メジロ家の変な子   作:ネギ市場

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 2話目です。


皇帝対幼女 その2

 

 

 『さぁ、リアルデューク選手からの攻撃で試合再開です。 新しく加わったリアルデューク選手、これからどの様な素晴らしいプレイを見せてくれるのでしょうか?』

 「ボクの正義の一撃、喰らうと良い!」

 ルドルフ達が身構えるなか、リアルデュークが全力でディスクを持った腕を振り下ろすと、凄まじい破裂音が響いた。

 「……嘘でしょ?」

 その光景を間近で見たパーマーが思わず呟く。

 リアルデュークがディスクを投げた瞬間、ディスクが破裂音を立てて砕け散っていた。

 『はぁっ? な、何と言う力技でしょうか、ディスクが砕け散っています。』

 『相変わらず訳わかんない子だよねぇ、どんだけ力込めてんだろぅ?』

 「……この円盤根性無い。 タキオン!」

 「任せ給え、こういった事も有ろうかと、ここにちゃんとキミの腕力に耐えられるディスクを用意してあるよ?」

 そう言ってタキオンはトレーナーがバッグから取り出した金属製のディスクをリアルデュークに渡す。

 「これで安心! もう一度行く。」

 『今、タキオン選手から新しいディスクを受け取って、試合再開となります。 さぁ、気を取り直してリアルデューク選手、ディスクを投げ……はぁっ?』

 そう言ってリアルデュークが全力で投げたディスクは、今度は破裂することなく、凄まじい速度でルドルフ目掛けて飛んで行った。

 「あの時の円盤の恨み晴らす!」

 真っ直ぐルドルフ目掛けて飛んで行くディスクを見てリアルデュークが得意気に宣言した。

 「これは……無理だ。」

 咄嗟に危険を感知したルドルフが危な気無くディスクを避けると、ディスクは放物線を描いてリアルデュークの手元に戻って来た。

 「避ける良くない。 次こそやる!」

 『ルドルフ選手、凄まじい速度で飛んで来たディスクを華麗にかわした? そしてディスクはそのまま投げたリアルデューク選手の手元へと戻ってくるが、リアルデューク選手、間髪を入れずにすぐにまた投げたぁぁぁっ!』

 『会長逃げてぇぇっ!』

 「やらせない! ぐぅっ!」

 そう言ってルドルフの前に飛び出したエアグルーヴが、そのまま両手でディスクを受け止めようとするが、受け止めた腕ごと弾かれて倒れると、勢いの弱まったディスクがフラフラと飛んで行く。

 「委員長!」

 「驀進バクシーン!」

 リアルデュークの号令一過、サクラバクシンオーが素早い動きでディスクを回収してリアルデュークへと戻す。

 「先ずは1人! 全員倒してボクが勝利する!」

 「最早ルール関係ないやないか!」

 「……あっ!」

 急に叫んだタマモクロスの声にびっくりしたリアルデュークの手元が狂い、ディスクが見当違いの方向に飛び、ぼんやりして居たダイタクヘリオスの後頭部へと直撃する。

 「あぁっ、ヘリオスゥゥゥッ?」

 『今度は味方のダイタクヘリオス選手に直撃したぁぁっ! 最早敵味方関係無し、ルール無用のデスゲームと化しております。』

 『いや、ルール無用はダメでしょ?』

 「……尊い犠牲だた。」

 倒れたヘリオスを介抱するパーマーをチラッと見てからそう呟くと、サクラバクシンオーからのパスを受け取り、今度はルドルフの腰辺りを狙ってディスクを投げ付ける。

 そのディスクも軽やかにかわしたルドルフが、ディスクを足で蹴り上げて勢いを殺して奪おうとするも、サクラバクシンオーが驚異のジャンプでディスクを確保してパスをする。

 その後も何度も攻防を繰り返し、流れ弾で殆どの選手達が倒れる中、遂に限界を迎えたルドルフが膝を突き、肩で息をする。

 「……遂に勝利の時来たっ!……あっ!」

 勝利を確信したリアルデュークがディスクを投げると、すっぽ抜けたディスクが倒れて居たタマモクロスの顔の横、僅か数センチの地面に突き刺さる。

 「ど、ど阿呆っ! ウチの事殺すつもりかいな?」

 「んじゃ、攻守交代な?」

 必死の形相で抗議するタマモクロスの横に刺さったディスクを拾ったゴールドシップがディスクを投げた後に大声で叫んだ。

 「スペ、それキャッチしたらアタシ特製の焼きそば食わしてやんぞ?」

 「焼きそば? 任せて下さい!」

 ゴールエリアで行き倒れていたスペシャルウィークが、ゴールドシップの声に反応してがばりと立ち上がってディスクをキャッチする。

 『ゴォォォル! いつの間にか現れたゴールドシップ選手のインターセプトからの鮮やかなゴールです。 更に、両チーム試合続行不可能により、現時点での得点でサロメチームの勝利となります。』

