茶会の付き人~転生トリニティ生によるブルアカ生活、何かオレたちの知ってるのと色々違わなぁい?~   作:新米ユーリ/神座/DMP

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恨みは火よりも恐ろしい

 決闘騒動から二週間が立ち、オレは無事に退院することが出来た。

 それまでの間に何があったかというと、オレの所に色々な人たちが見舞に来てくれた。

 ナギサがミキを連れて果物の差し入れを持ってきてくれたり、ツルギとハスミのコンビが顔を出しに来てくれたり。

 ミカは一人で課題だったりお菓子の差し入れを持ってきてくれて、ナギサ達と来れば四人で小さなお茶会をした。

 こんなこともあって、残りの入院中は退屈な目に合うことはなかったんだ。

 それで、今は何をしてるかというと──。

 

「いいですかハオさん。そのまま直進です!」

「なあこれって本当にしょっ引かれねぇんだよな!?」

「問題ありません! 作戦中のやむを得なかったことにできますから!」

「信じるからな!?」

 

 ハスミとタンデムしながら、強盗犯を追いかけてる。オレ達二人ともノーヘルで。

 事の発端はトリニティの四番ストリートで起きた強盗事件だった。

 襲われたのはとあるスイーツ店。そこにヘルメット団が強盗で押し入って、人質を取って立てこもり、身代金と逃走用の車を要求してきた。

 

 普通の正実なら時間稼ぎをして別動隊で叩くってやり方を取ってるが、今回は相手が少し上手かった。

 リュックいっぱいとバックいっぱいの爆薬を持ち込んできたことが原因で、迂闊に手を出せなくさせた。

 普通の爆発ならそこまで気にしないが、人質への大怪我と周辺へ出る被害がバカにならない量を持ってこられると話が違ってくる。

 正実はひとまず要望を呑むしかなく、相手に気づかれないように包囲網を敷くことにした。

 ただ、相手のドラテクが思いのほかにも上手かったせいでスムーズにはいかなかった。

 そんなタイミングでオレが他のスイーツ店でくつろいでいたら、車を追ってたハスミに捕まり、バイクで追うことになったわけだ。

 要するに相手を網にかけるための誘導役だ。

 

(誘導役っつてもな、どうやるんだよ……)

 

 追っかけてはいるが、具体的には何をすればいいのかは分からない。

 そんなこんなでまだ遠くではあるが、前方に強盗犯が乗っている中型トラックが見えてきた。

 前世の記憶にある自衛隊が乗ってるトラックだ。分厚いビニールシート製の風よけがついてる荷台にヘルメットを被った集団の姿も見えた。

 

「ここまで距離が縮まれば──!」

 

 後ろのハスミが自分の狙撃銃「インペイルメント」を構えた。

 

「ちょっ、おい! 何すんだよハスミ!?」

 

 いきなりの行動に驚いて思わずハンドルがぶれそうになるが、根性でどうにか耐える。

 視界の端に「インペイルメント」の銃身がちらつく。

 

「この距離なら有効範囲内です。こちらからの攻撃で向こうの動きを誘導します」

「だからってバイクの上で撃とうとすんなよ!?」

 

 平然としているハスミに思わず声が荒げた。

 オレ自身もバイクに乗ったまま撃ったりするが、それをやるのはあくまでバイクに乗ったまま相手集団に突撃したあとにする。しかもオレの銃はSMGだ。最初から弾はバラけるのが前提だからバラ蒔いても問題はあまりない。

 でもハスミの銃は狙撃銃だ。正確性が求められる以上、不安定な車上で撃つようなものじゃない。

 

「大丈夫です。外しません」

 

 そんなオレの不安など知らないと言わんばかりに、インペイルメントが火を噴いた。

 繰り返されること計4発。弾は見事に荷台に命中して、オレから見て正面のビニールシートが外れた結果、ヘルメット団の奴ら以外に人質になっている生徒たちの姿も見えてきた。

 

(おいおい、マジかよ……)

 

 見えた人質の姿に思わず困惑した。

 人質は三人いた。一人は普通の制服を着たトリニティの一般生徒、残りの二人は修道服を着た生徒だった。

 

(なんでシスターフッドのやつらが捕まってんだよ……)

「ッ! ハオさん!」

 

 思わぬ人質に困惑していると後ろのハスミがベシベシとオレの背中を叩いてきた。痛いからやめてくれ。

 

「ん? なんだ?」

 

 視線をヘルメット団の方へ戻すと、あいつ等がグレネードランチャーを構えて照準を合わせていた。

 

「げッ!? 嘘だろ!?」

 

 オレがハンドルを切ったのは、向こうがグレネードを撃つのと同時だった。

 幸いにも急ハンドルが間に合ったおかげで、オレ達はグレネードの餌食にはならなかったが、焼夷弾を使われたせいで道は燃え盛り、完全に通行止めだ。

 

「マジかよ、街中で焼夷弾ブッパはヤバいだろ……」

「やられました。まさかこんな振り切り方をしてくるなんて」

「ツルギたちに報告しないと拙いな。街中でこれ以上焼夷弾をぶっ放されたら自治区内が火の海だぞ」

 

