メジロ家の変な子   作:ネギ市場

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 大食いって、見てるとお腹いっぱいになりますよね?

 

 


夏合宿 その4

 

 

 

 『第五回、商店街対抗大食い大会〜! はい、今年もやって来ました、毎年恒例の大食い大会の開催です。 昨年は大会3連覇を成し遂げたオグリキャップさんが殿堂入りされた為、今年からは本戦には参加致しませんが、あの食いっぷりを見たいと言うファンの方の為に、今年はエキシビジョンマッチを開催します。 また、本戦の見所としては、毎回準優勝だったスペシャルウィーク選手が今回こそ優勝するのか、それとも未だ見ぬダークホースが現れるのか?も、また見所と言えます。 実に楽しみな本大会、料理の準備が終わり次第開催となります、会場の皆様はもう暫くお待ち下さい。』

 そんな大会司会者のアナウンスが聞こえて来る中、控え室では千尋による大会の説明と、組み分けが発表されていた。

 ルールとしては、商工会所属の飲食店ご自慢の大食いチャレンジ料理をチーム全員で協力して制限時間内にいくつ食べられるか競うもので、1人で一つ食べても良いし、3人で協力して食べても良いが、完全に食べ終えないと次の料理に行けないというものであった。

 「なんや、それなら簡単や、3人で一度に食べればすぐやないか?」

 その説明を受けてタマモクロスが得意気に話す。

 「確かにそうですわね。」

 「みんなで食べる!楽しい!」

 タマモクロスの発案にサロメとリアルデュークが賛成する中、千尋が問題点を挙げる。

 「みんなで食べるのは良いけど、3人とも好き嫌いは無いの? 特に辛い物とか?」

 「辛いのはタマが得意!」

 「僕も辛いのは苦手だから任せるよ。」

 「いや、ウチもそんな得意や無い」

 さり気無く押し付けて来る2人に反論するタマモクロスだったが、そんなタマモクロスにリアルデュークが更に押し付けて来る。

 「大丈夫! タマは出来る子!」

 「いやいや、そないな事「大丈夫!」いや、せやから「大丈夫!」いや、「大丈夫!」」

 タマモクロスが何か言おうとする度に、リアルデュークが必死になってそれを遮る様に叫ぶ。

 「……リアルデューク、キミってさ、実は辛い物食べれないんでしょ?」

 「そ、そんな事無い、辛いの友達! タマが辛い好きだから譲るだけ!」

 「ちょっ? ウチはそないな事一度も言って「大丈夫! タマなら出来る!」……必死やなぁ?」

 何時もと違い、しつこくタマモクロスに絡むリアルデュークを見て、何かに気付いたトウカイテイオーが揶揄い交じりに話しかけると、明らかに動揺したリアルデュークが必死になって反論する。

 「じゃあ、辛いのはリアルデュークが担当でも良いよね?」

 「ちょっと、トウカイテイオーさん!」

 意地悪くそう言い放つトウカイテイオーを諌めるサロメ。

 「し、ししししかかかたなないい、ボク、やる……」

 「リアさんも、意地を張らないで?」

 引っ込みがつかないのか、明らかに動揺しながらも答えるリアルデュークを心配してサロメが声をかけると、タマモクロスが意を決したようにリアルデュークに話しかける。

 「……ったく、仕方ないのぅ……リアルデューク、ウチが代わりに食べたるから心配すな?」

 「タマ! 神降臨?」

 タマモクロスの言葉に、目に見えて安堵するリアルデュークに笑い掛けたタマモクロスは、リアルデュークの頭を優しく撫でた後、少し不機嫌な顔でトウカイテイオーに話しかける。

