この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを!   作:山田プロキオン

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お久しぶりです、今回も長いです。

クリスマスに投稿とかほざいてましたが、予定より早く仕上がったので投稿致します。多分次話も明日には投稿すると思います。


流星の軌跡/月の光と聖なる魔法が拓く道

「フンッ!ホッ!セヤッ!」

 

機動要塞デストロイヤーの甲板の上、アーマードライダーブラーボとドレッドの衝突。無数の棘を携えたブラーボの剣型武装『ドリノコ』と、ドレッドのレプリアッパレブシドーの力を抽出した『ブラッディーAB』が瞬きする間に何度も交わり、その都度火花を散らす。

ブラーボのドリノコは、2本で1つの武器であるため、斬撃範囲と攻撃範囲はドレッドの打ち物よりも上なのだが、ドレッドも手首や、足を軸にして体を回転させながら勢いをつけた剣撃で応戦し、両者は一歩退くことなく、互角の戦いを繰り広げていた。

 

『ウィ〜、鳳凰寺(ほうおうじ)もやるね…ブランクもあるのにあのドレッド相手に…』

 

「そうだね、ところでクロスウィザード、その…姿は…」

 

『ああこれ?気分転換。処刑人みたいでしょ?』

 

 そしてクロっちは、ミツルギと共にカズマとゆんゆんの後方支援を受けながら、暁のゴーレムと対峙している。そしてやはりというべきか、ミツルギは前回会った時とは全く違う姿のクロっちに少々困惑していた。

 

「おい2人とも!話ばっかしてんな、攻撃あたっちゃうかもしれないだろ!」

 

『おっと、無駄話が過ぎちゃったみたいだね…じゃあ一気に行くよ!』

 

 カズマからの注意にクロっちは改めて気を引き締めると、巨大ハンマーの柄を握りしめ、ゴーレムの右腕目掛けて勢いよく振りかぶる。

 

『とりゃああああああ!!!』

 

 力強く繰り出されるハンマーの殴打は、見事にゴーレムの右腕を穿ち、バラバラに粉砕した。さらに反対側は

 

「僕も行くぞ、ハァ!』

 

 アッパレブシドーの力で刀身に炎を纏わせた魔剣グラムによる斬撃が、ミツルギによって放たれる。上から下へと、流麗な一直線を描いた軌跡が容赦なくゴーレムの左腕を吹き飛ばした。

 

「今だ!サトウカズマ!」

 

『ゆんゆんもやっちゃえ〜!』

 

 ミツルギとクロっちが合図を出すと、それぞれ左右に退ける。開けた先には矢を三本携えた弓を構えるカズマと魔法の詠唱を終えて杖を突き出すゆんゆんが。

 

「視界良好!いくぜ、『狙撃』!!」

 

「『ライトニング』!!」

 

 即座に息を合わせたカズマとゆんゆんの攻撃がゴーレムへと迫る。

カズマが放った3本の矢は、彼の高い幸運値と、バレットバーンの命中率の向上により全てゴーレムに直撃し、ゆんゆんの中級魔法のライトニングも、ライデンジにより、上級魔法に匹敵する威力となってゴーレムに激突。

その威力の高さたるや、攻撃後の余波によって舞い散らす砂埃が物語っていた。

 

「ハァ、ハァ…ど、どうだ?」

 

 カズマが息を切らしながら、目を凝らしてゴーレムの様子を窺う。手応えはあった。矢は3本とも見た感じ装甲に弾かれることはなく、ゆんゆんの魔法もあってこれなら…と僅かに期待はしていた。

しかし、

 

「まさか…あれ程の攻撃をうけて形を保っているとは…」

 

 砂埃が晴れて視界に映る光景にミツルギが戦慄する。ゴーレムは立っていた。両腕を失い、装甲が粉々になりながらも、攻撃を受けた場所から一歩として動くことなく、仁王立ちしていたのだ。

 

『万物ハコレナル一物ノ改造トシテ生マレウク』

 

 さらにゴーレムは言葉を紡ぎ、錬金術の詠唱を行う。刹那、朽ちていた装甲が再錬成されて完全復活し、失われた両腕の部位には、ナイフ型義手が新たに生み出された。

 

『これは…ちょっと不味いかもね…』

 

 珍しくクロっちが額に汗をかく。普段余裕そうな態度を崩さない彼女がこの様子なのなら、他の者は言うまでもないだろう。強烈な一撃を叩き込んでも即座に再錬成する能力は大層厄介で、苦しい接戦が続く。

