この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを!   作:山田プロキオン

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タイトルの元ネタは超アバレマックスの名乗りの口上です。
なんだか最後ら辺から書いてて『未来への咆哮』聞きたくなってきました




勇猛精進!一気に最強Xレックス!

「ごめん、初心者殺しを狙ってた理由もう一回聞いてもいいかな?」

 

『レエェェェェックス!』

 

 森の中でエンシェント属性のレベルナンバー10のケミー、『Xレックス』と邂逅した錬太郎は、そのXレックスに何故初心者殺しを狩っていたのか、その理由を尋ねていた。

 

「ここ最近、自分が大好きな人間達が初心者殺しに狙われてるから事前に対処してて、そのお礼に友達になってもらおうと考えてたけど…見た目と大きさのせいでなかなか上手くいかなかったと…」

 

『レエェェェェックス…』

 

 Xレックスは力なく項垂れる。本人としては人間達と仲良くしたいだけなのだが、その行動で返って空回りの結果となってしまっているのだ。本当に気の毒である。

 

「でも、Xレックスさんの気持ちはわかる気がします…私も友達が出来ない時期がありましたし…」

 

「ああ…」

 

「そうなんだ…」

 

 ゆんゆんが少し寂しさを孕んだ様子で、Xレックスと自身の過去を照らし合わせる。友達が欲しくて努力するものの、結局人が離れていってしまうことを経験している2人は、ある意味似たもの同士なのかもしれない。

そして1人感傷に浸っているゆんゆんに対し、何とも言えない様子になる錬太郎とクリス。流石にこのままでは居心地が悪いので、錬太郎はXレックスに気になっていたことを尋ねる。

 

「ねぇ、人間を助けた後は、どうやって仲良くなるつもりだったの?」

 

『レェェェェェックスゥゥ!』

 

 錬太郎からの質問に、咆哮をあげるXレックス。錬太郎の問いに対して答えてくれたようだが、その回答に錬太郎はギョッとした様子でXレックスを見上げた。

 

「その人を口の中に含んで記憶を覗いて仲良くなるつもりだったの⁉︎」

 

「ええっ⁉︎」

 

「ケミーといえども流石にそれは…」

 

 Xレックスの友達作りのやり方にゆんゆんやクリスまでも若干引き気味な様子。友と呼べる仲は、互いの秘密を曝け出し合えるほどの関係と呼ぶこともあるが、流石に初対面からいきなりパックリいくのは、駆け出しの冒険者がジャイアントトードに初めて挑戦して丸呑みにされるのと同じくらいの、もしくはそれ以上のトラウマを抱かせる可能性があるだろう。

純粋で、好奇心旺盛なケミー故の考えだろうが、これはノーだ。そのことを伝えると、Xレックスはまた、しょんぼりとした様子になってしまった。

 どうにかして彼の力になってあげたい…そう錬太郎とゆんゆんは強く思い、頭を捻るのだが、中々いい考えが浮かばない。

 

「う〜ん、どうするのが得策なんだろう…」

 

「えっと…私の持ってる『友達を作る時に必要なこと10選』を読ませてあげるとか…」

 

「いやぁ〜、ゆんゆんちゃん、それはダメな気が…というか、錬太郎くんやゆんゆんちゃんが友達になってあげればそれで解決じゃない?」

 

 クリスの提案にそれだ、とばかりに合点した様子で錬太郎は手を打った。そしてXレックスへと向き直ると、

 

「Xレックス!人間のことが知りたいんだろう?じゃあ、僕の記憶、覗いていいよ!」

 

大きな声でXレックスへ高らかに告げる。その言葉にXレックスは、嬉しそうにはしゃぎ、そして

 

『レェェェェックスゥゥ!』

 

 勢いのまま、錬太郎を自身の口の中に含み、その記憶を閲覧することにした。

 

「クリスさん、錬太郎さん大丈夫ですかね…」

 

