この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを!   作:山田プロキオン

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カオスなバトル、遂に決着
ニチアサの無い日曜は辛いです…


この混沌とした戦場に終結を!

 地獄の公爵である大悪魔、バニルが敗北し、最早敗北は秒読みという状況に黄金の戦士「ドゥームズギーツ」が乱入してきたことにより、戦況は振り出しに戻った。

 新たな乱入者に混乱するカズマ達一同だったが、どういう訳か、不思議と敵のようには感じなかった。寧ろ、その神々しさと禍々しさを重ね合わせ、威厳溢れる様はどこか頼もしくさえ思えた。

 

「(なぁ、皆。聞いてくれ!)」

 

 刹那、皆の頭の中にドゥームズギーツの声が響く。創世の力を応用したテレパシーだ。突然脳内に語りかけられたことに驚く一同だが、ドゥームズギーツは時間が惜しいため話を続ける。

 

「(今君たちの脳内に俺の声を届けている。バニルがいなくなった今、俺が代わりに時間を稼ぐ。その間、カズマはゼイン…あの白い人工知能の戦士の隙を突いてバインドで拘束し、その後にめぐみんの爆裂魔法でトドメを刺してくれ!)」

 

「(あ、あの…私とクロっちさんとアクアさんは…)」

 

 ゆんゆんがドゥームズギーツの作戦に自身とクロっち、アクアの名前がない理由をおずおずと尋ねる。

 

「(ゆんゆんとクロスウィザードは一緒にガッチャードの手助けに向かってくれ。少し劣勢だ。それに…気になってるんだろ?顔に出てるぞ?)」

 

「(ふぇ⁉︎)」

 

 ドゥームズギーツの返答に、思わずゆんゆんの顔が熟れたトマトのように真っ赤に染まる。そんな彼女の表情にドゥームズギーツは、否、桐ヶ谷湊翔は仮面の下でふっと笑い、気にせず行けと最後に添えた。

 

「(ねぇねぇ〜、じゃあ私は?あの悪魔の作戦じゃ役割与えてもらえなかったけど、そりゃあおいしいところをもって「(アクアは何もせずに待機、ダクネスの看病以外は行動禁止で)」なぁんでよぉぉ〜〜〜!!)」

 

 ドゥームズギーツからも面倒事を起こしかねないと判断されたのか、動くなと釘を打たれるアクア。そして案の定不服とばかりに駄々を捏ね始める。

 一応アクアはドゥームズギーツと同じく神の立場の筈なのにどうしてここまで差が出てしまうのだろうか。

 

「(と、いう訳で。一度きりの勝負だ…よろしく頼む)」

 

「(いやあの…いきなり現れて説明されるのもなんだがどうして俺たちの名前を知ってるんだ?)」

 

「(それに私達のスキルの詳細も把握しているような口振りです…あなたは一体何者なのですか?)」

 

 ドゥームズギーツの様子を怪訝に感じるカズマとめぐみんは、疑念を抱いて問いかける。そんな2人に、ドゥームズギーツは淡々とした口調で返答した。

 

「(…皆のことは、昔からよく知っている。俺の名前は桐ヶ谷湊翔。

 

 

 

 

またの名を…仮面ライダーギーツ!!)」

 

 作戦及び自身のことを話し終えると、ドゥームズギーツバスターの刃を煌めかせ、ゼインへと特攻を仕掛ける。

 

「ハァ!」

 

「フン!」

 

 黄金の刀身と、純白の徒手空拳が激突し、大きな衝撃波と火花を散らす。暴走する善意を食い止めるため、一度きりの好機をかけた大一番の勝負の幕が切って落とされた。

 

 

 

 

「カズマカズマ!あの狐男の最後の台詞かっこよすぎませんでしたか⁉︎」

 

「おう…またの名をって…いつか俺も言ってみてぇ…」

 

 ドゥームズギーツの名乗りにめぐみんは紅魔族の琴線を、カズマは男の子のかっこいいと感じる部分を刺激されてしまったみたいだ。

 大一番の勝負だというのに、この2人は大丈夫なのだろうか。

 

 

 

 

