この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを!   作:山田プロキオン

29 / 89
魔法使いが魔法らしい魔法使わないのってどうなんですかね?

それはそうと、誕生日おめでとう。めぐみん

爆⭐︎裂⭐︎


迷宮を抜け出す最強魔法(物理)

 暴走気味のクロっちをなんとか宥めたはいいものの、未だ謎の部屋については何も分からず、3人は長い間居座り続ける状態となっていた。

 

「どうなっているんだろ…これも霊の仕業なのかな…」

 

「なら、アクアさんに連絡をするのが一番ではないでしょうか?」

 

『そのことなんだけど…ケミーライザーの電波が届かないみたいでさ…連絡しようにも出来ないんだよね…』

 

 クロっちからの報告に、錬太郎とゆんゆんはがっくりと肩を落とす。カズマ達、他の者に頼ることは出来ないと考えていい。となると、自分達だけで解決するしかなさそうである。

 

「とはいえ、何からすれば…う〜ん、壁を叩いても何も起こらないしな…」

 

 何をしようにも手掛かりもないため、取り敢えず壁に触れる錬太郎。その刹那、壁が歪み、やがては部屋全体の形が変わり始める。

 

「わわっ⁉︎ど、どうなっているんですか⁉︎」

 

『錬太郎なんか変なことした⁉︎』

 

「してないしてない!急に、急に変わったの!」

 

 変化が終わると、先程の暗闇だけの空間はそこにはなかった。代わりに複雑に入り組んだ迷路のようなものが錬太郎達の瞳に映っていた。

 

「部屋の形が…変わった…」

 

「もう何がなんだか…」

 

 目まぐるしく部屋の形が変わると思えば次は迷路。攻略する以前に錬太郎とゆんゆんの顔は疲れを物語っている。そんな中、クロっちはこの奇妙な現象について何かピンと来たようだ。

 

『これは…もしかしたらケミーの仕業かもしれないね』

 

「え…これも⁉︎この屋敷どれだけケミーいるの?」

 

 錬太郎がクロっちの方に向き直り、信じられない様子で尋ねる。対するクロっちは、先程の壊れっぷりが嘘のように淡々と話し始めた。

 

『この部屋の変化は幻じゃなくて実際に形が変わっているんだ。四次元現象って言ってね。それを可能にするのは霊には難しい芸当だろう?こういうのが得意な子といえば…インセクトのナンバー5、アントルーパーかな?』

 

「そうなんですね…じゃあ、この迷路の解決策は何かあったりするんですか?」

 

『いい質問だねゆんゆん!勿論ある、って言いたいところだけど、その方法を忘れてて…今思い出そうとしてはいるんだけど…』

 

「じゃあクロっちが思い出すまで迷路も並行して進めていこう。行動しなきゃ始まらないからね」

 

 話し合いを終えると、錬太郎を先頭に3人は迷路を進めていく。スマホーンとピカホタル、ケアリーが光源となって道を照らしてくれたため、順調に進んでいくと思われたが…

 

『あ"あ"〜、全然ゴールまで辿りつかないんだけど!これちゃんとクリア出来んの⁉︎なんか凄いイライラしてきた…もう壁をハンマーでぶっ壊して進んでいいかな、いいよね!』

 

「わわわ⁉︎クロっちさん落ち着いて」

 

「ていうかその擬態になってから怒りっぽくなってない⁈」

 

 再度狂ってしまったクロっちを慌てて止める2人。クロっち曰く、擬態した人物の感性に引っ張られてしまうことが時々あるらしい。怒りの沸点が下がってしまうのなら別の擬態にすればと思うものの、新しいこの姿がいいとクロっちが言い張るため、こだわりとは面倒なものである。

 それはともかく、壁に沿って歩いては行き止まり、壁に沿って歩いては行き止まり。もう何度繰り返しただろうか。いよいよ錬太郎やゆんゆん、クロっちは体力的にも精神的にも限界が近づいてきた。

 

「ゴール…全然見つかんな…あふん」

 

「れ、錬太郎さん⁉︎」

 

 脚の限界か、遂に錬太郎は、どこぞの鉄華団団長のように床に倒れ伏した。

 

「僕は止まらないからさ…だから2人も…止まるんじゃねぇぞ…」

 

 力尽きた錬太郎はそのまま瞳を閉じて、静かに眠りについた

 

…という訳にはいかない。脚の限界と睡魔で1人勝手に離脱するなど言語道断。例えゆんゆんが許そうと、クロっちは許さない。

 

