メジロ家の変な子   作:ネギ市場

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続いて投稿です。




お嬢様とは?

 

 

 

 「リアお嬢様?聞いておりますか?……リアルデュークお嬢様!」

 ここは日本でも有数の名家であるメジロ家本邸。

 その中でも普段は客を持て成す応接間、よく言う客間であり、メジロ家の名に相応しい嫌味の無いさり気なさの中に漂う高級感を感じるテーブルや椅子に適度に配置された調度品の数々が、部屋全体の落ち着いた雰囲気を醸し出す要因の一つになっていた。

 そんな、一般庶民には全く縁の無い部屋では、現在進行形でリアルデュークの目が死んでいた。

 お嬢様全としたワンピースを身に纏い、ゆるふわカールのかかった長髪に、指輪やブレスレットを身に付けて、一冊の本を頭の上に乗せ、背中に長い定規を装備したリアルデュークは、薄らと化粧を施された顔は表情が死んでおり、その本来なら生命力を誇示する瞳は正に魚の死んだ様な目をして床に置かれた3m程の定規2本の間を歩いていたが、意識を思い出の中へ逃避している最中に執事さんに注意されて現状を思い出す。

 「お嬢様が我がメジロ家にお戻りになられてはや2年、こうしてメジロ家に相応しいウマ娘となる為に微力を尽くして参りましたが、未だに初歩の作法すら出来ておりません。」

 あれから2年の歳月が流れ、来月からトレセン学園に入学することになったリアルデュークは、名家メジロ家に引き取られていた。

 引き取られてからは、近くの有名なお嬢様学校ではなく、一般家庭の子供が通う公立の小学校へ通っていた。

 本来ならすぐにそれなりの学園へ通うのが、メジロ家令嬢として当然なのだが、色々と本人にも境遇にも問題があったリアルデュークは、メジロ家総帥メジロアサマの鶴の一声で、約1年間程メジロ家本邸で日本語の勉強と、一般常識と上流階級での作法を学んでから今の学校に通うことになった。

 あれからシンザンとは2回しか会えていないが、毎年必ず誕生日とクリスマスのプレゼントと、お年玉だけは贈ってくれる。

 最初のうちは、シンザンとの約束を胸にトレーニングに励んでいたが、ライアンとの第一次筋トレブームを経て、すっかり筋肉の為にトレーニングに励んでしまった為、すっかり最初にした約束を忘れてしまい、シンザンの事は気前の良いおばちゃん程度の認識になっていった。

 「ライアン姉さんとのトレーニングって本当に筋肉から感謝の意を感じるなぁ〜、そうだ、ライアン姉さんに綺麗なシックスパックになるトレーニング方法を教えて貰わないと!」

 そう言ってパジャマのまま自室を飛び出して廊下を走り出したリアルデュークを目敏く見つけたラモーヌが優しく抱き止める。

 「まぁ、リアさん。廊下を走ってはいけませんわよ?」

 「へぶっ! あ、ラモーヌ姉様?」

 ラモーヌの豊かな胸を下から見上げる形で思わず抱きついてしまったリアルデュークは、そのままお腹に顔を埋める。

 ラモーヌは、愛しげにその綺麗な銀髪を撫でながら優しく問いかける。

 「リアさん、今日はどこに行くのかしら?」

 「……えとね、えっと」

 未だに日本語が得意では無い妹の言葉を微笑ましく待つ。

 やがて話したい事が纏まったリアルデュークが柔かに話す。

 「あのですね、シックスパック!ライアン姉さん!」

 「ライアンがシックスパック? ああ、確かにライアンの腹筋は綺麗に割れているわね?」

 「うん!だからライアン姉さんの所に行くの!」

 「あらそうなの? ならワタクシも一緒に行こうかしら?」

 「うん、行こ〜!」

 嬉しそうに自身の手を引っ張る妹の姿を見て、初めて出会った時の事を思い出す。

 

 

その日、アサマから呼び出しを受けたメジロラモーヌは、自身が運転する赤いスポーツカーで本邸の門の前に乗り付けると、車から降りてメジロ家本邸を眺める。

 「……ここに来るのも久しぶりね。お婆様も一体何の用なのかしら?」

 メジロ家本邸に着いたラモーヌは、出迎えに来た年若い執事見習いに自身の車のキーを渡すと、そのまま門を通り本邸の玄関へと向かう。

 門から玄関までの広い庭をのんびりと歩くラモーヌの姿を見つけて、庭で練習をしていた幼女達が集まってくる。

 「ラモーヌ姉様だ!」

 「はい、ラモーヌ姉様ですよ? 皆んな元気に練習して居たかしら?」

 集まってきた幼女達に笑顔で答えながら、幼女達の状態を素早く観察する。

 どこも怪我も無く、元気に笑っている姿を見て一人一人の頭を優しく撫でる。

 「ねぇねぇ、姉様? また一緒に駆けっこして〜」

 無邪気にそう言って来る幼女の頭を撫でながら、しゃがんで目線を合わせたラモーヌは、ちょっとだけ困った表情で

 「ごめんなさいね。今日はお婆様からお呼ばれしてるから時間がないのよ?また今度、一緒に遊ぼうね?」

 「えー!つまん無い!」

 「ゴメンね、次こそ一緒に遊んでくれるかしら?…それじゃ、またね?」

 頬を膨らませる幼女に申し訳無さそうに謝りながらも、最後は笑顔で手を振って別れる。

 「……お帰りなさいませ、ラモーヌお嬢様。」

 ラモーヌが玄関前に着くと、執事長と本邸付きメイド数名がお辞儀をして出迎える。

 「ただいま、相変わらず堅苦しいわねぇ?」

 「コレも必要な事ですので、ラモーヌお嬢様に置かれましてはご不快かと思われますが、平にご寛恕の程を……」

 更に深くお辞儀をする執事を見て、溜め息を溢すと

 「で、お婆様は何用でワタシを呼んだのかしら?」

 「…アサマ様に置かれましては、執務室にて他の方々とお待ちです」

 「他の方々ねぇ。 な〜んか、やな感じがするわね」

 適当な所でサッサと帰りたいなぁ。と、思いながらも執事にアサマの所まで案内されるラモーヌだった。

 

 

リアルデュークの挿絵

 

【挿絵表示】

 





意外と早くストックが無くなりそうで焦ってます。

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