この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを! 作:山田プロキオン
ロードの過去、活動報告で記しましたやつについて触れます
あと今回のロードは少しベイクの酢賀さんを意識しております
↓こちらの方でより詳しく触れています
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=324488&uid=466601
別世界へ転移した錬太郎達。その世界にはガッチャードとは異なるシステムで変身する仮面ライダー達がおり、始めこそ別世界のライダー達から警戒されたものの、すぐに疑いは晴れ、現在はお互いの詳細について話し合っている。
「貴方が仮面ライダーギーツなんですね、この前はありがとうございます!
「お、おう…っていうか俺たち前に会ったかな?」
錬太郎と湊翔は早々に打ち解けたようだが、どこか会話が噛み合わず、湊翔は困惑した様子。それもそのはず。ゼインの一件で錬太郎が出会ったのは今よりも遥か未来の時間軸からやって来た湊翔なのだから。
「つまりお前達の世界に存在するケミーってやつがこの世界に持ち込まれて、今回の一件に関わってるかもしれないっつうことか?」
「お、理解早いな!流石は俺だな!っつうか、なんでそっちの俺はライダーの力を持ってるんだよ羨ましい!」
「フン!俺は厳正な審査を勝ち抜いたからな…」
「キーッ!久々に自分の顔にイラッときたんだけど⁉︎」
それぞれの世界のカズマが状況を把握したのも束の間、ライダーの力の有無で少し揉める。そしてそれはカズマだけではないようだ。
「ほう、こちらの私はカズマ同様ライダーの力を持っている訳ですか…フッ」
「おい、今鼻で笑いましたね?例え自分相手だろうと売られた喧嘩は買ってやろうじゃないか!」
「いえいえ、別世界の私を名乗る割にはライダーの力に甘んじているのではないですか?爆裂道に関しては私の方が上と思いまして優越感に浸っているだけですよ…」
意地の悪い笑みを浮かべて勝ち誇ったように振る舞うガッチャード世界のめぐみん。しかし、白狐世界のめぐみんも紅魔族。平常を装い、すぐに反論を始めた。
「そういう貴方こそ、ケミーの力を受けて爆裂魔法を強化しているのでしょう?自分の手で極めぬ爆裂道など爆裂道にあらず!その点私は新たに得た力を自分の意思で、自分なりの工夫を用いて爆裂魔法に転用している訳ですよ、他力本願な貴方と違ってね!」
「ムムッ!私のみならず、盟友であるザ・サンやインフェニックスを愚弄するつもりですか…いいでしょうどちらの爆裂道が正しいか、雌雄を決してやろうではありませんか!」
売り言葉に買い言葉。住む世界は違えど似たもの同士故、短気な2人の爆裂娘は今にも乱闘せんとばかりに一触即発の様子だ。
「ちょっとめぐみん⁉︎喧嘩はダメよ!」
様子を見かねたゆんゆんが仲裁の意を込めて割って入り、注意を促したのだが、2人のめぐみんは止まる様子など微塵もないようで…。
「五月蝿いですねぼっち!」
「別世界でも世話焼きな性分は相変わらずですね、いつもみたいにぼっちらしく1人ドミノや1人トランプタワーでもやっておいてくださいよ!」
「ひどい⁉︎ていうかそっちのめぐみんどういうことよ⁉︎私そんなにぼっち拗らせてないわよ、錬太郎さんっていう大切な友達だっているんだから!」
「ゆんゆんに友達…⁉︎紅魔族のセンスが理解できず、魔法学園では1人浮いてて友と呼べる人が1人としておらず、最終的に悪魔を呼び出して友達になってもらおうとしたゆんゆんに、友達…?」
白狐世界のめぐみんが驚きのあまり目を見開き、息継ぎする間も無くマシンガントークで是非を尋ねる。
「そ、それは昔の話じゃない⁉︎ていうか、ふにふらさんとどどんこさんがいるわよ!あと錬太郎さんが友達なのはホントにホントなんだから!」
