緑谷出久の物作り   作:メタス

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いきなり寒くなって久しぶりに風邪を引きました。
手洗いうがい大事。


未だ白き炎…願わくば荼毘に付さぬ様に

4歳

2月◯日

 

パパ黒に連れられて、今日は瀬古杜岳に来た。

原作(ヒロアカ)で出ていたような景色で、自然豊かな場所だ。野鳥が鳴いたり、動物の気配もチラホラある。

 

ここで恵君の式神の調伏を行っていくそうだ。

その際にある実験もしてみたいという。

 

本来の調伏の際は個性持ち(十種影法術者)が1人で挑んでその式神を倒さないと成功にはならず、他者が居ては例え倒しても調伏にはならないそうだ。

だが、この他者という部分が穴になっているのではないかとの事。

 

個性持ちや無個性が一緒に居て倒しても失敗していたと記録にあったらしい。

だがフィジギフのような、()()()()()()()()()()()が挑んだ記録は無いそうだ。そこで最初は大蛇(オロチ)をパパ黒が倒して、その後の調伏を恵君と私でやるように言われた。

 

準備運動等をしていたら人の気配がした。

そちらを振り向いたら、白髪に赤髪が混じった子供がいた。

誰だ?と思ったが直ぐに思い至った。

 

恐らくだが轟燈矢だ、しかも荼毘になる前の。

 

しばし見つめ合って固まっていると、向こうから話しかけてきた。

 

『誰?ここは子供が来る場所じゃないぞ』

 

『お前も充分子供(ガキ)だろ?燈矢』

 

パパ黒が気安い感じで話しかけた。

燈矢君がうげっという表情を隠さずに話し続ける。

 

『うわっ、親父よりゴリラしてるゴリラじゃん…最悪だな、今日はかえr…痛てててて!冗談冗談だよ!』

 

『ほぉ、そんな風には聞こえなかったぞクソガキ』

 

ゴリラと呼ばれた事にイラッとしたのか、燈矢君の後ろを素早く取り蟀谷(こめかみ)を拳でグリグリとするパパ黒。

あれ地味に痛いんだよな…。

ていうか、何か気安い感じで話してるけど知り合いか?

 

『ああ、悪い。この小生意気な奴は轟燈矢。炎司…エンデヴァーの息子だ』

 

『痛てて、人の頭を何だと思ってんだ…小生意気は余計だよ甚爾のおっさん。そこの奴らっておっさんの子供?』

 

親指で燈矢君を指し示しながら紹介するパパ黒。

蟀谷がまだ痛いのか手で擦りながら私達を見たあと質問していた。

 

『そっちの黒髪は俺の息子の恵だが、緑髪の方は違う。まぁ色々あって修行をつけてんだ』

 

『え゛っ』

 

パパ黒が修行を付けていると言うと、本気で驚いた顔をしてこちらに駆け寄ってきた。

 

『大丈夫か?怪我してないか?このゴリラに虐待紛いの事されてねえか?』

 

『えっと、よくなげられますけど大丈夫です。いつか仕返ししてやります』

 

『お、おう…そっか。強いな…』

 

拳を作って軽くシャドーをすると、若干引いたような声をあげた。少し気になった事を序に聞いてみた。

 

『とうじおじさんはエンデヴァーと知り合いなんですか?』

 

『ああ、仕事で何回か顔を合わせたし協力してヴィランを制圧した事もある。燈矢はエンデヴァーに紹介されてな、ヒーロー活動で忙しいから訓練を見てやってくれと。個性の出力とかは俺には無理だから、体術とかを教えてやってる。それの報酬代わりに高い飯を奢らせてんだ』

 

『メキメキと強くなる感覚が自分でも分かるけど、容赦無くボコボコにすんのやめてくれない?個性の出力の調整も上手くなったけどさぁ』

 

正直、意外と言う他無かった。エンデヴァーと言えば事件解決数No.1のヒーローで、パパ黒の仕事と被る様なイメージが無いというのが正直な感想だ。

 

『エンデヴァーもボディーガードやってたの?』

 

『ああ。お父さん曰く、「オールマイトを超える為に様々な状況でも人々を守らねばならん」って一時期要人の護衛みたいな仕事もやってたんだよ』

 

『行く先々で顔を合わせるから自然と話をするようになってな。年齢の差はそこそこあったが、父親っていう共通点があったから割と話も弾んだし、エンデヴァー事務所のサイドキック達とも顔見知りだ』

 

