ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ 作:天野ミラ
これで今予定しているお話は、最後になります。
後日談 アビドス砂祭り 前編
▼自宅?
「・・・て・・・きて。」
色々な事件に決着がついて、暫く時間が経った。
春が終わり、少しずつ暖かくなってきた・・・そんなある日の事。
心地よい微睡の中で、隣から私を呼ぶ声がする。
「シノちゃん・・・起きて!」
『ん・・・あぁ。』
「学校・・・遅刻しちゃうよ?」
『うぅ・・・そう言うユメ先輩だってまだ布団の中じゃ無いですか。』
「わ、私は目は覚めてるし・・・今起きようとしてたから・・・」
”起きて”と言った割には、布団から出る様子のないユメ先輩。
それにしても、アラームをかけてたはずなのに起きれなかった。
最近トラブルもないからって、少し気を抜きすぎだなこれは・・・
『そんな事言って・・・二度寝する人は皆そう言うんです。今日は遅刻できませんよ、
「ひぃん!わ、わかってるよ~!」
『まあ、その・・・起こしてくれてありがとうございます。私一人なら寝過ごしてました。』
「・・・気が抜けるようになったのは良い事だと思うけどな。」
『・・・今、何か言いましたか?』
「ううん、何でもないよ!じゃあ学校行く用意しよっか!」
学校に行くために、用意をし始めた私達。
郵便受けが空だったことに、まずは安心する。
「皆、おっはよ~!」
『おはようございます。』
「ユメ先輩と、シノ先輩・・・おはようございます!」
無事遅刻することなくアビドス高校に辿り着けた私達だったが、既に皆は教室に集まっていて私達が一番最後だった。
「随分と余裕のある到着ね・・・?いや、責めたい訳じゃなくて・・・私は居ても立っても居られなくて早く来すぎちゃったというか・・・」
「セリカちゃんが緊張するのも無理はありません~今日は
「べ、別に緊張はしてないけど!」
確かにセリカちゃんの目元に隈が見える。
恐らく緊張やら興奮やらで寝つけなかったのだろう。
私?私は・・・熟睡だった。
何せ、これは一度目じゃないから。
まあ少し勝手は違っては来るが。
「それにしても、こんな事になるなんてねぇ・・・」
「ちゃんと客観的に会議の内容は残してくださいね?ホシノ
「うへ~・・・わ、わかってるよ・・・アヤネちゃん。」
「そもそも、昨日の議事はどうしたんですか?参加者リストもまとめておいて欲しいってお願いしたんですが・・・」
「う、それは後でやろうと思って・・・」
「ホシノ先輩が夜間パトロールをしてくれているのは、私達も知っています。」
「うん・・・うん?えっ?」
「でも、それとこれとは話が別です。パトロールの方は私達も手伝いますから、まずホシノ先輩は書記としての仕事を全うしてください。」
「あっ、うん・・・え?何時から知ってて・・・」
『まあ、前会った時も時間が不自然でしたし。やってるかと思ってタレこんでおきました。』
前に私がホシノ先輩の家の前であったの、学校終わってから大分後だし。
買い物にしては時間がかかりすぎだ、遊びに行っていたようにも見えなかったし。
「し、シノちゃん・・・!?こういうのは秘密にしておいてくれるんじゃ・・・」
「ホシノ先輩・・・
ニッコリと問いかけるアヤネちゃん。しかし、目だけが笑っていない。
これは・・・かなり怒っている。
「いっ、いや・・・違うんだよぉ。これはおじさんが始めた事だから皆に迷惑をかけるのは違うかなって・・・」
「・・・どうやら、話し合う必要がありそうですね。」
「ん、アヤネが怖い。」
「ご、誤解だってば~!これは先生も手伝ってくれてるし・・・」
「先生も共犯・・・と。後でお呼びする必要がありますね。」
「対策委員会に隠し子はナシですよ☆」
「あっ、ごめんよ先生・・・」
「・・・もう、隠してることはありませんよね?」
「う、うん・・・」
「まだ叩けば埃が出そうですね?」
会議もそっちのけで、ホシノ先輩への追及が始まってしまったが必要な事だろう。
私も大分人の事を言えない。
やはり血?は争えないという奴だろうか。
「ふぁ~・・・今回も長引きそうね。」
やはり少し眠そうなセリカちゃん、寝不足はお肌に悪いというのに。
『そうだセリカちゃん、まだ話も長引きそうですしお昼寝でもどうですか?』
「え”っ”?」
『実は頼りになる後輩を持って、お昼寝を楽しむのが夢だったんですよね。』
「なっ、何それ・・・?」
私が仕事をしなくていいなら、後輩に任せて休めるところは休みたい。
とまでは言わないが、任せられるところは任せた方が良いだろう。
最近、そう思う事が増えた。
「あっ、私も行く~!」
「まあ?シノ先輩がどうしてもっていうなら行ってあげても良いけど?」
『それじゃ、決まりですね。』
屋上に向かう私達を、ホシノ先輩が恨めしそうな顔で見ていたが・・・
まあ半分以上は自業自得なので甘んじて受け入れて欲しい。
屋上にやってきた私達三人、日差しはあるが季節もあって熱いとまではいかない。
むしろ心地よいくらいの陽気、お昼寝日和というところだろう。
枕・・・とまではいわないが、クッションとシーツは持ってきたが。
これだけ暖かければ、シーツは不要だったかもしれないな。
「いやぁ、風が気持ちいいねぇ~」
青い空、澄み切った空気。