どの世界でも自分に辛辣なめぐみんにゆんゆんは涙目になって抗議した。しかし人付き合いに関してのゆんゆんに対する信頼は地に落ちいているようで、白狐のめぐみんは錬太郎に視線を移し、鋭い眼光を飛ばす。
「と、本人は言っていますが実際はどうなのですか?まさかこの子のちょろい部分に漬け込んで騙している訳じゃありませんよね?」
怪しむような探るような煌めく紅い瞳は錬太郎を捉えて離さない。別世界とはいえ、それ程ゆんゆんのことを大切に思っているめぐみんのことを微笑ましく感じつつ、錬太郎はめぐみんの瞳を見返して返答した。
「本当だよ、ゆんゆんは大切な友達。いつも助けられてるし、感謝してもしきれない…それくらい大事な人なんだ」
「…聞いたところ、貴方の口振りに嘘偽りはなさそうですね。信じるとしますか…」
めぐみんフィルターを無事突破できたらしく、錬太郎は内心安堵する。そしてそれはめぐみんも同じようで、友でありライバルであるゆんゆんが悪企みするような輩に捕まることがないようで安心していた。
ここまでは良かった。そう、ここまでは。
「さっすが錬太郎。告白した男は違うなぁ…」
「はっ⁉︎告白?」
ガッチャ世界のカズマがポロリと漏らした言葉に白狐世界のめぐみんが真顔で食いつく。他の白狐世界の者達もそれは同様で、こちら側のめぐみんも面白そうと感じたのか、カズマに便乗してあの日の一件を仰々しく語り始めた。
「そうなんですよぉ〜、レンタロウったらゆんゆんに誕生日プレゼントでバームクーヘンやカップケーキをプレゼントしましてね、それだけでなく指輪も添えて…」
「わー!わー!めぐみん待って、誤解だって⁉︎」
「何がだ?長い年月を一緒に過ごしたいとかあなたは特別な人とか、告白以外の何になるんだよ?」
「カズマまでぇ⁉︎」
「あ〜、昨日のことのように思い出せるな〜」
「まだ1週間も経ってませんよカズマ、それにゆんゆんも満更でもなさそうで…」
「だからお菓子言葉知らなかったんだってぇぇぇぇ」
「めぐみんカズマさんもうやめてぇぇぇぇ」
2人の悪ノリに錬太郎とゆんゆんは羞恥で真っ赤に染めた顔を両手で包んで悶え始める。
それに対する白狐組の反応は…。
「マジなの?そんな感じの告白とかあるの?あの子ヘタレな誰かさんと違って度胸あるわね…聞いてるこっちのカズマさん?」
「張っ倒すぞ駄女神!そんな風情ある感じに出来るのなら俺はとっくに童貞卒業してるわ!」
「そうよね〜、万年童貞のカズマさんと比べるのは野暮だったわね〜。プ〜クスクス!」
「この野郎、言わせておけば…。あ〜あ、俺が連れて来たのがこんなのじゃなくてロマンスの神様だったらなぁ…」
「何よ私に色気がないとでも言いたいの?見なさいよこの麗しいプロポーションを!タレントやモデルでもこんなに抜群の女体は見たことないでしょ?」
「知ってるか?ウチのパーティに色気担当などぬぁい!勿論それは宴会芸の女神も例外ではぬぁい!」
「水!水の女神!私は水の女神よ!」
「お、おいアクアとカズマ落ち着け…それより湊翔が真っ赤になって動かなくなったぞ!」
「恋愛か…俺にはようわからんなぁ」
どの世界でも変わらずコントを繰り広げるカズマとアクアに、2人の仲裁に入りつつウブ故に卒倒してしまった湊翔のケアに応じるダクネス、戦闘に関してはパーティで随一のクレバーだが恋愛事には然程関心がないため首を傾げる白夜とカオスな状況となっている。その一方で…。
「(告白か…)」
「(別世界とはいえゆんゆんに先を越されてしまいましたね…なんか悔しいです…)」
トウカと白狐世界のめぐみんは錬太郎とゆんゆんへ向けていた視線をそれぞれ湊翔とカズマへ移し、心の奥底で少し羨ましく思ったのだった。
『皆さん、ジャマトについての新情報ですが…カズマさんとめぐみんさんが2人…?それとゆんゆんさんと湊翔さんと見慣れない方は顔から湯気を出していますがどうされたのですか?』