話弾むんだな…正直な所、かなり意外だった。

 

『そこから何だかんだ言いながら家族ぐるみで関わる事になった。燈矢とかの体術を俺が見たり母親同士で買い物に行ったりとかな。最近は末っ子の焦凍の面倒も見てる』

 

『仲がいいんだね。ところでとうやお兄さんの個性もエンデヴァーとおなじなの?』

 

焦凍君も産まれていることが確認出来たので燈矢君の個性が原作と変わってないかを確認する。

 

『おう、と言ってもお父さんの炎とお母さんの氷結の耐性を受け継いでいるから、あまり高火力を出したら火傷しちまうんだよ。だから現状出せる火傷しない程度の火力を出してそれをキープして、徐々に温度を上げていく訓練をしてるんだ』

 

『静止した状態で出し続けるのは簡単だから、俺が攻撃を仕掛けても火力のブレが無いようにする訓練を主にやってるな。…そうだ燈矢、出久と戦ってやってくれよ』

 

パパ黒の突然の提案。

こちらとしてはありがたいが、燈矢君はどうなんだろう?

 

『はぁ?結構年離れてるし、怪我したらどうすんだよ』

 

『問題ない。俺とばかり組手してても変な癖が付くからな。お前は個性を使っても良いから』

 

頭を掻きながら渋々と従う燈矢君。

予想外の事態になったが私も準備運動は終えていたので、構えを取る。

 

『そうだな、ルールは目潰しや金的等の危険行為は無し。勝敗条件は…俺が見て判断するかな。なに、平等に見てやるから安心しろ。スタートはこの小銭が地面に落ちたらな』

 

勝負事になるとエンデヴァーの血を引いているからか、好戦的な笑みを浮かべて炎をチラつかせている。原作でもエンデヴァーをも超える程の熱を出し、赫灼をも使いこなせる位の才能の塊。

若いとはいえ、油断出来ない。

パパ黒がコインロールをしながらこちらを伺う。

 

『よし、行くぞ…』

 

キンッと高い音を響かせて小銭が空を飛んだ。

フィジギフで放つコイントスは下手すれば数分は降りてこないだろう。だが、そこはパパ黒(フィジギフゴリラ)

10秒程経過した頃、地面に落ちた。

 

『先手必勝!』

 

そう言いながら放つのは赤い炎。迫りくる炎とそれによる熱波を受けながら、私が選択したのは…投球。

 

『必殺水球(ウォータースライダー)!』

 

『マジかよッ!』

 

迫りくる炎に持っていた水球を全力投球。

念の為に持ってきておいて良かったが、残りの水球はパパ黒の近くに置いた鞄の中だ。

 

ジュッという消火された音がしたあと、辺りに水蒸気が発生した。

 

小さな子供()が一見普通のボールを投げたら、炎が掻き消された事で動揺している燈矢君。

その隙を逃さず、燈矢君の視界から消えるように発生した水蒸気を隠れ蓑にして移動する。

 

『消えたぁ?!』

 

右手を前に出して炎を放ったことにより、右脇腹がガラ空きに。

 

『フッ!』

 

放ったのはリバーブロー。

苦悶の表情を浮かべながら、その場でたたらを踏む燈矢君。

殴った箇所である腹に手を当てながら、こちらを見据える。

追撃を避ける為、距離をとる。

 

『痛ってぇ…増強系の個性か?にしては子供が出していい威力じゃねえだろ…』

 

『そいつは俺と同じだ』

 

燈矢君の独り言に反応したのはパパ黒。

その言葉に目を白黒させながら、疑問をぶつける。

 

『…は?つまり、おっさんと同じ完璧なフィジギフ?』

 

『そうだ。とは言え、まだ小せえし俺の…良くて1・2割位だと思うぞ』

 

そう言うと、燈矢君の目付きが変わる。

年下だと多少侮っていた目から、自分と同等位の敵を前にした目になった。

 

『悪い、少し見くびってたわ。ここからは…本気で行く!』

 

『はい!』

 

そこからは結構な激戦だった。

エンデヴァーとまではいかないが、赫灼の極意のように個性を()()()()()事が出来ていた。

ジェットバーンみたいな熱線やヘルスパイダーみたいな曲線、時にはバニシングの様に炎を拳に纏わせて接近戦を仕掛けてきたりと、中々苦戦した。

 

全距離を炎で対応してくるから、2月だというのに周囲に残り火が残留して夏みたいに暑くなってきた。

 

