ジェーンとあまり健全じゃない関係の男 作:──
「ねぇ、レオくん?」
ジェーンは、背後から彼の首筋に手を這わせ、その口を彼の耳元へと運んで囁く。
「……やめてください、理性と心臓に悪いです」
「じゃあ、嫌?やめてほしい?二度とやらないでって、言える?」
「………………」
悔しそうに口を閉じてそっぽを向いた彼に満足そうに笑いながらジェーンはソファーに座る彼の隣に腰掛ける。
「近々、少し大きめの任務があるらしいの」
「……そうですか」
「だから、しばらくここを離れるかもしれないんだけど……、全部終わったらまた帰ってきていいかしら?」
「もちろん。断る理由がないです」
「……ありがとう」
嬉しそうに礼を言って、口元を手で隠すような仕草をするジェーン。
「ジェーンさんって、一日でも家を空ける時はソレ言いますよね」
「報連相ってやつ?大事でしょう?」
そう言ったあと、少しの沈黙を経て目を逸らして
「……愛想尽かされたくないのよ」
「ははは、そんな簡単に愛想尽かすくらいならとっくに尽かしてますよ。…………意外とかわいいとこあるんですね」
「意外って、ちょっとヒドいんじゃない?」
「ギャップって、魅力的ですよ」
「あら、そうなの?」
ジェーンはレオとの距離を詰め、彼にしなだれかかるように寄り添う。
レオは顔を真っ赤にして距離を離そうとするが、ジェーン本人がそれを許さない。
「ちょっ、ジェーンさん!?近いですって!」
「これくらいは別に良いでしょ、一つ屋根の下なんだから」
そう言って彼の腕を押さえたジェーンに、レオは観念したように抵抗を止めてされるがままになった。
そして、懐から取り出した飴を口の中で転がし始める。
「美味しそうね。アタイにもちょうだい?」
「……あぁ、良いですよ」
レオが飴を差し出すと、ジェーンはレオへ見せつけるように大きく口を開く。
「………………じぇ、ジェーンさん?」
「……あ〜」
「──なんか今日、やたらと積極的ですね?」
そう言いながらもレオは飴を袋から出してジェーンの口へと差し出す。
すると、ジェーンの口が勢いよく閉まり、その唇がレオの指を挟み込む。
先ほどよりもさらに焦ったような様子を見せるレオに、ジェーンはクスクスと笑った。
「やっぱり、揶揄い甲斐があるわね、レオくん」
語尾に♡が付いてきそうな程に甘い声で囁くジェーンにレオは
「……揶揄わないでください。本気にしそうになりますから」
「本気にしたって良いのよ」
「……え?」
「じゃあ、アタイは仕事だから。じゃあね〜」
まるで言った者勝ちとでも言うように、ジェーンは背中を向けて去っていった。