突如として上空にモニターのようなものが出現し、ジャマトの状況についてツムリがメッセージを伝えようとしたのだが、どうもカズマ達の混沌とした状況にしか意識が向かず、ツムリは困惑していた。
「異世界から手助けに来てくれた人達よツムリ。それよりジャマトの情報を…」
『…わかりましたトウカさん。今回のジャマト大量発生の原因は、突然変異したこの個体、トラウトハデスジャマトの仕業と見て間違いありません』
モニターの映像が切り替わり、ツムリの言うジャマトが映し出される。そのジャマト——トラウトハデスは、白骨化したシャケの容姿に、獅子の頭部を模した右腕と大砲のような武装が施された左腕、ジェット機を模した背面の翼に大樹のような逞しい蔦が何重にも絡まっているように見える脚部と、明らかに今までのジャマトとは一線を画す存在なのは見て明らかである。
『
よくわからない掛け声を上げながら、トラウトハデスジャマトは上空を見上げる。刹那、その口から光が漏れ出し瞬く間に卵のようなものを吐き出し、それが割れるや否や、大量のジャマトが出現した。
『このように、ジャマトを無尽蔵に生み出すという恐ろしい力を持っています。今現在、その影響でアクセルの街以外にも各地でジャマトが出現しており、中には次元を超えてジャマトの卵が流れ着いてしまった時空を1つ確認しました』
「それが俺たちの世界っつうことか…」
ツムリの説明を聞いて、ガッチャ世界のカズマは点と点が繋がったとばかりに指を鳴らした。
『このままでは、世界はジャマトで埋め尽くされてしまいます。最悪の事態を阻止するべく、スパイダーフォンに記載した3つのスポットにそれぞれ分担して向かう様お願いします。私は他の仮面ライダーの皆様にもアナウンスを届けるのでここで失礼します!』
通信が終わり、上空のモニターが消滅する。それと同時に錬太郎の左腕のガッチャードローホルダーからケミー姿のクロスウィザードが出現した。
『やっぱりバニルの言った通りだ…。あのジャマト、ケミーを取り込んでるね…しかも僕と同じレベルナンバー10を4体…かなり厄介かも…』
「クロっちもそう思う?やっぱりロードかな?画面越しでも凄まじい力を感じたけど…」
「でも!やるしかないですよ錬太郎さん!そのために私達はここに来たんですから!」
ゆんゆんがクロっちからの情報に弱気な部分を見せていた錬太郎を鼓舞する。そしてそれに同調してガッチャ世界のめぐみんも口角を上げ、
「ええやってやりましょう!そしてこの世界でも爆裂魔法使い最強の称号を手にするのです!勿論カズマも参加しますよね?」
「俺もやるのは決定事項なのかよ⁉︎…ったくしょおがねぇなぁ、帰ったら数日はゆっくりさせてくれよ」
めぐみんに促させるまま、渋々とした感じでカズマも戦闘の参加に肯定してくれた。
「お前ら…わざわざ別世界からやって来て協力してくれるのか?」
錬太郎達の決意に湊翔は少々驚嘆しながら尋ねる。自分達の世界の問題に手を貸してくれるとはお人好しが過ぎるのではないか、そう思わずにはいられなかった。しかし湊翔の疑いとは裏腹に、錬太郎の心境に変わりはなかった。
「ええ!僕達の世界の問題でもありますし。何より、あなたには前に助けてもらった借りがありますから!一緒に頑張りましょう、湊翔様!」
決意の籠った様子で力強く右手を差し出す錬太郎。その覚悟を目の当たりにして湊翔も自然と顔を綻ばせ、差し出された錬太郎の右手を握り返した。
「貸しを作った覚えはないけど…わかった、一緒に行こう!」
「(良かった〜受け入れられて貰って…ここでお前達は手を出すなとか言われたら始末書増えたエリス様に会わせる顔がなかったよ…)」
因みに錬太郎は1人、誰も知る由もない件で勝手に安堵したのだとか。
その後一同は3組に分かれてツムリの示した3つのスポット、アクセルの街、王都、トラウトハデスの拠点へと赴いた。