「多分大丈夫さ、今はXレックスが記憶を見終えるまで待とう」

 

 錬太郎の身を心配するゆんゆんを、クリスは宥め、安心するよう促す。

 

同時に、Xレックスの脳内では、百瀬錬太郎という男の15年分の記録が溢れ出した。

 

 

 

 

 赤と紫、二つの線が出会いそして交わり、一つの命が形成され、やがてとある少女の下へと舞い降りる。

 次に映し出された光景は病院の一室ーー。

1人の赤ん坊の産声が、病室いっぱいに響き渡っていた。そして赤ん坊を愛おしそうに抱える少女と、その様子を眺める少年が見えてくる。

 

『ねぇ、ダン。私頑張ったよ、元気な男の子だよ』

 

『うん、ありがとう舞。この子は、俺達の宝物だ…俺…今すっごく幸せだよ…』

 

『あらあら、赤ちゃんより涙流しちゃって…』

 

『な、泣いてなんかねぇし!』

 

 クスクスと笑う少女、舞の指摘に少年ダンは涙でくしゃくしゃになった顔を真っ赤にして反論した。

 

『ふふ、からかっちゃってごめん。それでね、この子の名前なんだけど…』

 

『そうだった、名前は…』

 

『"錬太郎"。貴方のように錬金術で、明るい未来を作る男の子になって欲しいから、この名前にしたいんだけど…』

 

『ああ、いいぜ!宜しくな…錬太郎!』

 

 ダンは舞の元に寄ると、まだ小さな錬太郎の手を優しく握る。その光景を最後に、次は緑あふれる草原へと場面が切り替わった。

 その雄大な大地を1人の幼子と1人の青年が踏み締め、何処へと向かっていた。

 

『おとーさーん!会わせたい人達ってだーれ?』

 

『それはその時でのお楽しみだぞ錬太郎!あ、着いたぞ!』

 

 大人になったダンが指指す方には、一本の大きな木があり、その下に全身を青い装束に包んだ魔法使い、緑色の飛蝗のような生物、そして手の平ほどの大きさの黒い蒸気機関車がいた。

 

『わぁ〜!』

 

 幼い錬太郎は、瞳を輝かせながら3体の下へと駆け寄る。その中の魔法使いは後からやってきたダンに気づくと、声をかける。

 

『久しぶりだね、ダン。もしかしてこの子が…』

 

『ああ、俺の息子の錬太郎だ。仲良くしてやってくれ!』

 

『ウィ!錬太郎、僕の名前はクロスウィザード、気軽にクロっちって呼んでね。こっちはホッパー1で、そっちはスチームライナー、僕たちは錬金術によって生み出されたケミーっていう存在なんだ。』

 

『ホッパー!』

 

『スチーム!』

 

 クロっちの紹介に同じて声を上がるホッパー1とスチームライナー。一方で幼い錬太郎は首を傾げ、ダンのズボンをくいくいと引っ張り、尋ねた。

 

『おとーさん、れんきんじゅつってなーに?』

 

『気になるか?今から見せてあげるよ』

 

 錬太郎からの質問にダンは穏やかな笑みを浮かべた後、自身の右人差し指に金の縁で彩られ、赤い矢印の装飾が施されたアルケミストリングを装着する。そして右手を前に突き出すと、念じるように呪文を詠唱した。

 

『【万物はこれなる一者の改造として生まれうく】』

 

 刹那、ダンの目の前の地面が隆起したと思えば液状に変化し、やがて大きな岩盤を形成した。ダンの披露した錬金術に、錬太郎は先程よりも一層瞳を煌めかせる。

 

『すご〜い!これが錬金術⁉︎僕にも出来るの?』

 

『ああ。お前が学びたいというなら、俺はいつでも教えてやるぜ!』

 

『その時は僕達も協力するよ〜、ね、ホッパー1、スチームライナー!』

 

『ホッパー!』

 

『スチーム!』

 

