ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

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今回の「お話」は少しばかり、テクストを変えておきましょうか。
その方が、都合が良いという事もあるものです。


決戦!ペロロジラ? 前編

▼D.U.地区 オフィス街

 

突如現れた虚妄のサンクトゥムによって治安の悪化していたD.U.のオフィス街も、今は避難が完了して誰もいない町並みが広がっている。

そして、この場所は数時間以内に・・・戦場へとその姿を変える。

ここにはもう避難誘導を手伝ってくれた人たちと、一部の戦闘員しか残っていない・・・はずだ。

 

 

 

少し高めの高架橋の上に位置取って辺りを見渡していると、見知った顔がこちらに向かって勢いよく走ってくるのが見えた。

 

「ユメちゃん、シノちゃん~!お久しぶりです!」

「こんなところで会うとは奇遇だな。でも、ここは危ないから離れた方がいいぞ。」

 

補習授業部のヒフミちゃんとアズサちゃん。

おそらくは、避難誘導のお手伝いに来てくれたのだろうけど・・・

 

『危ないからこそ来たんですよ、戦いを見届けに・・・もしもの場合は抗わなきゃいけないですから。』

 

「そうか、シノもそうだったのか。」

 

 

『それにしても、同志ヒフミ・・・ここで避難誘導をしているのは本当に「偶然」・・・ですか?』

 

「とっ・・・!?当然じゃないですか~!わわわ・・・私に出来る事があればあればと・・・」

 

 

「ヒフミちゃん・・・」

 

『善意7割・打算3割といった所ですか・・・深くは聞きませんけど。』

 

心優しい彼女の事だから、怪我をしている人たちや自力で避難できない人を助けるために来たのは間違いないのだろうけど・・・

おそらくは、ペロロジラの噂を聞きつけて狙えそうならこの目に焼き付けておこうという打算もあったのだと思う。

 

 

「は・・・はい。すみません・・・」

 

『全く・・・安全にはくれぐれも気を配ってくださいね。』

 

にしても、とても不思議な気分だ。

私が応援しているのはカイテンジャ―・・・強いてはキヴォトスの平和を願っている訳だが。

そんな中、私はペロロのファンでもあり、カイテンジャ―のファン・・・ではないけど。

ある種の尊敬は抱いている。

ペロロジラは嫌いだけど、ぬいぐるみがあったらギリギリ欲しい。

そんな絶妙な気分・・・ヒフミはペロロジラが見たいのは良いけど・・・ペロロが好きだからこそこの場に来るべきではなかったのではないかと思う。

 

 

『そろそろ始まると思います。破片や衝撃が飛んでくる事が予想されるので・・・出来るだけユメ先輩か私の後ろから離れないようにお願いしますね。』

 

「破片くらいならはじけるけど・・・流石に本体の押しつぶしとかは厳しいと思う・・・」

 

そうこうしていると、空が一層赤さを増した・・・気がする。

それと同時に、6つの方向からエネルギーがここに集まってくるのが”視える”。

それらは複雑に絡み合うと、上空のエネルギーに合わさり・・・やがて一本の塔を形取る。

 

『・・・来ますね。』

 

そして、その塔を守るかのように現れた、高層ビル程もある大きな巨体・・・

長く伸びた白い舌と、大きなとさか・・・そして、怪しく光る両の目。

見ていると吸い込まれそうになる体表は、まるで宇宙のようだった。

 

 

「あ・・・あれがペロロジラ・・・!聞いていた話とは色が違いますが・・・?」

 

『色彩に侵されると色が変わるようなので、その影響でしょうね。変わるのは色だけではありませんが・・・』

 

まるで何かが来るのを待っているかのように、じっと虚空を見つめるペロロジラ。

あるいは・・・何も考えていないのかもしれない。

間違いないのは、放っておけばあれはこの街を破壊し尽くすという事。

 

だからこそ、あいつは・・・ここで誰かが止めなければならない。

 

 

夕焼けを背にしてビルの屋上に腕を組んで立っている五人組。

その真ん中には風にたなびく真っ赤なマント、逆光で顔は見えないが・・・

 

「トウッ!」

 

「彼ら」だろう、勢いよくビルの上から飛び降りてきて私達の目の前に着地すると寿司を握るかのようなポーズを決める。

 

 

 

「カイテンレッド!熱血のレッド!!!」

 

「カイテンブラック、冷徹なブラック。」

 

「カイテングリーン・・・休出の・・・グリーン。」

 

「カイテンイエロー!!気合のイエロー!!!」

 

「カイテンピンク・・・純情のピンク!」

 

「回り続けるレールはやがて…正義の未来へつながる!」

「五人そろって・・・」

 

 

「「「「「無限回転寿司戦隊・カイテンジャー!参上!」」」」」

 

ドッカーン!

 

 

ポーズを取り終えると同時に、どういう仕組みか後ろの地面が大きく爆発する。

エンジニア部の仕込みだろうか、キヴォトスの神秘特有の秘密エネルギーなのだろうか?