アクセルの街ではトウカとアクア、クロっちとゆんゆんが駆けつけ、もう戦闘を開始しているウィズやバニルにダストの変身する仮面ライダーメリーとリーンの変身する仮面ライダーシロー、そしてこの世界のゆんゆんが変身する仮面ライダーギンペンに加勢した。
「アクア様、トウカさん!来てくれたんですね!」
「ほう、遅かったではないか。狸小僧に色気がないと言われたことを少し気にかけているエセ女神に白狐小僧との進んでいる様な停滞している様な関係にムズムズとしている戦闘少女よ…ほうほうこれはかなり濃厚な悪感情、美味であるぞ」
アクアとトウカの到着にウィズは歓喜し、バニルは相変わらずというべきか、おちょくるような態度でアクアとトウカの逆鱗を逆撫でし、2人の悪感情を堪能する。
「おぉ…見慣れない姉ちゃんが…しかもマント1枚羽織ってるだけの露出多め…」
『ウィ…やっぱり処刑人姿は目立っちゃうね、アハハ…』
「バカダスト!初対面の女の子に鼻の下伸ばしてんじゃないよ!ってアレ⁉︎ゆんゆんちゃんがもう1人?」
「私がもう1人…ももももしかしてドッペルゲンガー⁉︎」
一方でダスト処刑人ア○ナの姿のクロっちに見惚れて、そんなダストにリーンが注意を促し、ゆんゆんは別世界の自分を前にパニック状態と、世界の命運をかけた戦いに参戦しているとは思えないくらい賑やかだ。
『ゆんゆん、いける?』
「勿論ですクロっちさん…めぐみんや錬太郎さん、カズマさんにここを任されたんです。私も戦います!」
「気合い十分そうで何よりだ。それじゃあ私も行こうか!」
トウカは腰に漆黒で簡素なベルトの『デザイアドライバー』を装着し、懐から取り出したフィーバースロットレイズバックルを装填した。
『SET!FEVER!』
軽快な待機音が鳴り響く中、トウカはバックルの『ゴールデンレバー』を倒してスロットリールの『レイズジャックポット』をかき回す。今回止まった目は…。
『MONSTER!HIT!FEVER!MONSTER!』
MONSTERと記された橙色のマスに止まり、青と黄色に彩られたファンキーな鎧が武装され、仮面ライダーラウンズ モンスターフォームへと変身した。
「モンスターか…。ソードマスターの私との相性は微妙だが火力には申し分ないな!いくよ皆!」
ラウンズの掛け声と同時に各々駆け出して戦闘へと向かう。
そしてその頃王都ではバッファ ゾンビフォームに変身したダクネスと、ライコウ ライトニングフォームに変身した白夜が無数に群がるポーンジャマトと、空中を庭に暴れ回るフォートレスジャマトを迎え撃っていた。
「アイリス様やクレア殿達の手を煩わせる訳にはいかん!早急に片付けるぞ、白夜!」
「ああ!どいつもこいつも強そうだ、腕試しに暴れてやるぜ!」
王都の方でも激戦の火蓋が切って落とされる中、錬太郎の変身するガッチャードと湊翔の変身するギーツ、そして両世界のカズマとめぐみんはトラウトハデスの待ち構える場所へと急いでいた。
純粋な戦闘力面でライダー4人、ケミー分離のために錬太郎とガッチャ世界のめぐみん、後方支援にケミーの加護を受けたカズマという布陣となっている。
「そういえばこっちの湊翔様は金色じゃなくて白色なんですね…」
「金色?フィーバースロットのことか?っていうか金色の鎧を授けるレイズバックルってあったかな…?」
「こっちの俺が変身するのタヌキなのか…」
「私が猫とは…ちょむすけが猫だからそれが配当されたのでしょうか?」
そんな感じで駄弁っていた一同だったが、彼らの行手を阻む者が1人。
「おおーっ、君達…、トラウトハデスの所に向かうつもりかい?彼は私の生み出した貴重な実験体だ…もう少し暴れさせないと…」
「ロード…」
現れた男、ロードに対し、ガッチャードは仮面の下で眉間に皺を寄せて、嫌悪の情を滲ませた視線を送る。しかしロードも退く様子はなく、寧ろ嬉々とした様子で話し始めた。