 一方こちらはスーパーガッチャードとレスラーマルガム。レベルナンバー10の力と、ガッチャードライバーを用いない悪意による特殊な二重錬成の力がぶつかり合う。

 

『Xレックス!エクストラッシュ!』

 

「ハァ!ヤァ!」

 

 スーパーガッチャードは間合いを取ってエクスガッチャリバーを振るい、光刃をマルガムへと飛ばす。レベルナンバー10のXレックスの牙の如く鋭利な斬撃は喰らえばひとたまりもない。だが…。

 

「フン!効かぬわ!」

 

 マルガムの腹部に備わるラフレシアのような武装が斬撃を吸収した。ずっとこのイタチごっこの繰り返しだ。飛び道具による攻撃は、このようにして簡単に対処されてしまう。

 だったら肉弾戦、接近戦に持ち込んだ勝負はどうかとなるが。

 

「ぬるいぬるい、こちらからいくぞ!」

 

 疾風迅雷。目にも止まらぬ速さでスーパーガッチャードに肉薄するマルガム。そしてガッチャードの肉体を捕らえると、コブラツイストや卍固めといった締め技を連続して繰り出す。

 

「グハァ…」

 

 怒涛の連撃にガッチャードはスーパーガッチャードからスチームホッパーへと戻ってしまい、さらに技の余韻で思うように身体が動かさない。さらに追い討ちをかけるかの如く、マルガムがガッチャードに馬乗りになって何度も何度も拳を打ちつけてきた。

 

「どうした、我が宿敵よ!こんなものか!貴様に煮え湯を飲まされたあの日から!俺は己を鍛え続けた!それに引き換え貴様は現状に慢心していた「『ライトニング』ッッッ!!」ぬぉぉ⁉︎」

 

「今だ!オラァ!」

 

「何っ⁉︎しまった…」

 

 突然自身の背中に雷撃が直撃してマルガムは悲鳴をあげた。そしてその隙を見計らい、ガッチャードは蹴りを喰らわせてマルガムを押しのけることに成功した。

 

「危なかった…、ありがとうゆんゆん」

 

「いえ…錬太郎さん、無事でよかったです…」

 

 ガッチャードの五体満足の様子にゆんゆんは安堵のため息を溢す。しかしそれと同時にマルガムがその大柄な体躯を起こし、再び戦闘態勢に入った。

 

「不意打ちとは小癪な…、だが今のは油断しただけ…同じ手は食わんぞ…」

 

「ゆんゆん下がって。一気に片をつけるから…」

 

『ガッチャーイグナイター!!ターボオン!』

 

『ゴリラセンセイ!イグナイト!』

 

『バーニングネロ!イグナイト!』

 

『ガッチャーーンコ!ファイヤー!』

 

 強化ユニットのガッチャーイグナイターをベルトに装着し、ガッチャードは蒼炎を纏う。神聖なる炎が、電光石火の如き速さと攻撃力を授ける。

 

『バーニングゴリラ!アチー!』

 

 ガッチャード改めファイヤーガッチャードは、マルガムを見据えて背部の推進器であるファイヤードッカーンの出力を上げていく。しかし何故か下がっていろと言われたゆんゆんも隣にいた。

 

「ゆんゆん?何で…」

 

「錬太郎さんにだけ任せっきりにはさせません!私も、私だって!冒険者なんですから!あなたの覚悟を一緒に背負うって決めたんですから!」

 

『いいねゆんゆん。今の君なら、僕の力を安心して預けられる気がするよ』

 

 刹那、クロっちの身体が光の粒子となってゆんゆんへと向かっていく。そしてゆんゆんを包み込み、彼女の服がクロスウィザードのものへと変化し、強力なマナタイトを備えた杖がその手に収まった。

 

「わぁ…クロっちさんこれって…」

 

『ケミーは悪意に引き寄せられるけど、同時に善意にも引き寄せられる。前はマルガムになっちゃったけど、今の錬太郎を助けたいっていうゆんゆんの気持ちに僕も惹かれちゃってさ。こんな感じで一心同体になることだってできるんだよ!』

 

「2人とも…ゆんゆん、さっきはごめん。それじゃあ一気に、いや…一緒に行こう!」

 

