フロストパンク世界にTS転生して落とされる話   作:キサラギ職員

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あったかい空間が作れる能力がこの世界ではとんでもないチートになるのバグでは? 救護所にいるだけで救世主になれる


『ニュータウン』

 

 

 評議会。もとい、救護所の隅っこに各メンバーが勢ぞろいしていた。

 狩人のエイダン。木こりのルーク。技師見習いのイーサン。炭鉱掘りのアデル。それともう一人。技術者のおじいさん。名前はジョナスというらしい。髭モジャで顔がよく見えない。

 

「しかしあったけぇのお………あんたみたいなぺっぴんさんに看病してもらえてうれしかったよ」

「あっ、寝てた人じゃん。おじいちゃん技術者だったんか」

 

 よく見てみると俺が看病してた一人である。技術者だったらしい。なら話は早い。

 

「で、資源の場所をまとめてみたんだけど……」

 

 俺は木材を敷いた地面の上で簡単な見取り図を作っていた。ジェネレーターは棒で×、資源の場所には石を置くような感じのものだ。

 

「石炭があちこち点在して落ちてる。木も豊富。木材クレートが散らばってるのもわかった。鉄材も、朽ちた機関車やらがクレーターに投棄されてて使えそうだ。ちなみにこれスチームコア取り出せると思う?」

「無理じゃろうなあ。整備もせず何十年もほったらかしにされたコアじゃ、錆びて使えんよ」

 

 俺が落下していた機関車についておじいちゃんに問うと、渋い顔をされた。まあそんなにうまく手には入らないか。

 

「今後の方針をまとめると、全員、力の限り働いてもらうことになると思う。エイダン、狩猟小屋を建てて、もう今日中には狩りに出てくれ。食料が無くなる」

「わかった」

「ルーク。建物作る木が無くなる。男衆連れて、このエリアのクレート回収してくれないか。木を伐採するより楽に木材が手に入る」

「だと思ったぜ」

「イーサン。機関車の解体は任せた」

「了解したよ」

「アデルは石炭拾い集めてくれないか。計算だと通常稼働させただけでも三日持たない」

「あいよ」

「で、おじいちゃん」

「なにかね」

 

 俺はおじいちゃんを見た。貴重なエンジニアだ。というか唯一じゃないかな。もうこの人いないとリアルに詰んでた可能性があるのが怖い。

 

「設計して欲しいものがあるんだよね。気球なんだけど」

「気球……? 何に使うのかね」

 

 ゲーム的な都合とはいえ、これないと始まらないんだよね。ようはビーコンである。ビーコンで物資や人員、スチームコアからオートマトンまで回収できるようになるんだけど、どう説明したものか。

 俺が髪の毛をかきあげつつ、人差し指を立てた。

 

「遠征隊を送り込んで、物資の引き上げを提案する。特にクレーターを探し回ってスチームコアが一個も無かったことが分かった以上、どっからか見つけてこないといけないからね」

「俺はその案に賛成かなぁ………スチームコアねぇと、街づくりはじり貧だぜ」

 

 エイダンが賛成してくれる。椅子に座って腕を組んだまま頷いてくる。マジ今後の施設に必要になってくるからね、スチームコアは。温室、石炭に病院に……とにかく必要なんよな。

 

「おじいちゃん一人だけじゃあれだから子供たちを技術者見習いとして使って欲しい」

「できることはなさそうじゃなぁ……まあ小間使いくらいなら使えるとは思うぞ」

「うん。色々勉強させてあげてね」

 

 というかこれ法律じゃね? まあいいか。ゲームであってゲームじゃないからな。子供を児童労働者ではなく技術者見習いにするルートがあるのだが、それじゃないだろうか。

 俺が言うとおじいちゃんもといジョナスは頷いた。

 

「仕事にかかろう」

 

 救護所。まだ数名寝ている人がいるので、俺はそこで仕事をすることになった。というか動こうとしたらあんたはそこにいろみたいなこと言われたんよな。多分リーダー役だからというのと、能力で暖かい空間を展開できるから救護所暖めてろって言うことだと思うんだけど。

 

「さあどれだけ回収できるか……最初の寒波は確か三日後とか四日後だったけど、その通り来るとも限らないからなぁ」

 