『頼もしいなぁ。クロっち達ケミーの手助けももらえるとか、これは錬太郎は大物になるぞ!』

 

『ウィ~ッヒッヒッヒ!将来が楽しみだね!』

 

 幼い錬太郎のありし日々の一幕。和やかな会話の様子がXレックスには眩しく映った。その後錬金アカデミーで楽しく過ごす錬太郎の情景が流れ出て、彼の嬉しくも満足そうな表情が、Xレックスの脳裏へと強く焼きつく。

 

 そして水の都、アクアを崇め奉るアクシズ教徒達の住むアルカンレティアでの思い出。時間帯は夜で、とある宿の一室での2人の少年の姿が伺える。

 

『いくぞアスラ!今日は枕投げ対決だ!』

 

『望むところだ錬太郎、今日も俺が勝つ!』

 

 錬太郎と対峙しているのは赤髪の短髪で、エメラルドのような翠色の瞳の少年ーーアスラ・ガレット。

 

 2人は同時に枕を投げると、次の枕を手に取り、息もつかぬ速さで再び投げつける。それを何度も何度も繰り返しており、お互い一歩も退く様子はない。

 

『アスラァァァァ!』

 

『レンタルォォォォォォ!』

 

 2人の枕投げはどんどん勢いを増していく。やがて部屋がミシミシと音を立て始め、やがてその音は宿全体に広がる。そしてーー

 

ガッシャーーンと大きな轟音を響かせて、宿は崩れ落ちてしまった。

崩壊した宿の残骸から錬太郎とアスラが顔を出すと、そこには鬼のような形相のハガネとライラが立ちずさんでいた。

 

『笑えないジョークだな2人とも…勝負に熱中するあまり宿一つ壊すとは…』

 

『弁償代…どうするつもりなのかしら?』

 

 大層ご立腹の様子のライラとハガネを前に、錬太郎とアスラは顔を見合わせ…

 

『今日のところは…引き分けだね…』

 

『そうだな…』

 

『『アハハハハ…撤収!』』

 

笑い声に続けた合図で一目散に逃げ出し、瓦礫の山を後にした。

 

『『おいクォラァァァァ!待てやスカポンタヌキ共!』』

 

 星が輝く濃藍の空の下、年上二人の怒号が響き渡る。こんな時期もあったのかとXレックスは興味深そうに唸る。

 

 その後はなぜか一気に2年の月日が流れ、カズマ達との思い出が流れ出ていた。

 

『百瀬錬太郎。職業は錬金術師』

 

『これから一緒に宜しくね』

 

『めぐみんはめぐみんの道を貫けばいいよ』

 

『3人の爆裂魔法か…いつか見てみたいなぁ…あ、その時は1番の特等席で見せて貰おうかな!』

 

『お前なんかに…カズマの明日を…未来を奪わせてたまるかァァァァ!』

 

そして最後に映り出した黒髪赤目の1人の少女、口に含む前まで、錬太郎と一緒にいたあの…この子は錬太郎にとって大切な存在なのかとXレックスは感じる。

 一通り記憶を見終えたXレックスは満足したのか、錬太郎を口の中から解放しようとした

 

その時だった…溢れ出す錬太郎の記憶の中の一部に、黒い霧のようなものがかかった部分があるのを確認した。

 

 もしや、これが飛ばされた2年分の記憶なのか…Xレックスは目を凝らし、その黒く包まれた記憶を探る。

 

 そこは…地獄、その一言が似合う光景だった。辺り一面火の海、雄大な自然を象徴する緑の草木も血によって赤く染まっている。そしてその大地に見える複数の人影。

 

 酷く動揺する錬太郎と、傷だらけになって倒れているハガネとライラ…三人に対峙するように立っている、一部金色の装飾が施された黒いスーツに身を包んだ丸渕メガネの男、ロードと茶色のローブを纏った者がそこにはいた。

 

