Infinite Stratos ~Without journey end~《終わり無き旅》   作:ぬっく~

14 / 19
氷雷の魔女

「くっ!……」

 

ギィン!

 

もう何度目だろうか、簪の氷の槍がファング・クエイクの装甲を斬りつけるのは。

所々の装甲は破損している。

だが、氷の槍はまだ30本近く残っている。

 

「『氷槍弾雨』!!」

 

ピキィ、ピキィ、と、空中に新しい氷の槍を作り出しす。

ザアッと、殺伐とした戦場に全てを切り裂く音が鳴り響く。

 

「……ふざけるな」

 

痺れを切らしたのか『隊長』は口を開く。

いつもは冷静なその声が、苛立だっていた。

 

「うふふふ……」

 

なんだ、喋れるのかとばかりに簪はさらに挑発する。

 

「アメリカの特殊部隊って、随分と暇なんだね。こんな、極東の島国にある学園にわざわざやって来るなんて」

 

「…………」

 

「どうせ、目的は無人機の残骸――と『白式』でしょ?でも、残念だね。あれはすでに別の場所に置いて来たわ」

 

にやりと、薄く笑う簪。

『隊長』は奥歯を噛み締める。

 

「そこまでわかっているなら、通らせてもらう!」

 

「あなたにそれができるかしら?」

 

ひゅん、と、断罪の剣(エンシス・セクエンス)を振り、構える。

 

「並の人間だったら出来たかもしれないけど……」

 

刹那、飛び出すと同時に『氷雷龍』を展開する簪は素早くファング・クエイクを斬りつける。

 

「無駄だ……!」

 

「それはどうかな?」

 

装甲はバターのように斬られ、絶対防御までもが発動する。

 

「ばかな………!?」

 

予想外の攻撃に気を取られていた為に、簪の回し蹴りに反応できなかった。

 

「ッ!?」

 

重いISの装甲に、人間一人分の重量を壁に叩きつけ、簪は平然とした顔をしていた。

一方、『隊長』はますます焦りだしていた。

 

(レベルが違い過ぎる……)

 

まだ、一度もダメージを与えていない。

 

(まだ、()()()を使う訳にはいけない……)

 

それを使えば、勝てるかもしれないが、リスクがでかすぎる。

 

(無理に通るしか――)

 

それを考えさせないとばかりに、簪の氷が襲いかかって来る。

 

「どうしたのですか?米国人(ヤンキー)

 

「……黙れ、日本人(モンキー)

 

再び、戦いの火花が散る。

 

 

 

 

「それじゃあ、白式のデータを取るからね。展開してそのスキャナーの上に立ってちょうだい」

 

「あ、はい」

 

俺は頷いて、ヒカルノさんの言う通りにする。

ISをすっぽりと覆ってしまった光のリングは上下に交差し、各種のデータを取得していく。

 

「ハードの方からいくから、4番のケーブルをオンにして」

 

「はい」

 

流石に簪たちとあれこれと機体の調整をする内に、そのあたりの知識は身に付いていた。

俺は言葉に従い端子を開く。

 

「おーけえ、おーけえ~。そんじゃあイッてみようか!」

 

かちっと、ケーブルが差し込まれた。

 

 

バリリッ――!

 

 

「ッ……!!」

 

「ん?どうしたの?」

 

「いや、なんか……電流みたいのが走って来まして」

 

「んー?可笑しいな。ちょっとチェックするから」

 

「はぁ」

 

なんなんだろうと考えていると、ふと頭の中に声が響いた。

 

 

『……いちか……』

 

 

「え?」

 

「ん?」

 

俺とヒカルノさんはお互いにきょとんとする。

 

「今、プライベート・チャンネルを開いています?」

 

「いや、開いていないよ?」

 

「おっかしいなあ……」

 

あの感覚はプライベート・チャンネルのそれだった。

……と思う。

 

「それより出力調整をするから、それぞれのスラスターを5%刻みで上げて」

 

「はい」

 

とりあえず、今はデータの収集に集中することにした。

そう思い、俺は意識を切り替える。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。