ジェーンとあまり健全じゃない関係の男 作:──
某日の夕方、ソファでくつろぐレオの横にピッタリとくっついて座ったジェーンは、彼の腕に自らの腕を絡ませると同時に、彼の腰に尻尾を回す。
ジェーンがこのような過剰なスキンシップを取る時、それは決まって……
「また長引きそうなんですね?」
「えぇ、そうなの。しばらく帰れそうになくて──」
「毎回言わなくてもいいように言いますけど、ここはあなたの家ですからね。自分の家なんですから、好きなだけ留守にしていいし、好きな時に帰ってきていいんです。……信じてますから」
ジェーンの手を握って、彼女の目を見てそう言ったレオに、ジェーンは少し頬を赤らめて黙って頷いた。
二人の間に、沈黙が流れる。
「……ありがと」
「いえ、お気になさらず。どうせ待ってるだけですからね。……でも、助けが必要になったらいつでも呼んでください。飛んでいきますから」
「あら、私の白馬の王子様になってくれるの?」
「……それが必要なら、そうなれるように努力します」
「あら情熱的。……期待してるわ」
しなだれかかったジェーンをレオは何も言わずに受け止める。
お互いの体温を感じながら沈黙すること数十分、それは当人たちからすれば数分ほどの出来事のように思えた。
「……そろそろ夕食を作りますね」
「えぇ、お願い」
ジェーンがレオから身体を離すと、レオは立ち上がって台所に向かった。
料理をする彼の背中をジェーンはじっと見つめていた。
その日の夕食は、いつにも増して豪勢だった。
「いつもより贅沢ね?」
「お仕事に向かうジェーンさんを応援したくて。……嫌だったなら謝ります」
「ううん、嬉しいわ。キミのことがもっと好きになっちゃいそう」
「えっ……、っうれしいです」
僅かに頬を赤らめた彼の表情はジェーンの嗜虐心をくすぐるのに十分なものだった。
食事を終え、テレビを見て、歯を磨いてベッドに入ろうとするレオの部屋にジェーンは押しかけ、彼と同じベッドに潜り込んだ。
「……添い寝までですよ」
「本当にそれでいいの?」
「何がですか?」
「添い寝まで、でいいの?もっと先が欲しくない?」
ツツ、とジェーンの指が彼の腕輪をなぞる。
ジェーンの声は熱を含んで、彼女の意思を何より雄弁に伝えている。
「……レオくん?もう一度聞くわよ。添い寝までで、いいの?」
「や、やめてください」
「ほんとに?今がチャンスなのよ?明日になったら、アタイはもう帰ってこないかもしれないのよ?」
「縁起でもないこと言わないでください」
「でも、ホントのことよ。今度の行き先はほんとに危ないの。……ねぇ、念の為に、思い出作り、しない?」
熱のこもった息を吹き付けるかのような距離で囁きかけるジェーン。
次の瞬間、ジェーンの視界がぐるりと回る。
気がつけば、ジェーンはレオに押し倒されていた。
「後悔、しないんですね?」
「ええ、そうじゃなきゃ誘わないもの」
二人は、長く眠れない夜を過ごした。