『そんな…ライラ姐さん…ハガネ兄さん…』

 

『ごめんね…レンちゃん、しくじっちゃった…』

 

『これを…アイツらに…渡しては…い…け…な…』

 

 錬太郎はライラとハガネからユニコン、ザ・サン、ヨアケルベロス、ネミネムーン、マッドウィール、ガッツショベルに、ヒーケスキューの7枚のカードを手渡される。その後、最後の役目を終えたとばかりにライラとハガネは息を引き取った。

 

 大切な先輩2人の死に絶望する錬太郎を前に、ロードはケラケラと嘲る様子で言い放つ。

 

『いやぁ、あの凄腕錬金術師達ともいえども不意打ち、さらには可愛い後輩の前では無力になるものだねぇ〜…あ、情報提供と戦闘協力ありがとね

 

 

 

 

アスラ・ガレットくん♪』

 

 茶色ローブがフードを取り、素顔が露わになる。そう、その茶色ローブこそ、錬太郎が信頼し、慕っていたライバルである

 

アスラ・ガレットその人だった。

 

『なんで…なんで裏切ったんだよ…

 

           アスラァァァァ!』

 

 錬太郎の失望、怒りの入り混じった咆哮が記憶全体を揺らす。流石にこれ以上の深入りは危険と見たのか、Xレックスは記憶を閲覧するのをやめた。

ただ、百瀬錬太郎という少年に対する興味関心は、より一層強まったのだった。

 

 

 

 錬太郎を口の中から解放したXレックスは、錬太郎達の友としてケミー探しの旅に同行することを快く受け入れてくれた。

 

「本当⁉︎やった!」

 

「やりましたね錬太郎さん!これでレベルナンバー10が2体目ですね!」

 

「レベルナンバー10を味方につけるとは…やっぱりダンの息子なんだね…」

 

 Xレックスが仲間になってくれたことに錬太郎とゆんゆんは一緒に喜び、クリスはどこか錬太郎に感心した様子である。

 早速錬太郎は、左腕のホルダーからブランクカードを取り出して、Xレックスが封印するまで待機するのだが…

 

「あれ?どうしたの、Xレックス…」

 

 何故か一向にカードの中に入ろうとしないXレックス。刹那、大きな口を開いて、

 

「わぁぁぁ⁉︎」

 

「ええええ⁉︎」

 

「なんでぇぇ⁉︎」

 

錬太郎達3人をパクリと飲み込むと、何処へと向かって走って行った。因みに飲み込まれた3人はXレックスの腹の中だ。

 

「いきなり飲み込まれちゃったよ…」

 

「意外と中は暗いんですね…」

 

「一応あたし女神だけど…ぱっくりされちゃうとは…」

 

「へ?女神?」

 

「ああ、いやなんでもないよゆんゆんちゃん!」

 

 うっかり自身の根幹に関する重要な部分を漏らしてしまったクリス。ゆんゆんに勘繰れられる前に慌てて誤魔化したため事なきを得たものの、また始末書を増やしかねない行動をしてしまったことを一人反省したのだった。

 

 暫くして、大きな衝撃がXレックスの腹の中を揺らし、突然の事態に3人は当惑する。

 

「うおおお⁉︎なんだなんだ⁉︎」

 

「きゃあああ!」

 

「物凄い揺れたね…一体何が…」

 

 揺れが収まると、Xレックスは3人を外へと放つ。着いた場所はジャイアントトード討伐で赴いた何時ぞやの草原だった。そしてそこにいたのは…

 

「え⁉︎めぐみんにアクアさん、ダクネスさんまで⁉︎どうしたんですかそんな粘液まみれで…」

 

 

「うわぁぁぁぁん、れんたろ〜、ゆんゆ〜ん、生臭くてもう嫌よぉぉぉ!」

 

