メジロ家の変な子   作:ネギ市場

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 サロメさん奮闘記です。
 着々と準備を進めるサロメさんです。


出会う? その3

 

 

 

 「まぁ、そんな訳で寮の大浴場に関しては、メジロ家でメンテナンスから清掃までやってくれる事になったから、サロメさんは気にしなくても良いよ? ただ、主犯については何も無し、無罪放免とは行かないんだ。」

 あれから寮長室にあるソファに座ってフジキセキからの説明を聞いたサロメは、フジキセキが指摘する問題点について正確に理解していた。

 「確かにそう思いますわ。」

 その為、サロメはフジキセキの考えに深く同意を示す。

 そんなサロメを見て、フジキセキはこの問題の厄介な点を更に説明していく。

 「他の生徒、特にうちの寮にはかなり個性的な人物が多いからね、これで何も無ければ勘違いをさせてしまう。 それは寮の規律に対する怠慢になるし、確実に厄介な問題を呼び起こしてしまう。」

 「……ゴルシ先輩や、アグネス先輩等ですね?」

 「他にもオペラオーさんやスイープトウショウさんに、ダイタクヘリオス、パーマーコンビにと……うちは個性的な子が多いからね。」

 「……いつもお疲れ様ですわ。」

 やや疲れ気味に特定の生徒の名前を挙げていくフジキセキに対して、サロメが染み染みと労りの言葉をかける。

 「いや、彼女達はとても賑やかだけど、実際には意外とそこまで突拍子も無い行動はしない子が多いんだけど、今回みたいに、偶に突き抜けた行動をする子がいるのも事実かな。」

 「行動力だけは無駄にある子ですしね……一体、どこに行ったのでしょうか?」

 突き抜けた行動をする子に心当たりが有り過ぎるサロメが、再度心からの同意を示す。

 「まぁ、夕飯までには帰ってくると思うよ? なので、帰って来たら寮長室に送り届けてくれると、私としては助かるんだけど、どうかな?」

 「それは勿論構いませんが、その場合は恐らく簀巻きにしてからのお渡しになると思いますわ。」

 フジキセキの言葉を受けて、サロメが自分なりの予想を告げる。

 「そ、それはまた随分と古風な運搬方法だね? もしかして、私が知らないだけで、若い子達の間ではそう言うのが流行っているのかい?」

 簀巻きと聞いて若干退き気味にフジキセキが尋ねる。

 「ん〜、一部のウマ娘の間では良く見る風景かと……あ、あと良く見るのはアイアンクローでぷらぷらしてる姿ですね。 まぁ、これは一部と言いますか、特定の人物に限りますが……」

 「……でも、良く見るんだ?」

 「はい、良く見ます。」

 何でも無い事の様に話すサロメに、完全に退いた態度で聞き返すフジキセキに対して、きょとんとした表情で素直に返事をするサロメ。

 「ちなみに、リアルデュークさんは何時も部屋ではどうなのかな?」

 「そうですね、リアさんは何時も自堕落な生活を送っておりますわ。 幾ら言っても寝たままお菓子を食べていますし、夜遅くまでゲームをやるかアニメを見ていますので、朝は基本的にギリギリまで起きれませんし、着替えさせなければパンイチ?と言ってましたか……取り敢えず服は着ないで下着だけか、着てもジャージ姿でゴロゴロしていますね。 あ、あと、かなり寝相が悪いし、良くお腹を出してますね。」

 「そ、それは中々だね? でも、彼女って一応あのメジロ家のご令嬢なんだから、基本的には私生活はしっかりしていそうなモノなのに、そこまで自堕落なのはちょっと不思議だねぇ?」

 余りにも自分の考える思春期の女の子の常識からは、掛け離れた話の内容に、ちょっとだけ常識の下方修正をするべきなのか?と思ったフジキセキが、ふと頭に浮かんだ疑問点を聞いてみた。

 そんなフジキセキの質問に、サロメが何処か達観した表情で答える。

 「……アレがご令嬢でしたら、世の中の殆どの人がご令嬢ですわ。」

 「あはは、確かに話を聞く限りではそうだね。」

 「取り敢えず、ワタクシはこれからリアさんを捕獲する準備をしますので、一度失礼させて頂きますわ。」

 普段あまり聞かない単語が出て来たことに、フジキセキが思わず力の無いツッコミを入れる。

 「いや、捕獲って野生動物じゃないんだから……」

 「いえ、あの野生児を捕まえるには、色々と器具等を用意しないといけません。 なんと言っても無駄にハイパワーで勘の鋭い子だというのは、この短い付き合いでも分かっておりますので……」

