フロストパンク世界にTS転生して落とされる話   作:キサラギ職員

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『新しい家』シナリオからロンドン主義者とか抜いた版みたいな感じです


放浪者たち

 

「おお神よ………あんたは神さまじゃ………」

 

 ビーコンをさっそくあげたところ、比較的近いところに放浪民がいることがわかった。望遠鏡で確認してみると、明らかに人の営みがあるのだ。これは、合流するように説得して見ないことには始まらない。もしスチームコアでも持っていたならばよい。技術者がいるかもしれないわけで。

 ただもう一つ悪いニュースとしては、遠くに嵐が迫っていることがはっきりと見えたことだ。この世界では気象観測の技術が発展していたらしく、都市からの追放者の一人のオッサン曰く、零下40度まで下がる恐れがあるとのことだ。それは一週間後にはやってくるという。

 目的地までは二日。戻るのに二日かかるとするとギリギリだ。あの、吹きさらしの下で焚火に当たってる人たちを放置すれば凍えて死ぬ可能性が高い。俺は決断した。行くべきであると。

 俺を出迎えたのは中年の男で、凍傷で失った右腕を抱え込むようにしていた。

 俺はその手を擦ってやりながら言う。

 

「神じゃないよ、人間だよ。まあちょっとあったかい空間作る力はあるけどさ……聞きたいんだけどあんたらの中で技術者とかはいない?」

 

 道中は楽だった。俺の周りにいさえすれば全然寒くないのでむしろ雪の上を歩くことの方が難しいだけだった。寝る時も俺の周りにいさえすれば焚火すらいらないので楽だった。

 狩りは、エイダンがやってくれた。持って行った食料は余り消費しなかった。道なき道を突き進むこと二日。ビーコンからの誘導(モールス信号と方位磁針で方位修正しつつ)によって達成できた。というかモールスあるのかと思ったけど年代的にもうあっておかしくはなかった。

 

 5名程が手を挙げた。聞いてみると機械技師だとか、時計技師、建築技師もいるではないか。これは大当たりである。

 

「スチームコア持ってる人いる?」

「一つだけあります」

 

 という答えだった。総勢20名。うち5名は子供で5名は技術者、エンジニアか。しかもスチームコアもあると来た。

 

「実はジェネレーターがある、安全な土地から来たんだ。そこにみんなで移り住んで欲しい」

 

 俺が言うと中年は驚きに目を広げた。

 

「い、いいんですかい。こんなよそ者を……」

「無論厳しいよ、うちだってそうだけど今はみんな協力しないとやっていけない寒い時代だし………話し合ってもらって決めてくれる?」

「いやぁ話し合うことなんてないですわ、安全な土地目指してうろついていたもんで……あ、あなた様がよろしければ是非迎えてください」

 

 と粗末な恰好をしたその男が言う。

 俺は握手をした。ぞろぞろと粗末なテントから出てくる一同に微笑んでやりつつ、名乗りを上げる。

 

「ジュン。ただのジュンだ。“ニュータウン”のリーダーやってる。じゃあ荷物をまとめてくれ。嵐が迫ってきている」

 

 帰りだが、これは苦労した。というのも人数が数十名になってくると俺の能力でカバーできる範囲を超えて来るので、焚火を熾す必要があったし、道中で熊に襲撃されたりとえらい目にあった。エイダンが弓で仕留めてくれたけど眉間にヘッドショット決めるのかっこよすぎだろ。

 

「そういや、なんで銃じゃないんだ?」

 

 銃がないわけじゃない。ライフルも持ってきているのにエイダンはあくまで弓を使いたがる。

 俺と隣に並んで歩くエイダンは肩を竦めた。

 

「バカでかい音が鳴るからな。他のに逃げられると食える分が減る」

 

 合理的な理由だったが、それにしたって凄いと思う。

 

 

『遠征隊が戻ったぞー!!』

 

 俺達が帰るなり、みんなが出迎えてくれた。時間は昼。俺達がドヤドヤと人を帰って来たのを見て、大喜びであった。

 

「おお……本当にあのジェネレーターがある………」

「街だ……人がいる………」

 

「疑ってるわけじゃないが本当に連れて帰って来るとはなあ……」

 

 マッチョ青年ことルークが出迎えてくれた。相変わらずの薄着だけどそれ寒くないの? 北国の男は違うな。

 

「首尾は?」

「上々だよ。ジュン、お前さんたちが抜けてた間に必死こいて台車作らせて勝手にやって悪いがシフトを元に戻して、石炭やらなんやら運ばせてるところさ」

「いいよ。もともとそうするつもりだったしな」

 

 俺達が話していると、放浪者のリーダーのオッサンが頭を下げつつ挨拶をしてくる。

 

「本当にありがとうございます………しかし、本当にいいんですかい、私のような腕無しがいても……」

「いずれ、義手を作ろうと思う。それまでは子供たちの面倒見たりしておいてもらえれば十分、十分」

「ありがたい……」

 

