これはフィクションです。
独自解釈なのでちょっとイメージが違っても、フィクションなので仕方ないと思うと、私の母の子供が申しております。
「……と、言う内容にて先方とは合意に至りました。 お祖母様の判断を待たずに独断にて対応した事、申し訳有りません。」
メジロ本邸の執務室で、メジロラモーヌが心苦しそうな表情で椅子に座るメジロアサマへと報告をしていた。
そんな孫を、優しい眼差しで見ながら報告を聞いていたアサマがゆっくりと落ち着いた雰囲気を保ったまま、口を開く。
「良いのですよ、いずれこの件については何かしらの対応が必要と思って居ました。 先代の不始末とは言え……ラモーヌ、貴女には難しい判断をさせてしまいましたね?」
「いえ、私こそ結果的にはお祖母様の御手を煩わせてしまい、申し訳なく思っておりますわ。」
「それで、レオーネさんはいつ頃此方に着くのかしら?」
「それなのですが……本人の意向で、此方との合流には今暫くの時間が欲しいとの事ですわ。」
「……理由を聞いても宜しいですか?」
これまで黙って頷いていたアサマがラモーヌの顔を見て確認する。
ラモーヌは、そのアサマの鋭い視線を受けても一切動じる様子も見せずに、表向きは淡々とした態度を崩さずに返答する。
「理由としては、まだ後始末が終わっていないから、だそうです。」
「後始末ですか……因みに、その後始末は我々がお手伝い出来る様な代物なのかしら?」
そう眼光鋭くアサマが問うと、ラモーヌは一度手元の資料に目を落としてからはっきりと答えた。
「はい、可能な範囲内で手伝いを申し出た結果、あちらの必要とする範囲で手伝いをする手筈になっております。」
「そう、今回は無事に手伝わせて頂けるのね? レオーネさんも、少しだけ歩み寄ってくれたのかしら?」
「そうだと思いますわ、お祖母様。 お祖母様の想いが通じたのだと、私は思っておりますわ。」
ラモーヌの返答を聞いたアサマは満足そうに口元を緩めると、先程までとは違う柔らかい眼差しでラモーヌを見て礼を述べた後、今度は孫を心配する祖母の表情になって問い掛ける。
「ふふ、ありがとう。 後は、あの子達ですが……どうなのですか? マックイーンさんの方は、かなり心配な様子ですが?」
アサマの問い掛けに、先程までの淡々とした表情が崩れ、気不味そうに手元の資料とアサマを交互に見ながら困った表情で口を開く。
「マックイーンさんに関しては、これを期に精神的な強さを身に付ける事が出来ればと思っておりますが……まだまだと言う所ですわ。」
「そうですか、ですがマックイーンさんはアレで芯の強い子です、きっと自身で答えに辿り着く事が出来ると信じておりますよ。」
「そうですわね。 お祖母様の言う通り、私もマックイーンならきっとお祖母様のご期待に応えてみせると思いますわ。」
ラモーヌとアサマ、2人の間に確信にも似た共通の思いが通い合う。
それは、マックイーンとの間にある、家族としての確かな信頼でもあった。
「ですが、問題はあの子かと……」
「あの子、リアさんはやはり?」
ラモーヌが眉を顰めて話し出すと、アサマも眉間の皺を伸ばす様に手を当てながら聞き返す。
「ええ、我が世の春を謳歌しているかと……」
「……リアさんですものね。」
そこには、ラモーヌとアサマ、数々のやらかしの後始末をして来た2人の間に、確信にも似た共通の思いが通い合う。
それは、リアルデュークとの間にある、家族としての確かなマイナス面での信頼でもあった。
「私思うのですが、あの子って本当にレオーネさんが育てたのでしょうか? あのレオーネさんが育てたにしては、自由過ぎる気がするのですが……」
俯き加減に額に手を当て、深刻な雰囲気を纏ったアサマが独白にも似たような調子で溜息交じりに話すと、何故かラモーヌが自身あり気にはっきりとした口調で話す。
