茶会の付き人~転生トリニティ生によるブルアカ生活、何かオレたちの知ってるのと色々違わなぁい?~ 作:新米ユーリ/神座/DMP
大事な情報を持たない転生者はかなりハードじゃないかって思うんだ。Re:start.
オレは焔羽ハオ。トリニティ自治区の中学校に通う顔がちょっとイケメンなことに自信のある、何処にでもいる普通の女子学生だ。
…………いや、訂正する。正確に言うと少し前までは何処にでもいる女子中学生だったが、不運なことに散歩中スケバンに目を付けられたせいでカツアゲを食らいそうになり、銃撃戦をやった挙句50人以上はいるだろうスケバンの群れと廃墟群で追いかけっこの真っ最中だ。流石にこんな事になってる奴は『普通』じゃない。
「いたぞ! 追えェェェ!」
オレを追っているスケバン共の足音とリーダー格らしい生徒の怒号が背後から聞こえてくる。
(うげっ! どんだけいるんだよ!?)
横目で背後を見るとアサルトライフルやミニガン、ショットガン等etc.──色々な銃を持ったスケバンの群れが迫ってきていた。
オレにも愛銃であるサブマシンガンやグレネードがあるが、物量の差が大きすぎてこっちの物資が無くなるのが目に見えてる。
もはやオレには選択肢すら残っていない。取れる行動は逃走のみ。
だから駆ける。
暗闇の中を駆け抜ける。
街頭すらない廃墟の群れを、月の明かりを頼りに突っ走る。
(ああもう! んでこんなことになんだよ!)
オレ自身が置かれてる状況に腹が立つ。
一つはスケバンに標的にされた挙句、大量の仲間を引き連れて追いかけまわされていることに。
(しかもよりにもよって……!)
そしてもう一つ。
「なんで一番重要な記憶が欠けてんだよぉぉぉぉぉ!!」
ついさっきまでしていた銃撃戦の負傷でオレ自身が転生者であることを自覚した事と、それによって前世の記憶が蘇ったがその中で一番大切な記憶を穴だらけになっていることだ。
(マジでふざけんな! これは流石に悪趣味すぎるだろ!)
何言ってんだコイツなんて思われるだろうが、本当だ。平和な世界で普通に暮らしてたら、信号無視した車に突っ込まれてデッドエンド。そうして第二の生がスタートして、それなりに過ごしてたら前世の記憶がカムバック。お約束なやつだ。
もしも転生とかに神様的な上位存在がいるとしたら、そいつはとびきりの性悪野郎だ。
不満はいくらでも出てくるが、まず記憶を取り戻すタイミングが最悪だ。
スケバン共との銃撃戦でオレは引きながら戦っていた。それで逃げ切れることが出来ればよかったが、相手の数が多いせいで撒くことができなかった。
そんな状態から逃れるために屋根伝いで移動することにしたがこれで少し失敗した。
相手の直線的な銃撃だけに意識が向いてたせいで曲射打ちしてたグレネードが直撃し、地面に叩き落され、車田落ち*1もかくやって感じで見事に顔面から叩き付けられた。
その激しい衝撃によってか、オレの頭の中に記憶が蘇って来た。
それはオレが今生きている世界が前世で楽しんでた物語と同じ世界であること。
物語の名はブルーアーカイブ。通称ブルアカと呼ばれるその物語は学園都市キヴォトスを舞台に様々な少女たちが繰り広げる青春の物語だ。
ただ重火器だったり戦車だったりといった兵器とかが出てくるミリタリー色のある作品でもある。
そういうのもあり「美少女ゲームの皮をかぶったG○A」だとか「きららGT○」だとか言われたりもする。
だが、この戻って来た記憶にも問題があった。
記憶の中には物語の登場キャラ達の容姿や好みの情報があった。ただそれだけだ。
(なんでメインストーリーの詳細が思い出せねぇんだよ……!)
どういうわけか作品の目玉であるメインストーリーについての記憶だけがオレの中で穴だらけになっている。
こうなっては自分が転生者である自覚も必要なのか分からない。しかも前世であった黒歴史と言える出来事の記憶はしっかりと蘇っているのだから、頭の片隅で嫌な気持ちが反芻している。これじゃあ
「止まれ!」
「げっ……!」
走りながら思い耽っていると、いつも間にか先回りをされたのか、前方方向をスケバンたちが封鎖していた。
見事なミニガンを射線を向けていて、ここは通さないと言わんばかりに立ち塞がっている。
「めんどくせぇな!」
オレはすぐさま懐からグレネードを取り出すと、ピンを抜いて前方へ投げつけ、片腕で目を隠す。
──バンッ!
「どあぁ!?」
「目がっ……! 目がぁぁぁぁあっ!!」
(耳がヤベェ……!)
スタングレネードの激しい閃光と轟音がスケバン共を襲う。
オレ自身も耳に痛みを感じるが、このまま前へ突っ切るならスタングレネードで行動不能した方が手っ取り早い。
(さらにもう一発!)