 

 そしてブラーボ対ドレッドも…

 

「ハァハァハァハァ…やるわね、黒の戦士」

 

「随分とバテてるようじゃねぇか、もう限界か?」

 

 形勢は逆転。年齢やブランクもあって持久力も全盛期と比較して低下しているブラーボは、膝をついて肩で息をしており、対するドレッドは余裕そうにブラーボを見下ろし、嘲りの様子を見せる。

 

「フン、まだアンタを相手する体力は残ってるわよ!」

 

「ハハハ…強がれるのも今のうちだ…」

 

 なんとか奮起して立ち上がり、攻撃を仕掛けるブラーボ。しかし、先程の勢いはなく、ドレッドに容易く躱されてしまう。

 

「おいおい、太刀筋が単調になってきているぜ、おっさん!」

 

「おっさん⁉︎アンタレディに対して最大限の侮辱を!お仕置きにフルーツジュースにしてやるわ!」

 

「やれるもんならやってみろや!!」

 

ドレッドはブラーボの攻撃を受け流した後、妙々たる剣捌きで無慈悲に斬りつけた。斬撃によるダメージは深く、ブラーボは吹き飛ばされて甲板に這いつくばってしまう。

 

「や、やっぱりあの黒い戦士は強すぎる…」

 

「暁のゴーレムにも勝てるわけがないよ…」

 

 デストロイヤーの門番と暗黒の破壊者の恐るべき強さを前に、冒険者達の士気は下がり始め、通常のゴーレムにさえ押され始めている。

さらに泣きっ面に蜂か、空に輝く無数の光。それが徐々に距離を詰めて、冒険者達及び、デストロイヤーに迫っていた。

 

「い、隕石だ!」

 

「デストロイヤーやゴーレムもあるのに…もうアクセルはおしまいだぁぁぁ」

 

 風を切って、耳をつんざくほどの凄まじい轟音を響かせながら、小隕石の群れは大気圏を超えてくる。

 

しかし何故だろうか、接近するにつれ、隕石の軌道が徐々に一点に集中しているように見えるのは…。

まるで意思をもっているかのようにやがて一箇所に集まって束となり、只一人の漆黒を目標に捉えていた。

 

『メ〜テ〜オ〜ン♪』

 

「何⁉︎グハッ⁉︎」

 

 隕石、否、コズミックケミーのゴキゲンメテオンは、見事にドレッドに激突し、落石の嵐を受けたドレッドは、デストロイヤーの甲板から地面へと強く叩き落とされる。

 

 そして流星と共にやってきた者が一人。隕石の落下によって火の粉を散らす大地より、ゆっくりとその身体をあげる群青の戦士。

 

 そう、アイツ(・・・)が帰ってきたのだ。

 

「錬太郎!」

 

「錬太郎さん!戻ってきたんですね!」

 

 ガッチャードの帰還に安堵するカズマやゆんゆんをはじめとする冒険者達。ガッチャードは左腕のホルダーを展開して複数枚のカードを取り出すと、カズマ達に投げ渡した。

 

「ケミー達が力を貸してくれるって…だから無茶言うけど、ゴーレムはお願いね」

 

 期待、そして不安も籠ったガッチャードの声色がカズマ達の鼓膜を揺らす。しかし、答えの決まっているカズマはフッと笑みを浮かべて返した。

 

「おうよ、お前こそドレッドに負けんなよ!」

 

 カズマからの堂々とした返答にガッチャードも満足した様子。そして再びドレッドと対峙する。

 

「あり得ない…お前は大気圏外に飛ばした筈だ…どうやって戻ってきた⁉︎」

 

 予測することのできなかった事態にわかりやすく動揺しているドレッド。対するガッチャードは淡々とした様子で一言告げ、ドレッドに沈黙を強制した。

 

「どうだっていいだろ?震えるなよ…戦いは続いている!」

 

 

 

 

 戦慄するドレッドを横目に、ガッチャードは新たに2枚のケミーカードをベルトに装填し、形態変化の態勢へと移った。

 

『ヨアケルベロス!』『ネミネムーン!』

 

『ガガガガッチャーーーンコ!ムーンケルベロス!』

 

神聖な光がガッチャードを包み込み、瞬く間に新たな姿が顕現する。

 

その姿は蒼白なる月を守護する、眠れる夜を知らない地獄の番犬

 

 仮面ライダーガッチャード ムーンケルベロス

 

「いくぞ、ドレッド!」

 

