この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを!   作:山田プロキオン

42 / 89
ダンジョンの一件から行動を共にするダンと舞。旅の道中で舞と同じく転生者の赤石、鳳凰寺と出会い、彼らはパーティを結成する。

冒険に次ぐ冒険の日々の中で、ダンは舞を意識していくようになり、それはまた舞も同じだった。

錬金見聞録 第10章:「惹かれ合う心」にて一部抜粋


女神エリス様に胃薬を!

「ゆんゆん、魔法お願い!」

 

「はい!」

 

 ウィザードマルガム、パーティ内でのいざこざやガッチャーイグナイターの件から数日。今日も錬太郎はゆんゆんと共にケミー探し及びマルガム退治に勤しんでいた。

 自身の背負って来た業を、共に背負うと告げられてからゆんゆん相手には幾らか楽に接している錬太郎。それ故か、こうして2人で行動することも以前より増えて来ている。そして現在2人は、ネガマスクの手によってマルガムとなったオカルト属性レベルナンバー9、平行世界の行き来を可能とするケミーの『ナインテイル』と激突中だ。

 

「『ボトムレス・スワンプ』」

 

 ゆんゆんが中級魔法を発動し、キュウビマルガムの足下に巨大な沼が出現する。その沼にキュウビマルガムは見事にはまり、身動きを封じられた。

 

「錬太郎さん、今です!」

 

「ありがとう、ゆんゆん!」

 

 隙を作ってくれたゆんゆんに感謝を述べると、ガッチャードはガッチャーイグナイターを取り出してベルトへ装着した。

 

『ガッチャーイグナイター!ターボオン!』

 

『ガッチャーーンコ!ファイヤー!』

 

『スチームホッパー!アチー!』

 

 蒼炎を纏い、ガッチャードはファイヤーガッチャードへと進化を遂げた。そして再度ベルトを操作し、背中から無数のガッチャーアンカーを出現させて体を固定して必殺態勢に入る。

 

「これで決める!」

 

『スチームホッパー!バーニングフィーバー!』

 

 ガッチャードの背中の推進機、ファイヤードッカーンの出力が最大に到達すると同時にガッチャーアンカーによる固定が解除され、目で追うことも叶わない速さでキュウビマルガムを蹴り貫く。速さから爆増した威力のライダーキックに耐えることはできず、キュウビマルガムは爆散した。

 

「やった、やりましたね!」

 

「うん!さぁ、戻ってこい、ナインテイル!」

 

 ファイヤーガッチャードは左腕のホルダーからブランクカードを取り出し、キュウビマルガムのいた場所へと近づいていく。その時だった。

 

「え⁉︎な、なんだコレ⁉︎まさか、マルガムが倒される直前にナインテイルの能力を発動させたのか…ってうわぁぁぁぁぁ!!!」

 

 突如キュウビマルガムを撃破した所に巨大な黒渦のようなものが出現しており、接近してきたガッチャードを飲み込み、やがて消えてしまった。

 

「れ、錬太郎さぁぁぁぁぁん!!!!」

 

 その場に残されたゆんゆんの叫びが、ただ虚しく木霊すのだった。

 

 

 

 

「早く、早く皆に知らせないと!」

 

 息を切らしながら冒険者ギルドへと急ぐゆんゆん。今日はギルドでクエストを探すと言ったカズマ達と別行動をとっている為、一刻も早く合流し、錬太郎が行方不明となったことを伝えねばと魔法を使って疲弊している己の体に鞭を打って足を進める。そうこうしている間にギルドへと到着し、ゆんゆんは勢い良く扉を開けた。

 

「カズマさん!めぐみん!皆さん!錬太郎さんが…って…」

 

 ギルド内にいる自身のパーティメンバーをいち早く見つけたゆんゆんだったが、自身の目に映った光景に困惑し、思わず絶句してしまう。

 

「カズマごめんなさい、反省しましたからパンツ返してください!」

 

「うるせー!許可なく勝手に爆裂しやがって!俺やアクアとダクネスがどんなに迷惑したか、しばらくノーパンで反省してろロリっ子!」

 

「なぁカズマ、私は別に悪くなかったぞ!それより私のパンツも窃盗(スティール)で…」

 

「うう〜、カエルに呑み込まれて粘液塗れだし、爆裂魔法を喰らいそうになるしでもう散々よ〜」

 

 黒の女性用パンツを頭上に掲げるカズマに、涙目で懇願するめぐみん、頬を紅く染めたダクネスに、粘液塗れで泣きじゃくるアクア。

 なんともカオスかつ、ツッコミどころ盛り沢山の状況に、ゆんゆんは顔をひくつかせるのだった。

 

