ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ 作:天野ミラ
本当はもっと早く、これを書いているはずだったのに。
▼シノ視点
いや、本当に私が悪い
一声かけるべきだった・・・本当に
「まさか、シノ先輩もそっち側だったなんて…」
「真面目な人だと思ってたのに」
フルフルと震えるセリカちゃん
携帯に着信が来ていたがマナーモードにしているのを忘れて
眠りこけて…現在の時刻は午後の3時
『返す言葉もないです。ごめんなさい。』
「連絡くらいしなさいよね!」
『いや、本当にその通りです。はい。』
「セリカちゃん、迷子になっちゃったんじゃないかって心配してましたもんね〜☆」
「そうよ!心配したんだから!いや、してないけど!」
『ふふふ、ごめんね。これから頑張るから見捨てないで欲しいなぁ。』
「当然でしょ!これからビシバシ働いてもらうんだから!」
一旦休憩時間という事で
交流をとろうと立ち上がりかけた所
こちらに誰かが向かってくる。
えっと、シロコちゃん、か。
「隣、いい?」
『どうぞ、えっとシロコちゃんって呼んでも良い?』
「私も迷ってたところだった。シノちゃん先輩。」
『同級生だから、先輩はいらないよ。』
「違和感がある。ホシノ先輩より先輩みたいなのに。」
「それはどういう意味なのかな〜?」
「シノちゃん、これ良かったら食べてください〜☆」
『メロンパンですか?ありがとうございますノノミさん。』
「ノノミちゃんって、呼んでくれないと嫌です。」
『わ、わかったよ、ノノミちゃん。』
「はい!」
「シノちゃんって休みの日とか何してるんですか?」
『鍛錬を少々・・・?後喫茶店回ったり・・・』
『後はユメ先輩といるかなぁ。』
「サイクリングに興味ある?」
「大腿四頭筋を中心に鍛えられる。」
「いざという時の移動手段にもなるから、おすすめ。」
「まずは100kmくらい、どう?」
『う、うん。考えとくね。』
「そちらのお面ってどちらで買ったんですか?」
『アビドスの外れにある骨董品屋さん?』
「一個千円で投げ売りされてたから。」
「なるほど。」
『その、顔にコンプレックスがある訳ではないから。』
「良いものがある。これ」
『目出し帽・・・?6って何、もしかして全員分あるの?』
「うん、これで正体を悟られる確率は低くなる。」
「きっと必要になるから持っておくべき。」
『う、うん。ありがとう?』
大きく伸びをする
窓から見えた空はいつの間にか夕焼け色に染まっていて
ぽつぽつと民家の明かりがつき始める
そんなに時間が経ったのか、あっという間だったな
『ねぇ、ホシノ先輩。』
「ん〜?どうしたの?」
『この後はいつも通りパトロール?』
「うげ、誰に聞いたのさ。」
『普通にシロコちゃんからだけど。』
「うへ〜まったく〜ほら、放っておくと治安悪くなるでしょ?」
『これは、あくまで提案なんだけど。』
『私とユメ先輩もついていっていい?』
「えっ、あー・・・いいけど、面白い物なんてないと思うよ?」
『明日も休みだし、この辺の地形を把握しときたいのが一件。』
『それと、荒療治になるかも知れないけど・・・』
『あっちのユメ先輩の事もっと知ってほしい。』
「それは、こ、心の準備が」
『ユメ先輩〜?』
「ん〜?どしたのシノちゃん。」
『ホシノ先輩とお出掛け・・・したいですか?』
「え!した〜い!ホシノちゃん迷惑じゃない?」
「あっ、迷惑じゃ、ないよ〜」
「やったぁ!じゃあ準備してくるね!また後で!」
「皆、お疲れ様〜!」
まるで台風のように去っていくユメ先輩
「良い性格・・・してるね?」
昼にはそこそこの人通りのあった街も、夜になると殆どいない
