メジロ家の変な子   作:ネギ市場

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 幼女がやる気を充電中です。
 



円卓会議の行方

 

 

 「イヤッ!」

 あれから、グッタリとしていたリアルデュークを起こし、取り敢えず面倒なので縛ったまま、ライアンとドーベルで円卓の上に寝転がして、マックイーンが事情を説明して、走る所を見せて欲しいと頼んだ所、拒否されたうえ、バッタンバッタンと釣り上げられた魚並に暴れられていた。

 「リアさんの、現時点での実力を知りたいだけですのに、一体何が気に入らないのですか? せっかく、みなさんがリアさんの為に、色々と考えて下さっていますのよ?」

 「マックイーンの馬鹿! イヤなのはイヤなの!」

 「イヤイヤイヤイヤと、いい加減にしなさい! 子供じゃあるまいし、何でもかんでも、それで通用すると思わないでくださいまし!」

 つい、感情的に叱り付けるマックイーンに対して、今にも噛み付かんと歯を剥き出しに威嚇する、幼女擬きことリアルデュークの、一進一退の攻防が卓上でちんまりと行われていた。

 「リア、ほんのちょっとでいいんだよ? 終わったら広背筋の効率的なトレーニング教えてあげるから、ねっ?」

 「そんなので言う事聞く子供が何処にいるん「効率的? 格好良い背中?」……うわぁ、ここに居たよ…」

 リアルデュークは、ライアンの言葉が耳に入ると、暴れるのを止めて体ごとライアンの方を向いて確認してくる。

 「うんうん、何なら首から肩甲骨のラインの確認もしてあげるよ?」

 意外な好感触にここぞと畳み掛けるライアン。

 「……おばちゃんに確認して良いって言ったら走る。」

 「おばちゃん? リアさん、貴女トレーナーが付いていたのですか? そのおばちゃん?は、どこのどういうお方なのですか?」

 意外な人物が出て来た事にびっくりしつつも、マックイーンが確認の為、詳細を求める。

 「おばちゃんはおばちゃんっ! 向こうで約束した。 ボクは約束守る、おばちゃんが約束叶えてくれる。」

 あまり要領の得ない遣り取りに、首を傾げつつマックイーンは、更に質問をしてみた。

 「それで、その方はどちらにいらっしゃるのですか? 仮にも我がメジロ家のウマ娘のトレーナーを為さるのであれば、一度お祖母様を含めてご挨拶させてくださいませ。」

 「知らない。」

 「知らないって、貴女のトレーナーさんなのでしょう? 巫山戯て無いで教えなさいな?」

 「おばちゃん、ボクがちゃんと約束守れば会いに来るって言った。 だからボク約束守っている。」

 「そんな杜撰な約束の仕方って、聞いた事有りませんですわ!」

 「それで、先生のトレーナーさんって、どういうヒトなんですか? やっぱり外国のヒト?」

 少しだけ剣呑な雰囲気を出し始めたマックイーンを見て、ドーベルが話に割って入る。

 「ちょっ、まだ私の話しが「良いから良いから」…全くもう。」

 眉根を寄せたマックイーンが引き下がり、ドーベルが中心となって質問をして行く、ある程度情報を聞き出した後、其れ等をホワイトボードに書き出していく。

 「……おばちゃん、新馬、喧嘩早い、短絡的、ギャンブル好きでいつもお金がない、大きなウマ娘……これって、もしかしたら……」

 「何かわかりましたの?」

 腕を組み、顎先に指を当てて考えるドーベルの方を、みんなが見つめていると、ドーベルがボソリと述べた。

 「……典型的なクズという方では?」

 「確かにクズだね」

 「ハッキリと言えますわ、クズですと」

 「……ここまでだと、少しだけ、良いわね。」

 「「「「ラモーヌ姉様?」」」」

 

 「いやねぇ、冗談よ? ちょっとだけ面白いと思っただけよ。」

 「ラモーヌお嬢様は、昔から変わった方に惹かれる所がありますから……」

 「ダメ男製造機?」

 「製造はしないわ、どちらかと言うと育成かしら?」

 「おぉっ! ダメ男育成機!」

 「こう言うヒトを見付けるとね、何処までダメになるのか、色々与えてみたくなるのよね」

 リアルデュークからの半分悪口とも取れる質問に対して、満更でもない態度で答えるラモーヌを見て、頭を抱える執事長とメイド長だったが、何やらメイドからの連絡を受けたメイド長が、この場にいる者達に告げる。