「はい!」

 

 ガッチャードとゆんゆんは、共に地面を力強く蹴ってマルガムに迫り、攻撃を仕掛けていく。

 

「ハッ!オラァ!」

 

 ファイヤードッカーンから繰り出される驚異的な出力によるスピードと攻撃力で、レスラーマルガムと互角の戦闘を繰り広げる。

 

「『ファイア・ボール』!!『ブレード・オブ・ウインド』!!」

 

 そして後方からはゆんゆんが中級魔法を駆使してガッチャードを援護する。元々魔法の扱いに長ける紅魔族ということもあって、中級魔法であっても威力は申し分ないのだが、大魔導士であるクロスウィザードの力も上乗せされているため、上級魔法にも匹敵せんとする勢いだ。

 しかし…。

 

「どう足掻いても無駄だ!俺の腹の花はどんな攻撃であっても吸収する!」

 

 レスラーマルガムのラフレシアの花だ。宇宙ステーションごと吸い込んだ某宇宙大怪獣の如くゆんゆんの魔法攻撃も吸収し、尚且つその攻撃をエネルギーとして還元している。

 つまり戦闘が長引けば長引く程マルガムの方へ流れが進んでしまうのである。

 

「どうしたら…」

 

『(ねぇゆんゆん、僕の作戦がある。君の一番得意な上級魔法を奴の腹に打ち込むんだ!僕や君と仲のいいケミー達も力を貸すよ!相手にも吸収出来ない程の攻撃を…)』

 

「…わかりました!いきます!」

 

 クロっちから伝達された作戦を元に、ゆんゆんは杖を天高く構える。そしてゆんゆんを取り囲むようにプラントケミー達、そしてライデンジが集い、杖先に莫大なエネルギーが帯電されていく。

 バチバチと(たぎ)る稲妻と共に、ゆんゆんの上級魔法が放たれた。

 

「『ライト・オブ・セイバー』!!!!」

 

 杖から無数の光刃が放たれ、容赦なくマルガムを襲う。相変わらず余裕そうな態度を崩さなかった。のだが…。

 

「何をするかと思えば…な、何だ⁉︎吸収しきれない!」

 

 想定以上の攻撃力にマルガムは狼狽する。そしてその直後、腹部の花が大爆発を起こし、マルガムはダメージを負った。これでもう、攻撃を吸収する術はない。

 

「錬太郎さん、今です!」

 

「ありがとうゆんゆん!これで決める!」

 

 ファイヤーガッチャードはベルトを操作し、背部から出現したガッチャーアンカーで身体を固定し、マルガムを狙い定める。推進器であるファイヤードッカーンの出力も最高値に達し、ガッチャーアンカーによる拘束が解き放たれ、猛スピードと共に炎を纏わせた拳をマルガムへと叩き込んだ。

 

『バーニングゴリラ!バーニングフィーバー!』

 

 強力な一撃がマルガムを貫き、大爆発を起こす。爆心地には忍者おじさんが倒れており、悪意から解き放たれたレスラーGとバグレシアは、ガッチャードとゆんゆんの持つブランクカードへと封印された。

 

『レスラー!G!』

 

『バグレシ!』

 

 カードの中から2体は元気よく感謝を述べ、その様子にガッチャードとゆんゆんは笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 ガッチャードの激戦中、ドゥームズギーツとゼインの方でも途方もない技と技のぶつかり合いが続いていた。

 

『KUGA BOOSTER』

 

 ドゥームズギーツバスターにアークルレイズバックルが装填され、ドゥームズギーツの右手にアルティメットタイタンソードが出現する。対抗せんと、ゼインもカードを取り出してベルトで裁断し、その力を解放した。

 

『アギト シャイニングフォーム 執行!』

 

 ゼインの両手にも二対一体の剣であるシャイニングカリバーが出現し、ドゥームズギーツのアルティメットタイタンソードと何度も打ち合いを繰り返す。

 

「すげぇ…クウガの武器とアギトの武器を全く違う戦士が使ってるなんて…なんかディケイド見てるみたいだわ‥」

 

