この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを!   作:山田プロキオン

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連日投稿なんて半年振りでした



この束の間の休息に安らぎを!

 星々が輝きながら、明月がすっかり夜空の真ん中を陣取った頃。錬太郎達は宿の女将から豪華な食事を振る舞われていた。ダクネスがいる為に、少し渋い顔をされたものの、錬太郎の説得の末に使徒たる者の頼み故、今回は特別とのことで許された。

 机上に並ぶ皿の上に盛られた豪華な料理の数々に、一同は瞳を輝かせながら一心不乱に食いついた。遠慮を知らないめぐみんの食いっぷりや、忘れかけていた錬太郎とクロっちの大喰らいにカズマやゆんゆんは苦笑いを浮かべていたのだった。

 現在、食事を終えた一同はそれぞれ自由時間を取っている。

 

 アクアはアナザー錬太郎の一件以外に不穏な気配を感じてるとのことで、再び街の中へと飛び出し、残りのメンバーは女子部屋へとやって来て談笑をしていた。

 

「錬太郎ずるいぞ、俺にもちょむすけをモフらせろよ!」

 

「もうちょっと待って、ちょむすけ気持ちよさそうにしてるし。しかし改めて考えても酷い…独特な名前だなぁ…」

 

「私のネーミングセンスに文句があるのですかレンタロウ?喧嘩なら買おうじゃないか!」

 

「痛い痛い!めぐみんやめて、悪かったって!」

 

 錬太郎の言葉が癪に触ったらしく、めぐみんは小さな拳を握り締めてぐりぐりと錬太郎の肩へ押しつける。

 錬太郎は今1匹の黒猫を膝の上に乗せているのだが、それはめぐみんの使い魔であり、名前は「ちょむすけ」というらしい。紅魔の里にて拾ってからそれなりに時間を共にして来たらしく、ちょむすけもめぐみんに懐いている様子。

 ただ口から炎を吐いたり、何故かアクアを毛嫌いしたりと何処か秘密がありそうな一面もあるのだが、めぐみんがあまり気にしていないこともあって、誰1人として追及する者はいなかった。

 

「なーう♪」

 

「おっ、ちょむすけが起きた。じゃあカズマ、お願いね」

 

「おう、ハァ〜モフモフする…癒しだぁ…」

 

 ちょむすけの身体を撫でまわしながら、カズマは柔和な顔になる。今日はアクシズ教徒の勧誘にノワールガッチャードとの戦闘と疲労が蓄積する出来事ばかりだったのでいつもよりもちょむすけの毛並みを存分に堪能していた。

 

「そういえば、錬太郎はあの偽物を1人で倒したのだろう?私とカズマとで居合わせた時はかなり戦いづらかったのだがどのように対処したのだ?」

 

「確かに…それに錬太郎さんと同じでケミー達の力も扱ってましたし、ケミーライザーの情報から見てみても戦い方が人間ともモンスターとも判別がつかない複雑なものっぽかったですし…」

 

 ふと、ダクネスとゆんゆんが戦闘についての話題を錬太郎に振った。アナザー錬太郎の戦い方は、貴族として武道の修行をそれなりに積んだダクネスや、紅魔の里でそれなりに強いモンスターと戦闘した経験のあるゆんゆんから見てもかなり特異的だった。そんな相手を前に、どのような処置を取ったのか気になるのだろう。それはカズマとめぐみんも同様で、パーティメンバー達の視線が錬太郎へ集中する。

 皆の疑問に錬太郎が提示した答えは…。

 

「昔、師匠のアスラに言われてさ、よくわからない相手を前にしたら兎に角立て、撃て、斬れって。油断せず相手が力尽きるまで攻撃を繰り出せって」

 

「いや野生的すぎませんか⁉︎もっとこう…どの攻撃が最適解か瞬時に脳内で考えてみるとか…」

 

「めぐみん、そんな暇あったらチョップ5発はいけるよ」

 

「お前の師匠蛮族か何かかよ…」

 

 意外にも錬太郎の口から返ってきたのは脳筋戦法。戦いはノリの良い方が勝つととある先人が口にしていたが、未知の敵相手にそれを実践するとは、紅魔族随一の思考とプロゲーマー負けの参謀属性のカズマさんを持ってしても理解に苦しむようだ。

 一般的に能力の知らない相手と対峙する際は、相手の手札を窺い、その後対抗策を瞬時に練ってから挑むのが基本である。

 ただ錬太郎の場合、戦闘が長引けば長引く程被害が拡大してしまう可能性を視野に入れているため、迅速なる撃破を最優先としている節があり、決して考えなしに特攻しているのではない。

