Infinite Stratos ~Without journey end~《終わり無き旅》 作:ぬっく~
「くっ!……」
ギィン!
もう何度目だろうか、簪の氷の槍がファング・クエイクの装甲を斬りつけるのは。
所々の装甲は破損している。
だが、氷の槍はまだ30本近く残っている。
「『氷槍弾雨』!!」
ピキィ、ピキィ、と、空中に新しい氷の槍を作り出しす。
ザアッと、殺伐とした戦場に全てを切り裂く音が鳴り響く。
「……ふざけるな」
痺れを切らしたのか『隊長』は口を開く。
いつもは冷静なその声が、苛立だっていた。
「うふふふ……」
なんだ、喋れるのかとばかりに簪はさらに挑発する。
「アメリカの特殊部隊って、随分と暇なんだね。こんな、極東の島国にある学園にわざわざやって来るなんて」
「…………」
「どうせ、目的は無人機の残骸――と『白式』でしょ?でも、残念だね。あれはすでに別の場所に置いて来たわ」
にやりと、薄く笑う簪。
『隊長』は奥歯を噛み締める。
「そこまでわかっているなら、通らせてもらう!」
「あなたにそれができるかしら?」
ひゅん、と、
「並の人間だったら出来たかもしれないけど……」
刹那、飛び出すと同時に『氷雷龍』を展開する簪は素早くファング・クエイクを斬りつける。
「無駄だ……!」
「それはどうかな?」
装甲はバターのように斬られ、絶対防御までもが発動する。
「ばかな………!?」
予想外の攻撃に気を取られていた為に、簪の回し蹴りに反応できなかった。
「ッ!?」
重いISの装甲に、人間一人分の重量を壁に叩きつけ、簪は平然とした顔をしていた。
一方、『隊長』はますます焦りだしていた。
(レベルが違い過ぎる……)
まだ、一度もダメージを与えていない。
(まだ、
それを使えば、勝てるかもしれないが、リスクがでかすぎる。
(無理に通るしか――)
それを考えさせないとばかりに、簪の氷が襲いかかって来る。
「どうしたのですか?
「……黙れ、
再び、戦いの火花が散る。
◇
「それじゃあ、白式のデータを取るからね。展開してそのスキャナーの上に立ってちょうだい」
「あ、はい」
俺は頷いて、ヒカルノさんの言う通りにする。
ISをすっぽりと覆ってしまった光のリングは上下に交差し、各種のデータを取得していく。
「ハードの方からいくから、4番のケーブルをオンにして」
「はい」
流石に簪たちとあれこれと機体の調整をする内に、そのあたりの知識は身に付いていた。
俺は言葉に従い端子を開く。
「おーけえ、おーけえ~。そんじゃあイッてみようか!」
かちっと、ケーブルが差し込まれた。
バリリッ――!
「ッ……!!」
「ん?どうしたの?」
「いや、なんか……電流みたいのが走って来まして」
「んー?可笑しいな。ちょっとチェックするから」
「はぁ」
なんなんだろうと考えていると、ふと頭の中に声が響いた。
『……いちか……』
「え?」
「ん?」
俺とヒカルノさんはお互いにきょとんとする。
「今、プライベート・チャンネルを開いています?」
「いや、開いていないよ?」
「おっかしいなあ……」
あの感覚はプライベート・チャンネルのそれだった。
……と思う。
「それより出力調整をするから、それぞれのスラスターを5%刻みで上げて」
「はい」
とりあえず、今はデータの収集に集中することにした。
そう思い、俺は意識を切り替える。