メジロ家の変な子   作:ネギ市場

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 最近話の途中で居なくなる幼女が居ます。
 一応主役なんですけどね、勢いよく書いていると、ふと気付いた時には居なくなっているんです。
 主役なのに……。


出会う? その2

 

 

 

 呼び出しを受けたサロメが寮長室に着くと、丁度中からメジロラモーヌがフジキセキと笑い合いながら出て来る所だった。

 「え、ラモーヌ様?」

 意外な人物の登場にびっくりしたサロメが、思わずその人物の名前を口にすると、それに気付いたラモーヌがサロメを見て笑顔を向ける。

 「あら、サロメさん、何時もリアさんがお世話になってるみたいね? 色々と面倒を見てくれているみたいだけど、あの子は少しは落ち着いたかしら?」

 そう白々しく話しかけるラモーヌを憧れの眼差しで見詰めるサロメ。

 「ええ、少しは落ち着いたと言えれば宜しかったのですが……実際の所はワタクシでは手に余る所も有りますわ。」

 伏し目がちにそう答えるサロメを、ラモーヌ越しにフジキセキが気の毒そうに見詰める。

 そんなサロメの肩に手を置いたラモーヌが、その整った眉根を寄せて心配そうにサロメの顔を見る。

 「御免なさいね、あの子の事を頼めるのはサロメさん、貴女ぐらいしか居ないのよ……本当ならば私が見てあげて居たい、でも私には立場に伴う責任があるのよ。 だから、一目で信頼できると思った貴女に縋るしか無い不甲斐ない私をどうか許してね?」

 心から申し訳無さそうに話してくるラモーヌを元気付ける様に、敢えて精一杯の笑顔で応えるサロメ。

 「大丈夫です! このワタクシにどうかお任せ下さい! ワタクシ如きでも、敬愛するラモーヌ様のお役にたてるならば、サロメは家宝者で御座います。」

 「そう? 私も信頼する貴女にそこまで言って貰えてとても嬉しいわ。 それじゃあフジ、私はそろそろ行くけど、あとはお願いね?」

 そんなサロメの反応に気を良くしたのか、ラモーヌは笑顔でサロメに応じるとフジキセキにも機嫌良く話しかける。

 「あぁ、後の事は任せてくれたまえ。」

 話掛けられたフジキセキは真面目な表情でラモーヌに答える。

 「サロメさんも、今度また落ち着いたら是非別邸に遊びに来てね?」

 「はい、是非お伺いさせて頂きます!」

 そう言って颯爽と去って行ったラモーヌの居なくなった先を何時迄も眺めているサロメの姿を見て、フジキセキが訝し気に話しかける。

 「ポニィちゃん、キミは……何故そんなに彼女を慕っているんだい? キミも分かっていると思うから言うけど、彼女はそんなに善良な人では無い。 今だってキミを都合良く利用しているだけだと思う。」

 真剣な表情で話しかけてくるフジキセキに対して、サロメはその心配を和らげる様に、優しく微笑んで答えた。

 「ふふふ、それは、あの方がワタクシの憧れだからですわ。」

 サロメの言葉に眉根を寄せて不快感を示したフジキセキが、サロメに対して諭す様に話す。

 「憧れだと言うのは分かるけれど、それにしたってキミのそれは少々行き過ぎていると私なんかは思ってしまうんだけどね……訳を聞いても良いかな? 勿論、プライベートなことだから、言いたくなければ無理に話す必要は無いからね?」

 そんな自身を心配して話してくれるフジキセキに感謝しながらも、何処か困った様な表情で話始めるサロメ。

 「いえ、別にそんなに特別な話では無いんです。 これは、きっとどこにでもあるありふれた話なんですよ?」

 「私としては、そんなありふれたキミの話をこそ、聞いてみたいと思っているよ?」

 そう優しく囁いてくれるフジキセキに照れながらも、サロメは自分のことを話始めた。

 「ワタクシの両親はどちらもヒトミミで、祖父母もヒトミミでした。 父はURAの役員で、母はURAの職員……小さな頃からトゥインクルシリーズが忙しい時期には、ワタクシは良く父方の祖父母の所に預けられて居ました。 そんな祖父母の家はとても田舎で、ワタクシが三年生の頃に亡くなった祖父は、農家をして生活していたそうですの。 ワタクシは、都会と違って好きな時に好きなだけ走っても怒られない田舎の祖父母の家が大好きでした。 小さな頃から走り方を教えてくれたり、一緒に遊んでくれた大好きな祖父が亡くなって間もない頃に、ふと普段は入ったことの無い庭先にある小さな蔵に入った事が有りましたの。 そこで見つけたのは大量の本と何かの記録、それと壁一面に掛けられた祖父と思しき若い男性の写真、どれもウマ娘と一緒に写っており、とても楽し気な写真ばかりでしたわ。 後から祖母に聞いた話では、ワタクシの祖父は今は廃業して無くなった地方学園のトレーナーだったらしく、いつか中央でトリプルティアラを獲るウマ娘を育てるのが夢だったらしいです。 そんな祖父は事あるごとに、祖母にワタクシの事を話していたらしく、祖父の中ではワタクシは逸材で、きっと大きくなったらトリプルティアラのウマ娘になるって言っていたらしいんです。 そんな祖父は夢半ばで潰えてしまいましたが、その生涯をかけて培われた育成方法はワタクシが受け継ぎました……その夢も一緒に。」

 「トリプルティアラか……何となく分かってきたかな。」

 そう言って優しく微笑んでくれるフジキセキに照れながら、サロメが意を決した様に話す。

 「ええ、ワタクシの夢は、祖父が夢見て成し遂げられ無かった夢を、トリプルティアラを墓前に供える事ですわ。 ですので、史上初のトリプルティアラのウマ娘であるラモーヌ様は、ワタクシの憧れであり、ワタクシと祖父の目標でもあるんですの。」

 「今は亡き祖父と見る夢の三冠か……中々にこの身に染みる話だったね? 私もキミの、サロメさんの夢を応援したくなってきたよ。」

 普段と同じ様に微笑みかけるフジキセキの視線から目を逸らし、俯きながら少しの照れを見せるサロメ。

 「有難うございます。 ですが、それこそ良くある話ですわ。」

 フジキセキは、そんなサロメの手を優しく両手で握ると、真剣な表情で真っ直ぐにサロメの顔を見て話しかけた。

 「確かに良くある話かも知れないけれど、キミにとってはその生涯を賭けるに値する話だ。 だからこそ、私はキミを、サロメと言うウマ娘を応援しよう、キミのファンとしてね?」

 最後にウィンクをして優しく微笑むフジキセキの顔を惚けながら見詰めるサロメ。

 「……フジ様……」

 場の空気が若干ピンク色に染まってきたと思った矢先に、フジキセキが和かに告げる。

 「さて、この話は一旦置いておくとして……こんな話の後に申し訳無いのだけど、キミのルームメイトについての話をしようか?」

 「あ、はい。」

  一気に現実に戻されたサロメだった。







 てことでサロメさんの夢でした。
 叶うといいですね?
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