「カズマカズマ!ちゃんと見てますか?チャンスが来たらバインドしろと言われましたよね⁉︎」

 

「ちゃんと見てるわ!しっかり見すぎて目ん玉取れそうだわ!」

 

 元いた世界で仮面ライダーに胸をときめかせていたカズマは、ドゥームズギーツとゼインの戦闘を瞬き一つせずに凝視していた。

 ドゥームズギーツに頼まれた作戦もあるが、幼少期に家族で見に行ったヒーローショー、それを見ているかのような錯覚に浸っていた。

 尤も、こちらはヒーローショーとは違って命の危機に直面しかけない事態なのだが。

 

「ふむ、妙ですね…ラーニングした天界での戦闘データによるとあなたは創世の力を使って不測の事態でも応対する筈…それが下界に降りた途端鳴りを潜めています…さらに下界の冒険者に手を貸すよう求めるなど…」

 

「……何が言いたい?」

 

「…かなり消耗しているようですね?あの黒渦を通るのはかなりの体力を要しますからね…もう創世の力で大胆なことは出来ないのでしょう?」

 

 ゼインの指摘にドゥームズギーツは仮面の下で冷や汗を流す。図星だ。いくら創世の力を宿した神とはいえ、元は人間。碁盤が人工知能で、疲労という概念がないゼイン相手には絶望的に相性が悪い。

 

「バレたか…でも!お前を食い止めるだけのパワーは残っている!」

 

「どうだか…なら貴方が尽きるまで持ち堪えるまでです!その後は下界を粛清し、天界も裁きます!」

 

 先程よりも撃ち合いは激しさを増し、遂に光の如き速さに到達した。

 

「…もう見えねぇ…」

 

 人間であるカズマも肉眼で追うことに限界を感じ始め、目を細める。光速に達した中でもドゥームズギーツとゼインは両者の出方を予測し、手首を、時には身体を回転させて何度も何度も刃を交える。一瞬でも気を緩めると、それ即ち敗北を意味する。

 最早勝負の運がどちらに着くか分からず、冒険者達は固唾を飲んで見守る。

 しかし、事態は思わぬ方向へ傾いた。

 

「カズマさんカズマさん!あの白い奴って人工知能なんでしょ?」

 

「え…⁉︎お、おう。てか何で知ってるんだ?」

 

「テレパシーの会話内容は皆共有されてたわよ?ということは機械だから水に弱い訳でしょ⁉︎ここはアクア様が人肌脱ごうじゃない!」

 

「そんな漫画やアニメであるみたいな古典的な方法で上手くいくわけ…おいちょと待てお前まさか…」

 

 カズマが思わず青ざめる。この水の女神、変な所で勘付いてしまった。アクアのせいで何度も苦い思いをしたカズマなら分かる。幸運値の低い彼女の行動は空回りし、自身らに大きな損害を齎しかねないと。

 

「待てアクア!よせ!」

 

「いくわよ〜『セイクリッド・クリエイト・ウォーター』ァァァァ!!」

 

「だァァァァァァ!やめろ駄女神ぃぃぃぃ!!」

 

 カズマの制止も聞かず、精一杯の水を生成するアクア。その神聖な魔力から生み出された水は竜巻の如く渦を巻いて高速でドゥームズギーツとゼインへと迫る。

 

「な、何だこれは⁉︎これは私の予測にはなかったはず⁉︎」

 

「…ま、まさかアクアが?何で勝手に…クッ!」

 

 間一髪。ドゥームズギーツは瞬間移動を反射的に使って水の直撃を免れたが、ゼインは予想外の事態に対応出来ず、真正面から大量の水を浴びてしまった。

 

「クッ…なんのこ…れ…し…き…」

 

 水を浴びた途端、ゼインの動きがぎこちなくなる。ベルトに視線を移せばバチバチと電流が溢れ出し、今にもショートせんとする様子だ。

 

「ま、まさか本当に水で故障したのでしょうか…」

 

「そんなご都合展開あり得な…そういやこの小説の原作はギャグメインだったわ…」

 

「今だ!カズマ!」

 

「あ、そうだった!『バインド』!」

 

