メジロ家の変な子   作:ネギ市場

66 / 130




 今回は長いので2分割で投稿します。


試合開始前 その1

 

 

 

 「ハーッハッハッハッ! 見たまえ諸君、この僕の晴れ舞台を! 正に今、壇上に独り立つ僕、そしてそれを見詰めるオーディエンスの視線! 正に此処は今、パリのオペラ座の舞台にも等しいと言えるだろう。 そしてその舞台に1人立つ僕、正にプリマドンナ、もしくはプリモ・ウォーモと言っても過言では無いだろう!」

 ここ、試合会場となった第二練習場に急遽設置された演説台の上に、1人の小柄なジャージ姿のウマ娘が、得意満面に芝居掛かった動きで何やら演説しているのを後目に、何時もとは違い今日の試合の為に、急遽ライン引き等の会場整備がメジロ家使用人と生徒会有志と気の良い生徒達によって行われていた。

 その指揮を執るのは自称、現生徒会長の親友マルゼンスキーと、騒動の原因となった場所を管轄する栗東寮寮長のフジキセキと、その2人の後ろで期待と書かれた扇子を広げて後方師匠面をしている理事長が1人。

 コートは長方形で、横の長さが300m、縦111m、エンドゾーンとして両端からそれぞれ18mの地点に縦にゴールラインを引いてある。

 丁度、ヒトミミ用のコートをウマ娘用に約3倍にした形で、エンドゾーンのサイズだけ同じなので、実際にはヒトミミ用より広くなっている。

 現在の時刻は予定の時刻である16時から、丁度10分前の15時50分であり、会場の観客席となった芝生エリアでは、既にそれなりの数の生徒達が集まり始めていた。

 そんな騒がしい会場に設置された、簡易設置型のスピーカーからアナウンスが流れる。

 『さぁ、突如開催が決定したスポーツ対決ですが……ご覧下さい、突然の開催にも関わらず、ここ、第二練習場にはかなりの人数の生徒達が観覧に来ております。 実況はトレセン学園放送部が誇る、私ことクムラが……そして解説はこの方、昨年の年度代表ウマ娘にして、昨日行われた天皇賞春では、天皇賞春2連覇を成し遂げたメジロマックイーンさんと死闘を繰り広げた無敗の2冠ウマ娘、トウカイテイオーさんに来て頂いております。』

 『やっほーっ、会長見てるかなぁ? 実はこの競技って知らないんだけど、頑張ってボクが解説?するよ〜!』

 『それでは改めましてトウカイテイオーさん、今日は宜しくお願いします。 実は私もこの競技については良く知らないのですが、多分ここに来ている観客の方もほぼ知らないんじゃないでしょうか?』

 『そっかぁ、皆知らないならボクがルールの説明をするよ〜! ……えっと、台本の何処ら辺に書いてるんだっけ?』

 『トウカイテイオーさん、マイク入ってます。 あ、そこのページのここからです。』

 『ンン、えっとねー、このアルティメットって言うスポーツは、簡単に言うと、ドリブルの無いバスケみたいなもので、ボールの代わりにフライングディスクって言うフリスビーみたいな物を使うらしいよ? で、1チーム7人で、基本はパスで相手の妨害をかわしてエンドゾーンってエリアでディスクをキャッチしたら得点になるみたい。』

 『基本的には簡単なルールですね?』

 『うん、そう何だけど、他と違うのは接触プレーの禁止と、審判が居ないから選手同士でセルフジャッジを行うんだってさ。 あ、あと、パスは10秒以内で、ディフェンス側が相手のパスをカットするか、ディスクを落としたら攻守交代だよ? あと、どちらかが得点する度に攻守交代と陣地交換をするのと、ディスクを持っている人は3歩以上歩いてはダメなんだってさ。』

