魔法少女リリカルなのはHERO Tの名を持つ少女   作:陽炎=蜻蛉

7 / 18
虚数空間に落下した魂はどこへ向かうのか、気になります。


穏やかな時間

JS事件が終結してから4ヶ月後、ミッドチルダには元の平和が訪れていた。そんなある日、カスミはフェイト、エリオ、キャロの4人でピクニックに出かけていた。

 

「良い景色…空気も美味しいね。」

 

「あ、キャロ姉ジャムついてるよ。」

 

「ふぇ⁉︎ ご、ごめん、気づかなかった。」

 

「そういうカスミも…ほら。」

 

「アハハ!エリ兄ありがとう!」

 

和気藹々とした時間を過ごす一同。緊急出動にフル稼働していた時期では中々難しかった光景、美味しそうにサンドイッチを頬張る3人を微笑みながら眺めるフェイト。

 

『ごちそうさまでした!』

 

「はい、お粗末さまでした。」

 

「エリ兄!キャッチボールしよ!」

 

「はは、いいよ。」

 

カスミはエリオを連れて走っていく。

 

「何だか、あっという間ですね…出会った時はあんなに怖がってたのに。」 

 

「うん…みんなのおかげだよ。キャロもありがとね。」

 

「いえいえ、前にカスミが言ってましたよ?フェイトママと一緒にご飯作れるようになりたいんだって。」

 

「そっか…いつか教えてあげないとね。なのはもヴィヴィオもきっと喜んでくれるよ。」

 

微笑む二人。見つめる先には、楽しそうにキャッチボールをする兄妹が映っている。

 

「エリ兄は卒業した後、どこに行くの?」

 

「自然保護隊って言って、綺麗な森林やそこに生きている動物達を守るお仕事に就く予定だよ。」

 

「守る…か。私も将来どんな風になっていくんだろうな〜?」

 

「カスミもきっとこの先、色んなやりたいことができると思うよ。」

 

機動六課での1年間は、皆を大きく成長させた。エリオの希望配属も、六課で学んだことを活かす+フェイトの「平和に暮らしてほしい」という願いを両立するためのものである。

 

「エリ兄!次、ラストボールね!」

 

「OK!全力で投げてきてね!」

 

カスミは、竜巻を思わせるかのようなフォームから全力の一球を投じ、乾いたミットの音が響く。エリオもしっかりとボールを外さなかった。

 

「ナイスボール!」

 

ニッと笑い合い、お互いに労いのグータッチを交わして、シートの方に戻っていく。

 

「お疲れ様、楽しかった?」

 

「はい、こういう運動も中々出来なかったので、良いですね。」

 

「えへへ…エリ兄も全部取ってくれるから楽しかったよ!」

 

弾けるような笑顔、ただ食後の運動は眠気を誘ったようで、少しうとうとし始めているカスミ。

 

「ふぁぁ…キャロ姉、ちょっと眠くなってきちゃった…お願いしていい?」

 

「勿論良いよ。おいで?」

 

カスミは嬉しそうにキャロの膝に頭を乗せると、キャロは優しくその髪を撫でる。

 

「カスミはキャロの膝枕が一番落ち着くんだもんね。フェイトママ、ちょっと妬いちゃうな…」

 

「フェイトさんも僕が小さい頃、辛い時に膝枕してくれましたよね。あれ、すごく落ち着くんですよ。」

 

「もしかしてエリオくん…されたいの?」

 

「えっ⁉︎ い、いやその…それとこれとは何というか…」

 

慌てふためくエリオ、どうやら図星だったようだ。

 

「もう…恥ずかしがらなくてもいいのに。ほら、エリオ?」

 

ポンポンと膝を叩いて手招きすると、エリオは頬を赤く染めながらも顔を乗せた。

 

「うう…カスミの前でされるのは中々…」

 

「甘えたい時は一杯甘えてくれればいいの。幾つになっても関係ないんだから。」

 

「はい…ありがとうございます、フェイトさん。」

カスミとエリオはほどなくして寝息を立て始める。すると、キャロのバッグから毛玉のような生物が現れ、カスミの肩で眠り始めた。

 

『キュキュッ!』

 

「あ、フリード!ダメだよ、カスミが寝てるのに…」

 

「いいよキャロ、そのままで。」

 

「でも……」

 

「フリードも一緒に寝たいんだよ、きっと。ね?」

 

『キュ〜!』  

 

フリードも可愛い鳴き声と共に、静かに眠り始めた。こんな風にのんびりとした1日を過ごせるようになった幸せを味わいつつ、フェイトとキャロも2人につられて目を閉じる。

 

 

 

 

そんな幸せな光景を、嬉しそうに見つめる少女の姿があった。小さい頃のフェイトと瓜二つの外見をしていた少女は、小さく呟く。

 

(フェイト…カスミちゃん達と、ずっとずっと幸せにね。)

 

フェイトが気配を感じて目を開けると、そこにはもう誰もいない、元の綺麗な草原が広がるだけ。けれど、何かを悟ったのか、フェイトもまた、小さな声でその名を呟くのだった。

 

「…アリシアお姉ちゃん。」

 

どんな魔法でも、失われた命はもう戻らない。だから、フェイトは前を向く。大切な、大好きな子ども達を守り抜くために、これからも共に生きていくために。

 

 




ミッドの世界においてキャッチボールの概念があるのかは分かりませんが、ライトニングチームのほのぼの回を書いてみました。最後にアリシアを登場させたのは、決して姿は見えなくても、いつもフェイト達を見守っていてほしいという個人的な願望によるものです。

次回は八神家宅にて、はやて、ヴィータ、シグナム、カスミの4人があるゲームで対決します。では、またお会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。