Infinite Stratos ~Without journey end~《終わり無き旅》 作:ぬっく~
「さて、と」
楯無と簪は破壊した防壁抜け出ると、軽やかに着地する。
「全校生徒の大体の避難は終わっていますし、大丈夫でしょう」
楯無は扇子を開くと、そこには「迎賓」と書かれていた。
お迎するのは、笑顔ではなく鉄拳ですが。
『侵入者。侵入者』
楯無の携帯電話が鳴り、画面を確認する。
学園のシステムから独立したカメラには敵影が映し出されていた。
簪は画面を確認する。
「これは、周囲の風景を撮影して表面投射する光学迷彩ですね」
(それにしても、システムダウンからこの短時間で特殊部隊が突入?)
システムダウンを起こしている勢力だったなら、ダウンと同時に突入、制圧がもっとも効率がいいのだ。
(常時監視されているってことね。まったく)
ここはIS学園である以前に女子校でもある。
「私はこっちの方を相手するから、
「了解」
簪は楯無を残して侵入者のもとへ向かう。
「さて、始めますか」
遠くまで真っ直ぐ続く廊下には、誰もいないはずなのに
「出てきなさい、侵入者さん」
短い音が鳴り、特殊合金製の弾丸が楯無に向かって飛んでくる。
しかし、それらは全て楯無に届かず目の前で止まった。
「!?」
「
実際は、あらかじめ『ミステリアス・レディ』のアクア・ナノマシーンを空中散布していたのだ。
通常兵器の弾丸程度なら、たやすく遮ることは可能なのだ。
「クリア・パッション」
楯無は親指を閉じると、大爆発が起こり廊下を飲み込んだ。
「ミステリアス・レディの『クリア・パッション』のお味は?」
ミステリアス・レディは本来、屋内戦闘を得意とした機体だった。
しかも相手は特殊部隊だと言えど、ただの人間。
ISに勝つことなど、ほぼ不可能に近い。
「うふふ、もっと遊ぼうか…………」
魔性の女が微笑む。
「エレンちゃん直伝。禁忌『フォーオブアカインド』」
制服姿にランスを装備した楯無が4人に分かれる。
「まあ、ミステリアス・レディの機能の応用なんだけどね」
エレンの禁忌「フォーオブアカインド」はほぼ完全分身だが、これはアクア・ナノマシンによって製造された水人形なのだ。
しかも、この水人形は…………
「どっかーん」
爆発機能付きなのだ。
しかも、水で出来ている為に銃弾も効かない。
「班長!このままでは…………」
「うわああああああ!?」
訓練された兵士、それも最高スペックの男たちは手も足も出せずやられていく。
「退け!退けーッ!」
これで16歳。
しかも機体も本人も本調子でないのにかかわらず、この有様なのだ。
「うふふふ♪」
炎の中で微笑む楯無。
200%、悪役だった。
◇
「…………」
上階の爆発音を聞きながら、女は一人真っ暗な通路を進んでいた。
IS学園地下特別区画に侵入して来たのは、米軍特殊部隊『
女はIS『ファング・クエイク』ステルス使用の能力試験型を纏っていた。
「…………」
隊長の目的は、先日の一件でIS学園に回収された未登録のコアだった。
あれを手に入れれば、ISの数を秘密裏に増やすことができる。
隊長はただ任務をこなす為に進む。
「…………?」
ファング・クエイクの浮遊による前進を停止する。
真っ暗な通路の先に、センサーはしっかりと人の姿を捉えていた。
「
「!?」
いきなり、短い言葉と共に氷の槍が飛んでくる。
派手な音を立てながら、影は隊長の後ろへと飛ぶ。
そして、次の瞬間通路全体の灯りがついた。
「更識楯無……?」
隊長は思わず呟く。
「いいえ、私は織斑簪」
ISスーツ姿の簪がそこにいた。
(織斑……?)
まず隊長が思ったのはそれだった。
織斑家は『ブリュンヒルデ』の織斑千冬、『男性操縦者』の織斑一夏の二名しかいないはずだった。
なのに彼女は織斑と名乗った。
「どうしたの?」
「……?」
「かかって来なさい。この先に進みたければ、私を倒しなさい」
簪は微笑む。
そこには圧倒的な強者の余裕があった。