 

 

 

「…それで、今回久しぶりにジャイアントトードのクエストを受注して、めぐみんがカズマさんやアクアさんの制止も聞かずに爆裂魔法を使って、その反省を促すためにカズマさんが窃盗(スティール)でめぐみんのパンツを奪ったと…」

 

「「はいその通りです」」

 

 両腕を腰に当て、現状を確認するゆんゆんに、カズマとめぐみんは床に正座させられたまましょぼんとした様子でぼそぼそと答える。ハァ〜っと、ゆんゆんはため息を1つこぼすと、2人に諭すように話し始める。

 

「カズマさん、確かにめぐみんがでしゃばって皆さんを危険に晒したことは擁護出来ませんが、あなたもあなたで大衆の目の前でパンツを剥ぎ取るのもどうかと思いますよ?」

 

「返す言葉もございません…」

 

「こんなことが次からはないようにお互い反省してくださいね」

 

「わかったよ、悪かったなめぐみん」

 

「いえいえ、こちらこそ」

 

 ゆんゆんの仲介により、カズマとめぐみんは無事仲直りし、黒のパンツもめぐみんに返された。

 

「なぁ、アクア。ゆんゆんが前に比べて堂々としていないか?」

 

「ダクネスもそう思う?やっぱり錬太郎のお陰かしらね?まぁ、愛は人をなんたらって言うこともあるからかしらね〜」

 

「そのなんたらは明言しないのか…」

 

 一方でダクネスとアクアは、ゆんゆんの成長を感慨深く思いながらヒソヒソと小声で話をしていた。そして子の成長を喜ぶ親のような瞳でゆんゆんを遠くから眺めるのだった。

 

「はっ!そうでした!皆さん、錬太郎さんが行方不明になってしまって…」

 

「は⁉︎でも、今日はゆんゆんと一緒にいたんじゃないのか?」

 

「そ、それが…マルガムを倒した後に突然出てきた穴の中に錬太郎さんが吸い込まれてしまって…すみません私がいたのに!」

 

 謝罪の意を込めて勢い良く頭を下げるゆんゆん。そんなゆんゆんを前に多少オロオロしながら他のパーティメンバー達は慰めの言葉を送る。

 

「い、いやいや。コレばっかりは仕方ないだろ、突然のことだったならさ!」

 

「そうですよ!でも…レンタロウが戻ってくるのは…多彩な魔法を使えるクロっちもレンタロウと一緒にいるとはいえ、心配です」

 

「ああ、それなら大丈夫よ」

 

 パーティメンバーの中で唯一落ち着いた様子のアクアに皆が視線を寄せた。

 

「大丈夫って、どういうことだアクア?」

 

「多分だけどエリスがなんとかしてくれるわよ。この世界の人間が突然消えたら始末書、それもかなり手間のかかるやつが課されるし、面倒ごとを嫌うあの子なら何が何でも錬太郎を連れ戻してくれるわよ」

 

アクアは皆の注目をものともせず淡々とした様子で説明を始める。その説明を聞いて、カズマ達は幾分か安心したような顔になり、安堵のため息を溢した。

 

「そっか…なら心配しなくてもいいかもな。前に会ったけどエリス様はどっかの偽物とは違って本物の女神様だし」

 

「ちょっとカズマ!それって私のことよね⁉︎私先輩なのよ⁉︎あの子よりも女神歴長いアクア様なんですけど⁉︎」

 

「はいはいわかりましたよ、女神ですもんねアクアは…」

 

「アクア、前前から思ってはいたが、見栄をはりたいのはわかるが、流石に同名だからといって水の女神を名乗るのは…」

 

「めぐみんにダクネスまで〜!私は本当にアクシズ教の御神体なんだからぁ〜」

 

「み、皆さん落ち着いてくださ〜い!」

 

 カズマを皮切りにいつものコントが始まった。皆の冷めた態度にアクアは喚き散らかし、そんな騒がしい様子にあたふたするゆんゆんなのであった。

 

 

 

 3日後、未だ錬太郎は帰還せず、今日もカズマ達はギルドで暇を潰していた。

 

「錬太郎〜、早く戻ってこいよ〜」

 

「レンタロウがいなければ爆裂魔法で壊し甲斐のある的を錬成してもらえません…ここ最近は不完全燃焼続きです…」

 

「うう〜、エリスは何やってるのよ全く!」

 

「それより皆、あの…ゆんゆんはどうするんだ?」

 

