茶会の付き人~転生トリニティ生によるブルアカ生活、何かオレたちの知ってるのと色々違わなぁい?~   作:新米ユーリ/神座/DMP

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メアーズレッグってかっこいいよね。
銃身とストックを切り詰めたレバーアクション式ライフル
近代化されたやつに一目惚れですよ。



ゴーストライダーと乙女趣味

 正義実現委員会──通称『正実』はトリニティ総合学園の委員会の一つであり、学園内外を問わずトリニティ自治区における違反行為を取り締まる治安維持活動を担っている組織である。

 通常の制服とは異なる黒色の制服に身を包む彼女たちは、平和と法の守護者であり、制服の黒の様に何物にも染まらない強い意志を持った者たちなのだ。

 そのはずなんだけど──。

 

「ツルギちゃんファイト―!」

「はーちゃん、やっちゃえー!」

「貴方なら勝てますよ! ツルギ!」

「お嬢様、お紅茶です」

「ふふ、ありがとうございます。ミキさん」

 

 そんな精鋭たちがどんちゃん騒ぎしてるのは何で? 

 なーんで皆ノリノリなの? ミカたちに関しては折り畳み式のテーブルに椅子まで持ってきて優雅にお茶してるし。

 あとハスミちゃんさ、ちょっと激情型なのは分かってるけどここでもノリノリなの? 

 

「もおぉ、なんなんだよぉ……!」

「すまない、私も気づかない内に事が大きくなっていた」

 

 対峙するツルギは申し訳なさそうにして、オレから視線を少し逸らした。

 そんな姿にオレ自身申し訳なさを感じてしまう。

 今オレ達がいるのは学校内の正実の訓練場。

 そこでオレとツルギは向き合って、その周りを他の正実メンバーたちやナギサ達に取り囲まれていた。

 

「まぁ、別にツルギは気にしなくてもいいだろ。この学校のお嬢様たち、噂好きなんだよ。こうなっちまったら、今回ばかりは向こうに付き合ってやろうぜ?」

「悪いな。そう思ってるのと同時にお前と手合わせできるのを嬉しがっている私もいるんだ。楽しませてもらう」

「上等じゃん。こっちも正実期待のルーキー、その実力を拝見させてもらうよ」

 

 なっちゃったものはしょうがない。こうなったら互いに楽しんで思い出にしてやろうと思う。

 そういって俺たちは互いに獲物(あいぼう)を解き放つ。

 ツルギの両手には二丁のM1887「ブラッド&ガンパウダー」が。

 オレの手にはMPX-K「オーバーソウル」が。

 

「きひっ!」

「ははっ!」

 

 互いの銃口を突き付けて、オレたちは愉快に笑った。

 

 それにしても、楽しもうとは思ったけどさ、それはそれとしてなーんでこうなっちゃうだろうなぁ……はぁ。

 

 

 


 

 

 

 事の発端はある噂話からだった。

 なんでも、夜な夜な焔をまとったバイクが公道を駆け抜けて不良共を轢き飛ばしていったのだという。

 付いた名前はゴーストライダー。

 そんな噂話が流れ始めたのは私たちがまだ中等部にいた頃、ちょうど三年の最後辺りからだった。

 実際、その頃からヘルメット団やスケバンといった不良たちが正義実現委員会の到着する前には、既にボコられて伸びていた。

 残されていたのは弾痕と焦げ付いたタイヤの跡。伸びていた不良たちの顔にもタイヤ痕がついていたのだから、そこにバイクがいたのは明白だった。

 中学からの相棒と見に行ったその光景はどういうわけか、私の脳裏に焼き付いた。

 

 そうして私──剣先ツルギが入学し、正義実現委員会に入部して1ヶ月ちょっと経った頃だ。

 その日、私は一人でD.Uに来ていた。

 特に何か理由があったわけじゃない。その日は非番で、昔からの相棒(ハスミ)も別件で予定が空いていなかったから、休暇を楽しむために出かけてただけだ。

 

 向かった先はファンシーショップ。

 顔がおっかないと言われてビビられる私だが、可愛いものは大好きだ。

 恋愛映画、コスメ、ぬいぐるみ。どれも似合わないことは自覚している。

 だが好きな物は好きなんだ。だったら仕方ないだろう。

 

「これが、確かペロロ……だったか?」

 