「はいはい、希望の花咲かせない!起きて起きて!1人だけ楽をしようたってダメだからね」

 

「ちょ…良い夢見れそうだったのに…あだっ、痛!脚叩かないで!わかった、わかったからもうやめてクロっち!」

 

 錬太郎の脚をペチペチと叩いて再起するよう促すクロっち。若さ故にピッチピチな錬太郎は肌は、叩けば軽快な音を響かせた。

 

渋々錬太郎は立ち上がり、脚の痛みを堪えながら、再び迷路攻略を始める。暫く歩みを進めていると、何処からか男女の喧騒が聞こえてきた。声から察するにあの2人であろう。

 

「あの声、カズマとめぐみんだよね」

 

「取り敢えず向かいましょう」

 

 3人は喧嘩している2人の声を頼りに迷路を進んでいる。そしてカズマとめぐみんの所に合流したのだが…

 

「…2人とも何やってるの?」

 

「ちょうどいいところに来ましたねレンタロウ達!この男をしばくの手伝ってください!あろうことか可憐な私にそこに転がっている酒瓶で用を足せと言うのですよ!悪霊が蔓延る屋敷でこの仕打ち、なんとも許し難いではないですか!」

 

「うるさいロリっ子!湖の浄化の時に紅魔族はトイレに行かないって言ってたろ⁉︎こういう時だけ仲間の絆がどうとか都合良く言いやがって!悪霊のせいでトイレに行けないだけでなく、変な迷路にまで巻き込まれてんだぞ!少しは妥協しろ!」

 

「えっと…2人ともトイレに行きたかったけど、悪霊のせいで用を足せず、更にはこの迷宮に巻き込まれたってこと?」

 

「「そうだ(です)!!!!」」

 

 カズマとめぐみんの喧嘩の内容に錬太郎とクロっちは呆れ果て、ゆんゆんは先程の用を足す件のやり取りで顔を真っ赤にしていた。

 

『しょうもないなぁ…それならダクネスとかを呼んでトイレ前を見張らせておいて順番守ってやればいいだけの話じゃん』

 

「何言っているのですかクロっち!いつ悪霊が出てくるかわからないのに、呑気にブラブラなんて出来ませんよ!第一ダクネスが今何処にいるかわかりませんし、探している間に限界が来てしまえば…来たら…」

 

 そこから先は語られなかった。ただ、めぐみんが紅潮している様子から察するに、『漏らしてしまうじゃないですか』と言おうとしたのだろう。

 

「とは言ってもトイレなんてここには…ん?」

 

『ウィ?どうしたの錬太郎』

 

「あの奥にあるの、トイレじゃない?」

 

「「なんだって(ですって)⁉︎⁉︎」」

 

 錬太郎が自身の瞳の先に映る大きな物体を指差す。それは紛れもなく外部トイレであった。何故この迷宮の中にあるのだろうかと突っ込みたくはなるが、そんなこと、今のカズマとめぐみんにはどうだっていい。錬太郎の口からトイレの在処を聞くと、電光石火の如く、一目散にトイレへと向かう。

 

「おい!俺が先だからな!」

 

「この男!私に漏らせと言うのですね!冗談じゃありません!私が先に済ませます!」

 

 お互い先に用を足すのを譲るつもりはない。両目には炎を宿しており、凄まじい執念である。先程漏らす発言に抵抗を見せていためぐみんが構わず口にしたことがその証拠だ。

 そしてトイレを巡って火花を散らしていた2人は、同時にトイレの前に着いたのだ。しかしどうしたのか、カズマとめぐみんは、力無く地べたにその身を預けてしまった。

 

「え⁉︎どうしたんですか2人とも⁉︎なんでトイレの前で座り込んで…あ」

 

「待ってよ〜ゆんゆん…ってこのトイレ…」

 

 トイレをよく見ると、扉にスロットが備え付けてあり、スロットの上にはこう記されていた。

 

『使用料100エリス』

 

 そう、お金を取るのだ。ただトイレをするだけなのに。上げて落とすとはまさにこのことか。

 

屋敷の中で財布を持ち歩く者などいる筈もない。そのためカズマとめぐみんはこのトイレで用を足すことは出来ない。目の前にトイレはあるのいうのに、何と残酷なことだろうか。

 

「金とんのかよクソッタレェェェェ!!!」

 

