錠前サオリの裏バイト奇譚   作:@Ana

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。すでのもたいてし稿投で板示掲んまにあ


セミナー案件・兎狩り.7

(屋上、ヘリポート)

 

地上50階、約150メートルの場所に吹く風は生暖かく、殴られた衝撃で片方の留め具が外れたマスクを揺らしている。口に溜まった血を吐く。それを司会者は「行儀が悪い」と言ってケラケラと笑った。

「本当に躾がなってないですねぇ、まともな教育を受けてないんですか?」

「………まあな。碌な学校じゃなかった」

「それはそれは、大変だったんですねぇ………錠前サオリさん」

思わず顔を上げる。司会者は人の良さそうな笑顔を貼り付けている。掴まれた首根っこが持ち上げられ、私は顔を覗かれた。

「裏社会でもあなたの名前は有名ですよ。トリニティとゲヘナに大きな被害を与えたテロリスト。とんでもないことをしたんですから、世界が忘れるはずないでしょう。今更真面目に人助けなんかしても、贖罪にはならないと思いますが?」

「……そんなこと分かっている。だが、だからと言って開き直っていいわけがない。それに私がやりたいからやるんだ。絶対にコユキをミレニアムに帰す」

「フフフ……捕まってるのによく言いますよ」

首根っこを掴む司会者の手がきつく絞まった。私は何もできずに呻き声を上げる。そもそもダメージが蓄積してて体を動かせそうにない。そんな私の様子を司会者は見つめ続けた。

「ホテルの1階と外には既にオークションの手の者が控えています。ホープクローバーの押し花を持ち出して逃げることなどできません」

「なら、今すぐにでもお前を倒して……!」

そう言ってまたもがこうと試みたが司会者にまた殴られた。痛みで力が抜けて倒れそうになるが、首を掴まれているせいで倒れることはできなかった。

「もうボロボロなんですから、動かない方がいいと思いますよ。兎のお嬢さんが助けに来るのを待ちましょう」

「ゔっ……!」

司会者を睨む。こんなところまで助けに来る奴などいないと分かってて言ってるのだろう、腹立たしい。……いや、仮に助けが来るのならどうかコユキを助けてくれ。私は放っておいて構わない。だからコユキを、今1人で不安だろうあの子を。

自分の命を諦めたわけじゃない、何なら今もチャンスを伺っているのだが、それでも逃げ続けているコユキの無事を私は願い続けていた。

「どうして兎のお嬢さんをそこまで気にかけるんですか?妹か何かで?ああ、もしかして………!」

ロボット市民特有の普遍的な笑顔、しかしその奥に隠された下衆な考察に吐き気がした。言葉の表現はまともそうに見えるが、暗にそういう中なのかと聞いてきている。気色悪い奴だ、私はうんざりしつつも答えた。

「……依頼を受けただけだ」

「依頼ねぇ。加害者の私が言うのも何ですが、ひどい目に遭ってまで遂行するものですか?あなたこそ逃げるべきでは?」

「危険は承知の上だ。それに……助けたいじゃないか。やり直して頑張っている子は」

「やり直しねぇ……意味あります?」

「……何だと?」

「やっちゃったもんは仕方ないと思うんですよ」

気怠げにそう言い、司会者は白手袋の赤いシミを眺めた。真新しい血が風で乾き黒ずんでいく。その汚れはもう2度と落ちることはないだろう。

「何したって過去は変わりませんし、仕方ないですよ。それに幸運のクローバーを手に入れるには、どうしたって今そこで生えているクローバーを摘み取らなくちゃならない。傷つけなきゃ幸せになれない残酷な世の中なんですから、気にしたら負けでは?」

「……開き直れとでも?」

「もう手は汚れましたから。1度やったのなら、2度も3度も変わりませんよ。やっちまったことは仕方ないですから、気にせずクローバーを摘み続けたらいいんじゃないですか?」

不意に首の拘束が緩んだ。司会者の笑顔がこちらを品定めするものに変わった。私を引き込むつもりだろうか?それとも哀れみでも感じたか?どちらにせよ、私の回答は決まっている。

「……たとえ贖罪なんてできなくても、残酷な世の中で、クローバーを摘まなきゃならなくても、それが開き直っていい理由にはならない。やり直そう、良くあろうと思わなくていい理由にはならない。悪いことをしていい理由に、悪い大人になっていい理由に、なるわけないだろ……!」