だが、熱が蓄積して身体機能に異常が出始めたのか、燈矢君の動きが徐々に鈍くなり格闘戦主軸になってきた。

 

こちらの土俵(格闘戦)に上がって来てくれたとは言え、エンデヴァーとパパ黒仕込みの格闘術は並大抵の物じゃない。

こちらはフィジギフと器用さで得た独学(前世の記憶)でどうにか付いて行っているが、やはり経験の差は覆せなかった。

 

最終的には体力が限界に来た私が、足が縺れて転んだ隙に組み伏せられて終了。

 

『はぁ~、キッツいなもう!おっさん、どんだけヤバイ修行させてんだよ!悪いな、立てるか?』

 

そう言いながら手を差し伸べてくれた燈矢君。

 

『ありがとう、とうやお兄さん』

 

手を借りて立ち上がる。

 

『燈矢は最初にリバーブローされたのが痛かったな。若干だが動きが鈍っていた。出久も初撃は問題無かったが、その後がジリ貧になったのが惜しかった。だが最初の水球の使い方は上手かったぞ』

 

『うん。ありがとう、とうじおじさん』

 

『ちくしょう、おっさんに教えてもらってる先輩としてカッコ付けたかったんだけどなー』

 

戦闘の総評を行ってくれたパパ黒。水球は1つは持っていたが戦闘中に鞄等から取り出して使うのは至難の技。ホルダーの様な物を作ってみるかな?

 

座って休憩していると、パパ黒が恵君に声を掛けた。

 

『さて、恵。これから調伏を行うぞ』

 

『黒と白のともだちを作るやつ?』

 

『そうそう、玉犬の友達を作ろうって事。でも、恵が強くないと駄目だからな。最初は俺が手伝ってやる』

 

そう言いながらパパ黒が取り出したのは赤い三節棍。

あれってヒロアカ版の游雲(ゆううん)か?

呪術廻戦では呪具として出てきていたが、この世界ではどういう立ち位置なのだろうか?

 

『とうじおじさん、それ何?』

 

『ん?こいつは游雲って言ってな、実家を出る時に慰謝料代わりに持って出て(掻っ払って)きた道具の内の1つだ。昔、外国で武者修行していた先祖…要は俺のひいひい…爺さんが持って帰って来たらしい。襲ってきた奴らの心をへし折る位のボコボコにして、持っていたコイツ(游雲)を手に入れたんだと』

 

『強盗を返り討ちにして、持ってた物を逆に強奪したのかよ…』

 

『それってサポートアイテムなの?』

 

襲撃者の持ち物だった游雲。原作(呪術廻戦)では術式効果が無い純粋な力の塊。故に使用者の膂力に左右される物だった。

 

『そんなんじゃ無いぞ。詳しくは知らねえが、襲撃者の故郷の由緒正しい武器なんだとよ。何でそんなモンを襲撃に使ったのかは知らねえ。コイツは使う人間の膂力…要は力で威力が増減する物だ』

 

『じゃあ、とうじおじさんが使えば強いけど僕が使えばそんなに強くないってこと?』

 

『そう言う事だ。出久の場合は俺と同じだからな、鍛えれば同じ位にはなるだろ』

 

全く同じ能力だった。でも呪具の概念が無いこの世界で、良く作れたな…。鋼の錬金術師の錬金術とか錬丹術とかで作られたのか?でもそんな描写(特殊な能力の付与)っぽいのは無かった筈だが…?

 

『さて、脱線したが恵。大蛇の影絵は出来るな?』

 

『うん、できる』

 

『よし、じゃあやっていくか。始まったら、離れとけよ一撃で沈める』

 

そう言うと、恵君の近くで待機するパパ黒。

恵君が左手の人差し指と中指で輪を作り、親指で下顎を表現した大蛇の影絵を作った。

 

『大蛇』

 

その名を唱えると、恵君から伸びた影からズズズッという音を立てながら巨大な蛇が出現した。

シャァァと蛇特有の威嚇行為を恵君に対して行うと、襲いかかる準備をしていた。

 

『悪いな、大蛇。実験させてもらう…!』

 

しかしそれを許すパパ黒では無い。

大蛇の死角から游雲を構え、飛ぶ。

そのまま横薙ぎに大蛇の頭目掛けて游雲を振り切った。

ドパァンと言う破裂音が起こり、大蛇を構成していた影が飛び散った。

 

『えぇ…』

 

『わぁ…』

 

『すごい…!』

 