 ダクネスが気まずそうに指差した先には血眼になって分厚い本を読み漁るゆんゆんがいた。いつにない熱心ぶりに長年を共にしているめぐみんでさえ、少々引いていた。

 

「あ、あの〜、ゆんゆん。何しているんだ?」

 

「錬太郎さんを見つけ出す為に悪魔に頼るのも1つの手かと思いまして…」

 

 ゆんゆんからの回答にカズマは言葉を失った。この前の一件で、ゆんゆんが錬太郎にクソデカ感情を持ってしまった、いやそれよりも前から抱いていたことは薄々勘付いてはいたが、まさかここまでだったとは。

 

「皆ただいま!」

 

 刹那、ギルドの入り口が勢い良く開扉され、ギルド中の冒険者達の注目が集まる。その中でもカズマパーティが真っ先に反応した。先程の声の主にはメンバー全員心当たりがある。3日の間帰還を待ち望んだあの男のものだ。

 

「「「「「錬太郎(レンタロウ)(さん)!!」」」」」

 

 仲間の帰還に歓喜し、一同はギルドの入り口へと集まる。そしてそこには、髪型をオールバックにして、高貴な服装に身を包んだ錬太郎がいた。

 

「れ、錬太郎。その格好は?」

 

「キュウビマルガムの不意打ちによって、あれから色々な世界を巡ってね。完璧で究極のアイドルや激突王を助けたり、めぐみんに声がそっくりなギルド受付嬢兼最強の冒険者とクエストしたり、宇宙の片隅の惑星チキューにあるシュゴッダムの王の側近になったり色々大変だったよ。

ちなみにコレはシュゴッダムの側近の服さ。

ついさっきナインテイルがこの世界のゲートを発見して戻ってきたんだけど、それまで見つけるのに苦労してさ…行った先々の世界でも困ってた人達がいたから放っておけなくて…ごめんね遅くなって」

 

「う、うん。何はともあれ無事なら良かったよ。でも!心配させた分はクエストできっちり返してもらうからな!覚悟しろよ!」

 

「爆裂魔法用の的もこれまで以上に破壊し甲斐のあるやつでお願いしますね!」

 

「じゃあ私は…高級シュワシュワで!」

 

 錬太郎が戻ってきて明るくなったカズマ一行。そしてギルドに戻って錬太郎の異世界での冒険話を皆興味津々に聞き入った

 

…と言うわけにはいかず。突如落雷がゴロゴロと鳴り響き、錬太郎達は人気のない平原へとテレポートさせられた。

 

「あ、あれ?ここどこだ?」

 

「さっきまでギルドにいたはずだが…」

 

 突然の出来事に戸惑う錬太郎達。その時。

 

「錬太郎さん!貴方なんてことしてくれたんですか!」

 

 上空から大きな声の愚痴が木霊し、皆の視線が空へ向けられる。そこには雲の上から顔を出す巨大なエリスの幻影がいた。

 

「あ、エリス様」

 

「な、何だと!あ、あれが私の信仰している宗教の御神体エリス様⁉︎本物なのかカズマ!」

 

「本当だよ、ダクネス。俺一回死んだ時に会ってるし…」

 

「ところでエリス、何でそんなに怒ってるのよ?」

 

「怒るに決まってるじゃないですか!錬太郎さん!貴方にです!」

 

「ええ⁉︎僕⁉︎」

 

 エリスの怒る理由が自分にあったとは思ってもおらず、錬太郎は自分を指差して心当たりがないように首を傾げる。

 

「ナインテイルの力で行った世界の先々で色々勝手なことしましたよね?どうして世界の元の物語を狂わせるんですか?」

 

「し、知りませんよそんなの。だって困ってる人がいたり、誰かの命に関わる危機もあったりしたんですから見て見ぬふりなんてできるわけないじゃないですか!」

 

「それは心配しなくていいんですよ!星○アイとか、馬○弾とか…ア○ナ・ク○ーバーとか。う〜ん、あとあれですよ王○戦隊キ○グオージャーとか…あっちはあっちでちゃんとした世界の筋書きというものがあるんですよ!それを狂わせたらその世界の担当の神様が苦しむんです!」

 

「うんうんエリス、本音は?」

 

「始末書に決まってるじゃないですかアクア先輩!錬太郎さんのやらかしのせいでもう1億枚に到達する勢いで…他の神様からも沢山説教されてばっかりで…うう…」

 

「ああ…これは流石の私でも同情するわ…」

 

 錬太郎の異世界旅行がとんでもない量の始末書となってエリスに降りかかった。その事実は信者関係で多少エリスを妬んでいるアクアとしても同情せざるを得なかった。

 