 『ふむふむ、何やら深い戦略性も感じられる競技ですね?』

 『簡単だからこそ難しいって感じかもねぇ? あ、サロメ達が来たよ?』

 『おっ、先ずはサロメチームの登場です。』

 そんな会場全体に、トレセン学園放送部のクムラとトウカイテイオーの声が響く中、まずサロメ達が最初に会場に姿を現した。

 リーダーのサロメを先頭に、ゴールドシップ、ダイワスカーレット、スペシャルウィーク、セイウンスカイ、エアグルーヴ、シンボリルドルフが続く。

 『サロメ選手を先頭にチームサロメの入場です。 チームメンバーはゴールドシップ、ダイワスカーレット選手、スペシャルウィーク選手、セイウンスカイ選手、おっと、これは珍しい、エアグルーヴ副会長と……何と何と、我等が絶対王者シンボリルドルフ生徒会長だぁぁぁっ!』

 特に、エアグルーヴとシンボリルドルフが登場すると、観客席から響めきの後から絶叫とも言える黄色い歓声が起こった。

 「全く、何故私がこんな茶番に……」

 観客達の歓声に、耳を塞ぎながらそうぼやくエアグルーヴを、ルドルフが笑いながら宥める。

 「まぁ、そう言わずに、副会長も偶にはこう言ったレクリエーションに付き合って息抜きをすると良いぞ? 折角後輩達から誘って貰ったんだ、同心協力して楽しもうじゃないか!」

 「そう言いますが会長、生徒会の仕事もまだ残っています。 まだ……成る程、これは楽しめそうですね。」

 ルドルフの言葉にも未だ不満そうなエアグルーヴだったが、会話の途中に現れた相手チームの姿を見て表情が変わる。

 『それにしても、まさかの生徒会、正副両会長揃い踏みでの登場には会場の皆さんも驚いた事でしょう。 そして、このタイミングで相手チームの登場です! ……これは、またまた違う意味で凄い面子が集まりました。 リアルデューク選手を筆頭に、ウォッカ選手、アグネスタキオン選手、ダイタクヘリオス選手にメジロパーマー選手、タマモクロス選手、オグリキャップ選手、サクラバクシンオー選手、合計8名の選手……あれ?1名多い気がしますが、これは……』

 『リアルデュークは僕と同じく現在治療中だからね、1人多いのはリアルデュークの代わりなんじゃないの?』

 メジロパーマーとダイタクヘリオスの2人が持って来たDJブースを使って爆音を出しながら相手チームを……特にエアグルーヴを煽る。

 煽られたエアグルーヴがその綺麗な顔に青筋を立てて2人の所へと歩き始める。

 そんな会場の状況を気にしていないのか、マイペースに実況を続ける放送席の2人。

 『成る程、確かに治療中に無理はして欲しくは有りません。 これは仕方がない対応でしょう。 さあ、ダイタクヘリオスとメジロパーマーによる爆音が響く中、両チームの監督によるルールの確認が行われております。 しかしトウカイテイオーさん、リアルデュークチームの監督さんですが、何で光っているんでしょう?』

 『わかんないけど、あのアグネスタキオンのトレーナーさんだもん、光るくらい訳ないんじゃない?』

 そんな2人でも、流石にルドルフが止めに入っているのには気付いたみたいで、呑気に状況を解説し始める。

 『確かに、言われてみればそうですねぇ。 おや? 何やら選手同士で揉めてますか? あれはエアグルーヴ選手ですが、何やら会長に止められております。 あぁ、今度は険しい顔をしたサロメ選手が何かを言われたのか、リアルデューク選手に向かって行ってますね。』

 『何時ものことだけどさ、試合時間が無くなるから両チーム共早くやればいいのにねぇ? それにさ、揉め事とか個人の因縁も纏めて試合で晴らしちゃえばいいと僕何かは思うんだけどねぇ。』

 ダイワスカーレットがサロメを、エアグルーヴをルドルフが、それぞれ後ろから羽交締めにして自軍ベンチに引き摺って行くのを見ながら、両チームの監督役であるトレーナー2人が笑顔で握手をして引き上げて行く。

 『さて、無事にルールの確認が終わったみたいです。 ただ、この様子ですと、この試合、一波乱も二波乱も有りそうですね?』

 『その方が面白そうだから良いんじゃない?』

 『……それもそうですね?』

 実況と解説、2人の意見が一致した頃、漸くコート内に両チームの選手達と監督役の2人のトレーナーが並び始めた。







 栗東寮の名物ウマ娘って多い気がします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。