メジロ家の変な子   作:ネギ市場

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 牛歩の歩みです。
 昔、牛歩戦術とか言っていい歳した大人がやってましたが、
 アレ何だったんでしょうね?
 
 


幼女のお受験 その6

 

 

 あれから数分後、片付けをしてから来た面々とゴール近くの観客席に座りながら、始まった模擬レースを眺めて雑談に花を咲かせて居た。

 「後片付け、お任せしてしまい、すみませんでした。 お陰様でトラブルも無くあの子を会場に届ける事が出来ましたわ。」

 集まった面々に軽く頭を下げてお礼を言うマックイーン。

 「しかし、あの距離でお見送りが必要て、意外とお嬢様やったんやなぁ?」

 タマモクロスが、若干呆れ顔でぼやくと、トウカイテイオーが真剣な表情で話す。

 「甘いよ、あのリアルデュークだよ? あの距離でだって何やらかすかわかったものじゃないよ?」

 「……せやな、賢明な判断やったと思うわ。」

 そんな話に加わる様にゴールドシップが笑いながら話す。

 「しかしまぁ、チーム総出で応援とは、あのおチビも期待されたもんだぜ」

 「ええ、だってこのメジロ家の子なんですもの。」

 そんなゴールドシップの言葉に、満面の笑みでマックイーンが答える。

 「そこは、メジロ家のじゃ無くて、私の妹だからって言いたいんじゃないの?」

 直ぐ様トウカイテイオーがツッコミを入れたが、余裕の表情でマックイーンが躱わす。

 「ふふ、揶揄わないで下さいまし。」

 「私達だけじゃなくて、あのタマモクロスさんまで応援してくれるんですもの、これで1番じゃ無ければダメって事よね?」

 そして悪気なく言ったスカーレットの言葉に敏感に反応したマックイーンに気付く前にウォッカの言葉がはいる。

 「別に1番じゃ無くても普通に走れれば大丈夫だろ?」

 「まぁ、兎に角や、何だかんだでここにおる面子は大なり小なり、あのおチビに期待しているっちゅう事やな?」

 そんな、少し浮ついた雰囲気の面々を宥める発言をして居たタマモクロスに、声を掛けて来たウマ娘がいた。

 「タマ、ここに居たのか、探したぞ?」

 「おう、オグリやないか、丁度ええ所に来たなぁ? 今から始まるで?」

 何かを探す素振りをしているオグリキャップを訝しみながらも、タマモクロスがいつも通りに話しかけた。

 「……タマ、私はタマがご飯を作ってくれると聞いたから来たのだが?」

 少しだけ膨らんでいるお腹を撫でながら、不思議そうに話すオグリキャップ。

 「何やて? ウチは午後いちにここに来い言うただけやで?」

 「だから、午後はご飯の時間だ。」

 「そかそか、確かに午後はご飯の時間やなぁ……って、んな訳あるかい! 何でその会話内容でウチがご飯作る流れになるねん?」

 「だが、それだと私が、お昼ご飯を3人前くらいに抑えた意味が無くなってしまう。」

 「しっかり食うとるやん! 何ならウチより余程食うとるやん!」

 「「「「「お、オグリキャップさん?」」」」」

 突然現れたスターウマ娘にびっくりしている周りを気にせずに、ツッコミとボケを繰り返す2人。

 「むぅ、参ったな、此れではまた直ぐにお腹が空いてしまう。」

 「タマモクロスさんが呼んだんですか?」

 いまいち凄さが分かって無いスペシャルウィークがタマモクロスに話しかける。

 「せやで? 前にオグリにもおもろい奴がおるって話したら一度見てみたい言うてたからな。」

 「あぁ、あの時言っていた子供の話か?」

 漸く自分が呼ばれた訳を知ったオグリキャップが、確認を兼ねてタマモクロスに質問する。

 「せやせや、そのおチビが今試験を受けててな、これから走るねん。」

 「ふむ、ではご飯はその後と言う事か……了承した。」

 「せやからご飯は無い言うとるやろが?」

 「そ、そんな……」

 どうしてもご飯が無い事に愕然とするオグリキャップに、少々引きながらマックイーンが話しかける。

 「えっと、そのもし宜しければこの後、試験が終わったらメジロ家で慰労会を行いますので、是非お二人もご参加下さいまし。」

 「お、それは是非とも参加したい所やけど、オグリが行って大丈夫なんか?」

 「それはもう、既にシェフにはウマ娘基準で20人前追加の指示を出してありますので、逆に参加なされないと困ってしまいますわ。 ですので、オグリキャップさんには人助けと思ってご参加下さいまし。」

 「……タマ、メジロ家って良い人だらけだな?」

 何か凄い感銘を受けたオグリキャップが、嬉しそうにタマモクロスに話す。

 「……それはちぃと賛同し辛い話やなぁ」

 ちょっとだけ嫌そうな顔で答えるタマモクロスに、良くわかっていないオグリキャップが反論する。

 「何故だ? 美味しいご飯を食べさせてくれる人は皆良い人だと思う。」

 「そうです、ご飯は正義です」

 「まぁ、そんな事より時間やで? おチビの応援、気張っていこな!」

 ちょっと面倒になったタマモクロスが、誤魔化す様に声を張った。

 

 

 

 【さぁ、長らくお待たせ致しました。 芝短距離コースのレースが開催されます。解説の東条さんの要望で、今回は芝短距離第3レースをワタクシと東条さんとで実況解説させて頂きます。 それで、早速ですが、今回は何故このレースを選ばれたのかお聞きしても宜しいでしょうか?】