 ガッチャードは構えをとると、一瞬にしてドレッドへと迫る。さらに三つ首の番犬由来の力で3人へと分身し、四方八方からドレッドへと攻撃を仕掛ける。

 

「何⁉︎厄介な…」

 

 3人となったガッチャードの攻撃をなんとかしてドレッドは捌いていく。右から迫り来るガッチャードの蹴りは、右腕を盾にして受け止め、左側から繰り出されるガッチャードの右ストレートは、なんとか身体を逸らして、その間に生まれた隙をついて蹴り飛ばし、牽制した。

 

だが、これは全てガッチャードの作戦のうちである。

 

「本命はこっちだ!」

 

 先2人に気を取られて注意を怠っていた3人目が目前に迫る。3番目のガッチャードは低重心のまま、ドレッドに肉薄すると、勢いよく両拳を突き出した。ネミネムーンの限定的な重力操作によって数倍の重量となって繰り出されたパンチは、強固な装甲を持つドレッドをいとも簡単に吹き飛ばす。

 

「グッ…小癪な…」

 

「まだまだいくよ!」

 

 ガッチャードは間髪入れずにベルトを操作して必殺技に移る。3人の番犬達を中心に強大な力が集まっていき、やがて解き放たれる。

 

『ムーンケルベロス!フィーバー!』

 

「「「オラオラオラオラオラ!!!」」」

 

「馬鹿なっ…グァ…」

 

 3人のガッチャードは縦横無尽に駆け巡り、拳や蹴りによる連続攻撃を繰り出してドレッドにダメージを与えていく。怒涛の乱撃の嵐にドレッドは膝をついた。だが、ガッチャードは止まることを知らない。

 

「さぁ、クロっち!フィナーレだ!」

 

『了解、錬太郎!』

 

 ガッチャードの呼びかけにクロっちは応答し、ケミー達もいるので暁ゴーレムをカズマ達に任せてその身をカードに変化させると、ガッチャードの助太刀に向かった。

そしてガッチャードはクロっちが来るのを確認すると、エクスガッチャリバーを変形させてベルトへ装着し、クロスウィザードのカードを読み込ませる。

 

『クロスオン!』

 

『マスタージョブ!』

 

『ガッチャーーンコ!エーックス!』

 

 ベルトの操作を終えると、青天を貫く一筋の雷がガッチャードへと導かれ、最強の一角の力を授ける。

 

『クロスウィザード!スーパー!』

 

群青の装甲が紺碧のローブを纏い、究極の魔法師をその地に呼び出す。

そう、仮面ライダースーパーガッチャード クロスウィザードである。

 

「れ、レベルナンバー10の力を支配するだと…?あり得ない…認めないぞこんなこと!」

 

 動揺と激昂を入り混ぜた様子で何とか立ち上がったドレッドは、感情のままにレプリケミーカードを取り出して、ベルトを通じてその力を抽出する。

 

『ブリザンモス…ドレイン…』

 

『ブラッドレイン…』

 

 レプリブリザンモスの力を発揮し、ドレッドの掌から巨大な氷塊が出現する。狙いを定めるは、勿論ガッチャード。

 

「くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 ドレッドの荒々しい声とともに発射された氷の弾丸は、高速でガッチャードへと迫り来る。しかしガッチャードは大して焦る様子はなく、右手で払いのけてしまった。

 

「今度はこっちの番だ!」

 

 ガッチャードは魔法の力で重力を操作して空中へ自身を誘い、右手に杖を出現させると、『ライトニング』の独自強化型『ライトニングラッシュ』を発動させ、無数の雷をドレッド目掛けて連射する。

 

『ゴルドダッシュ…ドレイン…』

 

『ホークスター…ドレイン…』

 

 対するドレッドも、レプリゴルドダッシュの力で電光石火の如く駆け抜け、自身を避雷針のように見据えて迫り来る雷を躱していく。全ての雷を回避すると、レプリホークスターの飛翔能力で、ガッチャードへと肉薄する…が、

 

「そこだ!」

 

「何だと⁉︎」

 

 ガッチャードは見切った。自身に迫り来る破壊者を。光速で迫るドレッドを空いている左手だけで受け止めると、その強靭な腕力で勢いよく地面へと投げつける。そして…

 

「これで終わりだ、ドレッド!」

 

『クロスウィザード!シャイニングフィーバー!』

 

 ドレッド目掛けて螺旋状の炎攻撃の魔法、『インフェルノスパイラル』を放ち、地面に打ち付けられ、動くことのできないドレッドに見事命中させる。

 