そのせいか、違う場所に来たような感覚を覚える
夜風が少し冷えるな、もう少し暖かい格好をしてくるんだったか
「おーい、こっちこっち〜」
「お待たせ〜」
「ごめんね、色々用意してたらちょっと遅くなっちゃったかな?」
『いえ、二人とも今来たところです。』
「本当に来るの?良いけどさ・・・」
「うん!アビドスの平和は、私達が守る!」
「そんな大層なモノじゃ無いけどね、そいじゃ行ってみようか〜」
街を歩いているとカツアゲの現場を発見した。
幸いにもホシノの顔を見た途端、蜘蛛の子を散らすように逃げていったが
確かに治安が悪いらしい、ホシノ曰く
「これでも昔に比べたら、だいぶマシになったんだよね〜」
との事、今日は早めに切り上げると言っていた。
つまり、普段はもっと遅い時間までパトロールを続けているらしかった
彼女は毎日一人で戦い続けていたのだろう
そんな頑張りの成果が、この街の風景だとしたら
いつか、報われて欲しいな
少しずつ人通りの少ない道が多くなっていく
そしてついに、私達しかいなくなって
まるで広い世界に私達三人しかいないような
そんな寂しさを、覚えた
「ねぇねぇ、ホシノちゃん。」
「どしたの?ユメ・・・ちゃん。」
「毎日こんなふうにパトロールしてるの?」
「まぁ、ほとんど毎日かなぁ。こう言うのは積み重ねが大事でしょ?」
「偉い〜!一杯褒めてあげないと!」
「ちょ、でっ、パトロール中だから抱きつかれると危ないよ〜」
「え〜聞こえないな〜よしよしよし」
「ちょっと、見てないで助けてよシノちゃん〜」
『私は今周りを警戒してるので、諦めてください。』
「うへぇ、そんなぁ…うへへ」
「ねぇ、もし良かったらなんだけどさ。」
「私もパトロール手伝ってもいい?」
「ちょっとでも、ホシノちゃんの負担を減らして、あげたくて。」
「それは・・・」
『私も手伝いますよ、ホシノ先輩は一人で背負いこみすぎです。』
『せめて、私くらいは頼ってください。』
「シノちゃん…ユメちゃん…」
「本当は私一人で・・・いや、ううん。」
「ごめんね、それじゃあお願いしてもいい?」
「いやぁ、おじさんも流石に一人じゃ限界を感じててさぁ〜」
「うん、任せてよ!」
「ところで、ユメちゃん、その…そろそろちょっとだけ暑いかな。」
「あ、ご・・・ごめんね?」
パトロールを始めたあたりに戻ってくる
時刻は夜19時と言ったところで
暗い空には丸い月がぷかぷかと浮かんでいる
「よし、今日はここまでにしよっか〜お疲れ様〜」
「今日は二人ともありがとね?夜ふかしし過ぎちゃダメだぞぅ?」
「お疲れ!ホシノちゃん!じゃあ、行こっか?」
「え?何処に?」
「決まってるでしょ!パジャマパーティだよ!」
「ホシノちゃんも来る、よね?」
▼ホシノ視点
「たっだいまぁ!」
『お邪魔します』
「お邪魔するねぇ」
久しぶりに来た、ユメ先輩の部屋
二人が住んでいるから、当たり前だけど
前に来た時より、随分と生活感があって
ちょっとだけ緊張する
『お風呂、予約してあるので先に入っちゃってください。』
『私は夕飯の仕込みをしてますね。』
「ありがと!シノちゃん!味見は任せてよ〜」
『はい、お願いしますね、ユメ先輩。』
手際がいい、普段から料理をしているのだろう
私は、普段はあまり自炊しないか、簡単なものしか作らないから
料理ができるのは、少し羨ましい
「ねぇねぇ、お風呂どうする?ホシノちゃん?」
「え〜おじさんはどっちでもいいよ。」
「・・・夜も遅いし、一緒に入っちゃう?」
「え゛っ゛」
うん。と即答しなかった自分を褒めてあげたい
本気?あれ?あっちでは女の子同士なら一緒にお風呂に入る物なのか?
だとしたら惜しい事をした、いや惜しいって何だ
え、私が一緒に入るの?銭湯でもないのに?