 ドゥームズギーツの声にハッとしたカズマは盗賊スキルのバインドを発動し、ゼインを拘束する。なんとかもがいて抜け出そうとするゼインだが、水を浴びすぎた弊害でまだ思うように身体を動かせない。

 

「「やれぇぇぇぇ、めぐみぃぃぃぃん!!!!」」

 

「最高のシチュエーション感謝します!悪魔も恐れる純白の戦士よ!我が爆裂魔法で永遠の眠りの旅を捧げましょう!」

 

 めぐみんが魔法の詠唱を開始すると同時に、辺りの空気が張り詰め、同時に巨大な魔法陣が展開され、そこにザ・サンやインフェニックスといったケミー達の力も注がれる。

 魔法陣の上でバチバチと漲る魔力の渦は、今にもゼインを屠らんとしている。そしてめぐみんの掛け声と共に、究極の爆裂はゼインを貫いた。

 

「『エクスプロージョン』!!!!」

 

 未だかつてない程の爆発が、その場の冒険者達全員の鼓膜を強く揺らし、アクセルの大地を震わせる程の衝撃波が発生し、砂埃を舞わせた。

 

 

 辺り一面の視界が澄み切ると、そこにはもうゼインの姿はなかった。誰1人として予想のつかなかった混戦は、冒険者達の完全勝利で幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

「お、終わった…あ〜〜、疲れたァァァ」

 

「同感ですぅぅぅぅ〜」

 

 カズマは戦闘、そして精神的な疲れから、めぐみんは魔力切れによってその場に身を預け、大の字になって転がる。今日の間に見通す悪魔、善意の使者、そして忍者おじさんと盛りだくさんだったので無理もない。

 倒れる2人に駆け寄ったアクアとセナは意外にも労いの言葉をかけてくれて、カズマも照れ臭そうに頬を緩めていた。

 

 そして変身解除した錬太郎はドゥームズギーツの元へ歩み寄り、感謝を述べていた。

 

「本当にありがとうございます。僕が皆の所にいない間に手伝ってくれて…」

 

「いや、今回は仕方ないさ。それに、ライダーは助け合いだからな!あの…よかったら君の名前を教えてくれないかな?」

 

「ぼ、僕のですか?僕は百瀬錬太郎。仮面ライダーガッチャードです!」

 

「百瀬…錬太郎…」

 

 錬太郎の返答にドゥームズギーツは驚いたように固まると、暫くしてそうかそうか、と何処か懐かしむように首を縦に振った。

 

「あの…どうかしましたか?」

 

「いや、ちょっとね。そうだ、手を前に出してくれないか?」

 

「あ、はい。こう…でしょうか?」

 

 錬太郎が手を出すと、ドゥームズギーツは反対の手を出して繋いだ。刹那、ドゥームズギーツの身体が青白く輝き、純白の姿へと変化した。

 

『DYNAMITE BOOST!!GEATS…Ⅸ!!』

 

「創世の力の扱いに関しては、こっちの方が都合がいいからな…」

 

 ドゥームズギーツからギーツⅨの姿に変わると、繋いだ手を通じてギーツから錬太郎へ何かが受け渡されていく。温かくて穏やかで、しかし今までよりも強い力を感じる不思議なものだ。

 受け渡しを完了したギーツⅨは錬太郎から手を離し、銀髪碧眼の少年、桐ヶ谷湊翔の姿へと戻ると、笑みを見せて告げた。

 

「この力が、きっと君を守ってくれる」

 

 そう言い残し、湊翔は創世の力で出現させたゲートの中へと消えていった。

 最後までよく分からない人物だったが、錬太郎はきっとまた会える、不思議とそう感じたのだった。

 

 

 

 

 キールダンジョンでの激戦から数日後、アクセルのギルドに呼び出された錬太郎達は、セナから感謝状を贈与され、さらに賞金も大量に手に入れ、ギルドではカズマコールが起こる程賑やかになった。

 

 その後、バニルの友人とされるウィズに今回の一件を伝えるべく、錬太郎、ダクネス、カズマの3人で魔道具店へ赴いたのだが。

 

「いらっしゃい!」

 