「この…俺が…ヌアアアァァァァァァァァ!!!」

 

 その威力の高さたるや、ドレッドを中心にエネルギーの渦が出現、やがて一箇所に集まって大きな爆発を起こし、アクセルの大地を揺らした。

 

「雪山でのリベンジ、達成かな?」

 

 

 

 

「この小説の原作ってバトルものだったっけ?元々コメディファンタジーだったと思うんだけど…」

 

 スーパーガッチャードの戦いっぷりにカズマは呆気に取られながらまあまあのメタ発言を溢す。まぁ仕方ない、あんな凄まじい戦闘をその目に焼き付けるとなると誰だってそうなる。

 

「サトウカズマ、何を訳の分からないことを…僕たちもゴーレムを倒すんだ!」

 

 一人物思いに耽るカズマに発破をかけるミツルギ。カズマはそんな彼を少し煩わしく思いながらも、気持ちを切り替え、ゆんゆんと共に(きた)る好機に備える。3人の作戦で、ミツルギが暁のゴーレムを相手取って何とか隙を作り、そこにカズマとゆんゆんの合体技を叩き込むというものだ。

 

「とはいえ、魔剣とケミーの力がありながらも苦戦は必至か…」

 

 ミツルギは渇いた嗤いを漏らしながら、暁のゴーレムの双刀に対応する。ゴーレムの刃は限界まで研ぎ澄まされており、眼前に捉えるミツルギを絶対に屠らんとしている。仮にミツルギが一瞬でも気を抜いたら、それは死へと直結する。

 対するミツルギも、アッパレブシドー、スタッグバイン、エックスレックスの力で強化された魔剣グラムを振るい、ゴーレムの双刀と幾度と交わり、火花を散らす。

途方もないように見えたその打ち合い。競り勝ったのは…

 

「ハァ!」

 

『………⁉︎⁉︎⁉︎』

 

 魔剣の勇者だった。一瞬、グラムによって自身の両腕を弾かれ、僅かに後退したゴーレム。その隙をミツルギは見逃さなかった。魔剣、そして3体のケミーの力を最大限に引き出し、下から上へ、弧を描くようにゴーレムを斬り上げた。

 作戦の通り、ゴーレムは空中にその体を放たれてしまい、身動きが取れないでいる。慣れない上空で足掻こうとするゴーレムの様子は絶好の的。

 

「決めるぞゆんゆん!『狙撃』!」

 

「はい、カズマさん!『ライト・オブ・セイバー』!!」

 

 カズマの合図にゆんゆんも合わせ、強力な魔法と紅蓮の矢が同時に放たれる。カズマの矢にはインフェニックスとバレットバーンの力が、ゆんゆんの上級魔法にはライデンジ、そして最初期に友となった5体のプラントケミーの力が加わっており、その合体技はまるで天を貫く雷槍のよう。

疾風迅雷、瞬きも許さぬ間にゴーレムを穿ち、上空で炎が舞い上がった。

 

「よ、よし…なんとかなったぞ…」

 

 強敵の撃破にカズマ、ミツルギ、ゆんゆんはほっ、と息をつく。

時同じくして、他の冒険者達も全てのゴーレムを倒し、いよいよデストロイヤーの内部へと向かうこととなった。

 

 

 

 

「完全に成仏してるわね、未練なんてひと欠片もないわ」

 

 アクアから告げられた事実に皆目を丸くする。内部に突入した一同だったが、そこには白骨死体があり、恐らくデストロイヤーの開発責任者ではないかと推測された。そしてアクア曰く、その人物はアンデッドになることなく、既に天へ召されていたようだ。

 その事実に錬太郎は当惑しながらも辺りを見回す。すると一冊の手記が目に入った。

 

「これは…」

 

「恐らく開発者の日記ね、何か情報があるかもしれないから読んでみるわね!」

 

 アクアは日記を手に取ると、パラパラとページをめくって、記された内容を読み始めた。

 

『○月×日、この国のお偉いさんが無茶なことを言い出した。圧倒的低予算で機動兵器を製作しろとのこと。無理だと抗議しても聞く耳をもたない。その後もやりたくない一心で色々試してみたが、無駄だった。特に酷かったのは、馬鹿を演じてパンツ一丁で走り回った時だ。女研究者からそれも脱げよと言われた。この国色々終わってるかもしれない』

 