 アクアが涙と鼻水を垂らしながら錬太郎達に駆け寄ってきたが、華麗にスルーする一同。粘液が付くのは嫌なのは皆同じのようだ。

ぷぺっ⁉︎という奇声をあげて地面に衝突するアクア。そして彼女の後ろから頬を紅潮させた粘液塗れのダクネス、同じく粘液が身体中に付着しためぐみんを背負ったダストがやって来た。カズマと話していた時の威勢のいい雰囲気はどうしたのやら、顔を真っ青にして、疲れが前面に押しでてしまっている。

 

「はぁぁ…これがカエルの粘液…悪くないな…ん?クリス、どうしてここに?」

 

「はぁはぁ、あ!おい、兄ちゃん!アンタこのパーティーのメンバーだろ?どういうことだよ!アークウィザードは爆裂魔法ぶっ放した途端動けなくなるし、その衝撃の影響でやばいカエルが目覚めるわ、そのカエルにアークプリーストやクルセイダーは言うこと聞かずに突っ込むわで…しかも今もまだカエルに追われてんだよ…」

 

 ダストは錬太郎に詰め寄ると、今回の惨状を訴える。そして時同じくして、彼らの背後を巨大な影が覆い尽くす。

見上げてみると五十メートルにも及ぶ体格のカエルがそこにいた。今まで相手してきたジャイアントトードとは比べものにならない巨体だ。

 

「マキシマムトードか…あたしも盗賊人生の中で何回かしか見たことなかったジャイアントトードの突然変異種だけど、まさかこんなところでまた相見えることになるとは…」

 

「成程、Xレックスはこのモンスターを感知して僕たちを連れて来たってことか…」

 

「こ、コイツが爆裂魔法で目覚めたやつなんだ、頼むよ兄ちゃん!俺にはどうすることもできないんだ!」

 

 ダストの懇願にはぁ〜とため息を吐く錬太郎。そしてどっかの誰かさんの台詞を口にすると、戦闘体勢に入った。

 

「しょうがないなぁ…でも、帰ったらカズマに馬鹿にしたことは謝ってね。」

 

 錬太郎はガッチャードライバーを腰に巻きつけると、2枚のカードを装填し、続けてユニットに変形させたエクスガッチャリバーをベルトに装着する。

 

『ホッパー1!』『スチームライナー!』

 

『クロスオン!』

 

「初陣だ。いくよ、Xレックス!」

 

『レェェェェックスゥゥゥ!』

 

 錬太郎の呼びかけに、カードの中から力強く応えるXレックス。

そのカードを読み取り装着である『エクスクロスリーダー』へと装填し、起動させる。

 

『グレイトフルエンシェント!』

 

 カードを読み込むと同時に錬太郎の後ろにXレックスが出現する。

錬太郎はXレックスを背に、両手で円を描いて重ね、その手を反転させると、矢印の先端を形作って正面に突き出し、猛々しい声を響かせ、ベルトのレバーを操作した。

 

「変身!」

 

『ガッチャーーンコ!エーックス!』

 

 瞬く間に錬太郎はガッチャードへと姿を変える。そしてXレックスも全身を分割させて、一つ一つが鎧のような形となる。

ガッチャードは縦横無尽に飛び回りながらXレックスの鎧をその身に纏ませていき、

 

『Xレックス!スーパー!』

 

「ウオアアアアアアアア!」

 

全てのアーマーを装着し終えると、力強く、荒々しい雄叫びをあげる。

 

太古より導かれし紅蓮の鎧を身につけし強き竜の戦士

仮面ライダースーパーガッチャード クロスエックスレックスの誕生である。

 

 

 

 

「獰猛な竜の鎧をその身に纏う…禍々しくもありカッコいいです!どうしてレンタロウはこうも我々紅魔族の琴線を刺激するのでしょうか!」

 

「お、おい!爆裂の嬢ちゃん暴れんなよ」

 

「めぐみんはしゃぎすぎたら落っこちちゃうわよ…たしかに錬太郎さんの新しい姿もカッコいいけど!」

 

