ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ 作:天野ミラ
▼シャーレ 会議室
―――空が、その青さを取り戻していく。
長いようで短い戦いも、遂に終わりを迎えた。
最後の虚妄のサンクトゥムの破壊に成功した私達。
これで一先ずは、滅びの未来を回避できた・・・筈だ。
そして、ここから先の未来は、シノやユメにも分からない・・・
それでも、未来なんて分からなくても進んでいくものだ。
私達は、私達の道を行けばいい。
ただ、未だにシロコの足取りは掴めていない。
それどころか、この事態を引き起こした相手が何なのかすら。
どうやら、シロコによく似た少女がいたとシノには教えてもらったが・・・
敵対的だったらしい、そしてどこで会ったのかは教えてはくれなかった。
あの戦いから、一日後。
今後の対応を話すためにも、各派閥のオペレーターとの会議を行っている訳だが・・・
「前回と同様の”高濃度エネルギー”が、再び観測されました。」
「大変申し上げにくいのですが、このままでは七本の虚妄のサンクトゥムが再出現する可能性が高い・・・と言う事です。」
「もし出現するとすれば・・・前回の例から考えるとタイムリミットは1日程かと。」
必死になって、破壊したサンクトゥムタワ―と守護者の復活。
今後の方針を考える上で、思いつく限り最悪なニュースと始まったこの会議は・・・
遠くに見える雨雲のように、暗くて先行きの怪しいものになりそうだった。
「それについてはミレニアムの方からお話しできることがあります。」
”ヒマリ・・・何か、分かったの?”
「えぇ、先生。大変興味深い事なのですが・・・」
「ヴェリタスの方でそちらのエネルギーを逆探知した結果、すべてのエネルギーが送り出されているのはこの青い空に広がる白い雲の・・・更に上。」
「キヴォトスの上空75000mにポツリと存在する・・・まるで黒い太陽のような構造体。」
「それこそが相手の本拠地と言う事です。」
75000m・・・パッと思いつかないが・・・あれだけ大きかったペロロジラやカイテンロボだって60m程と言えばその遠さが際立つだろうか。
地上を覆う成層圏の・・・さらに上。
「そして、その構造体の最も厄介な性質は・・・あらゆる物理的干渉を無効化するという事。」
「先ほども、ミレニアム・・・と言うよりビックシスターの叡智を束ねた巡航ミサイルが発射されましたが・・・結果はミサイルが「擦り抜ける」という不可解な結果に終わりました。」
「あれでは・・・まるで・・・そもそもこの世界に存在しないかのような・・・」
「その仮説、確かにそう考えると辻褄が合うかもしれませんね。」
「ハナコさん・・・でしたよね?詳しくお話を伺っても?」
「仮設にはなりますが・・・皆さんは並行世界をご存じですか?」
そう言いながら、彼女は胸元から文学書を取り出して・・・
机に置かれたテーブルクロスの下に持っていく。
何で胸元から・・・?それにその本、見覚えがあるんだけど・・・
「大丈夫ですよ、先生♡ここで中身を開くつもりはありませんから。」
「こほん、それで先生?」
「今この本の上面に・・・表紙はあると思いますか?それとも無いでしょうか?」
”無い・・・かな?”
「わぁ、正解です♡」
テーブルクロスの下から現れた怪しげな文学書は裏を向いていて・・・
タイトルも無い以上普通の本にしか見えない。
中身を見せないと言った以上は・・・
彼女はここで”そういう行為”に走らないだろうという確証があった。
ハナコは約束は守ってくれるし、根は良い子だから・・・表に見えている花が過激なだけで。
「・・・ですが、もしかしたらこの本が表を向いていた未来があったかもしれません。」
「”そうだった世界”これが並行世界に当たる訳ですが・・・その世界がもし・・・」
「本当に存在していたら?世界は無数に存在していることになります。」
「成程、量子力学における他世界解釈ですか・・・」
「では、先生。改めて質問です!」
”うん、次はどうするの?”
「もしこの本を・・・えい♡」
そう言って、今度は本を膝の上へ・・・おそらくはスカートの中に持っていくハナコ。
「今、本はどうなってると・・・思いますか♡」
”えっ、それは・・・”
エッ・・・こ、これは・・・セーフか?アウトか・・・?ぎり、ギリギリセーフか・・・?
あまりギリギリのラインを責めないで欲しい・・・
「何を見せられているんでしょうか、私達・・・」
「解説に必要なので、もう少しだけお付き合いください♡」
”こ・・・今回は・・・表?”
「どうでしょう・・・確かめてみます?」
”えっ・・・!?”