 ヘルメット団の蛮行に思わず身の毛がよだった。

 持っている爆薬との合わせ技なんてされた日には、トリニティ自治区内が地獄絵図になりかねない。

 

「ツルギには私から報告します」

「オレはミカたちの確認だな」

 

 そうしてオレ達が互いにスマホを取り出そうとした時だった、オレが違和感に気づいたのは。

 

「……あれっ?」

 

 妙にポケットが軽かった。

 

「……ない?」

 

 上着をまさぐっても無い。

 

「どこだ?」

 

 オレのスマホが姿を消していた。服のどこを探しても全然見当たらない。

 辺りを見渡しても、影も形もなかった。

 そんな時だった。

 

「ん? なんか妙に臭くないか?」

 

 硝煙の匂いとも違う悪臭が、オレの鼻孔に届いた。

 こう、プラスチックとか回路の部品が燃えているような悪臭だ。

 その匂いはオレたちを塞いでいる火の壁からしていた。

 

「ん? ……は?」

 

 火の壁を見やると、そこには何か小さなものが中にあった。

 薄い長方形の物体だ。

 それを見て、気づいてしまった。

 

「嫌ぁァァァァァァ―!?」

 

 思わず恐怖の絶叫が飛び出した。

 それこそブチ切れたナギサに雷落されたときよりもデカい声が出たと思う。

 オレの……オレのスマホが、炎の中に突っ込んでやがる……。

 

 


 

 

「おい、変な気を起こすんじゃないぞ。その顔に酷い傷が残ることになるからな」

 

 どうして、こんなことになってしまったのだろう。

 縛られたままトラックの荷台で揺れながら、私──歌住サクラコはそんなことを思っていました。

 友人とただスイーツを食べに来ただけなのに、気づけば強盗に巻き込まれ、人質となって誘拐されてしまうなんて。

 目の前には私たちを誘拐したヘルメット団の方が、私たちが逃げ出さないために監視の目を光らせていました。

 人質の数は私を含めて三人。

 そのうちの一人は普通の制服を着ている方で、荒事に慣れていないのか怯えて泣きかけていました。

 可哀想に、今すぐ寄り添って言葉をかけてあげたい。

 

(しかし、動いて相手の地雷を踏めば、彼女をより傷つけてしまう)

 

 自分の不甲斐無さが嫌になってしまう。今は唇を噛みしめるしかありませんでした。

 

「こっんの外道! いきなり何すんのよ! こんな無茶苦茶やって、どうなるのか分かってんでしょうね!」

 

 そんな私とは逆に、彼女は──友人である西塔アキナは怯えず毅然としたヘルメット団に向かっていました。

 綺麗な金髪と丸眼鏡が与える大人しそうな印象とは裏腹に、彼女の肝は据わっています

 恐らくどれだけ刺激していいのか、その境目を見極めようとしているようです。

 

「り、リーダー!」

「何だ! どうした?」

 

 そんな時、運転席から困惑した運転手の声が聞こえてきました。

 リーダーらしき方は私たちから目を離して、運転席の方へ行きました。

 

「追手です!」

「正義実現委員会か!」

「いや、それが……」

「なんだ?」

「さっき撒いたバイクが、物凄い速度で」

「たかがバイクだ。少し弾をばら蒔けば撒けれる」

「いや、それが……もう真後ろにつかれてます」

「は?」

 

 運転手からの話を聞いて、リーダーの方も顔に困惑を浮かべました。

 どうやら、相手の方々も想定していなかったことの様です。

 

(もう後ろにいるのですか?)

 

 正直に言って、盗み聴いている私も耳を疑いました。

 バイクが追ってきているのは外からの音で分かっていました。

 しかし、追い払って今はそれなりの距離を進んでいます。しかも、焼夷弾を使ったことで道も塞いでいました。

 それをこんな短時間で詰めることができるのでしょうか? 

 そんな疑問を思っていた時でした。

 

 

 

 

 

 

「よう、ろくでなし共」

 

 

 

 

 

 

 まるで地獄の底から聞こえてきそうな、暗く重い声が私たちの後ろから聞こえてきたのです。

 

「だ、誰だ!?」

 

 その声にリーダーの方は跳ねるように振り返り、私もそれに釣られるように後ろを振り返りました。

 

「誰? そりゃお前、テメェらを地獄送りにする案内役に決まってんだろ!」

 

 そこにはあまりにも凶悪な笑顔を浮かべた、黒髪の生徒が冷たい眼差しで佇んでいました。

 






投稿遅くなってごめんなさぁーい!
二か月も書けなくて本当に申し訳ない。
どうかこれからも感想や高評価などで応援よろしくお願いします!

ストーリーは決闘が終わり、無事退院もできたハオにはやっぱりトラブルが舞い込んできました。
哀れなヘルメット団がどうなってしまうのか、次回をお楽しみに。
そして今回はわずかですがサクラコ様登場です。

彼女の周りもハオが知っているものとは結構違うものになっています。
その一つが一緒に出てきたアキナちゃんです
↓アキナちゃんのイメージ

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