何処までも広がる地平線・・・と砂漠。
屋上からは湖も緑もあまり見えないが・・・
この景色を見て安心感を覚えた私が居た。
『絶好のお昼寝日和じゃないですか。』
「何かシノ先輩緩くなってきてない?牙が抜けたというか、なんと言うか・・・」
『何と言うか・・・?』
「・・・ホシノ先輩みたい。」
『・・・褒められてると受け取っていいんですか?今絶賛怒られてますけど。』
最近は出来るだけ相談したり、他の人を頼るようにはしていたつもりだったんだけど・・・
「ああいや、そういう訳じゃなくて・・・!」
「丸くなったもんねぇ~」
『最近ご飯が美味しくてつい・・・』
つい食べ過ぎてしまっているが、もしかして太ったのだろうか。
まあ、雰囲気的な話だとは思うけど。
「違うわよ!?こういう誘いもなんか、意外だったというか・・・」
『ふふっ、もう気を張っている必要も無いですからね。可愛い後輩たちに囲まれて余生を過ごすとしますよ。』
「そ、そういうとこよ!」
「そう言うとこだと思うなぁ・・・」
良くも悪くも影響を受けている気はする。
背負うものが少なくなって、気が楽になったとも言える。
『まあ、お話も程々にお昼寝と洒落込みましょうか。日差しも暖かくて眠くなってきましたし。』
「・・・そのお昼寝に誘ってくれたの・・・私の為なのよね?」
少しわざとらしすぎただろうか。
でも、まあ寝不足でいるよりかはずっと良いだろう。
『私がセリカちゃんとお昼寝をしたかっただけですよ。ま、そう言う事にしておいてください。』
「う、うん・・・その・・・ありがと。」
ポカポカとした陽だまりの中で意識が微睡んでいく。
・・・結局、アラームをかけ忘れて起きたのはお昼が終わりかけの時間だった。
遂に始まった会議。
その内容とは・・・
「皆さん揃ったようなので、これから・・・」
「
「ん、アビドスで有名なお祭りで、凄い数の人が集まったんだって聞いた。」
「議事はおじさんがとるから、意見があったらどしどし言ってね~」
「まあ、開催に向けての準備も着々と進んでいて最終確認と言った形ではありますが・・・」
「開催会場は、アビドス砂漠にあるリゾートを予定しています。」
「交通と出資や会場の出店等が問題でしたが・・・」
『都合よくハイランダーの方で鉄道を再開させる話が上がっていましたからね。』
「えぇ。ですので、会場の企業ブースはセイントネフティス社の物が多くなると思います。」
ノゾミちゃんとヒカリちゃんの話ではすこぶる順調で、砂祭りの開催時期には余裕で間に合いそうなのだとか。
・・・社外秘な気もするが、まあ教えてくれたのはありがたい。
『まあ、少し恣意的なものを感じなくはないですが・・・相手の利にもなる話なので気にしなくてもいいですよ、ノノミちゃん。』
「えぇ、皆を信じてますから・・・大丈夫です!」
「一企業の力が強くなりすぎる事を懸念して、企業ブースではモモグループやローレライ・・・そして、カイザーグループも少しですが参加を予定しています。」
カイザーグループ・・・アビドスとしては因縁のある相手だ。
複雑な気持ちではあるだろうが、あそこの全てが真っ黒・・・という訳でもない。
PMC関係は全部
そういえば、元理事はどうしてるんだろうか。
無事だということは聞いているが。
「それと、百鬼夜行連合学院のお祭り運営委員会だね!あんみつ美味しかったなぁ・・・」
「地元商店街からは紫関ラーメンの大将をはじめとして、多くの人たちが出店を表明してくれています。」
シズコちゃんを巻き込んだら、話が思ったより大きくなりすぎてしまった。
流石はプロと言えるだろう、久々の開催もあってもっと小さなものを予定していたのだが・・・
まあ、私達も時間に余裕がある訳では無い。
このままでは来年の入学生がいるかもわからないのだから。
とはいえ、動いてる額が額なだけに絶対に失敗できない。
「その他、三大校やその他学園からも出店やブースのお話が届いていますが・・・」
「トリニティのティーパーティはその中でも特に手厚い支援をいただいていますね。」
ありがたいといえばありがたいが、何処かの学校や企業に頼りすぎるとパワーバランスの観点であまりよろしくないので丁重にお断りしている。
だが・・・奉仕活動の一環で
・・・そろそろ流石に怒られそうだが。
『企業との話し合いは私と先生で調整しておきます、まあ先生が居るので問題ないとは思いますよ。』
私だけだとどうしても、相手が子供と言う事で足元を見られてしまう。
先生には申し訳ないが、頼ってほしいと言ってたし今回はかなり甘えてしまっているが・・・
頼らないよりは、少し頼りすぎな位が良いだろう。
シャーレの影響力が強まる分には、あまり問題なさそうだし。
「それでは、今後の予定ですが・・・」
会議はここから長くなりそうだ。
そんな事を思っていると、一際強い風が室内に吹く。
波乱の砂祭りが、今始まろうとしていた。
セリカ 「それで、シノ先輩はいつまでユメ先輩の家に住んでるの?」
シノ 『なんかタイミングを逃しちゃいまして・・・今はお金も入り用ですし。』
セリカ 「まぁ、当人達がそれでいいなら良いとは思うけど・・・」
ユメ 「そう言う時はこう言うんだよ!」
ユメ 「スペースに余裕があるのなら、わざわざもう一つ建物を借りるのは・・・合理的じゃ無いわ。」
シノ 『ふふっ、似てないですね。』