「あっ、そうだ!百瀬錬太郎とカズマくんに見せたいものがあるんだ〜」
そう言ってロードは懐に両手を入れて純白のベルトとカードキーのようなものを取り出す。
「それは…」
ロードの取り出したものにガッチャードは驚愕する。ロードの手に収っているのはかつてドゥームズギーツとの共闘で葬った仮面ライダーゼインの変身機構である『ゼインドライバー』と『ゼインプラグライズキー』だったのだ。
「あの戦い見てたよ…凄かったなぁ…私でも使えるように調整してみたのだが丁度いい…テスト運用だ…」
ロードはゼインドライバーを腰に装着し、ゼインプラグライズキーの天面のボタンを押して、キーを展開させる。
『ゼイン!』
力強い起動音と共にロードの背後に沢山のビルの並ぶ街並みの映った青い光球と、アクセルの街に似た都市景観の映った赤い光球が出現する。その光景は美しいという言葉以外で現す他なく、錬太郎達も固唾を飲むほどだった。
「こんな感じなんだ…へぇ〜成程。…であとはアレだ、えっと…。
百瀬錬太郎が言ってるやつ…カズマくんに言わせたはずなんだけど、歳取るともの忘れが…あ!そうだ!」
ロードは思い出しかのように指を鳴らして気怠そうに声を溢し、プラグライズキーをベルトへと装填した。
「へ〜んしん…」
『ゼインライズ!』
キーが装填されると同時に2つの光球が融合してロードを包み込み、純白の装甲を纏わせていく。
『JUSTICE!JUDGEMENT!JAIL!ZEIN!』
『Salvation of humankind!』
笑顔を模った仮面と翻された外套を携えた姿はさながら救世主のよう。
仮面ライダーゼインが、復活した瞬間だった。
「さぁ、遊ぼうか…」
ロードの変身するゼイン相手に、ガッチャード、ギーツ、タイクーン、ナーゴの4ライダーは連携を駆使して攻撃を仕掛ける。
しかし腐ってもロードは熟練の冒険者。長い年月で獲得した戦闘センスとゼイン特有の予測演算で各々の攻撃をいとも簡単に受け止め、反撃に転じるため攻守ともに隙がない。
「さて、テスト開始だ…」
ゼインは1枚のゼインカードを取り出してゼインドライバーへ装填した。
「気をつけろ、アイツは他のライダー達の力も使ってくる!」
「何…だと…」
「そんなのアリかよ⁉︎ディケイドかよ⁉︎」
ガッチャ世界からのカズマの情報にギーツとタイクーンは驚きの声を漏らす。そうこうしているうちに、ゼインは装填されたゼインカードを細やかに裁断する。
『キバ エンペラーフォーム 執行!』
ハラハラと裁断されたカードが虚しく地に落ちたと同時にプラグライズキーが押し込まれ、その力が解放される。
『ジャスティスオーダー!』
刹那、タイクーンの背後にファンガイア王族特有の紋章が出現した。
「やばっ⁉︎」
危機を感じその場を離れようとするタイクーンだが、紋章の追跡には敵わずに捕縛され、強力な電撃がタイクーンの全身を刺激した。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
想像を絶する痛みにタイクーンは悲鳴を上げる。仮面の下ではその痛みのあまり涙を溢す程だ。しかしゼインは攻撃の手を緩めず、そのまま紋章でタイクーンを押し潰し、その衝撃で周囲に爆炎を舞わせた。
「うんうん、いいねぇ〜」
「カズマ⁉︎このぉ…」
仲間を苦しめたゼインに怒りをむき出しにして、ナーゴは得物であるビートアックスを操作して、弦を弾く。
『METAL THUNDER!』
刹那、ゼイン目掛けて無数の雷が、青天を裂いて迫り来る。対するゼインは呆れた様子で器用に雷を全て躱して、また新たなゼインカードを使用する。
『ゼクロス 執行!』
『ジャスティスオーダー!』
ゼインの手の平にゼクロスの右膝に装着された武器が顕現し、それをナーゴに向けて思いっきり投げつける。