 相変わらずというべきか宿命というべきか、新たなガッチャードの姿に紅い瞳を輝かせて興奮しているめぐみんとゆんゆん。アクアとダクネスも今までのヒーロー然とした見た目と打って変わったガッチャードの姿に目を見開いていた。

 そしてスーパーガッチャードはマキシマムトードの前に立つと声高らかに言ってみせる。

 

「行くぜ!デカさじゃ全く歯が立たないが…今の僕は、いや僕達は!負ける気がしねぇ!僕達のケミストリー、魅せてやる!」

 

 スーパーガッチャードは地面を蹴って、空高く舞い上がる。Xレックスの力によって強化されたその跳躍は、一瞬にしてマキシマムトードを見下ろす程。

スーパーガッチャードは空中を滑空し、そのまま風を切って拳による一撃を喰らわせる。本来、打撃系統の攻撃は緩和してしまうトードだが、スーパーガッチャードの想像を遥かに上回る威力は、マキシマムトードでも無効化しきることは出来ず、大きく後退させられる。

 

「まだまだ!喰らいついたら離さないぜ!」

 

 スーパーガッチャードは、打撃の後の反作用で放たれた体の姿勢を空中で整えると、腹部の『スーパーパッションアタノール』の力を解放し、その牙でマキシマムトードの体に、食い付く。

 

『グギャオオオオオ⁉︎⁉︎⁉︎』

 

 全身を刺激する痛覚に悲鳴をあげるマキシマムトード。周章てる様子で身体を左右前後に動かしてなんとかガッチャードを振り解く。

 

「次はこれだ!」

 

 ガッチャードは勢いよく地面に着地すると、今度は背中の尻尾である『エックスレックステール』を巨大化させ、マキシマムトード目掛けて薙ぎ払う。

 鞭のようなしなやかさかつ、鋼鉄の如き硬さから繰り出される連続尻尾捌きは、物理攻撃を殆ど無効化してしまうトード特有の脂肪さえも貫通し、マキシマムトードの巨体を横転させた。

 

「あれが、錬太郎の新たな力…一撃一撃が凄まじい上にあの速度!この身に受けてみたいものだ…」

 

「ていうか、なんでガッチャードの攻撃は効いて女神の私のゴッドブローは通用しないのよ!不公平よこんなの!」

 

「先ぱ…アクアさん落ち着いて…」

 

 観戦していたダクネスはスーパーガッチャードの猛撃に対して性癖全開、アクアは自身の攻撃が通じなかったことに駄々を捏ね、クリスはそんなアクアを後輩の身として宥めており、相変わらずのフリーダムっぷりだ。

一方、ガッチャードの戦いもいよいよ終盤へと差し掛かった。

 

「これで決める!」

 

 ガッチャードはベルトからエクスガッチャリバーを取り外すと、ユニット状から剣の形へと変形させる。そして、

 

「『万物はこれなる一者の改造として生まれうく』」

 

 錬金術により刀身を伸ばすと、八双の構えをとる。全身に漲るエネルギーを剣先へと集めると、赤い斬撃をマキシマムトードへと放った。

 

『Xレックス!エクストラッシュ!』

 

 エクスガッチャリバーから放たれた一閃は、瞬く間にマキシマムトードを穿ち抜いて大爆発を起こし、辺り一面に砂埃を巻き起こす。

 砂埃が晴れると、そこには息を引き取ったマキシマムトードが。

 

「これにて、一件落着かな…」

 

 スーパーガッチャード クロスエックスレックスの初陣は大勝利で幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 粘液塗れでは風邪を引くだろうとのことで、錬太郎のワープテラによって一同は一瞬にしてギルドに到着した。ギルドお馴染みの両開きドアを開けると、カズマがダストのパーティーメンバー達と酒を片手に、楽しく会話をしていた。

 

「お、錬太郎おかりー!」

 

