メジロ家の変な子   作:ネギ市場

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 細かい設定等はオリジナルなので、結構ガバガバです。
 公式と違っても、そう言うモノだと思って下さい。


選抜レース

 

 

 

 選抜レース、それはトレセン学園主催のレースで年に4回開催される。

 趣旨としては、学生達が自分の成長を感じる為に、学年問わずレースを行い、来るべきデビューへの目安にと言う事だったが、実際には担当を探すトレーナー達のスカウトの場となっていた。

 そんな選抜レースの中でも、この時期に行われるレースは入学後すぐと言う事もあり、新入生が殆ど参加しない為、ここまでスカウトされずに残っている学生達にとってはトレーナー達の目に留まりやすいチャンスでもあった。

 それ故に、このレースに賭ける学生も多かったが、既に契約しているウマ娘がいるトレーナーが殆どであり、また、契約しているウマ娘の居ないトレーナー達にとっては新入生が殆ど参加しない事と、めぼしいウマ娘は既にトレーナーがいる為、経験の浅いトレーナー達はあまり熱心に見てはいなかった。

 しかし、熟練のトレーナー達はそんなトレーナー達とは違い、とても熱心にレースを見学していた。

 何故ならば、昔からウマ娘の本格化には大きく分けて三つのタイプがあり、一般的に中等部から本格化が始まり、3年程でピークを迎え、その後は暫くの間全盛期を過ごしてからピークアウトを迎えて引退する。

 多少の個人差はあるが、大体のウマ娘はこのタイプに分類される。

 だが、稀に初等部から本格化が始まる子もおり、その場合は早熟タイプと呼ばれる。

 それと対象的なのが、中等部後半から高等部前半に大きく成長の兆しを見せる晩成型と言われるタイプで、大体のウマ娘は中等部で焦って本格化前にデビューしてしまうか、トレーナーと契約出来ずに諦めて他の道を探してしまう為、晩成型は滅多に現れる事がない。

 その為、知識としては知っていても、若いトレーナー達は判別の難しい晩成型は判断が付かない為に敬遠がちになり、ベテラントレーナーは長年のその経験から知っている為、晩成型探しに熱心になる。

 故に、レースを見学に来ているトレーナーはベテランが多く、若くて生徒に人気のあるウマぴょい候補のトレーナーはほぼ居ない為、一部の生徒達には明らかにやる気の低下が見られた。

 そんな何時もと違う雰囲気の選抜レース会場では、今後のレースの参考にするべく熱心にレースを見学するサロメの姿があった。

 

 

 「……で、リアルデュークさんは何故ここにいるのですか?」

 体操服姿のサロメが困惑した表情で目の前のリアルデュークに問い掛けた。

 問い掛けられたリアルデュークが首を傾げながら答える。

 「サロメの応援?」

 「それはそれは有難う御座います。 でも、ワタクシ、選抜レースに出るとは1度も言っていないのですが?」

 「レース、大事。 サロメが早くレース出て稼ぐ、友人として応援。 サロメお礼くれる、感謝。」

 「つまり、このワタクシの獲得賞金で、減らされたご自分のお小遣いを補填したいと?」

 リアルデュークは少し首を傾げ、何かを考える仕草をすると、良い考えが纏まったのか笑顔で答えた。

 「……友情、とても大切!」

 「そんな欲に塗れた友情なんていりませんわ!」

 余りにもあんまりな答えを全力で否定するサロメ、そんなサロメにリアルデュークが得意げに宣言する。

 「大丈夫、ボクは必要!」

 「貴女がどう思うかではなくて、ワタクシがどう思うかですわ!」

 握り拳を作って力説するリアルデュークを見て湧き上がる苛立ちをぶつけるサロメに対して、リアルデュークが無邪気に問い掛ける。

 「サロメはツンデレ?」

 「違います。」

 「なら遠慮良くない、ボクは気にしない。」

 「貴女がどうではなくて、ワタクシが気に入らないのですわ! そもそも、ワタクシ達は入学したばかりですのよ?」

 「サロメならいける、きっと入着賞金稼げる!」

 「そこは嘘でも1着を獲れるって言いなさいよ!」

 リアルデュークの言葉に思わずその小さな肩を掴んで揺さ振るサロメ、そんなサロメにリアルデュークが気の毒そうな顔で告げる。

 「……ボクが1着なる、だからサロメは1着になれない。 悲しい現実だけど頑張る!」

 「……そうですか、つまり、貴女はこのワタクシに喧嘩を売っていると言う訳ですのね? 良いでしょう、その喧嘩、3割り増しで買って差し上げますわ!」

 遂にキレたサロメがリアルデュークの両頬をつねる。

 リアルデュークも負けじとサロメの両頬を引っ張る。

 まるで幼児の様な激闘を繰り広げる2人の近くを偶然通ったゴールドシップが何でもないかの様に話しかけてきた。

 「お〜、ガキ共、今日も元気一杯で羨ましい限りだな?」

 「あ、ごるひはんはい!(あ、ゴルシ先輩)」

 「ごるひはっふはっふ!(ゴルシおっすおっす)」

 「お前ら何言ってるかわかんねぇよ?」

 お互いに相手の頬を引っ張りながら挨拶してくる後輩2人に対して、軽くツッコミを入れるゴールドシップだった。

 