 「アサマ様がご帰宅になられます。 お迎えの準備が有りますので、私はこれにて失礼致します。」

 そう告げると、深く一礼して退室して行った。

 

 

 「それで、どうするの?」

 メイド長が退室するのを何となく眺めた後、仕切り直しの意味も込めて、改めて質問を投げ掛けてみたライアンだったが、特に何かが浮かんだ訳でも無かった。

 「如何するも何も、この推定クズウマ娘?の正体を突き止めて、リアさんへの悪影響を排除しませんと!」

 「そうよね、先生に対する、このクズの影響が取り返しのつかない所まで行く前に排除ですわ!」

 鼻息荒く排除を口にする2人を見て、苦笑いしか出来ないライアンと、楽しそうに妄想しているラモーヌ、飽きたのか拘束具を引き千切って床でダラダラし始めた幼女擬き……執事長は、モニター越しにこの惨状を見て、そっとパソコンの通信を切った。

 

 

 「……初志貫徹とは、難しい物で御座いますな…」

 

 

 

 「…それでは、第三回リアルデューク救済会議を始めます。 先ずは前回の会議で決まった事を……「何か決まっていた?」ライアンさん、話の腰を折らないでくださいまし。」

 あのカオス状態から2時間、午後のアフタヌーンティーを終えて再開したこの会議だが、メイド長は仕事に戻り、執事長はフェイドアウトし、ラモーヌは飽きたと告げて退室した為、この場にはライアン、ドーベル、マックイーン、更に強固に拘束されて床に転がっているリアルデュークの、4名しか居なかった。

 「こほんっ、と、兎に角、リアさんのトレーナーと思われる人物を特定して、リアさんの実力を確認。 その後地域のレースを蹂躙して、学園のスカウトの目に止まる。 これを成し遂げる為の道筋を、模索して行きますわよ?」

 円卓をバンバン叩きながら、少々強引に話を進め様とするマックイーンにやる気無さげに返事をする2人に対し、文句を言おうとした時、不意に会議室のドアを開けて、アサマとスピードシンボリが入室して来た。

 「皆さん只今戻りましたよ。 メイド長から話を聞きましたが、会議の進捗は……コレは連想ゲームですか?」

 アサマは、進捗を確かめようとホワイトボードを見て少し考え、頭に浮かぶ人物の名前を、思わずといった形で洩らす。

 「これって、シン様のことかしら?」

 「お祖母様、この方をご存知なのですか?」

 「喧嘩早い、短絡的、ギャンブル好きでいつもお金がない、大きなウマ娘って言ったら、シン様しか居ないわよね?スーちゃん。」

 「確かに、この条件ならまさにシン様で当たりでしょうね。」

 祖母とその友人が、仲良く答え合わせをしている様を見ながら、マックイーンが慌ててたずねる。

 「それで、お祖母様が仰る、シンさまと言う方は、どの様なお方なのでしょうか?」

 「どの様なお方って、貴女達も良く知っているお方で、シンザン様って言えば分かるかしら?」

 「……お祖母様、あのシンザン様が、こんなクズな訳無いじゃありませんか? シンザン様ならお祖母様より年上ですし、いくら何でもその年でこのクズっぷりはウマ生的に終わってますし、御冗談が過ぎますわ。」

 「確かに、あのシンザン様でしょ? たとえクズでももう少しマシな方、何らかの誤解を受けてそう見えているとかでしょうし、仮にも神馬とうたわれたお方が、ギャンブルなんてまず有り得ませんし、アレだけのGⅠを獲ったお方が金銭面で困る訳も有ませんわ。」

 「…うん、ベルの言う通りだよ。流石にアレだけレースで勝って、お金に困るって言うのはねぇ、もし本当なら計画性無さすぎだし、とんでも無い放蕩者か、京楽主義者だね。 どちらにしても、クズと言うか単に何も考えて無いヒトになっちゃうね。」

 祖母の何時もの冗談だと思い愛想笑いをする3人に合わせる様にアサマとスピードシンボリも愛想笑いを浮かべながら、口元を扇子で隠すと

 「シン様、お入りになって下さいまし。 うちの孫達がシン様に用があるみたいですので…」

 

 

 

 

 

 「……取り敢えず、オメェら全員外に出ろ!」

 

 

 







 幼女擬きが未だにやる気をみせません。

 
 因みに、うちのスマホの予測変換ですが、何故か『て』の予測変換に「てんちむ」が出て来ます。
 一度も変換した事無いのですがねぇ……解せぬ。
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