 

「あれ?そういえばアスラさんって錬太郎さんのライバルじゃなかったでしたっけ?」

 

 会話の中で新たに感じた疑問をゆんゆんが尋ねる。以前錬太郎よりアスラのことを聞いた際には、彼をライバルと称していたため、情報に齟齬が生じていた。

 

『実はねゆんゆん、アスラは錬太郎にとってはライバルでもあり師匠でもあったんだよ〜。お互いに切磋琢磨して競争し合っていたわけさ』

 

「そうなんですねクロっちさん…なんか、私とめぐみんみたいですね」

 

「何を言っているのですか貴方は。勝手に私のライバルを自称しているだけでしょう?そもそも私はゆんゆんのことなど眼中にありませんし、今まで貴方は私に勝ったことなど一度としてなかったじゃないですか」

 

「ちょ、自称じゃなくてちゃんとライバルよ!そうじゃなきゃ何度も勝負しないでしょ⁉︎後全敗じゃないし!発育勝負だったら…」

 

「おおっと〜?そこから先は言わせませんよ⁉︎しかし言葉選びが下手くそなぼっちにはちょっとお仕置きが必要みたいですね…」

 

「えっ…めぐみん待って何する気…ってあ!痛っ⁉︎ちょっと⁉︎」

 

 めぐみんは獲物を見つけた猛獣の如く、ゆんゆんに飛びかかると小さな手のひらで力一杯ゆんゆんの胸を何度も引っ叩いた。

 

「胸が大きいからなんだっていうんですか⁉︎背が高いからなんだってんですか⁉︎そんなふしだらな脂肪を胸に蓄えてなどいるからいつまで経っても私に勝てないのです!こんなもの!こんなもの!」

 

「痛い痛い!!やめてめぐみん!おっばいとれちゃうよぉ…」

 

 バシンバシンと、結構激しく容赦がない。若さ故にピチピチのゆんゆんの胸は、めぐみんの平手によって軽快な音を鳴らしながら縦横無尽に暴れ回り、思春期真っ只中の野郎2人は、その眼福な光景に釘付けになって鼻の下を伸ばしていた。

 アクセルの街で鬼畜と恐れられるカズマも、ハードモードな人生で幾多もの死線を潜り抜けた錬太郎も、所詮男なのである。

 

「めぐみん、そこまでにしてあげろ。もうゆんゆんは泣いているし…そ、それよりもその平手捌き、是非とも私で…」

 

「発情ネスステイ、お前のクーパー靭帯が悲鳴を上げるぞ。あと百合の間に挟まるのは重罪だぞ?」

 

「発情ネスはやめろカズマァァァァ!!」

 

 最早定番となりつつあるカズマの名前弄りにダクネスが絶叫し、部屋の中に五月蝿い声が響き渡る。片や同年代の女子同士の喧嘩、片や鬼畜と変態の漫才が1つの部屋で繰り広げられる混沌としか言いようがない光景に、クロっちが1人苦笑いを浮かべていたそうな。

 

 

 

 

「皆さん、体調が良くなったので温泉先に入りました!…ってどうしたんですか皆さん?」

 

 風呂上がりのウィズが浴衣姿で部屋へと入室するや否や、目の前に広がる光景にこてんと首を傾げる。

 右側には不貞腐れるダクネス、何故かご満悦なめぐみん、頭に大きなたんこぶを作って力無く倒れているカズマに、もう寝ているクロっち。

 反対側の左には涙目で胸を抑えて錬太郎に肩を寄せるゆんゆん、顔を紅くして正座したまま俯いている錬太郎というあからさまに何かあったような雰囲気が漂っていた。

 

「ん…あぁウィズ、戻ってきたのか…俺達ご飯先に食べたから個別でなんとかしてくれ…」

 

「え、ああ…はい…大丈夫ですかカズマさん?」

 

「問題ない…ところでもう入浴したのか?浴衣姿で髪濡れてるってことは…」

 

「はい!混浴の方に入りましたが、とっても広くて!」

 

 嬉しそうに話すウィズに、カズマは再度項垂れて後悔の念に駆られる。皆で談笑なんてせず、ちょむすけのモフモフを我慢して己の欲に従って混浴に入っていればウィズと一緒に、そしてあわよくばそのままいい感じになっていたかもしれないというのに。そしてダクネスから拳骨を喰らわされることもなかっただろうに。

 

「まぁ、いいや。俺は心と身体の疲れを癒しに風呂に行くとするよ…」

 