 日記の内容に、冒険者達は白骨となった開発者に同情と哀れみの視線を向ける。そう、彼もやりたくてやったわけではない、ある意味被害者だったのだから。

その後もアクアが読み進めていくと…

 

『○月☆日、やっべー、設計図の期限今日までじゃん。まだ白紙なんですけど⁉︎

でも報酬でもらった有り金全部酒に注ぎ込んじゃったし…

そんな時、俺の大っ嫌いな蜘蛛が現れ、俺は悲鳴を上げながらソイツを潰した。設計図の上で。このご時世、こんな上質な紙は大変高価だっていうのに、弁償なんか出来るはずも無い。こうなったらヤケクソだ、このまま提出してやる!』

 

 場の空気が変わる。先程の同情心に溢れたものから驚愕と困惑の入り混じったものへと。

そして別の日は…

 

『○月◇日、あの設計図、思いの外好評だった。それ蜘蛛を叩き潰した汁ですよなんて口が裂けても言えないけど。ってかどんどん計画進んでくんだけど。俺がやったことって蜘蛛潰しただけよ。ま、そんな俺が所長なんですけどね、ヒャッホー』

 

 冒険者達は段々と顔を顰めていく。

次に語られた内容では…

 

『○月△日、機動兵器どんどん出来上がってきてるんですけど。俺いる意味あったかな。もういいや、勝手にしてくれ。動力源がどうとか聞かれたけど知るか。俺無理って言ったじゃん。適当に超レアなコロナタイトと言っておいた。持ってこれるのなら持ってきてみやがれ!』

 

 日記から見てとれるいい加減っぷりに、最早皆声も出ない。それにこういう発言は流れ的に…

 

『○月□日、嘘でしょ⁉︎マジでコロナタイト持ってきたんですけど⁉︎で、動力炉に接続してる…もしこれで動かなかったら俺どうなんの?死刑⁉︎お願い、動いて、どうか動いてくださいお願いします、ホント冗談抜きで!』

 

 やはりフラグは回収していたようだ。まさか機動要塞誕生の裏話が予想以上にふざけたものだったとは…

 

『○月◎日、明日が起動実験の日と言われたが、俺何もしてないのよな。やったことって蜘蛛潰しただけだし。所長の椅子に偉そうにふんぞり返っていられるのも今日が最後か…そう考えるとなんだか無性に腹が立ってきたな…よし、飲もう!最後の晩餐だ!機動兵器には俺以外いない訳だしパーっといくぞ!』

 

 ついに居直ったようだ。ここまで来ると呆れを通り越してもはや感心してしまいそうである。

 しかし、次のページの内容が中々語られない。錬太郎がふとアクアの方へ視線を移すと、何処か躊躇っているように見える。しかし、冒険者達の視線が自身に集まってきて観念したのか、アクアは続きの内容を読み聞かせた。

 

『○月●日、なんか凄い揺れた。何これ?俺どれだけ飲んだっけ、覚えてないや。というより昨日の記憶が朧気だ。確かコロナタイトに向かって文句垂れてやったんだっけ。その後お前の根性叩き直してやるとか我ながら変なこと言って煙草の火を…あ』

 

 酷い。あまりにも阿呆すぎる開発者の愚行に何人かの冒険者達は額に青筋を浮かべている。アクアはビクビクしながら最後まで読み続けた。

 

『○月▽日、状況把握。終わった…。やっちまった…。機動兵器暴走中。どうしよう、絶対俺のことだと思われてるよ。もう絶対許されないだろうなぁ…畜生!お偉いさんも国王も、俺のパンツ脱がして嘲笑ったあの女研究者も皆クソッタレだ!こんな国滅んだほうがマシだ。幸運なことに酒と食糧には困ることはなさそうだ。よし、もう寝よう、寝て起きて考えよう』

 

『○月♠︎日、国滅んだ。やっべ、マジで滅んじゃったよ。皆避難したらしいけど俺国一つ消しちゃった。でも全く罪悪感ないわ、寧ろスカッとした!よし決めた。これからの余生はここで過ごそう。だって降りることもう出来ないもん。これ作った奴マジで馬鹿すぎんだろ。

…おっと、これ作ったの俺でした』

 

 読み終えたアクアは、後ろを振り向いて、皆の顔色を窺う。全容を把握した殆どの冒険者達は、力一杯拳を握りしめ、歯軋りする者もいた。

 そんな様子に、アクアは気まずそうにしながら口火を切った。

 

「えっと…これで、おしまい」

 

「「「「「舐めんなぁ!!!」」」」」

 