気になるけど、探るのは野暮な気がしたので・・・演出として楽しんでおくとしよう。

 

 

「ねぇ、この演出・・・本当に必要だった?」

エビのお寿司を乗せた・・・真面目そうな印象を受ける彼女はピンク。

何となく苦労人の気配を感じる・・・カイテンジャーの良心担当・・・らしい。

 

 

「必要だろう!なんと言うか・・・気合が入る気がするよな?グリーン。」

卵を乗せた彼女は、気合のイエロー・・・この戦いにかけるモチベーションもレッドに次いで高そうだ。

 

 

「これだけの出番となれば、給料も奮発される・・・それで気合は十分でしょう。」

カリフォルニアロールを乗せた彼女はグリーン。

寿司ネタを五つ上げるとして・・・カリフォルニアロールが出るのは・・・色の都合だろう。

なんとな~く納得は出来ないが・・・

 

 

「素晴らしい出来だ・・・流石ミレニアムのエンジニア部・・・ふふふっ。」

携帯を見つめてニヤニヤと笑っているのは、ウナギの乗った・・・自称冷徹のブラック。

どう見ても、ロボットオタクにしか見えない。先生とは一番趣味が合うんじゃないだろうか。

 

 

「我々が来たからには、もう安心だ!」

 

「キヴォトスの!」(1カメ)

 

「平和は!」(2カメ)

 

「我々が守る!」(3カメ)

 

 

おそらくクロノスの無人カメラに向かってポーズを取る、一番ノリノリな彼女はレッド。

マグロと赤色というだけあって、カイテンジャーのリーダー的存在だ。

巨大ロボットに乗って「正義」の為に戦うのが夢だったらしく、今回の件は渡りに船だったとか。

「正義」を守るために戦うのであって、目的と手段が入れ替わってしまっているような気がするが・・・「やらない善よりする偽善」とも言われている。

そういう意味で言えば、それはこの際・・・大した問題ではないのだろう。

 

 

「おお、君はこの前会ったちびっ子ではないか!ここは危ないから早く離れるんだぞ!」

 

 

『は・・・はい!頑張ってください!』

私、3年生なんだけど・・・まあ良いだろう。

背が小さい事が、こんな所で得に働くとは思ってもいなかった。

 

 

「ああ、我々に任せてくれたまえ!」

 

 

 

「あの・・・本当にこの人たちに任せて大丈夫なんでしょうか・・・」

 

「ヒフミ、言わない方が良い事もある。」

 

 

巨大なペロロジラを見据えて、レッドが通信機に向かって合図を行う。

 

 

「よし、先生・・・いや、指令官!出撃の合図を頼む!」

 

 

インカムから、先生の声が聞こえてくる。

 

 

”行くよ!!無限回転寿司戦隊・カイテンFX・・・各号機!!!”

”クラーケン・・・オケランヴァー!!!”

 

カイテンジャーがその腕を天に向かって掲げる・・・

そして決め台詞と共に、こちらに向かって走ってくる5台の車型のロボット。

叶うなら、私が言いたかった・・・!

 

 

それぞれが、専用機らしい意匠のロボに跳び乗ると同時に・・・

グリーンとピンクは腕部、イエローとブラックは脚部、レッドは胴体と頭のようなパーツへとそれぞれ変形する。

 

 

「”カイテンFX・・・合体(コンバイン)!!”」

 

 

 

そうして変形した5台の車型のロボットが・・・上空で1台の大きな人型ロボットにその姿を変える。

 

 

「”カイテンFX MK.∞(マーク・インフィニティ)・・・見参!!!”」

 

 

上空から降りてきたカイテンロボの鋭い蹴りが突き刺さって・・・ペロロジラは大きく仰け反って、ビルに向かって吹き飛ばされる。

 

 

「ペロロ様が・・・!?いや、あれはペロロジラで・・・」

「ヒフミ・・・」

 

 

そして、起動したことを示すかのように・・・ロボの頭部の目が、鋭く黄色い光を放つ。

 

 

”話した通り、巨大化の効果時間は「3分間」!その間に・・・世界を救って!カイテンジャー!”

 

「任せてくれ、先生!我々の正義は・・・必ず勝つ!!」

 

 

 

全長は60m程だろう。両者ともとてつもなく大きいせいで通常の兵装では効き目は薄そうだ。

そして、ペロロジラが持つ言うなれば・・・

 

 

「「怪獣」としてのテクスト。この物語を「学園」の物語から大きく切り離す”それ”は、「先生」としての優位性や一般人である「生徒」の与える効力を大きく損なうものです。」

 

 

インカムから聞こえてきたのは、聞き覚えのある・・・だがしかし、聞こえるはずのない声。

 

 

『どういうつもりですか・・・?”ゴルコンダとデカルコマニー。”』

 

「いえいえ、邪魔をするつもりは無かったのです。あくまで私は今回における自分の立場を”観測者”として定めましたから。ただし、物語とは正しく解釈されてこそ・・・その意味を果たす。」

 

「つまるところ、私はこのジャンルをこう定義するために現れたという事です。」

「「怪獣」vs「ヒーロー」の戦闘劇・・・「勧善懲悪」のメタファーと。」

 

「そういうこったぁ!」

 

 

『マイクの近くで叫ばないでください。まあ、事情は分かりました。』

『とは言え、どういう風の吹きまわしなんですか?貴方達が私や先生に協力する理由が読めませんが・・・』

 

「言うなれば、利害の一致と言っても良いでしょうか。」

「運命に逆らうつもりはありませんでしたが・・・書きかけの小説を残して消えるのは、些か気分がよろしくないでしょう?」

 

『そう言う事なら良いですが・・・っと。』

 

 

体勢を戻したペロロジラが、何処か鬱陶しそうにカイテンロボを見据える。

表情は相変わらず分からないが・・・どうやら彼らを完全に敵と認定したらしい。

相対する両者、キヴォトスの未来を決める戦いが・・・今、始まった。

 




チヒロ「・・・ところで、現地で合体させる必要あった?合体してから出撃・・・いや、そもそも変形機構は要らなかったんじゃ?」

先生 ”ロマンだよ・・・ロマン!かっこいいでしょ?”

ヒマリ「それと意味づけの兼ね合いもありますから、ロマン一辺倒という訳でもないんですよ?」

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