司会者の腕を掴み、自分の顔を力任せに持ち上げる。ずっと私を見下していた司会者と視線を合わせた。

「お前を軽蔑する。大人なのに、そんなことも分からないお前なんて……」

「おやまぁ、酷いことをおっしゃる」

また首を掴む力が強くなり、痛みが背筋を走って力が抜けた。私の視界に映るものは奴のディスプレイから硬いアスファルトの地面に変わった。しまった、もう動けそうにない。大人しく隙を伺うべきだったのに、言い返したくなって無駄な体力を使ってしまった。ああ、どうするか………。

 

 

 

「________にっはっはっは!」

瞬間、聞き覚えのある……しかしここで聞くとは思わなかった、聞きたくなかった笑い声が響いた。慌てて屋上の入り口に顔を向けた。司会者もそこを見たようで、嬉しそうに含み笑いを漏らしている。

「ようやっと来ましたか、兎のお嬢さん」

「サオリ先輩!助けに来ましたよ!これと交換でいいんですよね!?」

そう言ってコユキがホープクローバーの押し花を掲げた。風に揺れるヴェールを必死に押さえながらコユキは笑って見せた。

「コユキ……!何で来た!?逃げろと言ったはずだ!」

「だって、私1人で逃げたら私だけ怒られちゃうじゃないですか!!サオリ先輩知らないんですか!?ユウカ先輩とノア先輩、怒ると本当に怖いんですよ!!」

「え、はぁ……!?」

「だから一緒に怒られてください!一緒に謝ってくれるって言ってましたよね!約束守ってください!」

こ、この期に及んでそんなことで……?そんなことが理由で屋上まで来たのか?リスクに見合わなさ過ぎるだろう、怒られた方がマシなはずだ。

しかし呆れてそう思っていると、コユキの瞳が潤んでいることに気がついた。何度も鼻を啜って堪えているが泣きそうになっている。さらに良く見ると髪は乱れ、小刻みに震え、ハイヒールには赤いシミがこびり付いていた。だがそれを悟られまいと、必死に笑顔を作っていた。

「サオリ先輩も昔は悪い子供だったんですよね?でも今頑張ってるって言ってましたよね?だったらこんな所で止まっちゃダメですよ!悪い子供のままで終わっちゃ!……だから一緒に帰りますよ。今度は……今度は私が助けてあげますから!」

「コユキ……」

精一杯背伸びして強がって、それでも真っ直ぐ私を見て言い切ってくれた。……何て強くて優しい子なのだろう。本当は年上として、任務で守らなければならない身として、いいから逃げろと言うべきなのに。私はその言葉を聞いて何も言えなくなった。ただひたすらコユキが頼もしく見えた。

「おお……!素晴らしい友情ですね!では早速取引と致しましょう!兎さん、クローバーを持ってこちらに来てください。私もそちらに向かいます。ヘリポートの真ん中で交換しましょうか」

「分かりました!待っててね、サオリ先輩!」

コユキはホープクローバーの押し花を抱き締め、1歩ずつ前に進んだ。対する司会者は私にハンドガンを突きつけ、同じように1歩ずつ前に進む。私はそれに引きずられるように足を進めた。

屋上に緊張が走る。動悸が早くなる。コユキも同じようで、運動もしていないのに息が上がっているように見える。しかし司会者だけはそれを感じていないように見えた。顔面のディスプレイには笑顔だけが映っていた。

不審に思った瞬間、私の目に微かな光が差し込む。コユキの後ろ、屋上の入り口が少しだけ空いている……銃のスコープの反射!

(オークションの私兵か……!コユキを襲うつもりで潜んでいるのか!?)

「おっと!暴れちゃダメですよ!もう取引は始まってるのですから」

銃口が頬に当たる。クソ、気づいたことに気づかれたか。今騒いだら逆に危険だ!何とかしないと……!

「あ、サオリ先輩もやっぱり怖いですよね……!大丈夫ですよ!すぐに私が助けてあげますからね!もう少しもう少し、ね?」

ああそう言うことじゃないんだコユキ。変な勘違いでものすごく優しく、それこそ子供に向けたような口調で宥められた。確かに怖いと思ってるが、それはお前の後ろにも悪い大人がいるからなんだ!やはり無理にでも言って聞かせて、ここから逃げさせればよかったか……?そもそも私があの時司会者の不意打ちに気づいてさえ入れば……!クソ……!

