

 

私は、カンナの事を・・・その選択を”信じる”事にした。

 

 

 

 

 

奇しくもあれだけ嫌っていたカイザーの理事と同じ選択をする事になるとは、運命の悪戯だろうか。

彼は無事だろうか。別に絆されたわけではないが・・・

どんな犯罪者でも、その罪を償う手段は私刑や暴力などであるべきではない・・・と思う。

 

第17号ヴァルキューレ制式拳銃のグリップを握りなおす。

こいつとも、長い付き合いになる。

本当は、生活安全局に配属希望だったはずなのに、いつの間にかこうして公安局としてふるまうのに慣れてしまっていた。

 

そう言えば、生活安全局の2人は無事だろうか。

特に、キリノは正義感が強い娘だ、この現状を聞きつけて後先を考えず飛び出しかねない。

だけど・・・まあ、フブキが上手く諫めてくれているのだろう。

そういう意味でも、良い二人組だと思う。

 

 

敵の数は、三桁にも届きかねない。

装備の質も公安局あたりと比べてもとても良い。

時間稼ぎでいいとはいえ、本当に私に務まるのだろうか。

・・・まあ。

 

 

 

「理想に殉じれたのなら。私のしてきた事にも少しくらいの価値はあったのだろう。」




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