 なんか痒いな! こう、年上にペコペコされると痒い! そうだよ義手も作らないといけないけど工場作らないと……っていう制約はないんだよな。普通に手作業で組めばいいし。ただ義手の技術者がいないと話にならない。

 俺は、住民たちから食事の配給を受けるみんなの前で声を張り上げた。

 

「食事を摂って寝たらさっそくだけど作業が待ってる。段取りに関しては明日作業指示を出すから、よろしく頼む。寒波の嵐が迫ってる。あと三日くらいで到達する予定だ」

 

 ざわめく面々。生き延びられるのか恐ろしいのだろう。俺はにっこりと笑って見せると、ジェネレーターを指差した。

 

「あれがある限り、大丈夫だ! 皆で生き延びような!」

 

 絶望ルートは嫌だ。可能な限り希望のあるルートで進みたいねぇ。それで都市として自立できるようになりたい。俺の今の願いはそれだけだ。

 

 俺はその足で、早速ワークショップに向かった。ワークショップは流石にテントじゃ厳しかろうということで、増築が計画されていた。一軒家にするつもりだ。というか原作のあの立派な建物、作れる気がしないんだよな。仕様上しょうがないんだろうけどさ。

 俺はワークショップ前で人に指示を出して建物を作っているジョナスじいちゃんのところに向かった。

 

「ジョナスじーちゃん。コアがもう一つ見つかったよ。これで……オートマトンって作れんかなぁ」

「おう、ジュンお嬢ちゃん……コアがもう一つ、か。いいことだわい。わしの方も温室の設計所を起こしておってな」

 

 もう!? いくら何でも早すぎないかと思ったが、よく見てみるとなるほどである。髭モジャすぎてわからなかったが目の下にクマができてる。

 

「よう頑張ってくれたよ。丸一日休んでもらってさ……」

「ううむ、しかしこの老骨、酷使されるためにいるというに……」

「いや今倒れられると本当に困ったことになるから。オートマトンとかの建造だってやってもらいたいのに」

 

 できるかは不明だったが、なんとなく言ってみた。

 

「オートマトンか……無傷で手に入れられるならそれにこしたことはないが……やはり作るしかないのかのう」

「作れる?」

「ああ、だいぶ前のことじゃが製造に携わったことがある。図面から起こすことになるだろうが……時間と労力あれば……作ってみせよう」

 

 じいちゃんは髭を擦りつつ言った。

 ついてるな。しかし、オートマトンがいないまま寒波を迎えるのはなかなかきつい。

 フロストパンクの『新しい家』シナリオだと序盤にオートマトンを入手できるんだが、現状では見つかっていない。ゲームと違って各家庭ごと暖房できるんでそこは有利だが、その分燃料を食うわけで。

 

「温室に関してはすぐ取り掛かって欲しい。促成栽培できる野菜なんかはないと壊血病とかにかかるしね」

「わかっておる。だが休まないといかんのだろう? 明日からとりかかるわい」

 

 かくして、俺たちの街は最初の試練である寒波の日を迎えることになった。




ステータス:定住中
メインクエスト:大寒波を生き延びろ
       :最初の寒波を生き延びろ
生存者数:81名 エンジニア1名+見習いの子供たち
     更新
     101名 エンジニア6名+子供たち

食料:あと3日分 収集中(人数増により減少)
木材:少し 台車の量産化、道の整備に成功
鉄材:ほぼ枯渇 収集中
石炭:3日分 収集中
スチームコア:2個

「児童法」子供たちは、技術者の手伝いをしなくてはならない。
「労働法」通常通りの8時間シフト 延長12時間シフトまで可
「基本法」殺すな、盗むな、怠けるな。違反した者はむち打ち刑と処する。
「私有財産」これは、認めない。
「投票権」これは、認めない。ただし都市の自立が確立されたのち投票権を付与し民主主義体制に移行する準備がある。

次の建物があります
・テント101人収容分 ゲームとは異なり木材や石炭燃焼で暖房レベル1+
・救護所(実質的な本部) 数名収容できる 治療設備はなく寝かせておくだけ
・狩猟小屋(テント)→狩猟小屋へアップデート
・ワークショップ→一軒家にアップデート
・集積所(ゲームとは異なりクレーター中のをかき集めて集積します)
・道 クレーター内部、砂利を敷いた道を建造しました
・ビーコン 観測気球 遠征隊を組織できます
・温室(建設中) 主に促成栽培の青物野菜を栽培できる場所
 スチームコアを使用する



「エイダンの日記」
…………すごく、美人な女だけど何とか口説き落とせないだろうか。今まで付き合った人がいないとか冗談きつい。俺の親父が生きてたら浮気でもしていたことだろうな。なんか事情でもあるんだろうか。

―――字が汚いため解読できたのはそこくらいである。
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