Infinite Stratos ~Without journey end~《終わり無き旅》   作:ぬっく~

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解決

研究室でデータ収集が一通り終わった一夏は、ISを展開(オープン)状態のまま装備解除をして椅子にかけていた。

 

「もうすぐ終わるからね。はい、コーヒー」

 

「あ、どうも」

 

ヒカルノが持ってきたコーヒーを受け取った一夏は、それを一口すする。

苦い、大人のビターが舌を響かせた。

 

 

……一夏。

 

 

「あ……」

 

確実に聞こえた。

そう確信した一夏は、コーヒーを放り捨てて白式に飛び乗った。

 

「お、おいおい、織斑くん!?」

 

「すみません、俺、今すぐ学園に戻ります!」

 

「は、はい? ちょっとそういうのはお姉さん、困っちゃうんだけ……」

 

「正面、ぶち抜きますんで!」

 

「のわああだ!?」

 

荷電粒子砲を展開し、一夏は宣言通り正面の壁を吹き飛ばす。

 

「それじゃあ!」

 

風穴から飛び出した一夏は瞬時加速(イグニッション・ブースト)で飛び立つ。

あっという間にその姿小さくなり、見えなくなった。

 

「無茶するなあ……」

 

けほっ、けほっ、と埃の舞う研究室でヒカルノが呟く。

 

「でもまあ、若さかねえ」

 

ふうっとため息をついて首を振る。

だが、その口元は妖しい笑みを浮かべていた。

 

「必要なデータは取れたから、もういいよ。織斑一夏くん」

 

にやりと。その目は空の向こう側を見ている。

 

「これではじめられる。()()()()()()()()()を……」

 

 

 

 

連続の瞬時加速でIS学園にたどり着くまで30分とかからなかった。

 

(呼んでいる。誰かが呼んでるんだ……!)

 

俺を。

それならば、行かねばならない。

()()()()()()()()()()()

 

「!?」

 

白式のセンサーが何かの反応を捉える。

 

「あれは……」

 

学園の渡り廊下、黒いアサルトスーツを着た男たちに運ばれているのは楯無さんだった。

 

「その人を―――」

 

瞬時加速。意識を一点に集中する。

 

「離せぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

突撃と同時に男たちを振り払い、楯無さんを確保する。そのまま俺は真下の地面に荷電粒子砲を撃って視界を奪う。

 

「らああああああっ!」

 

一蹴。

その一撃で6人の男たちをまとめて壁に叩きつけた。

 

「楯無さんっ! 楯無さんっ!?」

 

俺は必死で名前を叫ぶ。生態反応があるからしんでいない。しかし、楯無さんは目を覚まさない。

 

「楯無さんっ!」

 

俺が一際強く名前を叫ぶと、やっとその瞼が開いた。

 

「ん……。いち、か……くん……?」

 

何かしらの薬物だろうか。その瞳はとろんとして、なんだか眠り姫のようだ。

 

「大丈夫ですか? すぐに医務室へ連れて行きますから!」

 

「私は……大丈夫。それより……この場所に行って。皆が危ない。早く!」

 

「わかりました!」

 

俺は受け取った位置データを元に、校舎の廊下をフル・ブーストで飛翔する。

指定された場所は真っ白な部屋で、眠っている箒たちと、うろたえる簪がいた。

 

「あ……。一夏」

 

「簪?」

 

俺は簪の指示でほうきたちのいる部屋の空いたベッドチェアに体に預ける。

 

『現在、IS学園は何者かのハッキングによって無力化されています。コントロールを奪還すべく電脳世界に進入した箒たちも、同様に何かしらの攻撃を受けて目覚めることができません』

 

「わからないけど……わかった!」

 

俺は電脳世界へと旅立った。

 

 

    ◇

 

 

鈴、セシリア、シャル、ラウラ、箒の順に救出し、残りは未来の俺だけだった。

俺のいるドアだけはロックがかかっていたが、箒たちを救出した後は何故かロックが解けていたのだ。

俺は覚悟を決め……開ける。

開けた瞬間、俺は光に飲み込まれた。

 

「っ……!」

 