 冒険者達の憤怒の叫びがデストロイヤー内部に木霊した。当然だ。あんな内容聞かされたら、こうなってしまうのは仕方がない、道理である。

 

「あら、続きが…」

 

「まだあるのかよ⁉︎」

 

 日記の内容含めて、今日散々振り回されたカズマが疲れきった声でアクアの発言に耳を傾ける。アクアは残り数ページの続きを読み始めた。

 

『○月◆日、そうだ。この機動兵器を守護するゴーレム作ろう。モデルはそうだな…アルケミアって場所で知られてる伝説の暁の錬金術師にするか』

 

「へ?」

 

『それって…』

 

 日記の内容に錬太郎とクロっちは驚きの声を漏らす。アルケミアの暁の錬金術師、それはかつて破壊神を封印した古の錬金術師ソラの変身したガッチャードデイブレイクである。まさか、こんなところで繋がっていたとは思いもしなかった。

 

『資料読んでみたらワープするわ、時間操作するわ、太陽やブラックホール出すわでチートすぎんだろ!

なんなの、暁の錬金術師⁉︎俺と同じ転生者⁉︎だとしたら転生特典多すぎんだろ!

やーめた。完全再現無理だから、部位破壊されたら錬金術で再生させることにしとこ。俺にはこれが限界だ。

あとアルケミア訪れた時にこっそり武器の資料取ってきたけど、今更作ろうとも思わんし、付箋代わりに使っとくか…』

 

 アクアは日記の最後に挟まれていた2枚の資料を取り出して錬太郎へと手渡す。そこに記されていたのは、太い矢印の形を模した銃型の武器、そして上下に引き伸ばした矢印に似せた弓型の武器の設計図だった。

 

「これが…失われたアルケミアの技術…」

 

 錬太郎は設計図の武器達に既視感を覚えながらも、いずれ必要になるのではと考え、保管しておくことにした。

 

 一方、殆どの冒険者達は開発者マジでふざけんなという気持ちと、暁の錬金術師って何者?マジヤベェという気持ちが混在していたのだった。

 

 

 

 

「これがコロナタイトか…っていうか、こんなのどうやって取り出せばいいんだよ…」

 

 日記を読み終えると、コロナタイトの爆発を食い止めるため、カズマ、アクア、錬太郎、ウィズの4人が代表してデストロイヤーの中枢部へと移動していた。

 コロナタイトは無事発見されたのだが、持ち出されるのを防ぐためか、格子によって囲われている。

 

「アクア、お前の女神の力とやらで封印とか出来ないのか?」

 

「女神の力で封印って…それってゲームとかの話でしょ?こういうのはウィズはどう?リッチーなんだし、なんかあるでしょ?」

 

 こんな状況を前にたらい回しにされるコロナタイトの処理。というかアクアは神様特有の封印をゲーム由来と考えているのだろうか。

 

「えっと、あるにはあるのですが…カズマさん、その吸わせて貰ってもいいでしょうか…」

 

「どこかはわからないけど喜んで!!」

 

 ウィズはカズマの顔に手を触れると、まるでキスをするかのようにカズマに迫る。初心な錬太郎は顔を真っ赤にしてしまい、咄嗟に大声を出す。

 

「ウィ、ウィズさん!こんな時に何しようとしているんですか!今アクセルの街の一大事なんですよ!」

 

「ほ、ほぇぇぇ⁉︎」

 

「おい錬太郎!折角いい雰囲気だったってのに…邪魔しやがって!」

 

 突然の錬太郎の声に驚き、ウィズは体を震わせた。そして千載一遇のキスのチャンスが奪われたと思ったカズマは悔しさを滲ませた怒声で錬太郎に抗議するといったカオスな状況が生まれる。

 

「あ、誤解させてすみません…その、ドレインタッチで魔力を貰ってテレポートで遠くに飛ばしてしまうかと…ですが、私のテレポート登録先は人が集まっているところばかりなんですよ…なので、ランダムテレポートで…」

 

「ランダムってことは…」

 

「はい、運が悪ければ人のいる場所に…」

 

 ウィズの提案であるランダムテレポート。運が悪ければ人の密集した場所にコロナタイトを転送してしまいかねない。この中に幸運値の高いカズマがいるが、油断は禁物。密集地に転送してしまう確率が下がっていても絶対に転送されず、犠牲が出ないとは言い切れない。