 カズマの悲痛な叫びが迷宮の中に虚しく木霊す。はっきり言おう。カズマもめぐみんももう膀胱は限界寸前だ。先程全力疾走したため、下半身にかなり刺激を与えてしまったのである。

しかし泣きっ面に蜂か、更なる絶望が彼らに襲いかかる。

 

『あちゃ〜、生憎今は僕も財布持ってないんだ…って、ここら辺に赤い光源なんてあったっけ?』

 

「何言ってるのクロっち?ピカホタルが黄色、スマホーンが白、ケアリーが水色で照らしてるから赤なんてない…よ?」

 

 暗闇を照らす無数の紅い光。めぐみんとゆんゆんではない。昆虫の複眼のような形をした数多の朱色の輝きが錬太郎達を捕らえている。

そして…

 

『『『『『ルゥパァァァァァァァ!!!』』』』』

 

威嚇するかのような雄叫びが迷宮に響き渡り、5人の恐怖心を刺激した。

 

「「「「『ウワァァァァァ!!!』」」」」

 

 脇目も振らず駆け出す一同。どの道を通ったのか、記憶する間もなくただひたすら走り続ける。捕まれば…想像したくもない。

 命の危機を感じての鍛冶場の馬鹿力のお陰か、ふくらはぎや膝、足首が悲鳴を上げながらも、錬太郎達はなんとか追手を振り切ることが出来た。

しかしながら体力は既に限界を超えており、皆肩で息をするしかなかった。

 

「ハァハァ…な、何とかなった…」

 

「そ、そうだな…でもこの先どうするんだよ…迷宮も悪霊もまだあるってのに…」

 

『あ…あのさ錬太郎…今言うことじゃないと思うんだけど…この迷宮の攻略法思い出したよ…』

 

「あ…ああそうなの?うん…クロっち今なんて?」

 

『ウィ?その…迷宮の攻略法がわかったって「「「「ホントに(ですか)⁉︎」」」」ちょ⁉︎皆近い近い!』

 

 クロっちの発言に廃人のように疲れ果てた様子から一変、勢い良く食いつく4人。あまりにも凄い食らいつき様に、クロっちは少々たじろぎながら説明を始める。

 

「お、落ち着いて皆!この迷宮を破るには僕の魔法を使う必要があるんだけど、消費魔力がそれなりに多いんだ。だから錬太郎、僕と合体してくれないか?」

 

「ちょ⁉︎クロっちさん⁉︎何言い出すんですか⁉︎」

 

「こればっかりはゆんゆんに同意ですよ!解決策があるといいながらその…ここでナニをおっ始める気ですか⁉︎」

 

「おい、遂に狂ったか!お前らはそれなりに長い付き合いだろうがこの場にいる俺達のことも考えろや!気まずいだろうが!」

 

 クロっちから錬太郎への申し出に、ゆんゆんとめぐみんは顔を赤くし、カズマも血涙を流す勢いで抗議する。一体何を想像しているのだろうか。そんな彼らを他所に、錬太郎はクロっちに返答する。

 

「了解、早速始めようか」

 

「錬太郎!お前!信じてたのに裏切るのか!」

 

 何故か冷静な錬太郎にカズマは私情も混じった怒りの声を上げる。

対する錬太郎はカズマや他2人のことなど気にもせず、ガッチャードライバーを腰に装着して、カードを装填した後、エクスガッチャリバーをユニットの形へと変えてベルトへ取り付けた。

 

『ホッパー1!』『スチームライナー!』

 

『クロスオン!』

 

「「「へ?」」」

 

 鳩が豆鉄砲を食らったかのように間抜けな声を漏らすカズマ達3人。その間にクロっちは自身からケミーカードの中に封印されると、エクスガッチャリバーの『エクスクロスリーダー』で読み込まれた。

 

『マスタージョブ!』

 

 変身前の準備は完了。錬太郎はいつもの様に、両手で円を描いて両手を重ね、その手を反転させた後、矢印の先端を形作って正面に突き出し、猛々しい声を響かせながらベルトのレバーを操作する。

 

「変身!」

 

『ガッチャーーンコ!エーックス!』

 

 一瞬にして錬太郎はガッチャード スチームホッパーへと変身し、その背後に出現したクロっちはガッチャードを優しく抱きしめた後、憑依するように一体化する。次の瞬間、ガッチャードは眩い光に包まれ、次第に新たな姿を顕現させる。

 

『クロスウィザード!スーパー!』

 

