今回は少し短めです。
それから10分程の休憩を挟んで再開される事になった大食い大会は、先に本戦を行い、最後にエキシビジョンを行う事になった。
本戦では優勝候補の1人で最有力候補のスペシャルウィークを飛び入り参加のヒシアケボノが撃破して優勝した。
当初、思わぬ結末に会場が騒ついたが、試合後のインタビューでスペシャルウィークが試合前にオグリキャップと一緒に近くの食堂でウマ盛りラーメンと言う大食いチャレンジメニューを食べていた事が発覚した為、会場中が納得する中、スペシャルウィークだけが落ち込んでいたが、それもすぐに切り替えたのか、ヒシアケボノの優勝を讃えると、リベンジを誓って観客席を沸かせていた。
そして遂に、エキシビジョンマッチが無事開催される事になった。
『え〜、会場の皆様方、長らくお待たせ致しました、これより大会3連覇、覇者オグリキャップさんによるエキシビジョンマッチを開催致します! 既にそれぞれのテーブルに座って頂いておりますが、改めてご紹介致します。』
会場のステージには3つの丸テーブルが設置されており、中央の赤いテーブルにはオグリキャップが1人で席に着いており、向かって左の青いテーブルには左からリアルデューク、タマモクロス、トウカイテイオーの順番で席に着いていた。
更に向かって右のテーブルには学園の制服を着たウマ娘3人が緊張気味に席に着いていた。
『さて、まずは皆さん、ルールのご説明を致します。 各チーム3名まで一度に食べる事が出来ます。 但し、ディフェンディングチャンピオンであるオグリキャップ選手は1人で全て食べる事となりますが、これはチャンピオンからの提案によるハンデとなります。 制限時間は1時間、選手は我が商店街が誇るチャレンジメニューの中から好きな物を好きなだけ食べて良いですし、調理に時間が掛かる物は予め注文しても良いです。 但し、もし注文したのに食べ切れなかった場合は、ペナルティとして残した料理が自腹となりますので、その点はご留意下さい。 勝利条件はただ一つ、1番食べたチームの優勝です! では、各自最初の注文をどうぞ! 頼んだ料理が揃ったら試合開始となります。』
「千尋さん、この試合どう予想いたしますか?」
「そうですねぇ、矢張りオグリキャップさんの勝ちは揺るがないかと……」
観客席で観戦しているサロメが、隣にいる千尋に質問をすると、千尋が淡々とそう答えたのだが、その答えと態度にサロメの隣にいたマックイーンがムッとした表情で千尋にくってかかる。
「貴女、トレーナーでありながら、ご自身のウマ娘達を信じておられないのですか?」
「いや、信じるとか信じないとかの話以前に、スペックが違い過ぎます。 オグリキャップさんに勝てるウマ娘なんて居ないと思いますよ?」
マックイーンの言葉に少し面倒そうに千尋が考えを述べると、マックイーンが更に食い下がってきた。
「それでも、いえ、そうだからこそトレーナーだけは担当の勝利を信じるものなのでは無いですか?」
「信じて勝てるなら世のトレーナーはみんな宗教家にでもなって居ますよ。 信じなくても必ず勝てる方法を模索するのが、トレーナーと言うものだと思いますよ? それに、今回は相手が悪過ぎます。 強いて言えば、大人のばんえいウマ娘と赤子が綱引きをする様な物です、勝てるかどうかを考える以前の問題ですよ?」
千尋の更なる説明を聞いたサロメがボソッと呟く。
「……リアさんなら赤子の状態でも、並のばんえいウマ娘には勝てそうな気がしますけど……。」
「「……確かにそうですね(わね)。」」
サロメの呟きに、思わず同意する千尋とマックイーンだった。
『さぁ、各チームが選んだ料理も無事揃った所で……大食い大会エキシビジョンマッチ、スタートです!』
司会者のスタートを告げる言葉を合図に一斉に食べ始めた各チームの様子を実況しながら煽る司会者によって、また、参加者のその食べっぷりに観客席から大きな声援が上がる。
そんな会場内で一番の声援を受けたのは、やはりチャンピオンのオグリキャップだった。
各チームが3名で必死に料理を減らしていく中、ただ1人凄まじい勢いで他を圧倒して行くその姿に、会場のボルテージはまさに鰻登りに上がっていくのであった。
「あかん、このペースやとオグリんには勝てへん。 2人共、もっと気張りや!」
オグリキャップには劣るが、中々のスピードで食べ続けるタマモクロスが、仲間であるリアルデュークとトウカイテイオーに発破をかける。
「うぅ、僕ってさ、こう言うのやった事無いんだけどなぁ。」
食べても減らない目の前の料理に嫌そうな顔で文句を言うトウカイテイオー、そんなトウカイテイオーを叱責しながらひたすら食べ続けるタマモクロス。
「四の五の言う暇有ったら箸動かさんかい! 今は兎に角食べるんや!」
「そう、死ぬ気でテイオー食べる! ボクも頑張る!」
そんなトウカイテイオーにリアルデュークが励ましを送る。
「流石はリアルデュークや、やる時はやるや……って、お前も食べんかい!」
半分くらい食べた状態で、既に食後のお茶を啜っているリアルデュークにタマモクロスがツッコむと、リアルデュークは途端に嫌そうな顔になる。
「ボク、そんな馬鹿みたいに食べるしない。 食事は優雅にマナーを守ってする。」
「今はそないなお貴族様みたいな事はどうでもええねん、あんさん等気ぃ付いてへんみたいやけど、あそこ見てみぃ?」
タマモクロスが指差した方を2人が見てみると、観客席に見覚えのある袖の余った白衣を着たウマ娘が居た。
そのウマ娘は、3人からの視線に気付くと懐から七色に輝く液体の入った試験管を取り出して3人に良く見える様に掲げながら叫んだ。
「この私が応援に来たからには安心したまえ。 食べれ無くなっても、この薬で直ぐに食べれる様にしてあげよう! さあ、安心して食べたまえ、手を止めた人から私がこれを飲ませてあげよう!」
その言葉を聞いた瞬間から、リアルデューク達の食べる速度が上がったのだが、その身から何故か滲み出る恐怖心に、事情を知らないマックイーン達は首を傾げるのであった。
痩せの大食いって見てて楽しいのですが、偶には大きな人が期待通りに勝つ展開も見たいです。
何時も期待はずれなんですよね。