「まぁ、リアさんですから……出会った瞬間から、私の心の琴線に触れまくりですし……」
「ラモーヌさんの好みですか、それでは仕方ないのかも知れませんね。」
更に暗い口調で言うアサマとは対照的に、ラモーヌはうっとりとした表情と口調で鼻息荒く話す。
「ええ、出来る事ならば、私自ら育成したいくらいの逸材ですわ。 あぁ……あの子が何処まで堕ちるのか、想像するだけで……くぅっ!」
そう熱く述べて、紅潮した顔で自らの身体を抱き締めるラモーヌ。
「ラモーヌさん……少し自重しましょうね?」
アサマは、そんな自身の孫の性癖にドン引きしながらも、一応と言う感じで嗜める。
「あら、お祖母様だって昔は似たような感じだったとお聞きしておりますが?」
アサマからの言葉に、ビックリした様な表情と態度を示したラモーヌが、ニヤリと片方だけ口角を上げながらも、心外だとばかりに話す。
そして2人の間に訪れる沈黙。
「「……おほほほほっ!」」
ラモーヌとアサマ、2人の取り繕った笑い声が執務室に響くのであった。
ここはトレセン学園近くに、近年建てられた屋敷。
西洋風の庭園を構えたその屋敷は、かなりの広さを誇り、庭の大きな噴水も相まって、さながら離宮の様な屋敷であった。
その屋敷の一室、本来ならばその荘厳さに見合った上流階級の人達の為に誂えられた調度品や家具はまるで用を成さず角に追いやられ、陳腐ない草のマットと、数々のゲーム機やお菓子、飲みかけで打ち捨てられた大量のペットボトルで占領されていた。
そして、その部屋の主となった幼女がい草のマットの上で、1人のウマ娘に膝枕をされて寝転がりながら、ゲーム機片手にもっちゃもっちゃと口を動かしていた。
「さぁ、リアちゃん、クリークママですよぉ? 今日のオヤツは、リアちゃんの大好きなとらやの竹皮包羊羹ですよぉ? ちゃんとポテチにコーラもありますからね? さぁ、ママのお膝に乗って……はい、アーンしましょうね?」
膝枕をしているスーパークリークが、いそいそとリアルデュークの頭の位置を調整しながら、甲斐甲斐しくその世話をしていると、リアルデュークから新たな指示が出る。
「羊羹……、すぐポテチ! からのコーラ! ボク、ゲーム忙しい、この順番で食べる!」
そう偉そうに命令するリアルデュークに、ニコニコとして言う通りにするクリーク、そんな2人を部屋の入り口付近に立って茫然と眺める芦毛のウマ娘が居た。
「……あかん、典型的な駄目ウマ娘がおる。」
「あんっ、リアちゃんったら、ママの指は食べちゃ駄目ですよ?」
「ポテチ食べた指、実は1番美味い説ある!」
リアルデュークがクリークの指をしゃぶりながら宣言すると、それを聞いたクリークが嬉しそうにリアルデュークの口元に指をもってくる。
その様子を見て、芦毛のウマ娘が眉を寄せて先程より大きな声で問い掛ける。
「リアルデューク、じぶん、練習サボって何やっとるんや?」
その声は2人の耳には届かず、2人は自分達しかこの空間には居ないかの様に振舞う。
「まぁまぁまぁ、リアちゃんはママのお指まで大好きなんですねぇ?」
「美味い物全て好き、次はフルーツ希望! あと、このアニメの限定リマスター版発売する、絶対手に入れるが吉!」
目を輝かせたクリークが嬉しそうにリアルデュークに話すと、リアルデュークも目を輝かせて欲望を垂れ流す。
「はいはーい、ちゃんと手配してありますよぉ? リアちゃんの好きな物は全部、ママとファインさんが揃えてあげますからねぇ?」
そんな2人の態度に、肩を震わせて芦毛のウマ娘が怒鳴り声を上げた。
「おい、リアルデューク! クリークも話聞けやーっ!」
「……あら? タマちゃんもママに会いに来てくれたのかしらぁ?」
「タマも一緒に食べる! ボク、富を分け与える! 器の大きいウマ娘!」