紺青のローブに身を包み、魔法帽を頭部に備えしその姿はまさに大魔導士

 

仮面ライダースーパーガッチャード クロスウィザードの誕生である。

 

「よし、合体完了!そういえば…なんで皆クロっちとの合体反対してたの?」

 

「すまん錬太郎俺たちが勘違いしてた。そうだよなそうだよな、クロっちもレベルナンバー10だったよな」

 

 今更ながらガッチャードはカズマ達に先程全力で制止されたことを尋ねたが、カズマは早口かつ所々棒読みで非を詫びた。これ以上深掘りすると互いに赤面間ちがいなしの悪霊や迷宮とは別の意味で地獄を見ることになる。カズマの判断は正しかった。

ガッチャードはその対応を少し変に思いつつも、迷宮脱出のための魔法の詠唱を開始する。

 

「『天界の嵐… 志那都比古(シナツヒコ)よ…厄災を治めしその力を我が手に…』」

 

 詠唱をしながらガッチャードは両腕を胸の前で交差させる。刹那、辺り一面の空気がガッチャードを中心に張り詰め、やがて吸い寄せられる。

 

「なんですかあの詠唱!とんでもなくかっこいいじゃないですか!私の琴線にビリビリ来ますよ!」

 

「てか魔法の詠唱になんで日本神話の神様の名前が出てくるんだよ」

 

 ガッチャードの呪文に、いつもの通りめぐみんは瞳を爛々と輝かせ、カズマは和風なのか洋風なのかよくわからない呪文に突っ込みを入れる。

因みにゆんゆんは、その詠唱からどんな魔法が発動されるのか心の中でとてもワクワクしていたのだった。

 

『いくよ錬太郎、これが迷宮を打ち破る最強魔法【イラプションスピン】だ!』

 

「OKクロっち、いっけぇぇぇぇ!!」

 

 スーパーガッチャードはその場でフィギュアスケート選手もびっくりの高速回転を始める。その勢いは衰えることを知らず、次第に回転数を増していく。

 しかし、それだけである。巨大な魔法陣の展開も、強大な魔力の渦の発現もない。ただひたすらに魔法使いらしき戦士が回転しているという、何とも地味かつシュールな光景が広がっている。

当然ながらカズマとめぐみん、そしてゆんゆんは口をぽかんと開けたまま、肩透かしを食らったかのようにガッチャードを眺めていた。

 

「あの…錬太郎さんクロっちさん…それ、本当に魔法なんですよね?」

 

「やっぱ迷宮に長時間いたから狂っちまったのか…」

 

「はぁ…もういいです。カズマ、ゆんゆん、私達だけで解決策を探しましょう」

 

 呆れ果てためぐみんは、付き合ってられないとばかりにその場を後にしようとする。その瞬間だった。なんと迷宮がぐにゃりと歪み始め、やがて元の状態に戻り始めたのだ。

 

「え⁉︎マジか⁉︎迷宮が消えていくぞ!」

 

「もしかして本当に回ればなんとかなるの?」

 

 まさかの事態にカズマもゆんゆんも驚きと困惑の混じった声を漏らす。そして遂に迷宮は完全に消滅し、気がついた時には、一同は屋敷の廊下へ立っていた。

 

「ふぅ、上手くいったね。」

 

「あの…一体どういうカラクリなのか教えてくれないか?」

 

 あまりの急展開について行けず、カズマはガッチャードに何が起こったのかを尋ねた。そんなカズマの問いに、ガッチャードと融合しているクロっちが丁寧に答え始める。

 

『あの迷宮はアントルーパーによって生み出された四次元空間。だから、その四次元空間を形成しているエネルギーを逆流させれば迷宮を打ち消すことが出来ると思ってね。そのための【イラプションスピン】って訳さ』

 

「成程…ちゃんと意味のある行動だったんですね…」

 

 クロっちの回答に納得したゆんゆんは、うんうんと首を縦に振る。一方でめぐみんは何処か考え込む様に俯いており、気になったカズマが声をかけた。

 

「ん?どうしたんだめぐみん、なんかあったのか?」

 

「いえ、今更言うのもアレですが、ワープテラの能力があれば早く片付いたのではないでしょうか?」

 

「「「『あ…』」」」

 

 

 

 

「よし!これから宜しくね、アントルーパー!」

 

『ルーパー!』

 