 

 

 「……で、お前らは此処で何してるん?」

 取り敢えず、場の空気を読んで2人の仲裁に入ったゴールドシップが、赤くなった両頬を押さえている2人に聞いてみる。

 「……サロメが悪い。 ボクの友情、無下にした。」

 「なっ、リアルデュークさんがワタクシに喧嘩を売って来ましたので、3割り増しで買ったまでですわ!」

 「サロメが悪い!」

 「いいえ、リアルデュークさんが悪いですわ!」

 「ボク悪くない!」

 「貴女と言う人は……今回も、絶対に貴女が悪いですわ!」

 お互いに相手が悪いと譲らない後輩2人に、呆れ顔でゴールドシップが話しかける。

 「……お前ら小学生か? って、ちょっと前まで実際に小学生だったな……よぉし分かった、お前らアタシに付き合え、このゴルシ様がお前らの仲裁をしてやる!」

 途中までは呆れ顔だったが、良いことを思い付いたのか得意顔で2人に宣言するゴールドシップだったが……。

 「……嫌。」

 「あ、間に合ってます。」

 「……テメェら、実は仲良しだろ?」

 息のあった2人の即答に若干苛つくゴールドシップだった。

 

 

 「焼きそば〜、焼きそばいかがですか? あ、はい、焼きそばお二つですね? ……有難う御座います♪」

 その声が響くのは、選抜レースで賑わう学園のレース会場。

 そんな何時もとは違う会場で屋台を建てて、一心不乱に焼きそばを作るゴールドシップ、その焼きそばを声を張り上げて売り込むサロメの隣では、リアルデュークが一心不乱に焼きそばを食べていた。

 「もっちゃ……ング、ん……うまうま。」

 「リアさん! 売り物を食べてはいけません!」

 美味しそうに売り物の焼きそばを食べるリアルデュークに注意していると、選抜レースの見学に来た生徒達が引っ切り無しに焼きそばを買い求めて来た。

 「焼きそば、私達にも一つ下さい♪」

 「はい、お一つずつですね?……有難う御座いました!」

 「……ボクの作戦通り、これで完売目指せる。」

 そんな様子を見て得意顔でそう呟くリアルデューク。

 その呟きを聞いて素朴な疑問を抱くサロメ。

 「確かに、こんな場所ですのに、売れ行きはとても良いですわね?」

 2人のやり取りを聞いていたゴールドシップが、サロメの疑問に答える。

 「そりゃそうだ、誰だって目の前で美味そうに食べられれば食ってるモンに興味が湧くもんだ。 それが知ってる物でも、目の前で作った物なら尚更だ。 つまり、視覚、聴覚、嗅覚に訴えられた以上、ウマ娘なら我慢は出来ねぇって寸法だ。 それに、このゴルシ様の作った焼きそばだかんなぁ、食べずにはいられねぇだろ?」

 「そう言うカラクリですのね? これも商売のやり方のひとつですのね。」

 ゴールドシップの話に納得したのか、サロメが感心したかの様に相槌を打つ。

 「まぁ、そう言うこった。 だからリアルデュークの行動も間違いじゃないが……オメェは食い過ぎだ!」

 そう言ってゴールドシップが、手に持ったフライ返しをリアルデュークに投げつけた。

 「フガッ、ング……痛い。」

 フライ返しが当たった所を撫でながらも、新しい焼きそばを手に取るリアルデュークを見てサロメが微笑んだ。

 そんなサロメに気付いたのか、何処かバツが悪そうに焼きそばを食べるリアルデュークだった。

 

 

 「まぁ、こんな所か……2人共お疲れ、助かったぜ? また次も宜しくな?」

 「あ、はい、お疲れ様でした。」

 選抜レースも終わり、屋台の片付けが終わった所でゴールドシップがサロメとリアルデュークの2人に労いの言葉をかけて立ち去っていく。

 程良い疲れと完売した充実感に思わず微笑みながらゴールドシップを見送ったサロメが、リアルデュークと一緒に部屋に戻る途中、ふと気付いた。

 「……ワタクシ、何で屋台の手伝いをしていましたの?」

 そんなサロメの腕を優しく叩きながらリアルデュークが優しく言った。

 「……タダ働き乙」

 その日、学園のとある穴に、サロメの行き場のない感情が籠った叫びが響いた。

 

 







 アーモンドアイ完凸ならずでした。
 地道に完凸目指します。

 最後の方を投稿忘れたので追加しました。
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