この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを!   作:山田プロキオン

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ガッチャード、反撃開始

お待たせしました…
色々諸事情が重なって遅くなりました…

頻度はまだ上がらないかもです


蒼炎のみちしるべ〜君がまってる〜

 ガッチャーイグナイターも完成し、後はゆんゆんとクロスウィザードことクロっちを救うだけとなった錬太郎一行。このままノリに乗ってとんとん拍子、という訳にもいかず…

 

「おいお前ら!何で朝っぱらからぐったりしてるんだ!」

 

 屋敷のリビングから我らがカズマさんの怒号が響く。カズマの怒りの原因のあるリビングでは見るに無惨な光景が広がっていた。

 

 なんとアクア、めぐみん、錬太郎の3人が脱力していた様子で地面やソファに寝そべっていたのだ。

 

「うう〜、覚悟してたとはいえ魔力吸われた反動が尋常じゃないわ…流石は超高等錬成術ね…」

 

「僕も…ここまでとは思ってもいなかったよ…」

 

「紅魔族随一の魔法の使い手を語る我ながら不覚です…」

 

 昨日のガッチャーイグナイターの錬成により、大量の魔力を消費することとなった一同。ドレインタッチで橋渡しする役だったカズマはそれ程影響はなかったが、錬成を行った錬太郎と、魔力提供者のアクア、めぐみんは全身が言うことを聞かない状態にまで疲弊し切っていた。

 ちなみにダクネスはというと、

 

『か、体が痺れて思うように動かない…だが無理矢理動かすとまた違った感じでピリピリときて…これがカズマの言う一石二鳥というものか!』

 

とのことらしく、今ではもう動けるくらいまでになっている。ドMという個性がここに来てこんな形で役に立つとは誰が予想できたであろうか。

 

『ピピピピッ!ピピピピッ!』

 

「ケミーライザーが反応した!マルガムが現れたのか⁉︎」

 

「よし、行くぞカズマ!錬太郎達は回復次第駆けつけてくれ!」

 

 カズマとダクネスはケミーライザーの位置情報を元に、現場へと急行する。残された3人は…。

 

「ちょっと〜、何2人だけ先に行ってるのよ〜。私だってロードの奴ぶん殴りたいのに〜」

 

「ハァハァ…そうだ、ケアリー、ザ・サン!お願いしてもいいかな…」

 

『サーン!』

 

『ケアケア!』

 

 ザ・サンの魔力供給とケアリーの回復作用を宿した炎が錬太郎の身を優しく包み込む。刹那、錬太郎の顔色は良くなり、やがて1人で立つことにも支障を及ばす心配がない状態にまで回復を遂げた。

 

「よし、行ってくる!」

 

 いつもの黒いローブを見に纏い、左腕にガッチャードローホルダーを装着すると、錬太郎もカズマとダクネスの後を追った。

 

 一方で…

 

「「私達も回復させて(ください)よぉ〜!!」」

 

 屋敷の中に取り残されたアクアとめぐみんの叫びが虚しく響いたのだとか…。

 

 

 

 

「出てこいガッチャード!出てこいよ!でないとでないと、俺とウィザードマルガムがアクセルの街を燃やしちまうよぉ〜」

 

 アクセルのギルドより少し離れた場所にて再びソラトスの変貌したオーガマルガムと、ゆんゆんとクロスウィザードが融合したウィザードマルガムが出現し、破壊活動を行う。

 何人かの冒険者が対抗しようと魔法や剣術などで応戦するが、オーガマルガムの圧倒的な身体能力、並びにウィザードマルガムの高純度の魔力から生成される障壁になす術もなく防戦一方である。

 

「おいダクネス、いつまで持ちそうだ?」

 

「カズマ!これしゅごい!ゴリラセンセイの加護を受けてもタコ悪魔の攻撃が体にジンジンくりゅ!」

 

「ダメだこりゃ…俺もいつまで持つか…また首チョンパなんてゴメンだぞ…」

 

 ケミーの力を借りているのもあって前線で戦うカズマとダクネス。ダクネスがオーガマルガムとウィザードマルガムの攻撃を受け止め、その隙にカズマがバレットバーンにより強化された狙撃スキルで攻撃するが、今のところ戦局は硬直状態であり、決定打に欠ける。