「衝撃集中爆弾!」
ナーゴに命中したと同時にその物体は大爆発を起こし、ナーゴの装甲は火花を上げた。
「本当にライダーの力を扱えるのか…」
「あれ?湊翔様知らないんですか、手合わせしたのに…」
「…錬太郎、多分だと思うがその湊翔さんは…」
カズマがガッチャードに何かを話そうとしたが、戦闘中において不要不急の会話は隙でしか無く、それを見逃すほどゼインも甘ちゃんではない。
「おいおい、戦闘中は私語を慎みな…」
肉薄し、拳を振るうゼインの攻撃を何とか躱し、残った者達は攻勢に転じる。
『MAGNUM!BOOST!VICTORY!』
「『狙撃』!『狙撃』!」
『Xレックス!エクストラッシュ!』
ギーツによって放たれたマグナムシューター40Xの弾丸と、カズマの狙撃スキルによって放たれたケミーの力で強化された矢、そしてスーパーガッチャードによって飛ばされた光刃が、同時にゼインに襲いかかる。
ウェポンマスターの湊翔の銃撃と高い幸運値を誇るカズマの狙撃、レベルナンバー10のケミーの力を宿した斬撃を相手に逃れるなど、困難を極めるのは至極当然。
全てを見通すかの如く高速で予測演算を繰り出す人工知能以外が相手ならば。
「う〜ん、悪くない連携だけど止まって見えるね…、ではこちらも…」
『ファイズ ブラスターフォーム 執行!』
『ジャスティスオーダー!』
ブラスターフォームの力を解放し、ファイズブラスターを出現させるゼイン。直後にコマンドを入力して強力な必殺技を発動した。
『EXCEED CHARGE』
「「グッ…アアアア!?」」
ファイズブラスターから発射された光弾は、目にも止まらぬ速さでスーパーガッチャードとギーツに命中し、その威力の高さたるや、2人を数メートル先まで吹き飛ばした。
「欠伸が出るねぇ…こんなんじゃ実験にならないよ…」
余裕綽々といった様子のゼイン。相手を痛めつけることに対して躊躇いという情など微塵もない。
そんなゼインを相手にかなりダメージを負ったスーパーガッチャードだが、立ち上がって声を上げる。
「お前は…どうしてこんなことを…。お前は…かつてはミツルギくんやカズマと同じ転生者だったんだろ!アクアにこの世界の平和を頼まれてやってきたんだろ!その勇者としての心は、もう残っちゃいないのかよ!」
「しらねぇよ、そんなの。人間としての私など…
ロードの発言と共に場の空気が一変する。ロードのおちゃらけた様子はなりを潜め、代わりに今まで感じたことのない威圧感漂うピリピリとした空気で張り詰められた。
「この世界についても色々見てみたけど… 転生者は神の慈悲だか何だかで力を貰えるんだと…。恵まれてるよねぇ…。そんな恵まれた異世界ライフの裏に、泥水を舐めた被害者達もいると知らずに…」
低く轟く声と共に、ロードは語り始める。己が転生者として歩んできた軌跡を。
「今でこそ転生者は勇者としてちやほやされているが、私がやってきた時は異能の存在として恐れられてもいた…
私のやってきた村々ではそんな私を悪魔の遣いとして蔑み、碌に食べることもできない日もあった…。中には心優しく施しを与えてくれる者達もいた…、だが村の人達にとって彼らは不協和音でしかない、
心の綺麗な者達は、村の人達が毒を含ませて命を奪った…辛かったよぉ、何で悪いことをしていない彼らが死ななければならないのか…だから私はその村を滅ぼした…」
己の所業に絶句する一同の様子を気にも留めず、ロードの怒りを滲ませた語りは尚も続いた。
「その後は場所を転々としたさ…お金がない時は下手に仕事が出来ないから私はこの顔を差し出した…、夜な夜な好色めいた男女にこの顔を弄られ続けた…屈辱この上極まりなかった…
そんな時だ、アルケミアの錬金術師達のことを聞いたのは。妬ましかったさ、同じ転生者なのに幸せそうで…だから長い年月をかけて彼らが築き上げたものを滅ぼしてやった…私の手で!