過去の自分に悪態を吐いていると、私たちの距離はどんどん縮まっていく。ヘリポートの中心まであと数歩、コユキの顔の涙の後もくっきり見える距離まで来た。怖かったろうに、それなのにこんなことをさせてしまった申し訳なさが強くなる。後悔を滲ませながらコユキを見ていると目が合った。その瞬間、コユキは私にウインクをして見せた。

「サオリ先輩!教えてくれましたよね!悪い子供になってはいけない、悪い子供は悪い大人に騙されてしまうからって!」

「え?………ああ、言ったな」

「じゃあ、悪い子供になってはいけない理由を知ってるなら!悪い大人になってはいけない理由も知ってますか!?」

「……どう言うことだ?」

急にどうしたんだ?意図が分からず戸惑っていると、司会者が酷く面白そうにケタケタと笑い出した。

「おやおや兎さん、私にお説教ですか?悪いことはやめろとでも!?さっきもあなたの先輩から似たことを言われましたよ!」

「あ、そうなんですか?なのにこんなことしてるんですね!じゃあ教えてあげます!!悪い大人になってはいけない理由は……

 

 

________悪い子供に騙されちゃうからです!!」

高らかに言い切り、コユキはヴェールの先を掴む。

「っ!?」

「なっ、しまった!!」

「目を閉じて!」

そう言いながらコユキはヴェールを引っ剥がした。私と司会者は慌てて目を閉じ、顔を逸らした。

見た者に死を、持つ者に幸運をもたらす不思議な不思議なホープクローバー。真偽はわからないがそれを見て階段から落ちた人を私もコユキも知っている。それを引っ剥がすなんて正気か!?あっぶない視界には入らなかった!

「はっちゃー!!!!」

「なっ、ぐわああっ!?」

 

(ディスプレイが割れる音)

 

瞬間、首を掴まれた感覚がなくなり体が自由になる。私は重力に引っ張られて倒れ込むと、後ろから誰かが倒れる音が聞こえた。何だ?どうなっている?司会者が倒されたのか?

「コユキ?」

「もう大丈夫ですよ、サオリ先輩。目を開けていいですよ〜」

誰かが駆け寄ってきた。目の前に……コユキか。司会者を倒すためにヴェールを剥がしたのか。全くとんでもないことをする奴だ。

「あ、ああ……もうクローバーは晒してないよな?」

「大丈夫ですってば!にはははは!」

私は恐る恐る目を開けた。視界に光が戻る。風に靡く桃色の髪、夜の闇に負けない笑顔のコユキが映。おや、何か手に持って見せてきているな。額縁に飾られた、雑な手描きのクローバー………。

「クローバー!?」

「にははははは!そんな驚かなくてもいいじゃないですか!」

思わず声を上げて飛び退き、足をもつれさせて尻餅をつく。その様子にコユキは大笑い、腹を抱えて指を刺してきた。

「おま、クローバーまだ出てるじゃないか!私見てしまっ……!え!?おまっ、だ、大丈夫なのか!?」

「大丈夫ですってば!これ私が描いたものですから!……悪いことして手に入れたクローバーなんて持っちゃダメですし、悪い奴に使われるくらいならない方がいいです。だから本物はダストシュートに突っ込みました!今頃灰になってますよ!にっはっはっは!!」

「……そ、そうか………」

「あれ〜?もしかしてサオリ先輩ビビっちゃいました〜?見たら大変なことになるって?ただの絵ですよ〜よかったですね〜よちよち♪」

「…………」

「あっちょっほっぺはやめて!!」

私は無言でコユキに手を伸ばす。お仕置きをされると思い込んだコユキがすぐに飛び退こうとしたが、それよりも早く彼女の肩を掴んだ。そしてコユキを胸に抱き寄せた。

「わっ!サオリ先輩!?」

「助けに来てくれてありがとう……」

「……に、にはは!まあこれくらい余裕ですよ!私でっかい機械とも戦ったことありますし!こんなんでもセミナーですし!だから私……私も、ちょっとだけ怖かったですけど……!」

「ああ、怖い思いをさせたな。すまない」

頭を撫でてやると、コユキはすっかり忘れていた恐怖と緊張がぶり返したらしい。体を震わせて涙を堪えている。それを誤魔化すようにコユキは私の胸に顔を擦り付けた。もう大丈夫だからな………あっおいやめろ鼻水をつけるな。