 そこには何ごともなかったかのように魔道具店を切り盛りするバニルの姿が。状況を掴めず3人が呆然としているとウィズがニコニコとしながら穏やかな口調で説明してくれた。

 

「バニルさんは悪魔ですので残機製なんですよ〜、ほら、頭の上にⅡってあるでしょう?」

 

「ふざけてんのか」

 

 確かにⅡと仮面の額に値する部分に記されている。流石悪魔。人間の常識など遥かに超える存在だ。

 

「今のバニルさんは魔王軍幹部ではないので問題ありません。前々から魔王軍を辞めたがっていましたし、現にこうして私のお店のお手伝いをしてくれているんです」

 

「と、いうわけである。早速だが鬼畜小僧と錬金小僧。汝らに見通す悪魔として助言を授けよう。この先、汝らには果てしない額の金が必要となる事態が訪れるやもしれぬと見た。

そこでだ、我輩の商売に協力しないか?錬金小僧の母と鬼畜小僧の故郷の品々はこの世界でも通用するものが多数ある。

鬼畜小僧は鍛治スキル、錬金小僧は錬金術を用いて試作品を用意してくれ。量産や販売は我輩が何とかしよう、どうだ?」

 

「悪くないな、乗った!」

 

「いいですけど、やもしれぬって。なんか不鮮明ですね…」

 

 錬太郎に痛いところを突かれたのか、バニルは頬をポリポリと掻いていつになく真剣に話し始める。

 

「なんと言えば良いか…錬金小僧、貴様の未来はよく見えぬのだ。絶望を打ち砕くやもしれぬが、逃れることのできぬ破滅に身を委ねることになる、或いはその両方。こんな事例は我輩も初めてでな、このように曖昧になってしまうのだよ」

 

「そうなんですか…」

 

「だが、打てる手は全て打つが吉。鬼畜小僧が鍛治スキルを習得した暁には新しい武器でも作ってもらえ。目星はついてあるであろう、貴様の故郷のものが…」

 

 バニルの言葉に錬太郎は思い出す。デストロイヤーの開発者の日記の中から見つけ出した武器の設計図を。

 

「…わかりました。出来る限りのことはやってみます。ありがとうございます、バニルさん」

 

「そんじゃ、また来るぜ!ダクネス、帰るぞ〜」

 

「わかった。それではウィズ、達者でな」

 

 扉を開けて錬太郎達は魔道具店を後にする。その時だった。バニルの脳内に、とある光景が焼き付いたのは。

 

 血を流す右目を抑えて悲鳴を上げる錬太郎、無数の頭を持つ蛇のような怪物によって石に沈む王都、数えるのを諦める程の墓を前にして涙を流す隻眼の錬太郎、その後ろに立つカズマとめぐみん。

 そして、荒廃した大地で一人戦い続ける緑のローブとトンガリ帽子を身に纏った黒髪ロングのめぐみん似の少女の姿。

 

「世代を超えて続く運命(さだめ)か…」

 

「バニルさん?」

 

 顎に手を当て考え込むバニルを、ウィズは珍しいものを見るかのように首を傾げて覗き込むのだった。




バニル編、とみせかけたカオス編完結。
湊翔の自身を語る台詞は、千と千尋のハクとドラゴンボールブロリーの悟空の台詞をオマージュしております。
各々を活躍させるために考えた戦闘シーン色々難しかったですね。
カズマのバインド辺りはすぐに思いついたんですけどアクアが悩みに悩んで、結果神聖な水大量放射でゼインを故障させるになりました笑

ゆんゆんとクロっちの善意での融合は個人的にはケミーと人の絆を表せる場面かなと思い採用しました。あとはロードによるマルガム化のトラウマを2人が乗り越えたという意味もあります。

次回は特別回。ゆんゆんの誕生日が物語の時系列的に丁度この時期かなと思いますので皆に盛大に祝ってもらいましょう

仮面大佐様、コラボありがとうございます、またコラボする際もどうぞよろしくお願いします。

最後に、このすば4期決定おめでとうございます。

巡った世界の物語で見たいのは?

  • 推しの子
  • バトルスピリッツブレイヴ
  • ギルます
  • キングオージャー
  • web版このすば
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