メジロ家の変な子   作:ネギ市場

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やっぱり幼女は素直ですね。

 



リアの日々その2

 

 北海道の夏は過ごし易いと言われているが、初めて日本の夏を体感するリアルデュークにとって、高温多湿な日本の夏にはかなりの苦手意識を感じていた。

 その為、最近のリアルデュークの日課は、この広い洋風庭園の中で一番過ごし易い場所を見つける事だった。

 午前中は涼しい内にトレーニングを終わらせ、昼食後は各種勉強の時間となっているので、お昼を食べたらすぐに屋敷から逃げ出して、こうやって日課の探索を気儘に行っていた。

 そんな、アサマの耳に入ったら又々説教確定な日々を過ごして居たリアルデュークは、今日も今日とて尻尾を振り振り、裏庭の方を木陰から木陰へと渡り歩くと言う、先程自分でルールを決めた1人遊びを行っていた。

 暫くは木陰から木陰へジャンプして渡っていたが、ついにジャンプでは届かない位置にしか次の木陰が無くなってしまい、すっかり立ち往生してしまった。

 暫くの間、なんとか次の木陰に行く方法がないか考えていたが、時間が経てば経つほど夏の陽射しによって、その影が無くなっていく事に気付いたリアルデュークは、右手を天高く突き上げて高らかに宣言する。

 「無理ゲーだから終了!」

 そう宣言すると、先程までのルールとは何だったのか?と、思うくらいアッサリと陽の差す裏庭の芝生の上を走り始めた。

 すっかり過ごし易い場所を探すと言う、最初の目的すら忘れた様子で、楽し気に走り廻るリアルデュークは、走っている内にすっかり自分が勉強から逃亡中である事すら忘れて、そのままの勢いで裏庭を出ると、屋敷正面の庭を笑いながら突っ切り、正門まで来てしまった。

 更に、視界に見える正門すら通り抜けて、そのまま大冒険に出発しようとした幼女を、偶々正門前に乗り付けたリムジンから降りてきた少女が見咎める。

 「ちょっと、貴女!……待ちなさい!」

 そのまま、少女の傍を走り抜け様とした幼女の、白いワンピースの襟首を素早く掴んだ少女は、大人顔負けの腕力で一気に幼女を持ち上げた。

 「ふみゅっ!」

 急に襟首を掴まれて持ち上げられたリアルデュークは、反動で締まった首のせいか、変な鳴き声をあげると、プラプラと揺れながら自分を持ち上げている少女の盛り上がった上腕二頭筋を見て和かに言った。

 「……ナイスマッスル!」

 

 自分が摘み上げた幼女から、何故か筋肉を褒められると言う、中々に有り得ない状況にふと、知り合いの芦毛のウマ娘を思い出しながら、未だに楽しそうにプラプラ揺れている幼女を地面に降ろす。

 不思議そうに地面に座りながら此方を見て来る幼女を、不躾にならない程度にじっくりと観察しながら、少女は考えを巡らす。

 (ふむ、このお子さまは屋敷から出て来ましたわよね? と、言う事は我が家の関係者? 耳と尻尾を見る限り、芦毛のウマ娘で間違いは有りませんですしテン芦毛、芦毛の子供…何となく感じる親近感……)

 「お姉ちゃん?」

 上目遣いで此方を見上げる幼女。

 「……ハウっ!」

 (な、何ですの? この可愛い生き物は?)

 「……お姉ちゃん、どした?」

 更に此方を見上げながら、こてんと首を傾げる幼女。

 (ハアゥッ! お姉ちゃん……お姉ちゃん、何て甘美な言葉! わたくし、これまでこんなに心に来る言葉を受けたことが有りませんわ! ……アァ、コレが尊みですのね? やっとわたくしにも理解出来ましたわ、ドーベルさん!)

 口元を両手で押さえて、少しだけ上気した表情で、幼女に対して無言で熱い視線を向ける少女が其処には居た。

 何なら呼吸も荒く、ウマ耳はピンと立ち、着ている白いワンピースは汗でしっとりとし、白の編み上げのサンダルを履いた足で地面を掻きながら、尻尾はバッサバッサと激しく揺れていた。

 「お〜い? お姉ちゃん?」

 既に少女の乗せられてきたリムジンは駐車場にでも行ったのか、この場にはおらず、明らかに何かに興奮中の少女と、きょとんとその少女を見上げる幼女しか存在しなかった。

 そんな、見る人が見たら事案発生寸前とも見える状況は、獲物……幼女からの一言で終わりを告げた。

 「ボク、リアルデューク! お姉ちゃんは? ダレです?」

 「わ、わたくしは、メジロマックイーンと申します。貴女は、ここのお屋敷のお子様なのかしら?」

 持ち前の強靭な精神力で、何とか危ない精神世界から戻ってきたマックイーンは、改めて幼女の素性を確認する事にした。

 「……知らない人にここ住んでる、言ったらダメ! ライアン姉様との約束! ボクは約束守れる。 姉様に感謝!」

 自ら答えを言っている事に気付かず、得意気に鼻を鳴らすリアルデュークの姿を見て、無意識に口元を弛めながらも、マックイーンは目の前の幼女の正体を正確に把握する。

 (なるほど、この子がお祖母様が仰っておられた方で、つまりわたくしが今回呼ばれた理由と言う事ですわね)

 顎に指を当てて腕を組み、また考え事に没頭してしまったマックイーンに対する興味を失ったリアルデュークは、先程までやろうとしていた事を思い出した。

 「冒険!」

 そう叫んだリアルデュークは、まだ見ぬ世界を求めて意気揚々と走り出した。

 「あっ! ちょっと、お待ちなさい! お家の方の許可を得ているのですか〜!」

 急に敷地の外へ向かって走り出したリアルデュークを追って、マックイーンも走り周る事になり、漸く捕まえて屋敷に戻った時には、アサマとの面会を忘れてリアルデュークと一緒にケーキをパクパクして居た所を、いつまで経っても来ないマックイーンを探しに来た執事の報告によって、2人一緒にアサマに説教された。

 この一件でマックイーンに対するリアルデュークの格付けが決まり、見事お姉ちゃんではなく、お友達=同格と、なった。

 「……解せませんわ!」

 




 
 
環境が大事!
環境団体もそう言ってたって、おじいちゃんの再従姉妹が、喫茶店で知らない人が話してたって言ってた気がすると、隣りの席の人が言ってました。


1人遊びが上手なリアルデュークさん

【挿絵表示】


挿絵はもちろんAIです。
便利な世の中です。
 
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