 

(ドアが乱暴に開かれる音)

 

屋上の入り口から複数の足音。オークションの私兵達が雪崩れ込み、銃口をこちらに向けた。そう言えばこいつらもいたな。私はコユキを庇うように抱き寄せ、隠し持っていたナイフを構える。

「え!?まだ敵がいたんですか!?」

「さっきからお前の後ろにいたぞ。待ち伏せだったんだ」

「そんなー!?結局これで終わりですか!?嫌だー!!」

大丈夫だと言いたいが、さすがにこれは……。万事休すかと思った瞬間、頭上から強い風が吹き始めた。

 

(ヘリコプターの羽音)

 

「っ!?オークションの増援か!?」

「へ、ヘリまで来たら本当に勝てないですって!」

一瞬慌てたが、オークションの私兵達も困惑しているようだ。じゃあ誰だ?そう思った矢先にヘリのドアが開き、サブマシンガンとハンドガンの乱射がヘリポートを……オークションの私兵達を薙いだ。

「あ、あれ!ユウカ先輩とノア先輩です!」

「何だと!?コユキ、呼んだのか!?」

「いえ呼んでません!こっそりここに来るためにスマホ置いてきましたから!」

「お前なぁ……」

呆れていると、ヘリコプターのドアが開きユウカとノアが顔を出す。こっちに向かって手を振ると、縄ばしごを垂らしてくれた。

「急げ!乗るぞ!」

「はい!」

コユキを急かして縄ばしごに向かう。しかし私の方が足を引きずっていて進みが遅く、コユキに肩を借りてゆっくりと移動する羽目になる。

「クソ!ヘリを落とせ!」

もたついてると、オークションの私兵達がヘリに銃を構えた。まずい、撃ち落とされたらユウカとノアが……!

「何やってるんですかあなた達!」

焦っていると顔面がひび割れた司会者が私兵達の元へ駆け寄っていった。

「しかし、あいつらが!」

「彼女らはもうホープクローバーの押し花を持っていません!本物はダストシュートです!急ぎますよ!回収しないと!」

「なっ!撤収!!急げ急げ!!」

嘘だろ……?慌てて私兵達は銃を下ろし、司会者と一緒に下へ降りてしまった。本当にオークション最優先なんだな……。

「も、もう灰になってると思いますけど……」

「もはや狂気だな……まあいい、ヘリに乗ろう」

邪魔者がいなくなったのでゆっくりと進み、縄ばしごを掴む。上の方でユウカとノアが引っ張り上げてくれ、そのままヘリに乗り込んだ。そしてヘリは旋回し、ミレニアムの夜空へ飛び立った。

「ユウカ、ノア。どうしてお前達がここに?」

「フフッ、サオリさんが出発した後、ユウカちゃんが「やっぱり自分達も何かしないと!」と言ってヘリを手配してくれたんです」

「本当に運良く1機だけ残ってて、何かに使えるかなって思って飛ばして来たのよ。そしたらちょうどヘリポートの上でサオリさんとコユキが何かやってるのが見えて……。2人共大丈夫だった?」

「に、にはは……。ちょうど逃げようってタイミングでしたから、完璧でしたね〜……!」

「ああ………運が良かった」

もしヘリが来なかったら、司会者が止めに入る前に私達は一斉掃射を浴びていただろう。幸運としか言いようがない。ようやっと緊張が解け、私は座席に身を預けた。

眼下に広がるミレニアムの夜景。その中の1つのホテルは先ほどの騒ぎが嘘のように沈黙している。今頃オークションの奴らは焼却炉へ向かっているのだろうか。クローバーを積むために、階段でも駆け降りてるのだろうか。

不意に思い出した靴擦れの痛みに顔を顰めながら、私は窓から目を離した。

 

 

 