 重い身体を起こし、カズマは1人温泉へと向かう。ふと歩みを止めて振り返ると、

 

「俺は風呂に行ってくる」

 

 再度カズマは言う。混浴があると知った以上、己の欲に従った。ダクネスとめぐみん、そしてゆんゆんにも一緒に入らないかという行間を込めて。

 

「ああ、いってこい」

 

「どうぞお先に」

 

「俺は風呂に…」

 

「カズマさん、繰り返し言わなくていいですよ」

 

「皆わかってるだろうから早く行けば?」

 

 カズマの混浴作戦、大失敗。

 

 

 

 

「なんで僕が…」

 

 タオル片手に錬太郎は混浴の暖簾が掛かった場所へと向かう。あの後めぐみんとダクネスにカズマを見張って欲しいと言われて仕方なく了承したのだが、悪い事ではないはずなのにいざ混浴の場に足を踏み入れるとなると、錬太郎の胸の中は、罪悪感に染まっていた。

 

「別に女性の裸を見たいとか邪な理由じゃないし…ただカズマを見張るだけだし…」

 

 己の精神を何とか統一すると、錬太郎は意を決して暖簾をかき分けて入室する。脱衣所には服を脱いで腰にタオルを巻いたばかりのカズマがおり、彼は今から入浴するのだろう。

 

「何だ錬太郎?お前も混浴に来るなんて意外だな。もしかしてお前…」

 

「悪いけど合法的に女性の裸体を見れるとかそんな理由じゃないよ。君を見張っとけってめぐみんとダクネスに言われてさ」

 

 服を脱ぎ、タオルを腰に巻く錬太郎から理由を聞くや否や、カズマは地面に膝をついてがっくりとしてしまった。錬太郎が見張として派遣された以上、女性陣が混浴に入るとは到底考えられず、今度こそ本当にカズマの計画は水泡に帰してしまったのだった。

 

「まぁまぁ元気出しなって。生きていればこの先好きな人が出来て、その人とお風呂一緒に入れるかもしれないだろ?」

 

「知ってるか?俺の女性運の無さを。駄女神、爆裂狂、ドM聖騎士(クルセイダー)…。こんなメンツに囲まれてモテ期なんて来ると思うか?よぉ?よォォォォォォ!!!!」

 

 カズマは呑気に慰めてきた錬太郎の肩を掴んでグワングワンと揺らす。殺気を帯びたその鋭い瞳には怒りや羨望をはじめとした負の感情が満ちていた。

 

「大体お前はゆんゆんと度々いい雰囲気になりやがって!俺が求めてたのはお前みたいな人付き合いなの!俺に少しくらい異世界ハーレムの夢を見させてくれよ!」

 

「サキュバスのお店があるだろ!それにゆんゆんとはそんな関係じゃ…」

 

「ギルティ!おまけに主人公系特有の鈍感!お前は問答無用で粛清モンだコラァァァァ!!!!」

 

 怒りに身を任せ、カズマは錬太郎に往復ビンタを炸裂させる。一瞬の休みも与えないその手捌きには、錬太郎も対応出来ず、ただカズマからの理不尽な怒りに身を委ねるしかなかった。

 暫くして錬太郎は漸くビンタ地獄から解放された。

 

「痛いなぁ〜、アスラにしか思いっきりぶたれたことないのに…」

 

「よし!クヨクヨしてても仕方ねぇ!温泉行くぞ!」

 

 命の洗濯の聖地、温泉へ向かわんとカズマは扉に手をかける。しかしいざ扉を開けようとしたその時、その向こう側から何やら話し声が聞こえてきた。

 

「この街から手を引けって、そりゃないだろウォルバク!魔王軍の脅威として蔓延るアクシズ教徒共の勢力を削ぎ落とすチャンスだってのに…」

 

「仕方ないでしょ、ハンス。アクシズ教徒もそうだけど、例のアイツがこの街に来ているって情報もあるし…」

 

 声からして話をしているのは男と女。男の方は低く、重厚感のある声で、女の方は透き通った感じのいい声だった。会話の内容はともかく、女性が中にいるとのことで、カズマは期待で胸を膨らませた。しかし会話の内容はもう少し聞いていたいので、欲求を押し殺して扉の前で待機することにした。

 

「アイツって…この街に向けて派遣された魔王軍の支部隊をたった1人で壊滅させた切断魔か?話じゃあ組織されたゴブリンやコボルト達を手刀で仕留めて食っていたそうじゃないか…戦闘力といい、行動といい、人間じゃねぇだろ…」

 

