Infinite Stratos ~Without journey end~《終わり無き旅》 作:ぬっく~
「それでは、開会の挨拶を更識生徒会長からしてもらいます」
虚はそう言って、司会用のマイクスタンドから一歩下がる。
ちなみに俺は生徒会のメンバーなので、虚さんの後ろに整列していた。
「どうも、皆さん。今日は専用機持ちのタッグマッチトーナメントですが、試験内容は生徒全員にとっていい勉強になると思います。しっかりと最後まで見ていてください」
よどみなく澄んだ声、しっかりとした発音は、まるでひとつの美しい音楽のようであった。
相変わらず圧倒的な存在感を出している楯無さんだったが、この人が人気の理由はそれだけじゃなかった。
「では、お待ちかねの対戦表を発表します」
そう言って大型の空中投影ディスプレイが楯無の後ろに現れた。
「げえっ!」
そこに表示されたのは、第一試合、織斑一夏&更識簪VS篠ノ之箒&更識楯無だった。
◇
「なあ、簪」
「何?」
俺達は今、空の上にいる。
航時機で過去に戻って追ってを振り払ることに成功し、今後のことを話し合っていた。
「未来確変はあんまりしたくないからな、渡界機で飛べないか?」
エレンの開発品の一つになんとタイムマシーンがあったのだ。
だが、これを使用するにも膨大な魔力を消費するので、俺は使うことが出来なかったのだ。
「そうだね、じゃあ…………行こうか」
簪は渡界機を取り出す。
彼らが彼に会うまで、もうすぐだった。
◇
黛先輩が取材を終え、帰ろうとした時だった。
突如、地震が起きたかのように大きな揺れが襲った。
「なんだ!?」
廊下の電灯は全て赤に変わり、あちこちに浮かんでいたディスプレイが『非常事態警報発令』の文字を告げていた。
◇
「織斑先生!」
廊下を走っていた山田先生は、やっとのことで織斑先生を見つける。
「山田先生、状況は?」
「襲撃です!これを」
山田先生は携帯端末を取り出す。
そこには数秒前のアリーナ・カメラで確認された『敵』の姿だった。
「こいつは…………」
「はい!以前現れた無人機…………いえ、発展期だと思われます」
「数は?」
「五機です!各アリーナ上空から超高速降下によって出現、待機中だった専用機持ちの生徒が襲われています!」
山田先生の言葉を聞いて、織斑先生は顔を歪める。
「早すぎる…………。まだ『あいつ』は出せない…………」
「え?」
ぼっそりと呟きに、山田先生は反応する。
しかし、その独り言は思わず漏れてしまったというものらしく、織斑先生は口を閉ざした。
「各セクションの状況は?」
「前回と同じく、最高レベルでロックされています」
「教師は生徒の避難を優先しろ。同時にシステムアタックしてロックの解除もしろ!」
「了解です!」
山田先生は自分の機体を取りに格納庫へと走り出す。
「やってくれるな…………。だが、甘く見るなよ」
織斑先生の目には怒りの炎を宿す。
◇
「あ、あ…………あっ…………」
突然の襲撃に、未だISを展開できていない簪だった。
(なに…………これ…………?なん、なの……?)
恐怖。それが簪の思考を遮断していた。
「ひっ…………!?」
後ろに進み続けた足は、壁にぶつかり止まる。
震える目で一度確認して、ゆっくりと前に向く。
「------」
漆黒の無人機、『ゴーレムⅢ』が迫ってくる。
(たす……けて……)
目を閉じて、祈るようにただひたすら念じるだけしかできなかった。
こんな時にヒーローが来てくれたら、きっと助けに来てくれるに違いない。
「助けて!!織斑くん!!」
簪はヒーローを呼ぶかのように叫ぶ。
「呼んだか?」
ゆっくり伸ばされる、『ゴーレムⅢ』の左腕は簪に触れる瞬間、何かで切り落とされる。
「…………り、む…………ら…………く、ん…………?」
私服姿の一夏がそこにいた。
「新型の無人機か……なら、本気になってもいいよな?簪」
「いいんじゃない?一夏くん」
簪は振り向くと私服姿の自分がいた。
「え……?」
簪はわからかった。
「うんじゃ、行ってくる」
「早く帰って来てよね」
それを言い残して、一夏はISを展開する。
「行くぞ!刹那!!」
白き翼を生やすIS。
その姿はまるで天使のようにも見えた。