 「それとな、トウカイテイオー?」

 「な、なにさ?」

 「何をそないに苛ついとんのか知らんけどなぁ、下のもんあんまイジメたらあかんで? それが単なる八つ当たりなら尚更許さへんで?」

 「……ごめん。」

 「謝る相手がちゃうやろ?」

 タマモクロスの言葉に、気まずそうな顔をしたトウカイテイオーが謝るが、トウカイテイオーの指摘に今度はリアルデュークの目の前に立って頭を下げて話す。

 「……ごめん、リアルデューク。 僕最近ちょっと不安定なんだ。」

 「テイオー何か悪いことした? なら大丈夫、謝って仲直り! ママ言ってた、許す人なれって! だからボク許す当たり前!」

 トウカイテイオーの言葉に最初はキョトンとした表情をしていたリアルデュークが、途中から笑顔でトウカイテイオーに声を掛けた。

 「……リアルデューク」

 「かあぁぁぁっ! リアルデュークも偉いが、そのママさんの教え、実に素晴らしいのぅ? ウチは感動したでホンマ!」

 「過ちを許す事を教えたリアルデュークさんのお母様、実に素晴らしい人格者だったのですね? 私もその教えに従いたいと思います。」

 そんなリアルデュークの言葉と態度にタマモクロスとサロメが賛辞を贈ると、嬉しそうにリアルデュークが思い出話をする。

 「ママ優しい! ボク達が悪戯してもアイアンクロー?と小一時間の強制労働で大体許してくれた!」

 「……それって、許して無くない?」

 リアルデュークの言葉に若干引き気味にトウカイテイオーが感想を述べる。

 「しっかりお仕置きしとるやないか! アイアンクローに強制労働て、許す過程がちっとも優しく無いやんけ! 大体なんや強制労働て? チビっこにやらすもんちゃうやろ!」

 「あっ! だからなんですねぇ?」

 そしてタマモクロスがリアルデュークの話にツッコミを入れていると、何かに気付いたサロメが納得顔で発言する。

 「なんや?」

 「いえ、リアさんって矢鱈とアイアンクローでお仕置きされているんですけど、いつ見てもやられ慣れているなぁと思いまして……」

 「成る程、メジロ家伝統のお仕置きっちゅう訳やな?」

 サロメの話に相槌を打つタマモクロス、それ等の話を聞いて居た千尋がふと思った疑問を話す。

 「と、言う事は、あのマックイーンさんやライアンさんもやられた事あるんでしょうか?」

 「ん〜、あのマックイーンがねぇ……正直想像出来ないや。」

 「私も想像出来兼ねますが、リアさんがあれだけ頻繁にぷらぷらしていますので、きっと私達が見て無くても行われた事はあるのではないでしょうか?」

 千尋の疑問にそれぞれの考えを述べたサロメとトウカイテイオーだったが、更に気になる言葉に対して本人に聞いてみる事にした。

 「リアルデューク、キミってそんなに頻繁に怒られているの?」

 「ボク、やられても許す、とても偉い!」

 「いや、怒られている方が許しても意味ないから!」

 リアルデュークの少しズレた考えに、トウカイテイオーが思わずツッコミを入れていると、時計を見た千尋が声をあげる。

 「さぁ、そろそろ時間よ! みんなステージに向かって下さいね?」

 「オグリん相手や、みんな気張って行くで?」

 「打倒オグリキャップ、何か僕燃えて来たよ!」

 「ボク達の勝利!」

 控え室から出て行く3人を見送ったサロメが、両の拳を握り締めて隣に立つ千尋に問いかける。

 「……あのオグリキャップさんですか、噂通りだと厳しい戦いが待っていそうですね?」

 「……多分、勝てないと思うけど、みなさん頑張って下さいね」

 そんなサロメの問い掛けに答える事無く、3人の後ろ姿に向かって呟く千尋だった。

 

 

 『さぁ、準備も整い、いよいよ選手達の入場です! まずはエキシビジョンマッチですが、変則チーム戦となります。 それでは大会3連覇、最早異次元に繋がっているのではないか?と、思われる程の圧倒的な強さを誇る、笠松のバキュームカー、オグリキャップ選手です!』

 司会者がそう叫ぶと、タマモクロス達のいる反対側の出入り口から勝負服に身を包んだオグリキャップが観客席に手を振りながらステージに登壇する。

 オグリキャップの登場に会場のボルテージも上がり、空気が震える程の歓声が上がった。

 『流石大会3連覇の覇者、オグリキャップ選手です。 会場の皆様からの歓声も人一倍です。 そんな絶対的覇者に対するチャレンジャーは、この方達です!』

 司会者の声に合わせてタマモクロス達が登壇すると、タマモクロスの姿を見て歓声が上がる。

 『はい、会場の皆様もご存知のこの方こそ、白き稲妻タマモクロス選手です! なんとなんと、今日この場であのターフを沸かせた芦毛対決が実現しました! しかも、助っ人には無敗の2冠ウマ娘、トウカイテイオー選手が駆け付けてくれました。』

 司会者の言葉に、更に歓声が沸き起こる中、少しだけ照れ臭そうにトウカイテイオーが手を振ると、益々歓声が上がった。

 『未だに歓声が鳴り止みませんが、ここで更にトレセン学園有志によるチャレンジチームをご紹介します!』

 「ちょっと待ってよ! まだこのチームの紹介が終わって無い!」

 「せや、うちのエースの紹介を忘れるとはあかんなぁ?」

 『あ、はいはい、え〜っと、はい、リアルデューク選手ですね? お姉ちゃん達と一緒に頑張って下さいね? では、次のチームを……』

 「……うぃ。」

 「ちょい待ちぃや! そない「巫山戯るんじゃありません!」」

 司会者によるおざなりな対応に、寂しそうに返事をしたリアルデュークの姿を見て、タマモクロスが怒声を上げた瞬間、それを上回る怒声が観客席から上がった。

 その怒声を上げた人物を見たタマモクロスとトウカイテイオーの動きが止まった。

 その人物は、自作と思われる背中と襟に『リアルデュークLOVE』と刺繍されたはっぴを学園の制服の上から羽織り、『必勝❤️』と書かれた鉢巻を締め、『リアLOVE』と書かれた団扇を両手に握り締め、鬼の形相で同じ格好をした2人のウマ娘を従えてステージへと向かって来ていた。