「この街のアクシズ教徒達も狙われたそうよ。今日も出現してお店を襲った後、どっかに消えたみたいで。まだ遠くには行っていないでしょうし、アイツのことを視野に入れながら工作するのはたとえあなたでも骨が折れるんじゃない?」

 

「くっ…しかしここまで来たら引く訳にはいかない!魔王軍にとって障壁なアクシズ教徒を潰せる唯一無二のチャンスだ!俺はやってやるぞ!」

 

 会話内容の全貌に、カズマは驚きを露わにする。話から察するに、扉の向こうにいるのは恐らく魔王軍関係者。どうして自分はこんな厄介事に巻き込まれてしまうのだと内心悲観する。しかし今は悲観している場合ではない、なんとかしてやり過ごさなければ。心臓の鼓動が高まり、冷や汗が額から頬を伝ってダラダラと流れる。いつも通りの冷静な思考回路が機能してくれないことに、カズマは焦燥に駆られ始めていた。

 

「何してるのカズマ?早く行こう…」

 

 そんな中、何も知らない錬太郎は一向に温泉へ行かないカズマを不思議に思いながら、彼に変わって扉に手をかけた。

 

「あっ、待て錬太郎…」

 

 カズマが声をかけるが、時既に遅し。錬太郎が引き戸をスパンといい音を響かせながら開くと、その向こうには短めの茶髪で、引き締まった身体をした男性と、赤髪ショートで猫のような耳をした巨乳の女性がいた。因みに湯船に浸かっているのは女性だけで、男性は錬太郎達同様、腰にタオルを巻いて女性の近くに立っている。

 

「もしかして先客がいるから入りづらかったの?」

 

「え、お、おう!そうなんだよ!いやぁ、錬太郎くんは変なところで行け行けどんどんだわなぁハハハ…」

 

 勝手に錬太郎が解釈した様子に、カズマは持ち前の適応能力で即座に話を合わせた。そしてカズマの視線はすぐさま赤髪の女性の、それも豊かに実った2つのメロンへと向けられた。

 対して先客であろう2人はカズマではなく、錬太郎の方へと視線を寄せており、どこか焦ったような、動揺したような表情を浮かべてヒソヒソと話し始めた。

 

「(お、おい。何でアイツがここにいるんだよ!)」

 

「(知らないわよ!似顔絵が送られてきた切断魔にそっくりっちゃそっくりだけど、敵意はないんじゃないかしら?それよりも隣の子から妙に視線を感じるのだけど…)」

 

「(あれは好色めいた目だな…まぁ話は聞かれてなさそうだし、ここは任せるぞウォルバク!俺は仕事があるんでな!)」

 

「(ちょ、ちょっと待ってよハンス!)」

 

 女性の呼び止めに応じることなく、男性はいそいそとその場を後にする。そして入れ替わるようにしてカズマと錬太郎が浴槽へ身体を入れた。

 

「は、初めまして。貴方達はここの人じゃないわよね。もしかして、旅行でここに来たのかしら…」

 

 なんとも言えない空気に耐えかねたのか、女性が口火を切ってカズマ達に尋ねた。突然声をかけられたことを意外に感じたカズマだったが、瞬時に平常を装うと、女性の質問に応答した。

 

「まぁ、そうですね。こう見えても俺、冒険者なんで。日々の疲れを癒すためにここへ立ち寄ったという訳です」

 

「とはいえ、風呂に入るまであまり休めませんでしたけどね…。アクシズ教徒の反応や僕のそっくりさんが振り撒いた風評被害のせいで…」

 

「それはそれは、大変だったのね…」

 

 女性は錬太郎を慈しむように労いの言葉をかけ、同時にどこか安堵していた。そして今度は女性が話し手に転じ、カズマ達が聞き手に移る。

 

「実は私も湯治をしていてね。前に半身と戦った時に力を完全に奪い取れていなくてね、それで本来の力を取り戻すべくこうして温泉を訪れているの」

 

 女性は冗談めかしたようにカズマと錬太郎に話した。しかし2人には、女性の話した荒唐無稽なその内容が何処か本当のことのように感じてならなかった。

 

「凄い話ですね、ウチの魔法使いが聞いたら喜ぶだろうなぁ…」

 

「お姉さんの半身…お姉さんと似た感じの気配はどこかで感じたことがあるような…」

 

「あら、もしかして貴方達の仲間に紅魔族の魔法使いがいるの?懐かしいなぁ…、昔私が魔法を教えた紅魔族の女の子がいたっけ…あの子元気かしら。それに黒髪の坊やの話が本当なら、意外と近くに私の半身はいるのかもしれないわね…」