「カズマただまー!その様子だと上手くいったみたいだね!」

 

「ああ、初心者殺しに出会したり、予想外のゴブリンの多さに多少手間取ったりしたが、初級魔法を上手く使ってなんとか切り抜けたさ。そっちはどうだったんだ?」

 

「ふふん!実は…「カズマしゃあああああん!」あ、アクア…」

 

 錬太郎が話している中、後ろからアクアが飛び出してきた。その姿を確認するや否や、カズマは何も言わずにスッと扉を閉める。

 

「待ってくれ!扉を開けてくれ!俺が悪かった!悪かったから…」

 

 扉を開けるよう嘆願するダスト。あまりの惨状にカズマは目を向けず、再び会話の渦へと入り込んだ。とはいえ、流石にダストが反省しているのは見てわかっていた錬太郎は、カズマの肩を叩いて言った。

 

「カズマ、帰りにダスト達と合流したけど、今回の件は十分反省しているみたいだから許してあげてほしいんだ。勿論彼の口からもちゃんと謝罪するからさ…お願い!」

 

 錬太郎は目の前で手を合わせてカズマに頼む。対するカズマは頭を数回掻きむしった後、面倒くさそうな、けれども穏やかにフッと笑い、

 

「しょうがねぇな、今回だけだぞ」

 

「ありがとう!」

 

 カズマの答えを聞いた錬太郎は笑顔を見せて礼を言う。そして扉を開けるとダスト達に中に入るよう告げる。

 

「カズマからの許しが下ったよ!アクア達3人はお風呂に入ってヌメヌメ落としてきてね。折角だから今日は二つのパーティーで会食でもしない?」

 

「ホントか、流石錬金術師の兄ちゃん!酒だ!飲み干すぞ!」

 

「バカダスト!調子にのるんじゃないよ!」

 

 錬太郎からの報告に元気になって馬鹿騒ぎしだすダスト。そしてそんなダストに注意をするリーン。

 

「皆でお食事…楽しみだなぁ…」

 

「あたしも参加しちゃおうかな…」

 

 ゆんゆんやクリスも参加することにしたようだ。その晩、二パーティーによる合同食事会はとても盛り上がり、その中での会話でカズマとダストの蟠りも完全になくなり、仲を深めるに至った。

 今日もアクセルの街は平和であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガイアード!エクストラッシュ!』

 

「ハァァァァァァァ!」

 

 瓦礫と炎に包まれた荒地で、トンガリ帽子と緑色のローブを纏った黒髪ロングの少女が赤いエクスガッチャリバーを振るい、周囲に跋扈するドレッドの集団を相手取っていた。

 

「ハァハァハァ…」

 

 全員を倒し終えた少女だが、その後力なく地べたに座り込むと、嗚咽を漏らして泣き始めた。

 

「ううっ…ひぐっ…辛いよぉ…苦しいよぉ…」

 

涙を溜めた顔を上げ、自身の右人差し指に装着した橙色の矢印の装飾が施されたアルケミストリングを見つめると、弱々しい声で呟いた。

 

「もう疲れたよ…パパ、ママ…師匠…」




Xレックス、ガッチャ!錬太郎の過去も少しだけ掘り起こされました。
ダスト達ともなんやかんやで打ち解けましたね。
明かされたハガネとライラの最期…
何故、アスラは裏切ったのか…
何故、錬太郎がガッチャードに変身できた経緯をXレックスが見ることができなかったのか…それはまた後々の展開にて

あと尺の都合上カットしましたが、実はアルカンレティアの修学旅行にて、アクシズ教徒間での挨拶は「パンツ丸見え」というアスラの嘘を錬太郎が本気で信じてしまい、実践したというコソコソ話を添えておきます。
(因みに今でも信じています)→アルカンレティア編でやりたい…

そしてラストに登場した少女、彼女の正体は…
それは、また次回で…

次回予告
「ロストワールド/我が名はえみりん!」
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