 

「よし、到着した…、ありがとうワープテラ!」

 

『ワープ!』

 

 時同じくして、錬太郎も場に到着した。カズマは遅いぞとばかりに軽く笑い

 

「ヒーローは遅れてやって来るってか?」

 

「そうかもね…、僕も行くよ!」

 

 錬太郎はガッチャードライバーを腰に装着すると、2枚のカードをベルトへと装填した。

 

『ホッパー1!』『スチームライナー!』

 

「ハガネ兄さん、皆…力を貸してくれ!」

 

 そして新たに取り出したガッチャーイグナイターの起動スイッチ『イグナイタトチャッカー』を下方へスライドし、ベルトへ取り付ける。

 

『ガッチャーイグナイター!ターボオン!』

 

 軽快な待機音声が疾走感溢れるものへと変化し、錬太郎の闘気を漲らせる。錬太郎は続け様、胸に手を当てて握り拳を作り、覚悟を決めたようにマルガム達を見据えると、両手で矢印の先端を形作って前に突き出した。

 

「変身!」

 

『ガッチャーーンコ!ファイヤー!』

 

 猛々しい声共にベルトのレバーが操作され、錬太郎を中心に蒼く燃えたぎる炎が現れた。炎はやがてガッチャードとなった錬太郎を中心に集まっていき、ガッチャードに新たな装甲を授ける。

 

『スチームホッパー!アチー!』

 

「名付けて、ファイヤーガッチャード!最初から本気でいくよ?」

 

 

 

 ファイヤーガッチャードは低重心の姿勢をとり、背面の推進ブースター『ファイヤードッカーン』の出力を上げていく。そして…

 

「いっけぇーーー!!!」

 

 ファイヤードッカーンから強化錬成炎を噴出し、電光石火の如き猛スピードでオーガマルガムへと特攻を仕掛けた。

 

「な、何⁉︎」

 

 オーガマルガムもこのスピードは予想外であったようで、対応が遅れる。隙により生み出された絶好の好機にファイヤーガッチャードは打撃と蹴りの嵐を繰り出し、オーガマルガムを圧倒する。

 

「おらぁ!」

 

 ファイヤーガッチャードは勢いのまま、オーガマルガムに回し蹴りを炸裂させる。今までとは比べものにならない強撃にオーガマルガムは吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられた。

 

「よし、あとはゆんゆんとクロっちを…」

 

 ウィザードマルガムへと視線を移すファイヤーガッチャード。相変わらずウィザードマルガムは苦しそうにしながら冒険者に攻撃をしているが、魔法はどれも冒険者とは別の方向へと飛んでしまっており、戦意など微塵も感じられない。それはさながら助けを求めているかのようである。

 

「僕の命を賭けて、絶対に…助ける!!」

 

 ファイヤーガッチャードはベルトのレバーを操作し、必殺態勢へと移る。背面から無数の鎖である『ガッチャーアンカー』が出現し、ガッチャードの体を固定する。ファイヤードッカーンから噴出される炎の色が赤から紫、そして青白く変わっていき、やがて最大出力に達する。

 

『スチームホッパー!バーニングフィーバー!』

 

「ハァァァァァァァ!!!」

 

 その瞬間、鎖による拘束が解かれ、ファイヤーガッチャードはウィザードマルガムへ瞬時に迫り、その身を蹴り貫いた。ウィザードマルガムはクロっちとゆんゆんへ分離し、ガッチャードは2人の身を優しく受け止めた。

 

「錬太郎さん…信じてました…ありがとう…ございます…」

 

『参ったなぁ…流石錬太郎とカズマ達だ…』

 

 ファイヤーガッチャードの腕の中で、ゆんゆんとクロっちは涙を流しながら感謝を述べる。ファイヤーガッチャードも2人の無事に仮面の下で安堵するのだった。

 

 

 

 

「あり得ない…こんなこと、この俺が!貴様如きに!!」

 

 ガッチャードの攻撃で撃沈していたオーガマルガムが立ち上がり、怒りに任せて手のひらから光弾を放つ。狙いは勿論自身に傷をつけたガッチャードだ。

 