 錬太郎は思考を巡らせる。どうにかコロナタイトを安全に処理する方法はないのか、それこそ、その場で絶対零度の冷気で凍りつくしてしまう手段は…いや、あるではないか。ガッチャードの中にその手段を可能にする形態が。

 

「皆、下がって。コロナタイトは僕が始末する。」

 

「どうするんだよ錬太郎…」

 

 錬太郎の思惑を読み取れず、不安そうにするカズマ達。錬太郎は2枚のカードを取り出すと、ベルトに装填し、新たなガッチャードへと変身する。

 

『ブリザンモス!』『ケアリー!』

 

「変身!」

 

『ガッチャーーンコ!フェアリーマンモス!』

 

氷河とともに蒼き炎を纏って雄々しく佇むその姿ーー

 

仮面ライダーガッチャード フェアリーマンモスの誕生である。

 

「いくぞ…」

 

 ガッチャードはベルトを操作して、両腕を前に突き出す。刹那、絶対零度の吹雪がコロナタイトへ向かって放たれた。

 

『フェアリーマンモス!フィーバー!』

 

 冷気は一瞬にしてコロナタイトを凍らせ、圧縮させる。コロナタイトは機能を停止し、爆発の危険性は完全に消え失せた。

 

「ふぅ、それじゃあカズマ、窃盗(スティール)でコロナタイトを取り出してくれないかな?」

 

「お、おうわかった。『窃盗(スティール)』!!」

 

 カズマが盗賊スキルを発動させると、一瞬にして彼の右手に氷結したコロナタイトが収まる。そのコロナタイトは、錬太郎に渡され、空間錬成を利用して保管された。

 

 アクアとウィズは自分達いた意味あったかなぁと思いつつも、錬太郎やカズマと共に、デストロイヤーの中枢部を後にしたのだった。

 

 

 

 

「ああ〜っ、やっと終わったなぁ〜」

 

 デストロイヤーの中から外に出たカズマは新鮮な空気を吸い上げた後、伸びをしながらリラックスする。彼の疲れを表すかのように所々の関節の音が鈍く響いた。

 しかし、これで終わるわけではなかった。デストロイヤーの甲板に亀裂が入り、やがてピキピキと音を立てながら、全体にヒビが広がっていく。

 

『内部に溜まった熱が溢れ出そうとしているのか…このままじゃデストロイヤーが爆破してしまうよ!』

 

 クロっちから告げられた憶測に皆の顔が青ざめる。ワープテラ、そしてリッチーとはいえ、流石のウィズもこの大きさをテレポートすることは無理であるため正しく絶望的だ。

 

「もういっそのこと、デストロイヤーを吹き飛ばすしか…」

 

「ナイス錬太郎!その手があったな!よし、アクア。カンストしてるお前の魔力をウィズに分けてやれ!ウィズの爆裂魔法であのデカブツを破壊するんだ!」

 

 錬太郎の発案にカズマが具体的な方法を導き出し、アクアの方を向いて魔力の提供を促す。しかしアクアはどこか難しそうな顔で話し始める。

 

「でも私の魔力じゃ、ウィズが浄化されちゃうわよ?」

 

「ならめぐみん、いけるか?」

 

 カズマは最後の賭けでめぐみんを頼みの綱にする。めぐみんの答えは…

 

「いいでしょう、我が爆裂魔法でいっちょ片付けてやりますよ!」

 

 めぐみんもやる気のようだ。カズマはドレインタッチでアクアから魔力を吸収するとめぐみんへ受け渡していく。

 

「おお〜っ!いいですよカズマ!これほどの魔力なら過去最高の爆裂魔法が放てそうです!」

 

「ねぇめぐみん、ちょっと吸いすぎてない?余分にあげ過ぎてる気がするんですけど…」

 

 やがてカズマからの供給が終わると、いつも以上に気合いを入れて魔法の詠唱を行うめぐみん。フレイローズも力を貸してくれているため、彼女の言う過去最高の爆裂魔法は嘘ではないかもしれない。

 詠唱を終え、強大な魔力の渦が顕現する中、紅魔族特有の紅い瞳を輝かせためぐみんの高らかな声とともに、その一撃は放たれた。

 

「『エクスプロージョン』!!!」

 

 爆裂魔法は機動要塞を完全に消し去り、駆け出しの街を恐怖に陥れた災厄との激戦は、冒険者達の勝利で幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 デストロイヤーを殲滅したその日の夜、アクセルのギルドでは祝宴が開かれていた。皆酒で顔を紅くしながら語り合い、笑い合っている。そして相変わらずというべきか、アクアの芸は人々を魅了し、大絶賛の嵐だった。