________その後、私達はセミナーの部室に帰還し、そこで適切な治療を受けた。コユキは靴擦れ程度だが私は散々撃たれたため保健室送りとなった。

翌日、私はコユキの説教に怒られる側として参加し、コユキと一緒にユウカとノアに謝った。

「ちょっと!何でサオリさんも怒らなきゃいけないんですか!?」

「そう言ってくれるな、コユキと約束したんだ。それにほら……」

そう言って私とユウカはコユキを……ノアに抱き付いてびーびー泣いているコユキを見やる。

「……あの子もちゃんと反省しているさ。だからユウカも抱き締めてやってくれ。本当に怖がっていたし、2人に謝りたいとも言っていたからな」

「……もう、お説教は後でちゃんとしますからね」

ユウカが駆け寄り、コユキとノアを抱き締める。3人でくっついている姿を微笑ましく思いながら見守り続けた。

……そして闇オークションだが、運営は結局雲隠れしてしまいセミナーの捜査は失敗に終わってしまう。だが参加したVIPのほとんどを逮捕することができたそうだ。それだけでも闇オークションは痛手だろう。

もちろんギャング達も逮捕。それと私達の目の前で落ちたご婦人は奇跡的に助かったらしい。あちこちで階段の手すりに引っかかったおかげで落ちる勢いが殺され、重傷で済んだそうだ。医者は奇跡的だと言っていた。あのままだと本当にコユキのトラウマになっていただろうから、その奇跡が起きて本当によかった。だがご婦人の幸運と言うより、人殺しになったとトラウマにならなくて済んだコユキの幸運だと私は思う。あの時すでにコユキの手にはホープクローバーの押し花があったのだから。もしなかったら……。

ホープクローバーの押し花は焼失したと思われる。だがあの後のホテルへの調査の結果、焼却炉の灰が全て持ち去られていたらしい。きっと闇オークションが持ち帰ったのだろう。そうまでしてオークションがしたいのか。今度は聖なる灰とでも言って売り出しそうだな。

結局クローバーについては何も分からず終いだったが、あんなものとは関わり合いにならない方がいいんだ。これ以上は考えないでおく。それよりも今は、普通のクローバーを見つけなくては。

「________サオリ先輩、見つかりましたか?」

「いや、ないな……」

温かな昼下がり。私とコユキは公園でクローバーを探していた。今のところ見つかってない。

「うわあああー!ない!何で!?やっぱり私じゃ見つけられないんですかね……?」

「大丈夫、コユキなら見つけられるさ」

「……そうですよね!ありがとうございます!サオリ先輩も見つけられるといいですね!」

そう言って気合いを入れ直したコユキを見て微笑み、私もクローバー探しを再開した。

 

 

 

ここだけサオリが裏バイトで働いていて、ひどい目にあったりあわなかったりする世界




錠前サオリの裏バイト奇譚14

業務内容:セミナー案件・兎狩り
注意事項: 『潜入任務だからスマートに行くこと。間違っても建物の破壊や大暴れなんてしないこと』
勤務期間:2時間
給与額:300000円

コメント:そう言えばホテルの中で盛大に撃ち合ってしまった。そのことをユウカに謝罪した。



「________いや、あれくらいならもう騒ぎにもならないわ。わざわざありがとうサオリさん」
「そうか?かなり大きな騒ぎになったと思うが……」
「ここキヴォトスよ?」
「そう、だな………」
「とにかく、隠密とは行かなかったけどこちらの想定以上の騒ぎにはならなかった。闇オークションを取り逃したけどVIPとホテルの一斉検挙もできた。収穫は上々だから、十分スマートだと判断させてもらうわ。さすがね!」
「ああ、役立てて何よりだ」

(通信機の通知音)

「あら、C&Cからですね」
『ノア、こちらカリン。任務完了、これより帰還する』
「お疲れ様です。皆さん怪我はありませんか?」
『ああ、それが……』
「ちょっとカリン?もしかして……」
『あ、ユウカ……その、ごめん。ネル先輩とトキがやりすぎちゃって……』
『おい後輩!さすがだな!これならC&Cも安泰だ!』
『ありがとうございます。私もアビ・エシェフ大盤振る舞いの許可をいただけて気分が高揚しました』
『いや〜更地になっちまったな〜、ビル街』
『スッキリしましたね、ピースピース』
『2人とも黙ってて!……あ、ユウカ、ノア。違うんだこれには深いわけが』
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアオ!!!!!!!!!!」
「吼えた!?」
「うわああああー!ユウカ先輩がカチキレたぁ!!」
「………………ネル先輩、トキちゃん。帰還後にちょっとお時間いただけますか?」
「ノア先輩も怒ってる!サオリ先輩ぃ!サオリ先輩ぃぃ!!怖いよぉおお!!」
「コユキこっちだ!逃げるぞ!!」
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