 フジキセキの言葉に対して、キッパリと言い切るサロメを見て、フジキセキはそういうモノと割り切る事にした。

 「そうなんだ? まぁ、怪我にだけは気をつけてね? 君達みたいな可愛いポニィちゃん達が傷付くと、私がとても悲しむんだからね?」

 「勿論です! では、ワタクシは一旦失礼させて頂きますわ。」

 「あぁ、吉報を待っているよ。」

 そう言って微笑むフジキセキと別れて寮長室から退室したサロメは、寮の玄関まで来ると、下駄箱の前で立ち止まり考えを整理することにした。

 「さて、まずはあの方達に協力を依頼しませんと……あと、メジロ家の方達にも協力要請をして……忙しくなりますわね。」

 サロメは、これからやるべきことを整理しながら、とある場所へと向かうのだった。

 

 

 「あ、それロンな?」

 「エエェ〜ッ! ゴルシさん待った!」

 「ドンジャラに待ったはねぇよ! これでスペの点棒は空だろ? 次の屋台でしっかり働いてもらうかんな?」

 「そんなぁ……」

 「まだよ、スペちゃん。 机の下に点棒があるわ!」

 「スズカさん!」

 ウマホ越しのスズカからの言葉に、必死に机の下を探すスペシャルウィークが1本の千点棒を見付ける。

 「ありました、スズカさん!」

 「これでまだ勝負が出来るわ!」

 「はい、スズカさん! 私、頑張ります!」

 「いや、盛り上がっている所悪りぃんだけど、スペの持ち点はマイナスだから、今更千点増えてもマイナスはマイナスなんだわ。 て事で、この勝負はアタシの勝ちだな?」

 「……ウソでしょ?」

 「……そんなぁ。」

 ゴールドシップの言葉に愕然とするスズカとスペシャルウィーク相手に、得意気に勝利宣言するゴールドシップだった。

 「お前等、幾ら休養日だからってこんな所で麻雀なんてやるな! しかも2人麻雀って訳わかんないぞ?」

 「麻雀じゃねぇよ! ドンジャラだって言ってんだろ! トレーナーなんだから、そのくれぇ分かれって!」

 練習場のコース脇にある芝生の上でドンジャラを行っていたゴールドシップ達に対して、トレーナーが最もな事を言うが、ゴールドシップにとっては、言われた内容よりもドンジャラと麻雀を間違えている事の方が問題だった。

 「わかる訳ないだろ! それよりも、ゴールドシップ、お前さんにお客だぞ?」

 いつの間にかトレーナーの横にいたサロメを指差しながら、不満そうな顔をするゴールドシップに話す。

 「……面倒な予感がするからパス。」

 トレーナーの横にいるサロメをチラ見した後に、不機嫌なのを隠そうともせずに即答するゴールドシップを見て、苦笑いしながらトレーナーが話す。

 「いやいや、本人を前にして言う事じゃ無いだろ?」

 「アタシはNOと言えるウマ娘だかんな!」

 そんな目の前の状況を見ておきながらも、それを無視して話し始めるサロメ。

 「ご無沙汰しております、ゴールドシップ先輩。 リアルデュークさんについて是非ご助力頂きたく、お願いにあがりました。」

 「いや、アタシ今NOって言ったよな?」

 即座にツッコミを入れるゴールドシップの言葉を無視して、更に話し続けるサロメ。

 「実は緊急の事情があり、大至急リアさんの身柄を確保しなければならなくなったので、同じ問題児であるゴールドシップ先輩のお力をお借りしたいのです。」

 「おいトレーナー、この後輩今アタシの事軽くディスったよな?」

 今度はサロメを指差してトレーナーに確認するゴールドシップ。

 「認識の違いです。 ワタクシことサロメは、尊敬するゴールドシップ先輩を悪く言うつもりなんてありません。 ただ、ルームメイトと同じくらいの個性をお持ちだと言っただけです。」

 そう淡々と言い切るサロメ。

 その姿を見ながらゴールドシップの米神に青筋が浮かぶ。

 「アタシとあの脳筋幼女が同じ……オーケーオーケー、取り敢えず表に出ろ!」

 キレ気味にそう言うゴールドシップを見て、何故か目を輝かせるサロメ。

 「表に……積極的に手伝ってくださる姿勢を見せて頂き、感謝致します。」

 「サロメさん、私もお手伝いしますよ! そうだ、みんなで手伝えばすぐに終わりますよ! 私、皆さんを呼んで来ます!」

 そんな2人のやり取りを見たスペシャルウィークが何故かやる気に満ち溢れた表情で宣言すると、走り込みをしているウォッカ達の方へ走って行った。

 「あ、待てスペっ!って、もう行っちまったか……で、アタシ達は何を手伝えば良いんだ?」

 スペシャルウィークの行動を見たゴールドシップは、一つ深い溜息を吐くと、怠そうにサロメに話し掛けた。

 「……ご助力、感謝致します。 では早速……」

 そうしてゴールドシップの助力を得ることが出来たサロメは、満足そうに微笑んだ。







 サロメのターンはもう暫く続きます。
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