「⁉︎しまった」

 

 対するガッチャードは手負いのゆんゆんとクロっちを受け止めている身。簡単に動くことなど出来ず、光弾は目前まで迫っていた。

 

「させるか!」

 

『ケミーライズ!ナンバー10、ビートルクス!』

 

 しかしギリギリのところでカズマが駆けつけ、ビートルクスの力を使ってなんとか攻撃を防ぐことに成功した。

 

「全く、まだ戦い終わってねぇんだぞ?最後まで気を抜くな」

 

「…まさか、君に注意されるとはね…ゆんゆんとクロっちを頼む」

 

「ああ、行ってこい!錬太郎!」

 

 カズマはガッチャードの背中を押して鼓舞する。カズマの激励に応えるように、ゆんゆんとクロっちを預けると、ガッチャードはマルガムへ向かって駆け出していった。

 

「あっち…なんで推進機に触れたんだよ馬鹿か俺は…」

 

 肩を叩けばよかったかなぁとカズマさんは1人後悔するのであった。

 

 

 

「さぁ、決着をつけるぞ!」

 

「勝つのは、俺だ!」

 

 オーガマルガムは身体に蔓延る無数の触手を伸ばしてガッチャードに襲いかかる。並みの冒険者であろうと全て躱すのは至極困難であるのは確実。だが、

 

「舐めるなよ…皆で掴み取った新しい力を!」

 

 ファイヤーガッチャードには通用しない。人智を超えた超高速移動で触手の嵐を全て回避して、その間にマルガムとの距離を詰め、瞬時に肉薄する。

 

「ハァ、ヤァ、セイヤ!」

 

 右左交互に繰り出す打撃、次いで右回し蹴り。ファイヤーガッチャードの大攻勢にオーガマルガムは手も足も出ない。途中戦局不利と見て、撤退しようと試みるも、ファイヤーガッチャードのスピードの前では先回りされて逃げることさえ許されない。次第にダメージは蓄積されていき、オーガマルガムは立っていることがやっとの状態にまで追い詰められた。

 

「これで、終わらせる!」

 

 ガッチャードはベルトのレバーを操作し、ファイヤードッカーンから再び鎖を出現させて身体の軸を固定する。そしてファイヤードッカーンの出力を最大限に高め、一気にマルガムへと接近して蹴り貫く。

 

『スチームホッパー!バーニングフィーバー!』

 

 ガッチャードによってライダーキックが炸裂し、オーガマルガムの腹に大きな風穴を空ける。それはネガマスクソラトスの本当の敗北を意味していた。

 

「そんな…俺がこんな奴に…ちくしょおおおおお!!!」

 

 負け惜しみをしながらソラトスは爆散し、彼によって囚われていたダイオーニとマックラーケンは無事解放された。

 

『オニオーニ!』

 

『マックラ〜』

 

 両者は変身解除した錬太郎の取り出したブランクカードに収まると感謝を込めて元気な声を聞かせる。錬太郎も優しく微笑むと、自分を待つカズマ達の元へと急いだ。

 

 

 

 

「カズマ、ダクネス!」

 

「錬太郎、やったな!」

 

「見事だったぞ、お前の戦い!」

 

 皆の所に戻るとカズマを皮切りに、その場にいた多くの冒険者達が錬太郎の戦いを讃えた。何人かの冒険者達に頭をくしゃくしゃにされくすぐったく感じたが、錬太郎には今一番顔を見たい少女がいた。

 

「ゆんゆん…」

 

 自身に群がる人々の波をくぐり抜け、錬太郎はゆんゆんの姿を探す。

ぐるりと辺りを見回すと、すぐに見つかった。

 ぽつんと立つ一本の木の下幹に身体を預けたまま、ゆんゆんは静かな寝息を立てている。

 風に揺れる葉がつくるまだらの木陰に包まれて眠るその姿は、まるで時間から切り離されたように静かで、錬太郎の目に強く焼きついた。

 錬太郎はそっと歩み寄り、ためらいながらも彼女の前髪に指先を伸ばす。

 風で頬にかかっていたそれを、そっと払いのけた。規則正しい寝息が、すぐ近くで小さく聞こえる。

 その穏やかな呼吸に、錬太郎はようやく胸の奥の力を抜いた。

 