悶えて意味を無くしたスケバンバリケードを通り抜けながら、今度は普通のグレネードを落していく。
「馬鹿離れろ!」
「退避ィ!?」
──ドォオォン!
当然、ピンは抜いている。
(へっ、ちっちぇな)
背後の爆風と爆撃音を感じながら、心の中でオレはほくそ笑む。
明かりのない夜に人が集まっているから、どうあがいても小物は必ず見落とす。
動けなくなった奴らとそいつらを助けようとする奴らの両方を嵌めるこのやり方は今みたいな状態なら凄く刺さる。
そもそも因縁を吹っ掛けてきたのは向こうだ、目潰し爆撃をされても是非もない。
(さてと……どうやって帰っかな……)
爆破で相手戦力の一部は動けなくなっているはずだが、あくまで一部。無事な面々で追ってくるのは目に見えている。
『~~♪ ~~♪ ~~♪ ~~♪ ~~♪ ~~♪ ~~♪』
「はいはいはい!」
頭を悩ませていると、ポケットに突っ込んでいたスマホが着信音を吐き出した。
走りながらのスマホ操作でおぼつかないながらも、急いで取り出して着信に出る。
「はいはいもしもし?」
『やっと出た! ちょっとハーちゃん! 今どこにいるの? 寮長の子がハーちゃんがいないって連絡くれたんだけど』
「み、ミカぁ!?」
まさかの通話相手に、オレの口から思わず変な声が出た。
スマホから聞こえてきたのは今世での十年来の幼馴染の声だった。
(オワアァ! 今一番知られたくねぇ相手からかかって来たぁ!?)
慌てて通話先を確認すると、画面にはしっかりと『我がままお姫様』と連絡先の名前が表記されていた。
電話がかかったらまず連絡先を確認するべきだったが、後悔してももう遅い。
「あー、わりぃ。ちょっと散歩してたらさ、思いのほか遠くまで行っちまってさ? 時間見てなかったな。今帰ってる途中だからさ、寮長に言っといてくれねぇか?」
できる限り声に焦りを出さないように心掛ける。今のオレが置かれてる状況がバレると後々面倒なことになりかねない。
(今はくんなよスケバン共……!)
オレには今、ただ祈ることしかできない。幸いにも今は背後からスケバン共の声も足音も聞こえないが、いつまた追い付いてくるのか分かったもんじゃない。
「いたぞぉ! いたぞおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
(……お、終わった…………)
だが残念なことにオレの祈りは無惨に散った。
背後から聞こえたのはスケバン共がオレを見つけた合図。そしておびただしい足音の群れが近づいてきた。
『ちょっとハオさん! 今の声は何ですか! また何処かで喧嘩なんかしていないでしょうね!』
「ゲッ、ナギもそこにいんのかよ!」
軽く絶望していると、スマホから別の声が聞こえてきた。声の主はまた別の幼馴染だ。
しかもどうやらスマホのマイクはさっきの音をしっかりと拾っていたらしい。マイクが高性能なのはいいが、今の状況だと余計なお世話だ。
『ハぁオぉさぁん!』
「ちょっと待てよ、ナギ! 説教は帰ったら受けてやるから今は待ってくれ!」
『お待ちなさい! まだ話は──!』
オレは話が終わる前に通話を切った。多分だが、言われる内容は帰った後にするだろう
途中で通話を切ったこともその時に謝ればいいはずだ。悪いとは思ってる。
「撃てェェ!」
「オワアァ!?」
背後から物凄い弾丸の雨が降りかかって来た。恐らくだが、ミニガンを持った奴らが一気に撃ち始めたみたいだ。
弾はバラけてるが、一部が掠って流石に痛い。
(ああったく、めんどくせぇ……あの数相手にプラスしてタイムトライアルとかふざけんな……!)
横目で元凶である背後のスケバン共を睨みながら、オレは夜を駆けて行く。
少しでも早く帰って、幼馴染から落ちるだろう雷が少しでも小さくなることを願って。
「ああもう! どうしてこうなんだよォォ!」
それと今日オレの身に起きた諸々を思いっきり呪いながら、ヤケクソに叫んだ。
ハオちゃんのプロフィール(ただし原作開始時のもの)
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・学園:トリニティ総合学園
・所属:無所属
・学年:3年生
・年齢:17歳
・身長:170cm
・誕生日:6月18日
・CV:高山みなみ
・容姿イメージ
【挿絵表示】
↑ミカたちから連絡が来て青ざめてるハオ。
因みにぺったんこです。まな板です。
※画像はキラキラ鰤メーカーにて作成しました
まずここまで読んでいただいた読者の皆様、まことにありがとうございます。
今回、このようなことを行った理由についてですが、自分で書いていたものを改めて読んでみると、もう少し別の書き方があったかもと思いました。
そこで少しずつ整理した物を上げていこうと思います。
整理したものを上げたら前のやつは消しますが、あくまでメインになる話の流れは変わりませんのでご安心ください。