お盆、日本の夏の風物詩で何か独特の雰囲気がありますよね?
何となく哀愁を感じます。
子供には面倒な行事ですけどね?
8月中旬、夏真っ盛りから多少は暑さの質が変わった気がする頃、リアルデュークはメジロマックイーンに連れられてメジロ本邸のある北海道へと来ていた。
日差しは相変わらず強いが本州とは違い、吹く風にはどこか涼しさが混じっていた。
本邸に着いた次の日の早朝から連れ出されたリアルデュークは、車の後部座席に座り外の景色をぼんやりと眺めていた。
そんなリアルデュークを乗せた車が走っている田舎道の両側には、何処までも真っ直ぐな道が続き、その両側には緑の牧草地が広がり、その遠くには青々とした山々が連なっている。
半分寝ている様な意識のリアルデュークが、本格的に寝落ちしそうになっていると、その様子を見て隣に座っていたメジロマックイーンが呆れ顔で話しかけて来た。
「リアさん、かなり眠そうですけど、ちゃんとお墓参りのやり方は覚えていますか?」
「……うぃ」
「うぃでは有りません。 これから貴女のご両親に会いに行くのです、少しはちゃんとした姿を見せて、御安心して頂かなくてはなりませんよ?」
リアルデュークの生返事に、若干機嫌が悪くなったメジロマックイーンが少し語気を強める。
「……ボク、別に安心して貰う必要無い。 それよりもお腹空いた!」
「時間ギリギリまで寝ている貴女が悪いのです。 だから昨夜にも早く寝なさいと言ったのです。」
不機嫌に言い捨てるリアルデュークを嗜めるマックイーンに対して、リアルデュークが更に不機嫌になって言い捨てる。
「……だったら別にボクの代わりにマックイーンが行けばいい。 早起きして行く意味ない。 ご飯と睡眠の方が大事!」
「……はぁ、仕方ないですわね……ちゃんとお墓参り出来たら、その後に美味しい物を食べに行きましょう。 これならば、叔母様達も許して下さいますでしょう。」
まるで眠くて愚図る子供の様な態度のリアルデュークを見て、溜息を吐きながらも、優しくその頭を撫でながらマックイーンが諭す。
「お墓参りやめて直ぐご飯行く!」
「駄目です、御参りしてからご飯です。」
マックイーンの提案に瞳を輝かせたリアルデュークが、更に踏み込んだ提案をするが、マックイーンにバッサリと却下された。
「ぶーぶーっ!」
「そんな可愛らしいブタさんでは、怖く有りませんわね?」
その小さな口を鳴らして抗議するリアルデュークを見て、笑いながら反論するマックイーンと、その態度に更なる抗議をするリアルデュークだった。
「ぶーっ!」
「さぁ、リアさん、着きましたわ。」
「……石しか無い。 つまんない。」
車が駐車場に停車したのを確認したマックイーンがリアルデュークに声をかけると、周りの風景を見たリアルデュークが口を尖らせて不満を口にする。
そんなリアルデュークの姿に軽く眉根を寄せながらも、2人共車から降りると、マックイーンがお付きの爺やに声をかける。
「爺や、準備は宜しいですか?」
「はい、お嬢様、この通り全て滞りなく。」
爺やが両手に持った花と手桶を見せつける様に持ち上げるのを見たマックイーンが2人に声をかけて前を向いた。
「それでは参りましょうか? リアさんも行きますわよ?」
「……うぃ」
元気良く声を掛けてくるマックイーンをチラ見した後、その進行方向に見える長い登り階段に、早くもうんざりするリアルデュークだった。
その頃、スピカの部室では、ゴールドシップがスペシャルウィークを助手にしてウマチューブの撮影をしていた。
「あ、ゴルシちゃんの、ちょっと良いとこ見てみたいのコーナーっ!」
「わ〜っ、パチパチパチ。」
「テメェ等、もっと盛り上げろよ! 折角のゴルシチャンネル新コーナーなんだぞ? こんなショボい盛り上げ方じゃ、視聴者爆増は無理じゃねぇか!」