 店の棚に並ぶ可愛らしいぬいぐるみ達。

 その中で白く丸っこい鳥の様な姿をしたやつが、やけに山となっていた。

 正直言うと、コイツの見た目は少々不気味だ。私が言えた口じゃないが。

 この焦点の合ってない目と常に出ているベロが何処となく不気味さの原因な気がする。

 目が違えば、大分可愛いと思うんだがな。

 中等部の頃に私へモモフレンズを進めてくれた後輩がやけにコイツを推していたが、生憎とコイツの良さが私には分からない。

 

「どいつにしようか」

 

 ウェーブキャットやピンキーパカ、スカルマンの方が私の好みだ。

 ビッグブラザーはダメだ。あいつは暗闇で出会うと心臓に悪い。

 昔、寮の共用リビングに飾られていたアレを真夜中に見て、思わず銃が出た。

 

「いっそ巨大スカルマンに手を出してみるか?」

 

 店の一角に鎮座する大きなスカルマンぬいぐるみ。

 私が余裕で抱き着いて寝れるサイズのスカルマン。なかなかどうして愛くるしい。

 大量に買い込むと移動がかさばるから、あまり量は買えない。厳選して特に気に入ったものを買うために熟考が必要だ。

 そんな時だ。店の外から爆発音が聞こえたのは。

 

「なんだ?」

 

 けたたましい爆発音の連鎖。

 店の外に出て様子を見てみると、仕事でよく見る光景が広がっていた。

 ひっくり返った挙句燃えている車、焼夷弾を使ったせいか燃えている路上。

 そして、

 

「今日こそケリつけてやるよ! このダサダサヘルメット!」

「こっちのセリフだ! ヘボヘボリーゼント!」

 

 騒動の原因であろう不良たち。

 ヘルメットをかぶった生徒達とリーゼントをしたロボたち。片っぽはヘルメット団の下っ端だろうが、もう片っぽは何処の奴だ? 

 

「非番の遠出先でこれか……はぁ」

 

 見たところ、ヴァルキューレへの通報はされているらしい。

 だが、眼前で繰り広げられている推定くだらない原因の戦いはまだ続きそうだ。

 いくら自治区外といえど、一般住民や他生徒に出る被害を見逃すわけにはいかない。

 

「ハスミもいれば楽なんだがな」

 

 いつものように、腰に巻いているガンベルトから二丁の愛銃を引き抜く。

 幸いにも弾薬は普段から多めに持って動いている。チーム二つを伸ばすぐらいの余裕はある。

 

「キエェェェェ!」

 

 いつも通り、私は戦いの最中へ飛び出した。

 そんな時──。

 

 ドガァァァァァァン!! 

 

「ひええぇ……!」

「そこの集まってる奴らどけー!」

 

 爆炎の中から飛び出してきた一台のバイクが戦場へ落っこちてきた。

 乗っているのはゴーグルを付けてポンチョを着た生徒とその後ろにいる別の生徒、おそらくは中等部の生徒だ。

 

「なんか喧嘩の真っ只中に落ちたみたいだな。ヒフミ、捕まってろよ? 舌噛むぞォ!」

「ちょ、ちょっと待ってください! ハオさん!?」

「おらおら! どけどけ! 不良共!」

 

 バイクの乗り手は辺りを見渡して状況を確認するや否や、そのバイクのエンジンを吹かして二つの集団ひしめく戦場に突っ込んでいく。

 後ろにいる相手は声で分かるぐらいビビってる。

 

「なんだコイツ!?」

「奴を止めろォ!」

「コイツからやっちまえ!」

「おいバカ! グレネード撃つんじゃねぇ! 当たる分けねぇだろ!」

 

 そのままバイクは両陣営の奴らは轢き飛ばしていく。

 それどころか、いつ間にか自身の銃の抜き出し、駆け抜ける中で次々と不良たちを落していく。

 対する不良はと言えば、バイクの機動性で弾は当たらず、グレネードは互いを巻き込む有様だ。

 

「な、なんだお前!?」

「テメェどっから来やがった!?」

「ったく、どうせちっちぇことでの喧嘩だろ? こんな所でやりやがって、買い物の邪魔だ!」

「「ぐばぁ!」」

 

 この騒動の首魁であろう二人も、バイクが急停止と共にした方向転換によって尻尾に薙ぎ払われるように吹っ飛ばされた。

 開始から数分。敵の自爆があったにせよ、たった一人が二つの集団で何十人という数を伸ばしてしまった。

 