「ん…、れんたろ…さん?」

 

 頬に触れた感触に、口をモゴモゴと動かしながらゆっくりと瞼を上げるゆんゆん。彼女の紅い瞳に映った錬太郎は…

 

泣いていた。

 

 ヒカリの放物線を描きながら何筋もの涙が錬太郎の頬を伝う。溢れ出す感情のまま、錬太郎はゆんゆんを自分の腕の中に閉じ込めた。

 

「ひゃ⁉︎錬太郎しゃん⁉︎み、皆がいる前でこれは…」

 

「ごめん…少しだけこのままで…」

 

 先程よりもゆんゆんの体温が直に錬太郎に伝わる。錬金事変のあの日から今まで手を伸ばしても守ることのできなかった大切な人達。

 

ロードの策略の前に無力感しかなかった悪夢の日々。

 

 けれど今回は、守ることができた。大切な人が、今自分の腕の中で生きている。そのことがたまらなく嬉しくて仕方がない。

 

「やったよ…ハガネ兄さん、僕…やったよ…」

 

「錬太郎さん…」

 

 啜り泣き、嗚咽する今まで見たこともない錬太郎の姿にゆんゆんは多少困惑した。彼は、ここまで弱さを見せることがあるのかと。それと同時に、心の底から何かが湧き上がってくる。温かく、そして優しい何かが。そしてその何かに呼応するかのように高鳴る胸。

 

 ゆんゆんも自身の中で渦巻くものの正体などわからない。しかし、それが錬太郎に向けられているものだということは理解できた。そしてそのことに気づいた頃には、彼女の手は錬太郎の背中に回っていた。

 

「本当に、ありがとうございます…」

 

 

 

 

「見てるこっちが恥ずかしくなってくるんだが…」

 

「何だカズマ?錬太郎が羨ましいのか?」

 

「べ〜っつに?でも…今まで失い続けてばかりだったアイツが漸く守り抜いた命なんだから、その…なんかな」

 

「めぐみんの言うとおり締まらないなぁお前は」

 

「悪かったな!」

 

 錬太郎とゆんゆんの様子を見ていたカズマとダクネスだが、なんだかんだ言いながらも微笑ましくしていた。

 そして錬太郎とゆんゆんを見た後、カズマへ視線を移し、ほんのり顔を紅くしていたダクネスだったが、誰として気づく者はいなかった。

 

「ん…?」

 

「どうしました錬太郎さん?」

 

 ふと、自身の腹部に熱を感じる錬太郎。ゆんゆんの体温とは違う。段々と熱さが増していく不思議な感覚。そして。

 

「…………熱っっ、あっっついいい!!!」

 

「だ、大丈夫ですか⁉︎錬太郎さん⁉︎」

 

 ゆんゆんから離れて地面をゴロゴロと転がる錬太郎。やがてベルトを腰から引き剥がし、火傷した腹部を抑えて悶絶し始めた。

 

「あ…あ〜、もしかしてガッチャーイグナイターが長時間の使用でオーバーヒートしたのか?」

 

『ウィ〜…、じゃあ冷却しなきゃね…』

 

 察しのいいカズマの考察を受けて、体力が回復したクロっちがベルトを魔法で冷却させる。その間も錬太郎は火傷に苦しんでいたが、遂に意識を手放したのだった。

 

 

 

 

「う…う〜ん」

 

 段々と錬太郎の意識が浮上する。重い瞼をなんとか上げると、そこには見慣れた自室の天井があった。

 

「(そっか…あの後気絶しちゃって…)」

 

 錬太郎はことの顛末を思い出し、右手を後頭部に回して数回掻いた。その時、ドアがノックされ、ゆんゆんが入室してきた。

 

「錬太郎さん、意識が戻ったんですね。よかったです。アクアさんが体に鞭打ってヒールかけてくれたんですよ」

 

「そっか…アクアに御礼言わなきゃなぁ…」

 

「そうですね…」

 

 部屋に入ったゆんゆんは、錬太郎のベッドの隣にある椅子に腰掛け、優しい視線を向ける。

 