その怒鳴り声でやっと気付いたと言わんばかりに、クリークとリアルデュークがタマモクロスの方を見て声を掛ける。
「誰が会いに来るかいやっ! ウチはサロメに頼まれてそこのちびっこを引き取りに来ただけや! 全く、トレーナーから聞いたで? ここのところずっと練習サボって自堕落な生活しとるらしいな? クリークもクリークや、デビュー前の後輩にやる事ちゃうやろがっ! 全くもって情け無い、少しは先輩として真面目にやりぃや? リアルデュークもやで? ウチも一緒に着いて行ったるさかい、トレーナーにきちんと頭下げて、御免なさいしいや? 何、あのトレーナーなら、ちゃんと御免なさいすれば許してくれる筈や、さぁ、支度してさっさと行くで?」
2人の態度に苛ついたタマモクロスが怒鳴る様に2人を叱りつけると、話を聞いていた筈の2人が何も無かったかの様に振舞う。
「この羊羹ウマウマっ!」
「まぁ、リアちゃんの為にお取り寄せして良かったわ。 あ、次はポテチね? はい、あ〜ん……美味しい? さぁ、コーラも飲みましょうねぇ?」
「おどれ等、人の話はちゃんと聞けやー!」
そんな2人に益々怒り心頭なタマモクロスが叫ぶと、リアルデュークとクリークがそれぞれタマモクロスに文句を言い始めた。
「……タマ煩い!」
「そうですよぉ? タマちゃん、さっきから五月蠅いですよ? 折角、リアちゃんと楽しく過ごしているんですから、邪魔しないでくださいね?」
「んなっ! ウチはリアルデュークの将来を考えてやな、こうやって来とるんや、サロメだってものごっつう心配してたで? ここに居ったら駄目になるさかい、早うコッチに来るんや!」
2人からの謂れ無き非難に、一瞬だけ絶句したタマモクロスは、それでも自制心を総動員すると、リアルデュークに向けて勤めて冷静に説得を始めたのだが、リアルデュークの返答は予想外のものであった。
「……ここ楽園、出るつもり無い!」
「私も、リアちゃんが望まない限り、お世話を辞めるつもりは無いですねぇ。」
余りにも余りな2人の態度に、堪忍袋の尾が切れかけたタマモクロスは、思わず感情的になりかけるが、何とか踏み止まって説得を続けた。
「……そうか、ならウチはもう知らん! 勝手に駄目になっとればええ! ただな、リアルデューク、アンタの目的はここに居て叶うんか? まぁ、別にウチにはどうでもええけどな……ただな? じぶん、その為に今まで頑張って来たのとちゃうんか? その努力まで台無しにするんは、自分の為にもあかんと思うけどな?」
「……」
タマモクロスの言葉に、幾分か感じる所があったのか、黙り込むリアルデュークを心配そうに見詰めながら、その頭を撫でるクリーク。
そんな2人を見ながら、駄目押しとばかりに言葉を紡ぐタマモクロス。
「まぁ、言いたい事はそれだけや、サロメやトレーナーには適当に言っといたる。 後々どうするんかは自分で考えればええ、所詮は他人のウマ生や、ウチには関係あらへんしな?」
「タマちゃんお口が悪いですよぉ? リアちゃんは気にしなくても大丈夫ですからね?」
そんなタマモクロスを少しキツくなった眼差しで見ながら、クリークが注意する。
「クリーク、じぶんはそれでええかも知れんけどな、ホンマにリアルデュークの為を思うなら、もう一度自分の行動を見直した方がええで? ウチが言いたい事はそんだけや、ほな、邪魔したなぁ!」
クリークの態度に少し違和感を感じながらも、言うべきことは言ったと判断したタマモクロスは、そう言い残して屋敷を去って行った。
後には黙ってクリークの膝に顔を埋めてクンカクンカするリアルデュークと、その後頭部を悲しそうな表情で撫でるクリーク、部屋にはそんな2人が残されていた。
私の父の子供も、書きながらフィクションだと言っております。