 そうなのだ。もうすでに『新しい家』シナリオから外れている以上は、明日来ると言う想定でもおかしくはないのだ。

 

「食料はあと6日分で……木材鉄材は枯渇、石炭は三日分でスチームコア1個かぁ……足りぬ足りぬとは言うものの足りな過ぎるだろ」

 

 この世界だと普通に昼間でも狩りに出かけるのでそれはいいとして、人数が新しい家シナリオより多い気がするのも、法律を好きに決められるのもいいとしても、物資が無さ過ぎる。テントと救護所を作ったところでほとんどダメになっているくらいだ。

 

 夜。集まった資材を元に、俺たちは総出でワークショップを建設した。親が技術者だったという数名の子供を一応は技術者ということで道具持たせて椅子に座らせてはみたものの、実質おじいちゃん一人でやっているようなものと見ていいだろう。

 ちなみにワークショップだけど立派な建物じゃなくて普通にテントです。当たり前だよなぁ……(人手不足・物資不足)

 

「つけるよー!!」

 

 アデルの大声が響いてくる。俺たちの前で、ジェネレーターが轟音を上げて火を噴きながら起動した。急激に気温が落ち込んできた周囲に暖かい空間を提供してくれる。

 

「いい街を作ろうな」

 

 エイダンが言ってきたので、俺は同じようにジェネレーターを見上げて頷いたのだった。

 

「おう」

 

 

 

 

「で、だ。贅沢言ってる場合でもないしジュンの家は俺と同じ家がいいんじゃないかと思うんだが」

「そうだな、うん」

 

 中々積極的な男じゃないか。早速アプローチ(?)をかけて来るエイダンに対し、俺はしかし首を振った。否定の意味じゃない。

 

「でも今は救護所の何人かが回復するまでは向こうで寝泊まりするよ。これじゃリーダーじゃなくて医療リーダーって感じだなぁ」

 

 エイダンのテント。そこはジェネレーターのすぐそばに建てられたテントの一つであり、ごく普通のテントだ。つまりは俺の家でもあるわけだが、いつの間に決まったのやら。

 俺を女性として見てるんだろうことは容易に推測できるんだが、しかしなぁ……元が男だけあってイマイチピンとこない。俺は鈍い人間じゃない。エイダン君の見る目がもうキラキラしてるんで惚れられてることくらい分かる。しかしなぁ……という気分である。

 

「じゃ行くよ」

 

 そうして俺たちは別れた。

 救護所に戻ると、寝込んでいた何名かが焚火で暖を取っていた。

 

「ああ、暖かい。あんたはまるで女神様みたいな人だなぁ」

 

 なんて言われる始末である。

 しかしこの能力、どこまで通用するのだろうか。部屋を冷気から遮断できるのは確認できたが、例えば新しい家シナリオ終盤の零下100度以上の超低温でも遮断できるのか。チートか? チートだった。最悪の話になるがメンバー全員家というか部屋に押し込めば耐えられるんじゃないか? いや無理か。既に80名いるわけで、全員入れるはずがないのだ。

 

「むん! だめか」

 

 特に頑張っても能力が拡張された気配も無いので、恐らくは射程よくて3mくらいじゃないだろうか。まあチートだし寒くないのはいいんだけど使いどころが難しすぎる。救護所に缶詰してた方が一番効率がいいまである。

 

「そろそろ寝るか」

 

 こうして、夜はふけていくのであった。




ステータス:定住中
メインクエスト:大寒波を生き延びろ
       :物資を集めろ
生存者数:81名 エンジニア1名+見習いの子供たち

食料:あと5日分 収集開始
木材:ほぼ枯渇 収集開始
鉄材:ほぼ枯渇 収集開始
石炭:2日分 収集開始
スチームコア:1個

 傾注! 傾注! 新しい法律が施行されたぞー!!

児童法:子供たちは、技術者の手伝いをしなくてはならない。
労働法:通常通りの8時間シフト

次の建物があります
・テント81人収容分 ゲームとは異なり木材や石炭燃焼で暖房レベル1+
・救護所(実質的な本部) 数名収容できる 治療設備はなく寝かせておくだけ
・狩猟小屋(テント)
・ワークショップ(テント)
・集積所(ゲームとは異なりクレーター中のをかき集めて集積します)
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