 『いや、これって有りなの? 確かにみんな動かなくなっているけどさぁ?』

 『ルール無用のデスゲームですから、結末もこんな物では無いでしょうか?』

 『なんかもう訳わかんないよ!』

 そうして有耶無耶の内に、試合はサロメチームの勝利で終わりを告げた。

 

 

 色々とあった試合も何とか終わり、生徒会主導による片付けも粗方終わった頃、練習場近くのベンチの上に、リアルデュークが簀巻きにされて転がっていた。

 その周りを囲う様にルドルフ、エアグルーヴ、サロメ、タマモクロスの面々がリアルデュークを見下ろす様に立っている。

 「さて、リアさん? 覚悟は宜しいですか?」

 「……児童虐待良くない!」

 少しばかり余裕がある態度でサロメがリアルデュークに話しかけると、簀巻きにされ不貞腐れた態度のリアルデュークが答える。

 「まぁ、虐待になるかどうかは皆様次第では?」

 「ボク悪くない、頑張って試合やった!」

 「……アレは試合なんて物では無い!」

 そんなリアルデュークの反論に、エアグルーヴが語気を強めた言葉を浴びせる。

 「そうや、もっと言ったれ副会長!」

 「確かに、ルールを守って行うのが試合であって、今回キミが行ったのはただディスクを投げただけ、特にルールに違反した訳では無い。」

 そのエアグルーヴをタマモクロスが煽ったかと思えば、ルドルフが冷静な態度で嗜める。

 「か、会長?」

 「やぱりボク悪くない!」

 そんなルドルフの態度に驚くエアグルーヴと勢いに乗って無実を主張するリアルデューク。

 「だが、投げたディスクに関しては、ルール違反の物だったと言える。」

 「ほれ、見てみぃ、違反は違反やで?」

 「それにだ、試合中に飲ませていたドリンクにも問題が有ると思う。 アレは一体どう言う物なんだい?」

 「知らない、タキオンが作った元気になるジュース!」

 ルドルフからの質問に、素直に答えるリアルデュークの言葉に反応したタマモクロスが叫んだ。

 「アレは……アレは悪魔の飲み物や!暴力的なまでの甘さと、何とも言えんエグ味が渾然一体となって口中の味覚を絨毯爆撃して行くんや……後にはもう、あの味しか感じひん味覚の出来上がりや……」

 「そ、そんなに?」

 タマモクロスの叫びにサロメが反応していると、エアグルーヴがもう1人の主犯について言及する。

 「で、肝心のタキオンの姿が見えませんが?」

 「トレーナー共々、既に逃亡済みでした。 ベンチには、貴重な実験データ採取への協力、感謝すると書き置きがありました。」

 そのエアグルーヴの質問に、サロメが答えると、ルドルフが気になって居た事を聞いて来る。

 「では、他の者の容体は?」

 「取り敢えず特に異常のある人は居ませんが、調子がかなり酷い状態で有り、復調するには暫くかかるかと……」

 その質問に対しては、エアグルーヴが答えた。

 「そうか、ひとまず怪我も無く無事に終わった事で良しとしよう。 タキオンについては、後日生徒会として呼び出しをかける事にする。 リアルデュークに関してはは、サロメ君に引き渡して終わりとしよう。」

 そうルドルフが締め括ろうとした時、リアルデュークが簀巻きのまま、全身の筋力を総動員して飛び跳ねた。

 「……自由への逃亡!」

 「あ、こら、待て!」

 「ボク諦めない、このまま逃げ切る!自由なる!」

 簀巻きにされているとは思えない程のスピードで正面の校門へ向かって飛び跳ねて行くリアルデューク。

 「ま、待ちなさい!」

 追いかけたサロメが閉じた校門前で追い付き、リアルデュークの身柄を確保しようと手を伸ばしたが、寸前の所でリアルデュークが大ジャンプを決めて門を飛び越え道路へと飛んで行く……。

 「「「「あ、……嘘でしょ?」」」」

 その場に居た全員が、我が目を疑う中、1人勝利の笑い声を上げたリアルデュークが、偶々走って来たトラックの荷台に降り立つ。

 「……うぃ?」

 「リアさぁぁぁぁあん?」

 サロメの叫びも虚しく、リアルデュークはそのままトラックによって、猛スピードでその場を離れて行き、残された面々はただ黙って遠ざかるトラックを眺めて居た。

 







 もう少し続きます。
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