「錬太郎さん、少しお話よろしいでしょうか?」

 

「…うん」

 

 何となくわかっている。恐らくは自身の過去のことについてだろうと。

 

ロードの策略によって故郷を滅ぼされ、真実を捻じ曲げられて世間から腫れ物扱いされ、かつての仲間の姿をした敵と闘い続けた日々と、上げたらキリがない。

 

そんな過去をはぐらかし続けた自分を、ゆんゆんはどう思うのか。

カズマ達のように都合良く受け入れてくれるのだろうか。

 

そんな一抹の不安が錬太郎の胸中でざわめき始める。

 

「あなたが寝ている間にカズマさん達から聞きました。あなたが、ずっと辛い思いをして生きてきたことを…」

 

「…驚いた?笑えるよね、傷ついて欲しくないからって話すことから逃げて…その癖ケミー探しは都合良く手伝わせる形になっちゃって…」

 

「はい…」

 

「自分のことを話すと変に気負われそうで嫌だった…何より、誰も信じてくれなかった錬金事変のことを話して拒絶されるかもしれないのが…怖かったんだ…」

 

 吐き出すように言葉を紡ぐ錬太郎。我慢できなくなったのか、また涙腺が緩んでくる。

 

「そうだったんですね…辛かったですよね、苦しかったですよね…」

 

 ゆんゆんは錬太郎の手を両手でそっと包み込む。小さな手から溢れ出す日の光のような暖かさは、錬太郎の心に一層沁みた。

 

「私は錬太郎さんじゃないですし、あなたの気持ちが全てわかるなんて言えません。でも、これだけは伝えたいです!

 

あなたの背負ってきたものを、私も一緒に背負わせてください!」

 

 ゆんゆんからの言葉に錬太郎は目を見開く。あまりの衝撃に視線を一旦逸らそうとしたが、それはゆんゆんの紅く輝く瞳が許さなかった。

 

「どう…して?」

 

 恐る恐る錬太郎は尋ねた。

 

「ロードの策にはまって、心が沈みかけた私を、あなたは命を賭けて助け出してくれました。その時、心の底から嬉しかったんです。そしてあなたの過去を聞いて、今度は私の番だって思いました。

 

これからは、私が傍にいます!辛い時は寄り添います!

だから…もう1人で抱え込まないで…」

 

 最後の方、ゆんゆんは声も小さくなって涙を流していた。そして錬太郎の手を包んでいた両手は、今度は彼の頭に回された。

 

「今までいっぱい頑張りましたね…凄いですよ、えらいですよ。

でも今だけは、その重荷を降ろして、ありのままのあなたでいてください…」

 

 優しい手つきで錬太郎の頭を撫でるゆんゆん。その優しさが錬太郎の心の枷を壊していく。こんなにも誰かに慈愛を向けられたはいつぶりだろうか。錬太郎の中の抑えていたものが、決壊したダムのように溢れ出しやがてそれは大粒の涙に変わる。

 経験したことのない感情の激流に錬太郎が対応することなど出来る訳もなく、未だかつてないほど大きな声で号泣した。

 

「うわああああああああああ!!!」

 

 錬太郎はゆんゆんに身体を委ねながら、母に甘える子供のように泣きじゃくった。

 

「辛かった…苦しかった…皆錬金事変のこと、信じてくれないし…今日だって…ハガネ兄さんを…ああああ…」

 

「うん、うん…いいんですよ、あなたの悲しみを私も受け止めますから…」

 

 その日は錬太郎とゆんゆん、2人は抱き合って泣き続けた。

 

そしてそれを屋敷の外から眺める者が一体。

 

『ユーフォ…』

 

 オカルトケミーレベルナンバー10のUFO-Xは何か感じ取るように2人の様子を眺めた後、満天の星が輝く夜空へと消えていったのだった。




おまけ:錬太郎が号泣したときの5人の反応

カズマ「何だ何だ?」

アクア「錬太郎にまた何かあったの?」

ダクネス「様子を見に行った方がいいのだろうか?」

めぐみん「いえいえ、その必要はないと思いますよ」

クロっち「うんうん、ゆんゆんなら大丈夫さ…」




次回予告
『女神エリス様に胃薬を』
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