部室内で騒ぐゴールドシップ達を見て、トレーナーが溜息交じりに注意した。
「いや、そもそも今はミーティング中なんだが?」
「んなこたぁわかってんだよ! だからこそこうやって新コーナー立ち上げてんだろ?」
トレーナーからの注意に反論するゴールドシップを見て、頭をかきながら更に踏み込んだ注意を行うトレーナー。
「いや、わかっているなら真面目にミーティングに参加してくれ。 秋シーズンのローテーションを説明する予定なんだからさ。」
「んだってよぉ、ローテーションの説明ったって、肝心の本人がいねぇじゃねぇかよ? ここにいる面子で走る予定が入っているのは、年末のドリトロに出るスペだけじゃねぇか!」
「いや、お前がいるじゃないか?」
そう不満顔で反論して来るゴールドシップに対して幾分冷静にツッコミを入れるトレーナーを見て目を細めてアンニュイな表情をしたゴールドシップが諭す様に話す。
「アタシは良いんだって、何かいい感じにやるからよ?」
「流石はゴルシさんですね?」
「おう、スペもドリトロなんか良い感じにやれば問題ねぇよ!」
「いや、問題大有りだろ! 何だよ良い感じって?」
そんなゴールドシップに感心するスペシャルウィーク、2人のやり取りに更にツッコむトレーナー。
「良い感じってのは、こう、なんだ……兎に角、考えるな感じろって感じだよ!」
「……成る程、感性で走るって事ですね?」
「そうそう、そんな感じ。」
特に考え無しに言った自身の発言に対するトレーナーからのツッコミに、しどろもどろになりながら答えるゴールドシップに対して、良い感じの合いの手を入れるスペシャルウィークを見たトレーナーが、2人に対して冷静に諭し始めた。
「お前なぁ、あんまり適当な事言ってると、何時かとんでもない失敗をするぞ? あと、スペはコイツの言う事は、真面目に聞かなくて良いぞ?」
「あ、はい。 それはスズカさんからも言われて居ますので大丈夫です!」
「そうか、なら良い。」
トレーナーからの話に、急に真面目な顔で答えるスペシャルウィークを見て安堵したトレーナーだったが、そんな態度の2人を見たゴールドシップが真顔で話しかけてきた。
「良くないだろう? ゴルシちゃんが傷つくぞ? ゴルシちゃん愛護法違反になんぞ?」
「……マックイーンが居ないと、まともにミーティングも出来そうに無いな。 マックイーン、頼むから早く帰って来てくれ。」
「トレーナーさん、マックイーンさんはあと3日は帰って来ませんよ?」
疲れた顔をしてぼやくトレーナーに心配そうに事実を述べるスペシャルウィーク。
「おい、アタシの話聞けよ?」
「マックイーンが居ないと、ゴルシの奇行が酷くなるんだ。」
力無く椅子に座って頭を抱えるトレーナー。
「アタシは、別にマックイーンが居なくても何時も通りだろう?」
「そうだなぁ、目に怪我しなくなったもんなぁ?」
ゴールドシップの言葉に、投げやりに答えるトレーナーを見て、スペシャルウィークが思い出したかの様に話す。
「でも、その代わりにスカーレットさんが目に怪我しちゃいましたよね?」
「アレはスカーレットの奴が貧弱なだけだぜ?」
何故か自信満々に答えるゴールドシップを無視して、遠い目をしたトレーナーが更にぼやく。
「まぁ、そのせいでローテーションが白紙になったんだがな。 まぁ、何にしても、今日の所はこのまま解散で良いかぁ。」
「おう、ならゴルシちゃんは、このままゴルシチャンネルの新ネタでも探してくるぜ!」
「あぁ、ゴールドシップ、他のチームはまだ練習中なんだから邪魔しない様になぁ? って、もういねぇし……スペも今日の所は寮に帰るといい。 また明日から練習だからな?」
「あ、はい、お疲れ様でした。」
ふと思いましたが、ウマ娘って遺伝子で親子関係とかわかるんでしょうか?
突然変異っぽいから難しいのかな?