続きです。
正門での出来事から数時間程経った頃
「••••••ハァハァッ! タイムはどう?」
外周を走ってのアップも終わり、何時もの場所、裏庭の隅の方に整備されてある予備の芝コースでライアンにタイムを測って貰っていたドーベルは、最近タイムが伸び悩んでいる事もあり、測定結果を催促する。
「ん〜、いつも通り、変わらずって所だね。 やっぱり、ここから先はちゃんとしたトレーナーさんが必要になるんじゃないかな?」
手元のストップウォッチの数字を見ながら、ライアンが答える。
「わかっているけど、その、学園のトレーナーだとやっぱり学園の設備でトレーニングしないとダメなのよね?」
少しだけ気落ちしながらドーベルは、自分でも答えがわかっている質問を問いかけた。
「基本的にはそうなるかなぁ、そもそも、その為に私達も学園に入ったんだしね。ベルだってそこの所は納得して入ったんでしょ?」
「••••••それは、その通り何だけど••••••そもそも、模擬レースで勝たないとそのトレーナー自体が付いてくれ無いじゃない?」
「••••••ベルはあがり症だからねぇ、それさえなければ模擬レースなんて簡単に1着取れちゃうのにね?」
「ダメなのよ、周りの人達が自分を見ていると思うと••••••どうしても心臓の動きが速くなって、こんな弱い私が勝てる訳が無いって思ってしまうの。」
ドーベルは自らの身体を掻き抱くと、苦痛に満ちた表情で虚空を見詰める。
「••••••ベル、私はベルは強いと思っている。 ベル自身が自信が無くて、自分を信じられ無くても••••••私はベルを「はい、ちょっと通りますよ〜」と思うよ!」
何かしらいい事を言ってドヤ顔でドーベルの方を見たライアンは、何か思っているのと違う反応を返すドーベルを見詰める。
何故ならば、何処か怪訝な表情で此方を見ているドーベルが、そこには居たから••••••
「••••••ごめんライアン、ドヤ顔決めてる所悪いんだけど、聞こえなかったから、もう一度言ってくれる? あと、足下にいるそれは知り合い?」
ドヤ顔で言った言葉が相手に届かなかった事を理解させられたライアンは、一瞬で顔の熱を感知し、恥ずかしさから下を向き顔を手で隠そうとした時にそれが視界に飛び込んで来た。
何故か、紐に近い水着を着て腰蓑をつけたリアルデュークが後方師匠面で仁王立ちして居たのだ。
「迷えるウマ娘よ、聞きなさい。私の師匠が昔何処かでなんか聞いた事があると言ってた言葉。「こうしなければいけない」なんて言葉に耳を貸す必要はない。目的が達せられるなら、手段はなんだっていい。 そう言って師匠はア◯ムに入って行った••••••『限度額いっぱいだったよ!チクショウメー!』って出て来て叫んでた。 その日はボクのご飯半分こした。」
「いや、一体全体なんの話? ってか、なんて格好しているの! 幾ら何でも子供がしちゃダメな格好でしょ!」
「••••••先生! 私、目から鱗です。 そうですよね、手段はなんだっていい、そうです! レースは勝てば良い、過程である他の人の視線なんて気にする必要は無い、だって先生の師匠が言っているんだから!」
「べ、ベル?」
「では、一緒にケチャします!」
「ハイ、先生!」
「なんでっ⁉︎」
思わず疑問を叫ぶライアンを無視して、ドーベルと並んで地べたに胡座をかき、厳かに両手を空に向かって広げる。
それを見てドーベルも両手を空に向かって広げ様とした時だった、
「やらせませんですわっ!」
ライアンの背後から顔の横、頬ぎりぎりを何かが物凄い勢いで通り過ぎて行くと、凄まじい衝突音と共にリアルデュークが吹っ飛んでいった。
「••••••マックイーン?」
「全く貴女は••••••少し目を離すとすぐに変なことを始めますのね? ドーベルもドーベルですわ! 一体何をやっているのですか!」
リアルデュークが吹き飛んだ方向を見ていたライアンは、リアルデュークを蹴り飛ばして怒鳴り散らすマックイーンの迫力に鬼を見ていた。
「あぁっ!先生?」
吹き飛び地面に転がるリアルデュークにその場で片手を伸ばすドーベルの腕を掴み、無理矢理立ち上がらせると、マックイーンはドーベルをライアンへと放り投げた。
「な、何を••••••」
慌ててドーベルを抱きとめたライアンは、困惑したまま、マックイーンへ疑問を投げかける。
「••••••酷いことするパクパクさん」
まるで何事も無かった様子で立ち上がると、体に付いた埃を手で払いながらぶつぶつと文句を言うリアルデューク
「••••••なんて格好していますの?」
「これ、ケチャの正装みたい。だからコレ着て皆んなでケチャする。きっと凄く楽しい」
目をキラキラさせて自分を見て来るリアルデュークに、若干の気不味さを感じながらも、持っていたウマホで手早く検索したページを見せる。
「••••••ケチャの正装ってコレですのよ?」
「••••••オスしか居ない。」
「ええ、殿方のやる呪術みたいなモノらしいですわ」
何かはわからないが、なんか落ち込み始めたリアルデュークの事を、オロオロしながら心配そうに見詰めるマックイーン••••••そんな良くわからないモノを見せられたライアンは、ドーベルの肩を抱きながら何故か自分までオロオロし始めていた。
そんな変な雰囲気が形成されつつあるその場に
「••••••貴女達、何してますの?」
散歩中に偶然通りかかったラモーヌが1人冷静に疑問を投げかけていた。
このお話の事実。
基本的にリアが出て来ると話が進みません。
何ででしょうね?