「ふふっ、冗談ですよ♡先生が良いのならそれも構いませんが・・・」
「えっと・・・確認できない以上は、このスカートの中の表面の表紙は「実在」と「非実在」の二つの可能性が分岐しないまま混ざり合っているとも言えます。」
「そして、あの空間は世界単位でこのスカートの中と同じような事が起こっているかもしれないと言う事です。言うなればそれは・・・「多次元解釈」。」
「エネルギーの供給があるという事は表面だけだと予測していますが。」
「その理論が正しければ、存在の確定した世界からの物理的な干渉が出来ない事も頷けますね。」
「ですが、それが意味する事はつまり・・・このバリアを突破するには、我々も同様の状態になる必要があるという事。」
「その為には、まずはその「多次元解釈」の計算が必要と言う事ですが・・・」
「・・・そんなものは、それこそ量子コンピュータでも使わなければ不可能です。」
量子コンピュータ・・・現状の技術では未だ実用化出来ていない、それ。
つまりは・・・
「・・・私達は指を咥えて見ている事しか出来ないって事!?」
「ええ、ですが他の手法があるかもしれません。私達も最善を尽くしますが・・・一度時間を頂きたいですね。」
”一度、休憩にしようか。時間がないのは確かだけど、焦っても結論は出ないと思うから。”
「そうですね、先生。一度解散しましょうか。」
一旦は、終了の運びとなった会議。
私に出来る事は、無いだろうか・・・そうだ。
”アロナ・・・さっきの話は聞いてたと思うけど・・・”
「先生、本当に申し訳ないんですが・・・私単体では多次元解釈の計算は・・・」
どうやら、厳しいらしい。
他に手は無いのだろうか・・・?思考を必死に巡らす。
多次元・・・他世界・・・そうだ。
世界を越える―――聞いたことのある話だ。
シノは・・・何やら用事があるとの事で会議は不参加だったが、議事録は送ってある。
ダメ元で、電話をかけてみるが・・・
『・・・どうしたんですか?』
良かった、繋がった。
彼女達なら・・・別の世界から来たシノとユメなら何か知っているかもしれない。
”シ・・・シノ達はさ、どうやって世界を越えてきたの・・・?”
『うげっ、あんまりその話はしたくはなかったんですが・・・』
『そうですよね。後回しにもできませんよね。』
”そんなに、嫌な相手なの・・・?”
『会いに行きましょうか、これ以上は引き延ばしもできませんし・・・』
『丁度良くポストにお誘いが来てるみたいですよ。』
”・・・ん?私宛に?”
階下にある郵便受けまで出向いてみると、一枚の真っ黒な手紙が一通。
そこに書かれていたのは、「あの時の対価を頂きます」というメッセージと・・・
ここから少し離れた喫茶店でのお茶会のお誘い。
こんな時だし、厳しいかななんて思ったけど・・・差出人を見て噎せ返りそうになった。
相手は・・・「黒服」。
ゲマトリアのメンバーの一人である、彼からのお誘いだった。
▼D.U.郊外の喫茶店
珈琲の匂いが漂う、木目調の落ち着いた雰囲気の店内。
私達以外に人はなく、窓も日光を嫌うかのように閉じ切られている。
『こっちです、先生。』
そんな喫茶店で、私を待っていたシノと・・・黒色の異形。
ゲマトリアの黒服・・・アビドスの事件の時にホシノに手を出した彼が。
そんな彼が今、別の世界の小鳥遊ホシノであるシノと一緒にいる。
どうして二人が一緒に?まさか・・・なんて嫌な予感が頭を過ぎって。
懐のカードに手を伸ばしかけた、その刹那。
「おや、それを取り出すのはご遠慮いただきたい。何故なら・・・」
”何故なら・・・?”
「この喫茶店はお気に入りなもので。それにマスターにも迷惑でしょう。」
至極、真っ当な意見が返ってきて。
毒気を抜かれた私は、とりあえずは席に着くことにした。
この判断が正しかったのかは・・・私にはわからない。
先生 ”け・・・結局スカートの中ってどっちだったの?”
ハナコ「さぁ・・・どうでしょう?ああ、でも・・・」
ハナコ「これを裏であって欲しいから裏であると信じる・・・と言うと少し親近感のある話になるんじゃないですか?先生♡」
先生 ”スカートの中・・・信じる・・・あっ!?な・・・何でその話を。”
ハナコ「シノちゃんが教えてくれましたよ?」
先生 ”・・・何をしてほしい?”
ハナコ「どうしましょうか・・・迷ってしまいます♡」
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