「よし! これで落ち着いて買い物ができる!」

「な、なにしてるんですか!? ハオさん! このままじゃヴァルキューレに捕まっちゃいますよ!?」

「安心しなって、ちゃんとバレないように下ろすからさ」

「いえ私の事じゃなくて、ハオさんの──」

「それこそ大丈夫だって。ちゃんとあいつ等巻いてくからさ♪」

 

 当の本人はといえば、後ろに乗っている相手とちょっとした口論をしているようだ。

 だがすぐさまエンジンを吹かし始め、そのまま発進した。

 

「おい……!」

 

 咄嗟に駆け出し、バイクを追う。

 幸いにもバイクが通れるサイズの細道がないお陰で、向こうは公道を走らざるを得ない。

 

「ギシャァァ!」

 

 こっちは路地を突っ切る形でショートカットができる。

 そうして追いかけっこを繰り広げて十分ほど。

 地の利のお陰もあり、バイクに振り切られずに済んだ。

 

「なんだよ、あんた。付いてきやがって」

「お前に用があった」

 

 そうして追い付いたのは今までのよりも広い路地裏。

 いや、追いついたというより向こうが観念したと言った方がいいのか。

 乗っているのは乗り手一人、後ろに乗っていた中等部の姿はない。どうやらいつの間にか降ろしたらしい。

 

「ここしばらく、不良共をのしてるのはお前か?」

「それを聞いてどうする? あいつ等の敵討ちか何かか? やめとけよ、互いに弾代の無駄になる」

 

 そう言って乗り手はゴーグルを首へ下げ、バイクから下りた。

 

「逆だ、私たちも不良に手を焼いている方だ。だからこそ、お前みたいな第三勢力について調べないといけないんだよ」

「ん? お前って、もしかして──」

「正義実現委員会だ。今は非番だが」

「ああ! やっぱり、剣先ツルギだ!」

「ん?」

 

 なんでコイツは私の事を知っているんだ? 

 私自身1年で何も名が広がるようなことはなかったと思うが。

 

「正義実現委員会期待のニューエース、まさかこんな所で出会うとはな」

「なんで他所にまでそれが漏れているんだ」

 

 思わずため息が出かける。

 それは先輩や同級生が私の暴れっぷりを見てつけたものだ。

 可愛くもないから自分でも名乗ることはない、いや可愛くても名乗りは少し抵抗があるな。

 

「ああ……なるほど。そういうことか、なんとなく事情が分かった」

 

 すると、ヤツは突然気まずそうな顔をした。

 

「もしかしてゴーストライダーの噂を確かめる為か?」

「そうだ、一応マークしてるからな」

「嘘だろ!? ちょ、マジかよ……!」

 

 そういうとヤツは顔を青くして空を仰ぐと、頭を抱え始めた。

 

「お、おい、お前大丈夫か?」

「ああ、ヤベェ……どうしよ? このままだとナギサの耳に届きそうだ。どう誤魔化すか……」

 

 頭を抱えてブツブツと呟くヤツには、どうも私の言葉が届いていないらしい。

 これは正気に戻るまでしばらく時間がかかりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが私とヤツ──焔羽ハオとの初めての出会いだ。

 それからハオにちょっとした事情聴取をしたが、その時に「頼むから捕まえないでくれ! 轢き飛ばしたやつらの情報やるからさ! ナギっ……親友にバレると後が死ぬほど面倒くさいんだ!」と泣きついてきた。不良共を轢いていった時の余裕さは欠片もなかったな。

 まあ非番であり、この場所で逮捕する気はないと話すと、とても安心していた。

 ハオが吐いてくれた情報は正実の仕事に大いに役立ってくれた。

 

 

 

 

 

 そしてゴーストライダー(ハオ)に出会った事と話をしたことを仲間たちに話したとき、私が言ったことが失言となって、ちょっとした騒動(決闘騒ぎ)になるのはまた別の話だ。




この話、大分難産でしたね。
正直メチャクチャ不安です。



それはそれとして。
ツルギ、お前は一体何のだ。
奇声と乙女、落差デカいよ……。
うん、まず表情筋の訓練をしよう……流石に死人が出る。

そのくせ、クールでかっこいい時があるんだから、

剣先ツルギ 逆に貴様は何を持ちえないのだ‼︎
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