 ウィズも参加していたが、金欠ということで錬太郎が奢ることにした。ちなみに錬太郎がウィズから何度も断られるも、強引に押し通したのはまた別の話。というのも、ここ数ヶ月固形物を食べてないと聞いて放っておけなかったからである。

そしてそのお礼としてウィズから、魔道具店にて捕獲したケミーの『テレヴィ』と『ミテミラー』のカードが渡されたのだった。

 

 カズマがミツルギやキース達と他愛もない話で盛り上がっているのを見て錬太郎も混ぜて貰おうかと考えたが、ふと1人だけ端の方にいるゆんゆんに目が行った。ぼっち気質で馴染めないのもあると思われるが、どうやら悩みがあるように見える。

気にかけた錬太郎は、ゆんゆんの元へ寄って声をかけた。

 

「どうしたの?浮かない顔して…」

 

「あ、錬太郎さん…実はその…私、今回役に立てたのかなって…」

 

 錬太郎はゆんゆんの悩みと思われる発言に首を傾げる。役に立ったも何も、彼女はデストロイヤーを守護するゴーレム軍団を前に先陣で戦っていたのだ。役に立ったのは当然である。だからこそより一層その悩みの種を疑問に感じる。

 

「どうしてそう思うの?」

 

「私はゴーレム退治も、カズマさんや錬太郎さんの士気向上のもとやっていましたし、何よりデストロイヤーを破壊しためぐみんみたいなことは出来ませんでしたし…」

 

 成程、どうやらライバルとして見ているめぐみんと比べてしまったことが悩みの根幹のようだ。ゆんゆんにとってめぐみんは越えるべき壁。その壁の高さを今回のクエストで改めて思い知ってしまったのだろう。

 錬太郎はゆんゆんの向かい側の椅子に座って右腕を伸ばし、落ち込む彼女の頭にそっと右手を置いて、労わるように撫で始めた。

 

「ふぇ⁉︎れ、れんたろしゃん⁉︎」

 

「確かにめぐみんの爆裂魔法は凄かった。

でも、それはめぐみんじゃなきゃ出来ないことだったんだよ。

それにゆんゆんはゆんゆんが出来ることを精一杯やれてたと思うよ。

だからさ、めぐみんと比べて焦る必要はないよ。

君だって十分凄いんだから…君らしく、君のペースで進んでいけばいいんだよ」

 

 不器用なところが所々露呈している錬太郎の慰め方。それでもゆんゆんにはありがたい言葉だった。自分の頑張りをしっかり見てくれている、それだけで嬉しくて仕方がないのだ。

 

「錬太郎さん、ありがとうございます…」

 

頬を紅く染めながらも、ゆんゆんは目を細めて、笑顔で錬太郎に感謝の気持ちを述べた。そんなゆんゆんに錬太郎も笑みを浮かべる。

 

 その後、錬太郎とゆんゆんも祝宴の輪に入り、冒険者達全員で会食を楽しんだ。夜のアクセルの街に、勝利の喜びを謳う若者達の声が響き渡ったのだった。

 

 

 

 

「さて、今頃アルダープはマクスウェルの力で辻褄合わせを使っているだろうなぁ…私も奴を地獄に堕とすため、百瀬錬太郎達に塩を贈るとするか…」

 

 薄暗い研究室にて、机に足を置いたロードが不敵に笑う。それぞれの陰謀が渦巻き、新たな災厄の時は刻一刻と迫っていた。




お待たせしました
デストロイヤー、ドレッド撃滅!

「震えるなよ…戦いは続いている!」
↑ちなみにこの台詞はずっと言わせたかったやつです

戦闘シーン頑張りました…
暁ゴーレムはかつてソラが変身したガッチャードデイブレイクをモチーフに生み出され、さらに科学者はガッチャージガンとガッチャートルネードの設計図も持っていました。
コロナタイトは錬太郎が回収しましたが、どうするのか…

それはそうと、次回から裁判編ですね…
う〜ん、あの領主が勝てる未来が見えないや…
(真実を写すミテミラーや古今東西の情報を見せるテレヴィがカズマパーティーにいるので…)

それではまた次回

最後に報告です。非ログインユーザーの方々の感想を誤って一度非表示にしてしまったことをここにお詫びします。
仕様を知らなかったとはいえ、迷惑をかけて申し訳ございませんでした。

次回予告
「逮捕と尋問、カツ丼抜きで」
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