 

 懐古した様子で、女性はゆっくりと口角を上げる。その朗らかな表情は、教え子の女の子を思っているのか優しさを帯びていた。

 

「さてと、私はそろそろ上がるわね。それと、あまり良くないことが起こるかもだから今後この街の温泉に入ることはオススメしないわよ?」

 

 最後に忠告のような言葉を残して女性は風呂から上がろうとしたのだが、何故か躊躇った様子で再度湯船に浸かった。

 

「あ、あのぉ…出来れば風呂から上がる際の無防備な姿は見ないで欲しいかなぁ…」

 

 

「お構いなく」

 

 カズマの即答に女性は涙目になる。魔王軍の関係者といえども、人間と羞恥心の感性はそう大差ないのだろう。錬太郎は女性を流石に可哀想に感じたのか、カズマを腕を掴んで一緒に後ろを向かせた。その隙に女性は立ち去り、静寂な水面の混浴の場には錬太郎とカズマの2人が残された。

 

「あ、思い出した。あのお姉さんの雰囲気に似てるのはちょむすけだ!」

 

「お前それ今思い出すか?ていうか、レディに対して猫みたいって…」

 

「そのレディに恥をかかせかけたカズマにだけは言われたくない」

 

「どういうことだそれは⁉︎って…壁の向こうからなんか聞こえるな…」

 

 舌戦に発展しそうな雰囲気をぶち壊し、カズマは混浴と女湯の間にある仕切りに耳を寄せる。聞こえる、何やら聞き覚えのある女性陣の声が。

 

「いやぁ、偶には温泉で日々の疲れを癒すのも悪くないですね。アクシズ教徒はごめんですが、温泉と街並みでそのマイナス要素もチャラ…は言い過ぎですね…」

 

「本当よ…それにアクシズ教徒達に今の勧誘スタイルを提案したのはめぐみんなんでしょ?自業自得よ…」

 

「めぐみん!まさかお前が彼らに提案したというのか⁉︎だとしたらありがとう!!」

 

『ウィ〜、ダクネスはブレないねぇ…』

 

 どうやら女湯にはめぐみんにダクネス、そしてゆんゆんとクロっちがいるようだ。談笑している様から、男2人しかいない殺風景な混浴と違って楽しそうである。

 

「そういえば…レンタロウ、そちらの方にカズマはいますか〜?」

 

「いるよ〜、今仕切り越しに皆の会話聞いてる〜」

 

「おまっ⁉︎バラすなよ!」

 

 錬太郎の報告にカズマは声を荒げる。すると女湯からは全員の溜息が聞こえてきた。

 

「全く、そうだろうとは思っていましたよ…」

 

「流石カズマだ。己の欲に忠実だな」

 

「報告も終わったし、僕はそろそろお暇させてもらうよ」

 

 錬太郎は風呂から体を上げると、脱衣所へ向かい歩を寄せる。しかし扉に手をかけた瞬間、仕切り越しからクロっちの声が聞こえた。

 

『あっ、錬太郎!風呂上がったらババ抜き大会しようよ。めぐみんとゆんゆんが勝負するらしいから皆も混ぜてもらうことにしたんだ!ビリにはウィズのお店で購入した恥ずかしい過去を見せる水晶を皆の前で使ってもらう。どう?』

 

 クロっちの提案に対する錬太郎の答えは決まっていた。

 

「いいね!」

 

 しかし忘れていた。錬太郎は自身が対人戦ゲームが物凄く下手で弱いことを。

 この後の出来事は、次回まで続く。




コソコソ話
・アナザー錬太郎はアルカンレティアと魔王軍の支部を行ったり来たりして、何度も襲撃をしていました。その際魔王軍衛兵のコボルトやゴブリンを薙ぎ倒し、彼らを食べていました。53話にてアナザーがゴブリンやコボルトの栄養価について話していたのはその為です。その結果、アナザー錬太郎もとい錬太郎は、魔王軍からアクシズ教徒と紅魔族と並んで恐れられています。
・ウォルバクさんを除き、魔王軍は錬太郎とアナザーの区別がついていないので、混浴で居合わせたハンスは、錬太郎の隣にいるカズマを錬太郎を手懐けたツワモノと認識しております。

印象のびふぉー→あふたーby魔王軍
錬太郎:噂に聞く錬金術師だけど、なんか影薄い
→冒険者の中で一番倫理観のない切断魔。

カズマ:よくない噂ばかり聞く最弱職→切断魔を手懐けた猛獣使い。
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