フロストパンク世界にTS転生して落とされる話   作:キサラギ職員

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病院のおねえさんみたいな雰囲気でやれたらいいなって…(なお大寒波)


リーダーたち

 

 キャンプというよりこれはキャラバンに近い。もっとも蒸気機関車にキャタピラを付けたような独特な乗り物があるのでだいぶ豪華だが。

 

「いやぁ助かった」

「ほんとにな」

 

 道中で頓死しているシカを見つけたので二人で引っ張ってきたのだが、これだけあれば少なくとも数日は生き延びられるだろう。で、戻って来たところ二十名ほどの人員がいた。

 いたのだが……全員とにかく若い。というか数名はどう見ても中学生くらいにしか見えないように見える。口減らしの為に追放されそうになったという話は本当らしかった。

 

「一応、リーダーを決めてるんだ。俺、エイダンが食料を担当してる。狩りがうまかったからな」

「ちなみにいまいくつよ」

「十八。一人前だよ」

 

 そうかなぁ俺の世界じゃギリ成年ってだけで一人前どころか社会人ですらない人が大多数なくらいだったわけで……。

 と考えて居るのもあれなので、メンバーの元に行く。

 巨大なキャンプファイアの調子を見ていた金髪のムキムキマッチョのもとにいくと、振り返って目を剥いた。

 

「え? 誰だよお前」

「ジュンだ。えーっと、迷ってるエイダンを拾ってね。それで」

「訳アリぽいな」

 

 聡いな。すぐ目を細めて疑いの目を向けてきたが、だがすぐに警戒を解いて首を振った。

 手を差し出してくるので握ってみる。

 

「いいさ。なんか知らんがうちのを助けてくれて感謝する。ルーク。ルーク・エヴァンス。で、どうやって助けたんだ?」

「説明しにくいなあ」

 

 というのも今いるのが火がごうごうと燃え盛る範疇で暑いくらいだからだ。俺はとにかくついてきてと言うとルークは大人しくついてきた。

 雪の積もるところに来てすぐ変化が現れる。雪があっという間に溶けていく。ここだけ見るとチートなんですけど半径が2mくらいなんすよ。

 

「えーっと………むん!」

 

 で、試しにこう念じてみたら範囲が広がったわけだがとてつもなく地味な絵である。

 ルークは雪があっという間に消えていくのを見て目を大きくしていた。

 

「……発熱してるのか? あんた、なにがどうしてそんなことができるんだこれ……」

「説明すると長くなるんだけど、つまりこういうことなんであんまり聞かないでくれるとタスカリマス」

 

 もう説明するのもめんどくさくなってきた。

 俺が歩くと雪が溶ける。というのを見せつけていると、眼鏡をかけた理知的そうな青年がやって来た。コートをきっちり身に着けている。

 

「騒がしいと思ったら……雪かきでもしてたのかい?」

「イーサン。いやこの女」

「ジュンな、女って呼ぶなよ」

 

 ルークの言葉をエイダンが言葉を遮った。一応は恩人だ。女呼ばわりされるのが癪なのだろうか。少し嬉しくなった俺である。

 等と言っているともう一人やって来た。忙しいな。

 ポニーテールの女だ。これもまあ若い若い。

 エイダンが手を上げて紹介してくれる。

 

「ルークは木材の担当者。こっちの眼鏡がイーサン。鉄やスクラップ、機械関係だな。親父が技師だったんだ。でこっちの髪結んでるのがアデル。炭鉱で働いていたから石炭の責任者だ」

「ふーん、つまりエイダンが食いもん、ルークが木材、イーサンが鉄で、アデルが石炭ね」

 

 やっぱりフロストパンクじゃねぇかと突っ込みたくなるのはやまやまなのだが、プレイするのと実際に体験するのとは別物である。

 更に聞いているとどうもエイダンはただの狩人だし、ルークは木こり、イーサンは機械技師見習いで、アデルは炭鉱労働者である。しかもみんな若く、経験もないのだ。口減らしの為に追放された経緯について聞いてみると、皆一様に気まずそうな顔をした。

 

「あのクソどもが俺たちをちょっぴりの食いもんだけで追放しようとしやがったからな……」

 

 血気盛んな若者、木こりのルークが腕を組みつつ言う。

 

「まあ、僕の作った爆弾とかでその………ちょっとね」

 

 とイーサンが不穏なことを言い。

 

「私がこの機関車をパクってきたってわけよ」

 

 とアデルまで不穏なことを言う。

 

「大人に歯向かって逃げて来たってことだよ、ようは。だから子供ばっかりなんだ。他にも色々いるけどついてきてくれた大人なんてほんの数人しかいないからなぁ……ここで俺死んでたら行き詰ってたんじゃないか? 感謝してるんだぜ、ジュン」

 

 と、エイダンが言う。確かに貴重な狩人を失ってしまってはリアルにキャラバンが飢え死にしていた可能性が高い。

 

「でもさ、助かったよ。ジュンって言ったっけ? その訳の分からない力があればみんなで寄り添えば凍えず眠れるんじゃない?」

 

 ポニテ女ことアデルが言う。まあそれはそうだ。半径は小さいが、寄り添えば全員入れそうな気配はある。機関車の中に入ればもっと温かいだろう。温かいだろうが。

 俺は機関車を指差しつつ言う。

 

「でも燃料的に厳しいんじゃないのか? 機関車とジェネレーターがあるってことはどこかに定住するつもりだったんだろ」

「鋭いね。いつまでも根無し草じゃどうしようもないからねぇ……私たちだけの町を作ろうって計画してたんだよ。あと半日進めば、目的地に着く」

 

 アデルが煤に汚れた頬を擦りつつ言う。

 

 序盤も序盤である。要は街にジェネレーターを置く前段階に俺はいるらしかった。

 せっかくなので全員に挨拶しておくか。俺は、とりあえずキャラバン隊全員に自己紹介して回ったのだった。

 

「結構多いなオイ」

 

 二十名どころじゃなかった。八十名もいた。

 こうして俺は八十一人目の開拓者となったのだった。




ステータス:放浪中
メインクエスト:大寒波を生き延びろ
       :ニュータウンを建設せよ
生存者数:81名


エイダン 多分ジュンに惚れてる黒髪の青年 狩人。食料リーダー
ルーク  ゴリゴリのマッチョで金髪。木こり。木材リーダー
イーサン 眼鏡の黒髪。ひょろひょろしてる。技師見習い。鋼鉄リーダー
アデル  ポニーテールの黒髪。ませた口調。炭鉱掘り。石炭リーダー
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