 【そうだな、簡単に言えばいまいち分からない子が居て、実際に見てみたいと思ったからだな。】

 【あの東条さんが気になってしまうくらいの煌めきを感じたとは、これまた凄い子ですね? 因みに誰かお聞きしても?】

 【審査にノイズが混ざってしまってはいけないので、ここでの公表は控えさせて頂く。】

 【あ、成る程。 確かにそうですね、すみません配慮に欠けた発言でした。】

 【いや、自分でそう言いながらも、個人的な興味を優先しているのだから謝る必要は無い。】

 【有難う御座います。 では、気を取り直してレースの方を見て見ましょう。 実際の所、この年齢の子達にとって、この芝短距離と言うのはどうなんでしょう?】

 【そうだな、今時期の子供達にとっては慣れ親しんだ距離と言えるだろう。 そもそも、殆どの子にとって、レースと言えばこの距離を指すしな。 体の出来上がっていない子供には、身体に無理なく走り切れる平均的な距離のレースだ。 なので安定した普段通りの実力を測れるとも言える。】

 【成る程成る程、つまり、殆どの子達が無理なく走れて実力差が最も出やすいレースですかぁ。】

 【必ずしもそうとは言い切れ無いが、簡単に言うとそう言う事になる。】

 【あ、我々は総合実況なので、つまみ食いみたいにランダムで色々なレースの実況と解説をしますが、各コース毎にちゃんとメイン解説者と実況者がおります。 そちらを聞きたい場合は、ウマホにて学園ホームページの特設ページにそれぞれのコース名リンクがありますので、そこを開けばちゃんとそちらを聞く事が出来ます。 今年もトレセン学園が誇る名トレーナーさんの貴重なお話を聞けますので、是非とも宜しくお願いします。】

 今の放送を聞いたゴールドシップが、ニヤニヤしながら揶揄う様にトレーナーに話しかける。

 「……名トレーナーの解説だとよ、複数のG1ウマ娘のトレーナー?」

 それを見て、ダイワスカーレットとトウカイテイオーが追撃を入れる。

 「……ここ数年毎年、担当するウマ娘の誰かがG1を取っているトレーナーさん?」

 「……実績はあっても、存在感のないトレーナーさん?」

 3人からの煽りを受けて、明らかに動揺しながらも、必死に反論するトレーナー。

 「お、俺はアレだ、忙しいトレーナーだからな、きっと学園の方が遠慮したんだろ?」

 「何だか小物臭が酷いわね?」

 と、ダイワスカーレットが言い。

 「トレーナー、もうちょっとこう、大人になれよ?」

 すぐにウォッカが続き、

 「いつも私達の為に、有難う御座います、トレーナーさん!」

 「スペはそう言う所がまだお子ちゃまだな?」

 いつものスペシャルウィークの発言に、すかさずゴールドシップが突っ込む。

 「……嘘は良くないですわね。 トレーナー会議で満場一致で下手過ぎるから外されたと、伺っておりますわ。」

 そして、メジロマックイーンが核心をついた。

 「マックイーン、なんでそれを知っているんだ?」

 引き攣った表情で問いかけるトレーナーに対して、種明かしをするマックイーンの顔は、何処となくドヤ顔をしたリアルデュークに似ていた。

 「タマモクロス先輩経由ですわ。 みなさんが来るまで少し世間話をしていましたの。」

 「……そ、そうか」

 項垂れ、敗北を受け入れたトレーナーの肩を叩きながら、タマモクロスが諭す様に話しかける。

 「まぁ、人それぞれ得意不得意がある、苦手な事は得意なもんに任せればええっちゅう事や!」

 「そ、そうだぞ? タマモクロスの言う通りだ!」

 タマモクロスの言葉に希望を見出した様な顔で同調するトレーナーに、タマモクロスが引導を渡す。

 「ウチが見た感じ、そないな見栄を張る程のもんも無いと思うけどな?」

 「おいおい、それは無いだろう?」

 げんなりとしながら反論しようとするトレーナーを無視してタマモクロスが声をあげる。

 「お、おチビが出て来たで?」

 その言葉にすぐにタマモクロスの近くに集まる面々の内、最も早く動いたマックイーンが、タマモクロスの隣に居たトレーナーをつき飛ばす。

 「トレーナーさん、邪魔ですわ!」

 「リアルデューク、頑張れよー!」

 「1発かましてやれ、リアルデューク!」

 「1番よ、1番を狙うのよ!」

 「お前ならやれる、頑張れリアルデューク!」

 「お姉ちゃんが付いているわ、頑張りなさい!」

 「リアルデューク、頑張るんだよ〜!」

 「兎に角、自分を信じるんだ、お前ならやれるぞ!」

 そしてリアルデュークに対して、それぞれが声を掛けている中、知らない子の応援に駆り出されたオグリキャップが、初めて見たリアルデュークの感想をタマモクロスに話した。

 「ふむ、アレがタマが言っていた子か、確かに雰囲気はあると思う。」

 「せやろ? 色々とぶっ飛んだ奴やけど、何ともおもろい奴や。」

 それなりに良い感触の感想を聞いて、タマモクロスが嬉しそうに笑った。

 







 あまり登場人数多いと、話が進まなくなる事を知りました。


 以後、多分気を付けます。……覚えていれば(汗)
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