「冗談だよ〜流石にこの歳にもなって恥ずかしいもんね?」
「じゃ、先お風呂行ってくるね〜」
「い、いってらっしゃい〜」
『耳、真っ赤ですよ。可愛いところあるんですね。』
「うぐっ、言わないでよぉ・・・」
変な事を言われたので、妙に意識してしまった、お風呂を終えて
家の中にはカレーのスパイスの香りが広がっている、
お腹、すいてきたな・・・
「うん!ばっちり!今日も料理上手だねぇ。」
『ありがとうございます・・・えっと、ホシノ先輩もあがったようなのでよそっちゃいますね。』
『お二人はご飯どれくらい盛ります?』
『「「いただきます~」」』
美味しい、同じルーを使っているはずなのにどうしてこうも違うんだろうか
「美味しい、美味しいよ。シノちゃん~」
「美味しい~ありがとね、シノちゃん」
『ありがとうございます、でもユメ先輩はさっき味見してましたよね・・・?』
『そういえば、甘口だと少し甘すぎるかなと思って中辛なんですけど』
『先に聞いておくべきでしたね。』
「いや、全然大丈夫だよ~」
『なら良かったです。おかわりは鍋にあるので・・・私は先にお風呂借りますね。』
「は~い!いってらっしゃい~」
「ん~美味しい!おかわり!したいんだけど、最近体重増えちゃったんだよね・・・」
「ん~?おじさんもおかわりしよっかなぁ。」
「本当?じゃあ私もする!」
『お風呂あがりました。食器は・・・あ、洗ってくれたんですね。ありがとうございます。』
「いいのいいの、これくらいはしないとねぇ」
「私も!私も手伝ったよ!」
「はいはい、ユメ先輩もありがとうございます。」
「それじゃあ皆着替えたことだし・・・しよっか!パジャマパーティ!」
布団に持ち寄ったお菓子を開ける
布団が二枚しかないから川の字になる形で
隣にいるユメちゃんは水色の水玉模様のパジャマで可愛らしい
「第一回廃校対策委員会パジャマパーティ~!ぱちぱちぱち」
『嬉しいのは分かりますけど、12時には寝ますよ。』
「え~?シノちゃんは楽しみじゃなかったの?」
『それは、楽しみ・・・でしたけど。』
「いやぁ、若いって良いねぇ~おじさんクタクタだよ~」
「え~同い年じゃん?そういえばパジャマ・・・よく似合ってるね。」
「うへ~・・・そう?ちょっと可愛らしすぎない?」
「ううん?ホシノちゃんにぴったり~!」
「うへへ~ありがと・・・」
「えーっと、一つ目の議題は・・・やっぱりコイバナ?枕投げもいいよね!」
『ユメ先輩・・・枕は二つしかないですよ・・・』
「ホシノちゃんはだれか気になってる人いないの?」
恋、恋かぁ・・・
「え~っと、おじさんはもう歳だからさぁ・・・色恋とかそういうのは程遠いかなぁ。」
「え~?そうなの?私はね~うーん・・・」
「シノちゃんみたいにかっこよくて、ホシノちゃんみたいに可愛い子がいいなぁ・・・」
「シノちゃんは?」
『ん、んんっ。私は・・・そうですね。今はちょっと考えられないですね。』
「えーもしかして・・・終わり?そっかぁ、じゃあね・・・」
楽しい時間はあっという間で、気づいたときには日付を回っていた
『はいはい、ここまでです。歯磨きして寝ますよ。』
「え~もうちょっと・・・!」
『そういって2時3時になるじゃないですか。明日も用事がありますよね?』
「は~い・・・」
「そうだ、皆で写真とろ~?ほらほらこっち寄って?」
「うんうん、行くよ?はいチーズ!」
パシャリと写真を撮る。彼女との最初の一枚・・・
それがどこか嬉しくて、寂しくて
「おじさんにも送っといて~」
「じゃ、おやすみ~」『お休みなさい』
「うん、お休み・・・二人とも。」
寝れない・・・お昼の一件があったからだろうか
それともさっきの写真の時の事だろうか
感傷的になっているのかもしれない
少し、温かいお茶でも飲んで落ち着こうかなと思って
立ち上ろうと思った矢先
「・・・寝れないの?ホシノちゃん。」
「起こしちゃった?だとしたらごめんよぉ・・・」
「ううん、気にしなくていいよ。」
「ほら、おいで?子守唄うたってあげる。」
「良く眠れるってシノちゃんからも評判なんだよ?」
それは、この歳でそれは・・・
「うへへ・・・ちょっと恥ずかしいかなぁ。」
「え~?寝不足はだめだよぉ、ただでさえお昼眠そうなんだから~えいっ」
「ちょ、なんで抱き」
お風呂上がりの彼女は、同じシャンプーを使っているはずなのに良い香りがして
「ねーんねん、ころりよ~おころりよ」
恥ずかしくて、ドキドキして
「ホシノちゃん~はよい子だ~」
ユメ先輩の、心臓の鼓動の音が聞こえて
お日様みたいに、あったかくて
それが何故か無性に安心して
「ねんねしな~」
安心したら、眠くなって・・・
「おやすみ、ホシノちゃん。」
その日は、いつもよりいい夢が見れた・・・気がした。
パーティーの一幕
シノ『写真フォルダどうなってるんですか?』
ユメ「いいよ!見る~?」
シノ『こ、これは・・・』
ユメ「は・・・反省中・・・こんなのあったね!ふふふ」
ホシノ「お、おじさんが悪かったからさぁ・・・笑わないでよぉ・・・」
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