上から順に燈矢君、私、恵君のリアクション。

軽く引き、フィジギフの強さを再認識して、純粋に父親の強さに目を輝かせている。

 

『恵、多分これで調伏出来たはずだ。やってみな』

 

『う、うん。大蛇』

 

三節棍を肩に担ぎながら、恵君に確認するように促すパパ黒。

先程と同じ様に大蛇の影絵を作り、呼び出す。

同じ様に出現したが、恵君に危害を加える様な素振りは見せず指示に従っている様だ。

 

『よし、成功だな。後は恵と出久で頑張ってみろ』

 

『うん。いずくん、おねがい』

 

『いいよ、恵くん』

 

実験に成功したことで、満足したようなパパ黒。

この後は他の式神達(魔虚羅以外)の調伏をやっていくことになった。

恵君の私への呼び名はいつの間にか『いずくん』になっていた。

 

 

4歳

4月◯日

 

あれから式神の種類を数体増やす事に成功した。

蝦蟇と鵺だ。調伏の舞台はもちろん瀬古戸岳。

 

蝦蟇は数体で出現し、長い舌による拘束が主だったがその強靭な脚力を活かした蹴りを放ってきた時は驚いた。

 

黒と白と私で撹乱して、隙を見て影から出てきた恵君の打撃と大蛇による締付でKO。

 

鵺は原作(呪術廻戦)で良く使われていた性能とあまり変わらなかった。

飛行能力と、電撃を纏っての突撃。

所謂ヒットアンドアウェイを繰り返して来たため、非常に倒しにくかった。

 

近くに生えていたツル植物を少し貰い、両端に手頃な石を括り付けてお馴染みになった即席ボーラを作成。

攻撃するために降りてくる瞬間を狙い投擲。

 

翼と足に絡みつき落下して飛行が困難な状況に陥ったので恵君達が突撃。ツルを引き千切ろうとしていたが、引っ張りに強い特徴があるので徒労に終わっていた。電撃を出して焼き切ろうとする前に袋叩きに遭っていた。

 

私達の体がまだ軽いので、乗せて飛んで貰う事も出来た。

利便性が良い2体を調伏出来たのは幸運だったな。

 

これから恵君と模擬戦をする予定だ。

場所はすっかりお馴染みになったいつもの場所(瀬古戸岳)

 

『行くよ』

 

『うん、良いよ』

 

そんな私達をギャラリーが見守る。

燈矢君繋がりで仲良くなった轟家と伏黒家、緑谷家だ。

休みが被る日を作り、エンデヴァーが休みをねじ込んだらしい。

 

『休みをねじ込んだって聞いたぜ?良い父親やってんじゃねえか』

 

『フン、サイドキック達が休みを取れと喧しかったからな。それにお前と同じ体質の奴に興味が湧いた』

 

パパ黒とエンデヴァーが立ったままこちらを見て、雑談していた。横目でチラリと確認して、家族同士で仲が良い事は事実なのだと改めて認識した。

 

母さんや優華さん、轟家の面子はレジャーシートを引いてその上に座り喋っていた。

 

何を話しているかまでは分からなかったが、楽しげにしているから良いか。

 

『いつもの通りのルールで行くぞ〜』

 

コインロールをしながら間延びした声で話すパパ黒。

勝敗条件はパパ黒の采配によるものになっていて、相手を組み伏せたり実戦だったら戦闘不能になる様なシチュエーションになった時にパパ黒が止めるようになっている。

 

私はパパ黒が懇意にしているサポートアイテム専門会社の試作品で貰ったという、可変型のトンファーを装備していた。

 

最初の感想は『ゲキトンファー?』だった。細かい部分は違うがまさしく()()だ。トンファーの持ち手を動かす事でロングバトンモード、繋げずに用いることでバトンモードになるとの事。…スーパー戦隊とかの概念ってあったっけ?コナンでは仮面ヤイバーが居たけども。取り敢えずの仮称はゲキトンファーでいこうかな。

 

特に目立った能力は無いものの、かなり頑丈に作ったとの事。

3つのモードを切り替えながら戦うのは至難の業だろうが、慣れていくしかない。

 

『んじゃ、よーい』

 

その言葉と共に、キンッと小銭が空を飛ぶ。

 

恵君は玉犬を出す構えを。

私はドラゴンボールの孫悟空が如意棒を使う時の様に構える。

 

十数秒が経った後、地面にコインが落ちた。

 

『玉犬、黒白!』

 

恵君の影から玉犬が飛び出し鋭い爪牙を向けて飛び掛かる。

左右にタイミングをずらして来る攻撃は、かなり面倒くさい。

 

最初に襲い掛かってきた黒をロングバトンを使って受け流し、その勢いのまま白に向かってフルスイング!