光が収まるとそこは教室だった。それも中学の……

 

「弾……鈴……」

 

制服を着た弾と鈴……そして俺が教室に入って来る。

 

「織斑先生……」

 

俺は制服を着た俺に触れるが、通り過ぎてしまう。

何度もやるが、触れることができない。

 

「これは、本体ではないのか?」

 

箒たちとは違い、本体が別の所にいるのだと分かる。

 

「おーい。SHRを始めるぞ」

 

中学の担任が入って来て、SHRが始める。

俺は思わず後ろに下がってしまった。

 

「っとその前に、転入生を紹介するぞ。男ども喜べ。転入生は女子だぁ!」

 

「おおおおおおっ!!」

 

流石は男子、っと言える所はこのクラスのごく当たり前の風景だった。しかし、鈴のいる時に中学に転入生が来たことは……特に俺たちの教室に来たとは聞いたことはない。

入って来た女子生徒に見覚えがあった。現実世界の俺たちのクラスにいるエレンと全く同じ顔をしていたのだ。

 

「エレン・橘です」

 

男子どもは喚く。

しかし、そこで画面が切り替わったかのように、場所が変わる。

次は屋上だった。そこには俺とエレンがいた。

 

「俺はエレンが好きだ。俺と……付き合ってくれ!!」

 

何故か俺はエレンに告白していた。

エレンは笑顔でその返事をする。

 

「はい! 喜んで」

 

一発オッケーで成功したのだ。経緯は分からないが俺はエレンの事が好きになってしまったのだろう。

そして、また切り替わる。

次は何処かの倉庫だった。近くから音が聞こえ、そこに向かうと嬲殺しにあっている俺がいた。

 

「なにやっているんだぁ!!」

 

俺は思わず男たちに殴りかかるが、通り過ぎてしまう。

ここは現実ではないことを思い返す。

 

「一夏ぁ!!」

 

そこに現れたのエレンだった。

今の俺でも分かる。これは怒りだ。

エレンの背後から巨大なドクロが現れ、次々と男たちを切り殺す。

ISすらもいとも簡単に破壊したが、倉庫にあった燃料に引火してしまい燃え出す。

 

「一夏……」

 

嬲殺しになった俺の元のにエレンが近寄る。

そして……

 

「ごめんね……。私は…楽しかった。一夏くんに出会えて……だから、勝手なお願いかもしれないけど……生きて」

 

エレンは何かを唱える。

 

「Acta est fabula」

 

次に映し出された場所は病院。

そこには俺が寝ている。近くには千冬姉がいた。

 

「これは……もしかして……」

 

こんな歴史は俺は知らない。だとすれば、これは、あの人の……

 

「そうだ。これは俺の記憶だ」

 

「!?」

 

背後に誰かがいることに気付き、俺は振り向く。

そこには、優雅にティータイムをする織斑先生がいた。

 

「これが、織斑先生の記憶……」

 

「全ての始まりはエレンとの出会いだった。だが、俺は後悔はしていない」

 

織斑先生は立ち上がり、奥を指差す。

 

「お前が目指している物はあそこにある」

 

そこには扉があった。

織斑先生は俺の肩を叩きく。

 

「頑張れよ」

 

そう言い残して、消えてしまった。

俺はその扉を潜り抜ける。

 

 

    ◇

 

 

「おかえり、一夏」

 

「ああ」

 

電脳世界から戻ると最初に待っていたのは簪だった。

 

「パパ!」

 

「おっと!」

 

その後にエレンが俺に抱き着き、満面の笑顔を見せる。

俺はそのエレンの頭を撫でる。

 

「えへへ」

 

「ただいま、エレン」

 

その後は目覚めない一夏を巡って口論があったり、鈴が千冬の腹に目掛けてライダーキックをするなどの、事件があった。

IS学園へのハッキングが終わり、俺たちは宿舎に戻っていた。

 

「簪。今、どれぐらい溜まっているのだ?」

 

「80%弱だよ。転移は可能」

 

「そうか……」

 

あんまり長居はしたくは無いので、そろそろこの世界からおさらばすることを考えていた。

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