 錬太郎の言葉に、アントルーパーは元気よく返事をする。聞いた事情によると、この屋敷に住み着いた幽霊達を迷宮に閉じ込めており、錬太郎達を威嚇したのは引き返せと訴えていたからとのこと。

 無事に迷宮から脱出し、アントルーパーも捕獲して一件落着…かと思いきやここは幽霊屋敷。簡単には終わらない。カズマとめぐみんのためにトイレに向かおうとした一同の前に悪霊達の宿った人形が現れる。

 

「簡単に帰してくれそうにないね…」

 

『3人は先に行ってて。特にカズマとめぐみんはトイレ我慢してるのは良くないからね。ゆんゆんは付き添い、お願いしていいかな?』

 

「わかりました、お2人とも頑張ってください!」

 

「頼んだぞ錬太郎…(ん?尿意はそんなにないが…)」

 

「さぁ、行きますよ!(なんだか湿ったような感じが…)」

 

錬太郎とクロっちに悪霊を任せると、カズマ達3人はトイレへと向かう。

 

「いくよクロっち!」

 

『ウィ!悪霊達、覚悟!』

 

3人が離れたのを確認すると、錬太郎とクロっちは、悪霊が憑依した人形達と激突する。

 因みにだが、迷宮でアントルーパーから逃げきった後に、カズマとめぐみんは気を緩めて既に漏らしてしまっていた。暗いのもあってゆんゆんやクロっちは気づいていなかったものの、錬太郎だけはそのことを知っていたのだった。

 

「(カズマとめぐみんが漏らしたのは、2人の名誉と威厳のために黙ってておこう)」

 

心の中で錬太郎はそう誓ったのだった。

 

 

 

 

 翌日、幽霊退治を無事に終えた錬太郎は、屋敷の庭にある『アンナ=フィランテ=エステロイド』のお墓の手入れをしていた。

 

この屋敷に住む条件の一つとして、定期的に墓の手入れをするように不動産屋さんから頼まれたのだ。昨日の屋敷掃除でも用いた雑巾で、墓石を隅から隅まで綺麗に磨いていく。全部拭き終えると、錬太郎は額に僅かにかいた汗を拭って語りかけた。

 

「昨日はドタバタ騒いじゃってごめんね、これから少し賑やかになると思うけど…宜しくね、アンナ」

 

コチラコソ、ヨロシクネ…オニイサンタチ

 

 そう聞こえたような気がした。錬太郎はふっと笑みを浮かべると墓の前を後にする。そして去っていく錬太郎の背中を見送る影が墓前に2つ。

 

「ありがとう、天使さん。お兄さんに私の声、届いたよ」

 

『エンジェリー♪』

 

 屋敷の地縛霊、アンナは天使さんと呼ぶ人物に笑顔でお礼を告げる。対する天使さんもアンナからの感謝を嬉しそうに受け取った。

 

この屋敷には霊だけでなく、まだ見ぬケミーも住み着いているのかもしれない。

 

 しばらくして浮かない顔でカズマとアクアが帰ってきたのだが、なんと最近アクセルの街で広がっていた悪霊騒動の原因はアクアにあったというのが判明したらしい。

 ウィズと初対面した一件で、共同墓地にて定期的に除霊をすることになったアクアだが、なんとか楽をしたい一心で、墓地の前に強大な結界を張ってしまったらしく、その影響で行き場を失った魂達が街に流れ出たというのが真相である。勿論、屋敷の悪霊も該当していた。

 その後、クロっちの提案で、一週間アクアのシュワシュワ禁止令が出されたのだった。

 

「なんでよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 自身にとって残酷すぎるペナルティにアクアは喚き散らかし、その大声はアクセル一帯に轟いたとか轟かなかったとか。




というわけで幽霊屋敷編、終了。
お金を必要する有料トイレですが、海外では普通にあるみたいです。
今回ネタ詰め込みすぎちゃいましたね…
クロっちのキャラ崩壊ですが、擬態したモデルに性格が引っ張られているということでお願いします。


特撮名物、回ればなんとかなる

スーパーガッチャード クロスウィザードの初戦闘(?)これでよかったのかな?
まぁ、錬太郎もクロっちも本気出すのはもうちょい先のお話…

次回はいよいよアクセルの街の天国の話ですね…
未来編でかなりシリアスだったのでまだギャグ寄りにしたい
ではまた次回で

次回予告
「サキュバスのお店と処刑人の逆鱗」

えみりんの再登場は…

  • 早くていい
  • 運命の日までお預け
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。