 

『ギャン!』

 

『白!』

 

丁度横っ面を引っ叩いた様で大きく吹き飛んだ白。

悲鳴を上げつつ吹き飛ぶが、直ぐ様体制を立て直し唸り声を上げる。相方がやられた怒りで突っ込んでくるかと思ったが、冷静な黒は間合いを見定める様に周囲を廻っている。

 

『ガゥ!』

 

黒が跳躍して噛み付きに来た。目の前にロングバトンを掲げ()()()の部分の辺りで受け止めて、その場で踏ん張る。その隙を見逃す白では無く、恵君と一緒に突っ込んできた。

 

私はロングバトンの中心の継ぎ目のギミックを発動。ロングバトンモードからバトンモードに切り替え、そのままバトンに齧りついたままの黒を白の方に投げ飛ばした。

勢いを付けて投げ飛ばした事で、バトンを黒の口から抜く事にも成功した。

 

突然飛んでくる相方に反応出来なかった白は、黒と激突し数メートル吹き飛ばされていた。

 

『黒!白!』

 

すき()を見せちゃだめだよ、恵くん』

 

黒と白の方に向いていた恵君だったが、私のいた方を向いても視界から私が消えていて驚いていた。

注意が玉犬達に向いた恵君の隙を付いて、背後に回り込んだ私はバトンモードにしたゲキトンファーを首筋に沿える。

トントンと首筋に触れさせると、パパ黒から戦闘終了の合図が。

 

『よし、それまで。恵は式神がピンチになると直ぐに気が逸れるな。恵が思っている以上に式神達は強いから、少しは信じてみろ』

 

『分かってる…』

 

『出久はその武器を自由自在に操れるようになれ。まだ少しぎこちなかったからな、試作品だから仕方ない所もあるが』

 

『はい、がんばります』

 

戦闘後は講評の時間。パパ黒は意外と細かい所も見てくれるのでありがたい。

 

『…流石だな、動きも良いが武器術に対する筋もある。将来ヒーローになれるような器だが、サポート専門に行くのか…惜しいな。恵君も鍛えれば強くなるだろうな』

 

『まぁ、人それぞれだからな〜』

 

燈矢君が近寄ってきた。

 

『お疲れ〜。相変わらずすげぇ動きだな、2人とも』

 

『燈矢お兄さん、ありがとうございます』

 

『ありがと、燈矢兄さん』

 

労いの言葉を掛けて貰いつつ、お礼を言う。

エンデヴァーがいる場所に行くと、威圧感のある声だが話しかけてくれた。

 

こいつ(甚爾)に虐待されたら直ぐに言えよ。張り倒してやるから』

 

『親子揃って俺を何だと思ってんだ、この野郎』

 

『ゴリラ』『脳筋』

 

『よぅし、良く言ったお前ら。そこに並べ』

 

拳を鳴らしながら轟親子に迫るパパ黒。

そこに声を掛けたのは母親達。

若干の威圧感を出していたので大人しく従っていた。

苦笑しながら付いていき、レジャーシートに座りお弁当を食べる事に。

 

『そういえば…甚爾。恵君の個性診断が終わった後、カウンセリング等の打診はあったか?』

 

『カウンセリングか?そんなモン無かった筈だが…何かあるのか?』

 

『どうしたの、あなた?』

 

妙な事を聞いたエンデヴァー。

冷さんがエンデヴァーに聞き返すと、その理由が語られた。

 

『最近、無資格で個性カウンセリングを行っている者がいるという噂が立っていてな。真偽は調査中だから何とも言えんが』

 

『傍迷惑な連中がいるんだな…被害は出てるのか?』

 

『いや、今の所は無い。だが、行動や性格を矯正しようとして人格を否定されたりする等の話が流れてきている。火のない所に煙は立たぬとは言うが…どうもきな臭い』

 

お茶を飲みお弁当に舌鼓をうちつつ、話を聞いていた。

…個性のカウンセリングか。

あの子(トガヒミコ)も受けていたよなぁ…。

助けられるなら助けたいが、何処に住んでいるか等の情報が無いんだよな…。

 




パパ黒とエンデヴァーの邂逅をどうしようかと散々悩みました。
初期案では殴り合いさせていたのですが、2人ともそこまで大人げない事も無いかと思い没にしました。
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