 

 

 「うぇっ! マ、マックイーン?」

 「あかん、完璧なガチ勢や! 司会者の人、早う逃げぇっ!」

 ステージに上がって来た人物を見て吃驚するトウカイテイオーと、その出立に危機感を覚えたタマモクロスが司会者に叫ぶ。

 『えっ? な、何なんですか? 勝手にステージに上がって来られてはいけません、節度を弁えた行動をして下さい。 ちょっと、け、警備さん!』

 トウカイテイオー達に脇目も振らずに司会者へと向かって行ったマックイーン達が司会者を3人で囲むと、無言で睨み付ける。

 そんなマックイーンにリアルデュークが走り寄って叫ぶ。

 「マックイーンお姉ちゃん!」

 「リアさん! お姉ちゃんが来たからにはもう大丈夫ですよ?」

 走り寄ってきたリアルデュークをマックイーンが抱き締めると、側に居た2人もマックイーンごとリアルデュークを抱き締める。

 「私も来たよ、リア!」

 「ライアン姉ちゃん!」

 「私も居ますよ先生?」

 「ドーベル姉!」

 「……シスコンここに極まれりって感じやなぁ?」

 そんな場面を見て、タマモクロスが引き攣った笑みで感想を口にすると、隣にいたトウカイテイオーも呆れ顔で呟く。

 「あはは、これ、どうするのさ?」

 「そこの貴方! 私達の可愛い可愛い妹に対するこの仕打ち、絶対に許しませんわ!」

 リアルデュークを抱き締めてある程度満足したマックイーンが立ち上がると、司会者を指差して睨み付けながら宣言する。

 『ゆ、許さないのはこちらですよ。 大会に乱入して来て場を荒らすなんて、は、恥を知りなさい! この事は学園の方にも抗議させて頂きます、これ以上騒ぎを大きくするなら警察にも連絡しますよ?』

 マックイーンの言葉を受けて、司会者も我に返ったのか、マックイーン達を逆に睨み付けながら叫ぶ。

 「したければすれば良いですわ、そんな事よりも問題なのは貴方が、我がメジロ家を侮辱した事ですわ。」

 「私が? メジロマックイーンさんを侮辱する訳がありません。 まして今の遣り取りにメジロ家への侮辱なんて、何処にも含まれておりません。」

 マックイーンの指摘が予想外だったのか、キョトンとした表情になった司会者が理解出来ないとでも言いた気に弁明を始める。

 その弁明を聞いたタマモクロスが何かに気付いたのか、したり顔でマックイーン達に話しかける。

 「成る程、マックイーン、こん人はメジロ家に対して侮辱しとる気は全く無いみたいやで? 少し落ち着いて話してみぃ?」

 それから暫く話し合いを行い、幾つかの行き違い等を確認したマックイーン達は、司会者と観客達に騒がせた事を謝罪し、司会者もリアルデューク達や観客達に謝罪する事で騒ぎは一応の収まりをみせた。

 因みに、同じステージに居たオグリキャップは、どうして良いのか分からず、タマモクロスとその他を交互に見ながら終始オロオロとして居た。

 

 

 「しっかし、あんさん等のその格好、ガチ過ぎて何も言えんわ。 メジロ家ってのは、シスコンの集まりかいな?」

 騒ぎのせいで仕切り直しをする事になり、一旦控え室に戻って来たリアルデューク達とマックイーン達だったが、我慢出来なかったのか控え室に入った途端、タマモクロスがマックイーン達にツッコミを入れる。

 「ええ、愛する妹の晴れ舞台ですもの、このくらいは当たり前ですわ!」

 得意気にポーズをとるマックイーン。

 「うん、私もリアの晴れ舞台って言うから、頑張って用意してみたんだ。」

 嬉しそうにその場でターンを決めてポーズをとるライアン。

 「私は、先生の晴れ舞台ですし、これじゃ少し地味じゃないか?って言ったんですけど、マックイーンが最初だからこのくらいが良いって言うので……。」

 着ているハッピを広げて見せながら照れ臭そうにそう説明するドーベル。

 「姉ちゃん達、最高!」

 そんな姉達に大興奮のリアルデューク。

 「まぁ、メジロ家の方々ですしね。」

 「マックイーンだけがおかしい訳じゃ無いって感じだねぇ?」

 「ウチは知っとった、メジロはそう言うもんやて」

 そんな混沌とした控え室を見ながら、サロメ、トウカイテイオー、タマモクロスの3人がそれぞれ感想を口にする。

 「みなさんの御理解が得られた様で、私としても安堵致しましたわ。」

 そんなタマモクロス達3人の様子を見て、満足そうにマックイーンが話した。







 でも、大食いってダイジェストで十分だと思います。

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