「だからもう異世界に飛ぶのはやめてください…本当に!本当にお願いします!」

 

「わ、わかりました…あ!でもエリス様、巡った世界の中で出会ったカズマ達の並行同位体の話をするのは…」

 

「それもダメです!」

 

 錬太郎の質問をボルテージマックスで食い気味に遮るエリス。しかしカズマ達は自分達の並行同位体について気になったようで。

 

「え?錬太郎、それ気になるんだが?教えてくれないか?」

 

「私も気になりますね…向こうの私は爆裂道を極めたのか…」

 

「えっとね〜、カズマは20歳でめぐみんは17歳くらいだったよ。2人ともこの世界と比べると幾分か落ち着いててね、「あの…」めぐみんが特にこっちとは違っててさ〜「ちょっと…」気怠げで無表情で…そうそう、紅魔族の存在が戦争の為に作られた改造人間ってことになってて…」

 

「ええ⁉︎そうなんですか⁉︎」

 

「そ、それでそれで!!」

 

 別世界の紅魔族の詳細にめぐみんとゆんゆんは驚嘆しながらも、瞳を紅くして続きを話すよう催促する。世界が違うと、名称は同じでも全く異なる自分達の種族のことはとても気になるようだ。

 

「生まれつき魔力は高いけど、魔力排出の融通が効かないらしくて…特殊なローブを着ていないと身体がオーバーヒートしてそのまま…「錬太郎さん!!」わぁぁぁ⁉︎」

 

「もう喋らないでください!始末書が倍になるんです!」

 

 堪忍袋の緒が切れ、否既に切れているがさらに裂けたエリスは烈火の如く怒号をあげる。そしてその怒りに呼応するかのように、雷鳴が轟いた。

 

「おお…珍しくマジギレモードじゃないエリス…あんたがアンデッド以外でそんな怒るとこ久々に見たわ…」

 

「ふむ、エリス様がここまでお怒りになるとは…錬太郎。ここは自分の非を認めて素直に悔い改めるのが良いと思うぞ」

 

「…そうだねダクネス。ごめんなさいエリス様」

 

 ダクネスに肩を叩かれて、錬太郎は深々とエリスに向かって頭を下げる。これからは気をつけてくださいねと忠告を残し、エリスは消えていった。因みに。

 

「よかった…これ以上始末書増えなくて…」

 

 自分用の空間に戻ったエリスは、これ以上の始末書の倍増を阻止できたことを安堵し、ガッツポーズを取ったのだった。そしてその様子を眺める銀髪碧眼の少年が1人。

 

「ガッチャード、色々はちゃめちゃな奴だね」

 

「本当ですよ湊翔さ〜ん。そっちの私と1日だけでいいから交代したいですよ〜」

 

「あはは…でもこっちのエリス様も色々大変だし、五十歩百歩だと思いますよ」

 

 エリスの愚痴に桐ヶ谷湊翔は苦笑しながら返す。そして流石に可哀想だと思ったのか、始末書を少し手伝ってあげることにした。

 

「ハァ…ん?アポロス先輩からですね。至急天界の神殿に来て?」

 

「何か嫌な予感がする…急ぎましょう!」

 

 湊翔は指を鳴らして真紅のバイク『ブーストストライカー』を顕現させ、後ろにエリスを乗せて現場へと急行する。

 現場に到着すると、湊翔とエリスは目の前の光景に息を呑んだ。

 

「こ、これは…」

 

「ひどい…」

 

 神殿はみるも無惨な形で崩壊しており、数多の神々が何者かと戦いを繰り広げている。神々を相手取っている存在は多勢に無勢とはいかず、逆に一騎当千とばかりに圧倒する。

 

そしてその存在を、湊翔は知っていた。

 

「どうしてお前がここにいる…

 

 

 

ゼイン!!」




ファイヤーガッチャード関連シリアス濃すぎたのでギャグに振りました。

いつぶりの錬金見聞録です…ごめんなさい。多分次回あたりで錬太郎生まれるかと…。

錬太郎が元の世界に戻る道中で巡った世界は以下の通りです。
・推しの子
・バトルスピリッツブレイヴ
・ギルます
・キングオージャー
・web版このすば

いつかスピンオフでどれかの世界のやつ書いてみましょうかね?

お久しぶりの湊翔さん登場。そして現れた仮面ライダーゼインは…

それではまた次回

巡った世界の物語で見たいのは?

  • 推しの子
  • バトルスピリッツブレイヴ
  • ギルます
  • キングオージャー
  • web版このすば
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。