私は綺麗だった、綺麗であったが故に心は汚れ闇に沈んだ…だから壊してやりたいのさ!こんな世界!」
ロードの壮絶な半生を聞いた一同は静かだった。そんな中、徐にガッチャードが口を開き、静寂を破る。
「それがお前の…心の闇…」
「聞かなきゃよかっただろう?」
「…そうでもないさ、お前の過去には同情するし、さぞ無念だったと思う。僕も、似たようなことを2年間で味わったからな…」
ガッチャードは己の過去とロードの過去を照らし合わせ、懐古する。しかしこの2人には決定的な違いがある。ロードは過去に囚われ続けているのに対し、ガッチャードは前へ進んでいるということである。
「でも、自分が苦しんだからといってその苦しみを誰かに押し付けていいのか?お前がやっていることは、お前の恨んでいた村の人達と何が違う?」
図星を突かれたのか、ロードからの返答はない。されど、ガッチャードの口撃は収まることを知らない。
「言ってみろロード!お前は辛い過去を言い訳にして、自分の犯してきた過ちを正当化して逃げてるだけじゃないのか?目を逸らすな!過去ではなく、今を見ろ!」
「言ってくれるじゃないか…私の鼓膜をイライラさせたお馬鹿さんは初めてだよ、百瀬錬太郎…。君のその正しさが、アスラくんを堕落させたというのに…」
「何⁉︎どういうことだ⁉︎」
ロードの溢したかつての親友の名前に食いつくガッチャード。しかしロードは怒れるままにベルトを操作して必殺態勢に移る。
『ジャスティスパニッシュメント!』
ロード、及びゼインが頭上に掲げた右手にエネルギーが収束していき、やがて巨大な光球を形成する。そして狙いを定めるはガッチャードとギーツ達。
「消えろ…」
振り下ろされた右手から電光石火の如き速さで光球はガッチャード達に迫り来る。
「世界が、カグヤ様を呼んでいる…」
しかし光球が命中することはなかった。突如出現した黄金に輝く光の柱が防壁となったのだ。そしてその中から姿を現したのは…。
「黄金の…ディケイド?」
かつてテレビの前で心を燃やしたヒーローの名をカズマが呟く。ゼインもまた、得体の知れない戦士相手に警戒心を剥き出しにして、低い声で尋ねた。
「何者だ?」
「我が名は、仮面ライダーレジェンド…。全てを照らし全てを繋ぐ、伝説を超える仮面ライダーだ」
錬太郎達の世界のアクセルの街。トラウトハデスの影響でジャマトの大群は湯水のように蔓延っており、アクアやバニルやクリス、そして途中で駆けつけたウィズでも手が回らない状況だった。
「嘘でしょ⁉︎まだいるの?」
「錬金小僧達がまだ元凶を潰せていないのか…ん?何だ、あの赤い光は…」
バニルの視線の先にはジャマトの群れに迫り来る紅蓮の閃光があり、近づくにつれ、その全貌が、龍のような姿が露わになった。
『ドラゴナロス!エクストラッシュ!』
「ジャァァァァァ!!」
紅き暴龍はジャマト達を薙ぎ払うと同時に消滅し、その後ろからトンガリ帽子を被った1人の少女が現れる。それはバニルが錬太郎を見通した際に偶然見えたあの少女と瓜二つだった。
「あれ、あの子はめぐみん?でも髪も長いしマントも緑色…別人?」
目を細めて少女を凝視しながら、アクアはめぐみんを思い浮かべたようだが、どうやら違うみたいだ。
「運命の日まで動くのは変に作用してしまいそうで嫌でしたが、やむを得ませんね…」
少女はマントをはたきながら赤いエクスガッチャリバーを取り出し、アクア達に加勢するかのように、ジャマトの群れへと突進してゆくのだった。